スタンダード
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+ | [[MTGアリーナ]]の公式フォーマットでもある、1本先取([[BO|BO1]])制スタンダードである「'''アリーナ・スタンダード/Arena Standard'''」についても解説する。 | ||
==解説== | ==解説== | ||
− | + | 使用可能なセットは最新の[[基本セット]]と直近3年に発売された[[エキスパンション]]で、秋のエキスパンション発売(8~10月頃)に合わせて1年ごとに'''[[ローテーション]]'''し使用可能セットが入れ替わる。 | |
[[禁止カード]]は存在するが、[[制限カード]]は存在しない。 | [[禁止カード]]は存在するが、[[制限カード]]は存在しない。 | ||
− | * | + | *[[1997年]]1月1日からスタンダードにおいて制限カードは廃止され、当時の制限カードは全て禁止カードとなった。 |
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*禁止カード指定は明示的に解除されなかったとしても、ローテーション落ちの時点で解除される。 | *禁止カード指定は明示的に解除されなかったとしても、ローテーション落ちの時点で解除される。 | ||
**かつてのスタンダードでは[[ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel]]が禁止カード指定を受けたが、[[基本セット2015]]に[[再録]]された時には禁止カードには指定されていない。 | **かつてのスタンダードでは[[ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel]]が禁止カード指定を受けたが、[[基本セット2015]]に[[再録]]された時には禁止カードには指定されていない。 | ||
+ | *[[WotC]]の裁量により、基本セットとエキスパンションの他、[[ウェルカム・デッキ]]など一部の初心者向け[[構築済みデッキ]]に含まれるカードもスタンダード使用可能扱いの場合もある。当該カードは、リリース翌年秋に発売されるエキスパンションが発売された同時にスタンダードから[[落ちる|落ち]]か、ローテーションの影響を受けないようになった。 | ||
+ | *スタンダードで使用可能なセットの[[ブースター・パック]]から出現するがスタンダードでは使用出来ないカードも一部存在し、特に[[ミスティカルアーカイブ]]など[[ボーナスシート]]の登場以降その収録頻度が高まっている。基本的には[[エキスパンション・シンボル]]が元のセットと異なる点で判別することになる。詳細は[[#本流のセットのブースター製品から出るがスタンダードにおいては使用不可能なカード]]を参照。 | ||
+ | *意味は日本語で「標準」(ちなみに[[標準化/Standardize]]という[[カード名]]も存在する)。 | ||
+ | *古い呼び方ではあるが、[[タイプ1]](現[[ヴィンテージ]])に対して、使えるセットが限定された「第2のフォーマット」として'''タイプ2'''と呼ばれることもあった(略称は'''T2''')。あくまで単なる俗称で、公式にタイプ2とされていた時期はない。[[タイプ]]も参照。 | ||
===環境の特色=== | ===環境の特色=== | ||
− | + | 最近のセットのみで構築できるため新規参入がしやすく、また最も多くの認定イベントに採用されているフォーマットである為、プレイ人口も多い。一方競技マジックでも、最も多くの[[ミシックチャンピオンシップ]]の構築部門に採用されているフォーマットであり、競技マジックでは一番重要なフォーマットといえる。 | |
− | *[[カード・プール]] | + | |
+ | *[[カード・プール]]の狭さから、新たなセットの影響を強く受けやすい。特に[[ローテーション]]時には環境がガラリと変わり多様さと新鮮さが保たれている。 | ||
*[[プレイヤー]]の多さからカードの需要が変動しやすく、参入の敷居の低さとは裏腹に、勝っていくためには現在の[[メタゲーム|メタ]]や次のメタを読み取りデッキをチューンする能力が必要とされる。したがって良くも悪くも競技志向の強いフォーマットとも言える。 | *[[プレイヤー]]の多さからカードの需要が変動しやすく、参入の敷居の低さとは裏腹に、勝っていくためには現在の[[メタゲーム|メタ]]や次のメタを読み取りデッキをチューンする能力が必要とされる。したがって良くも悪くも競技志向の強いフォーマットとも言える。 | ||
− | ** | + | **このフォーマットでプレイし続けるためにはカードを入手し続けることが避けられず、ある程度の資金が必要である。そのため、プレイヤーは定期的に新しいカードを購入したり、トレードしたりすることでデッキをアップデートし、競争力を維持しなければならない。ただしカードの流通量が多いため、他環境と比べれば初期参入コストは安い傾向がある。 |
+ | *近年では、[[WotC]]や[[開発部]]側が[[ゲーム]]時間が長期化するのを嫌ってか、[[打ち消す|打ち消し]][[呪文]]や[[全体除去]]呪文といった[[コントロールデッキ|コントロール]]向けカードの弱体化により、純粋な[[パーミッション]]系コントロールが組まれることが比較的少なくなってきている。逆に[[クリーチャー]]の質は年々著しく上昇しており、クリーチャーによる[[戦闘]]が増加。それを対策した[[コントロールデッキ|コントロールデッキ]]、コントロールに強い[[クロック・パーミッション]]…といったメタ形成となる傾向がある。 | ||
+ | *[[2020年]]近辺から新型コロナウィルスの流行による店舗イベントの減少等諸々の影響を受け、[[テーブルトップ]]におけるプレイ人口においては[[統率者戦]]を下回っている事が公式からたびたび語られている。それを受けて[[2023年]]からは、後述のローテーション期間変更を初めとした各種復興施策が行われる事が発表されている。 | ||
− | === | + | ===変遷=== |
− | + | 新規のプレイヤーと初期からのプレイヤーでカード資産の差がついてしまう問題を解決するため、「新しめのセット限定」として考え出されたのがスタンダードである。 | |
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− | + | *[[1995年]]1月1日に、公式に制定された。この時の使用可能セットは[[リバイズド・エディション]]、[[ザ・ダーク]]、[[フォールン・エンパイア]]の3セットのみ。その後[[アイスエイジ]]が発売されてからは1つの[[基本セット]]と3つの[[エキスパンション]]から構成された。 | |
− | + | **初期の一時期、デッキを作るとき、「フォーマットで使えるカードセットすべてから最低5枚ずつ入れる必要がある」というルールがあった。 | |
− | * | + | *[[1997年]]7月1日からは、1つの基本セットと2つのブロックから構成する形式となった。新基本セットが参入するたびに直前の基本セットが落ち(2年に1回)、新[[ブロック (総称)|ブロック]]の第一セットが参入するたびに現行のブロックの内で最も古いブロックが落ちるようになった(1年に1回)。 |
− | *初期の一時期、デッキを作るとき、「フォーマットで使えるカードセットすべてから最低5枚ずつ入れる必要がある」というルールがあった。 | + | *[[2009年]]([[基本セット2010]])からは、ローテーションの制度は変更されていないが、基本セットの発売間隔が1年に1回に変わった。 |
− | * | + | *[[2010年]]([[基本セット2011]])からは、1~2つの基本セットと2つのブロックから構成する形式となった。新基本セットが参入しても直前の基本セットは落ちず、新ブロックが参入するたびに古い方の基本セットと最古のブロックが同時に落ちるようになった。 |
+ | *[[2015年]]から、3つのブロックから構成する形式となった。同時に、[[マジック・オリジン]]を最後に基本セットは(一度)廃止されるとともに、1ブロックは2セットで構成されるようになった。これに伴い、[[2016年]]春からローテーションも半年に1度に変更された。 | ||
+ | *半年に1度のローテーションは「スタンダードについて行くのが大変だ」と多くのプレイヤーから不評だったため、[[2017年]]から、春のローテーションが廃止され、使用可能なセットが3つのブロック(5~6セット)から4つのブロック(5~8セット)に拡張された<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/news/revisiting-standard-rotation-2016-10-19 Revisiting Standard Rotation]/[https://mtg-jp.com/reading/publicity/0017853/# スタンダード・ローテーションの見直しについて](News [[2016年]]10月19日 [[Aaron Forsythe]]著)</ref>。 | ||
+ | *[[2018年]]([[ドミナリア]])からはブロック制が廃止され基本セットも復活したが、ローテーション制度は変化していない(5~8セットのまま)<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/metamorphosis-2-0-2017-06-12 Metamorphosis 2.0]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0019021/ 変身2.0](Making Magic [[2017年]]6月12日 [[Mark Rosewater]]著)</ref>。 | ||
+ | *また[[デジタルゲーム]]のうち「アリーナ・スタンダード」([[BO1]])のみ、[[カード個別評価:コンピューターゲーム専用カード#Magic: The Gathering Arena|基礎セット]]に含まれるカードの一部も使用可能として扱われていたが、2022年3月22のアップデートによりスタンダードでは使用不可になった。 | ||
+ | *[[2023年]]([[ファイレクシア:完全なる統一]])から、カード・セットがスタンダードで使用可能になる日にちが、製品の正式発売日ではなくプレリリース・イベントの開始日に変更された。 | ||
+ | *2023年([[エルドレインの森]])から、セットのローテーション落ちする期間が2年から3年に延長され、9~12のセットがスタンダードで使用できるようになった<ref>[https://mtg-jp.com/reading/publicity/0036904/ スタンダードに再び活気を]([[Daily MTG]] 2023年5月7日)</ref>。 | ||
+ | **実際には[[機械兵団の進軍:決戦の後に]]と[[ビッグスコア]]という特殊なセットの存在により最大で14のセットが使用可能な時期があった。 | ||
+ | *[[2024年]]に3年(あるいは永続的に)ローテーションしない基本セットである[[ファウンデーションズ]]が登場し、また[[2025年]]より[[ユニバースビヨンド]]のセットもスタンダードに含まれるようになること、そして[[2027年]]よりローテーションが秋ではなく年始のセットになることが発表された<ref>[https://magic.wizards.com/ja/news/announcements/aligning-the-universes-making-all-our-sets-legal-in-all-our-formats 「ユニバース」が揃うとき――「ユニバースビヨンド」製品の使用可能フォーマットについてのお知らせ]([[Daily MTG]] [[2024年]]10月25日)</ref>。 | ||
==現在の使用可能カードセット== | ==現在の使用可能カードセット== | ||
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+ | *[[カルロフ邸殺人事件]] | ||
+ | *[[サンダー・ジャンクションの無法者]] | ||
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+ | ===本流のセットのブースター製品から出るがスタンダードにおいては使用不可能なカード=== | ||
+ | 以下については基本的に使用できないが、スタンダードで使用可能なカードと名前が同じならば使用可能である。詳細は[[名前]]を参照。 | ||
+ | *使用可能なセットの[[セット・ブースター]]および[[コレクター・ブースター]]から出現する統率者デッキ収録カード | ||
+ | **[[エキスパンション・シンボル]]が[[本流のセット]]と異なる点で判別可能である。 | ||
+ | *使用可能なセットのセット・ブースターおよびプレイ・ブースターから出現する特殊な[[再録]]カード「[[ザ・リスト]]」 | ||
+ | **カード左下に[[プレインズウォーカー・シンボル]]が印刷されている点で判別可能である。 | ||
+ | *使用可能なセットのセット・ブースターおよびプレイ・ブースターから出現する[[スペシャルゲスト]] | ||
+ | **エキスパンション・シンボルが異なる点で判別可能である。 | ||
+ | *使用可能なセットの各種ブースターから出現する[[ボーナスシート]] | ||
+ | **具体的には以下が該当する。いずれもエキスパンション・シンボルが異なる点で判別可能である。 | ||
+ | **兄弟戦争 - [[旧枠版アーティファクト]] | ||
+ | **機械兵団の進軍 - [[多元宇宙の伝説]] | ||
+ | **エルドレインの森 - [[おとぎ話]] | ||
+ | **サンダー・ジャンクションの無法者 - [[速報]] | ||
+ | *使用可能なセットのセット・ブースターおよびコレクター・ブースターから出現する[[ユニバースビヨンド]]セット | ||
+ | **具体的には以下が該当する。いずれもエキスパンション・シンボルが異なる点で判別可能である。 | ||
+ | **イクサラン:失われし洞窟 - [[イクサラン:失われし洞窟#ジュラシック・ワールド・コレクション/Jurassic World Collection|ジュラシック・ワールド・コレクション]] | ||
+ | **兄弟戦争 - [[トランスフォーマー・カード]] | ||
+ | *ファイレクシア:完全なる統一のボーダーレスコンセプトアート法務官カード | ||
+ | **エキスパンション・シンボルが初出セットと同じであることで判別可能である。 | ||
+ | *イクサラン:失われし洞窟の[[イクサラン:失われし洞窟#宝の山ボックストッパー/Treasure Trove Box Toppe|宝物ボックストッパー]] | ||
+ | **エキスパンション・シンボルが異なる(統率者デッキのものと同じ)点で判別可能である。 | ||
==禁止カード== | ==禁止カード== | ||
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==主なデッキ・その他== | ==主なデッキ・その他== | ||
− | [[スタンダードの変遷]] | + | [[スタンダードの変遷]]を参照。 |
==関連リンク== | ==関連リンク== | ||
===Standard Week=== | ===Standard Week=== | ||
− | [[WotC]]の公式ウェブマガジン『[ | + | [[WotC]]の公式ウェブマガジン『[[Daily MTG]]』では、[[2012年]]8月6日から10日にかけて「Standard Week(スタンダード特集)」として、各連載記事でスタンダードに関する特集が組まれた。以下は各コーナーの特集記事。 |
+ | *[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/lab/stand-hard-2012-08-03 Stand Hard](From the Lab 2012年8月3日 [[Noel deCordova]]著) | ||
+ | *[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/setting-standard-2012-08-06 Setting The Standard]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0004192/ スタンダードの決定](Making Magic 2012年8月6日 [[Mark Rosewater]]著) | ||
+ | *[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/reconstructed/zero-sixty-how-win-standard-2012-08-06 Zero to Sixty: How to Win in Standard]/[https://mtg-jp.com/reading/translated/rc/0004262/ ゼロからのデッキ構築:スタンダードで勝つ方法](ReConstructed 2012年8月6日 [[Gavin Verhey]]著) | ||
+ | *[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/serious-fun/coloring-lines-2012-08-07 Coloring in Lines](Serious Fun 2012年8月7日 [[Adam Styborski]]著) | ||
+ | *[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/top-decks/standard-bearers-2012-08-09 Standard Bearers](Top Decks 2012年8月9日 [[Mike Flores]]著) | ||
+ | *[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/latest-developments/ah-yes-very-standard-2012-08-10 Ah Yes. Very Standard.]/[https://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0004101/ まさしくスタンダードだ](Latest Developments 2012年8月10日 [[Zac Hill]]著) | ||
− | + | ==脚注== | |
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==参考== | ==参考== | ||
+ | *[[ローテーション]] | ||
*[[フォーマット]] | *[[フォーマット]] | ||
*[[構築]] | *[[構築]] | ||
+ | *[[本流のセット]] |
2024年11月8日 (金) 14:29時点における最新版
主な公式フォーマット
- リミテッド (Limited)
- シールド (Sealed Deck)
- ブースター・ドラフト (Booster Draft)
スタンダード/Standardとは、公式フォーマットの1つ。構築フォーマットの1つとして分類されている。「スタン」と略して呼ばれることも多い。
MTGアリーナの公式フォーマットでもある、1本先取(BO1)制スタンダードである「アリーナ・スタンダード/Arena Standard」についても解説する。
目次 |
[編集] 解説
使用可能なセットは最新の基本セットと直近3年に発売されたエキスパンションで、秋のエキスパンション発売(8~10月頃)に合わせて1年ごとにローテーションし使用可能セットが入れ替わる。
- 1997年1月1日からスタンダードにおいて制限カードは廃止され、当時の制限カードは全て禁止カードとなった。
- 禁止カード指定は明示的に解除されなかったとしても、ローテーション落ちの時点で解除される。
- かつてのスタンダードではダークスティールの城塞/Darksteel Citadelが禁止カード指定を受けたが、基本セット2015に再録された時には禁止カードには指定されていない。
- WotCの裁量により、基本セットとエキスパンションの他、ウェルカム・デッキなど一部の初心者向け構築済みデッキに含まれるカードもスタンダード使用可能扱いの場合もある。当該カードは、リリース翌年秋に発売されるエキスパンションが発売された同時にスタンダードから落ちか、ローテーションの影響を受けないようになった。
- スタンダードで使用可能なセットのブースター・パックから出現するがスタンダードでは使用出来ないカードも一部存在し、特にミスティカルアーカイブなどボーナスシートの登場以降その収録頻度が高まっている。基本的にはエキスパンション・シンボルが元のセットと異なる点で判別することになる。詳細は#本流のセットのブースター製品から出るがスタンダードにおいては使用不可能なカードを参照。
- 意味は日本語で「標準」(ちなみに標準化/Standardizeというカード名も存在する)。
- 古い呼び方ではあるが、タイプ1(現ヴィンテージ)に対して、使えるセットが限定された「第2のフォーマット」としてタイプ2と呼ばれることもあった(略称はT2)。あくまで単なる俗称で、公式にタイプ2とされていた時期はない。タイプも参照。
[編集] 環境の特色
最近のセットのみで構築できるため新規参入がしやすく、また最も多くの認定イベントに採用されているフォーマットである為、プレイ人口も多い。一方競技マジックでも、最も多くのミシックチャンピオンシップの構築部門に採用されているフォーマットであり、競技マジックでは一番重要なフォーマットといえる。
- カード・プールの狭さから、新たなセットの影響を強く受けやすい。特にローテーション時には環境がガラリと変わり多様さと新鮮さが保たれている。
- プレイヤーの多さからカードの需要が変動しやすく、参入の敷居の低さとは裏腹に、勝っていくためには現在のメタや次のメタを読み取りデッキをチューンする能力が必要とされる。したがって良くも悪くも競技志向の強いフォーマットとも言える。
- このフォーマットでプレイし続けるためにはカードを入手し続けることが避けられず、ある程度の資金が必要である。そのため、プレイヤーは定期的に新しいカードを購入したり、トレードしたりすることでデッキをアップデートし、競争力を維持しなければならない。ただしカードの流通量が多いため、他環境と比べれば初期参入コストは安い傾向がある。
- 近年では、WotCや開発部側がゲーム時間が長期化するのを嫌ってか、打ち消し呪文や全体除去呪文といったコントロール向けカードの弱体化により、純粋なパーミッション系コントロールが組まれることが比較的少なくなってきている。逆にクリーチャーの質は年々著しく上昇しており、クリーチャーによる戦闘が増加。それを対策したコントロールデッキ、コントロールに強いクロック・パーミッション…といったメタ形成となる傾向がある。
- 2020年近辺から新型コロナウィルスの流行による店舗イベントの減少等諸々の影響を受け、テーブルトップにおけるプレイ人口においては統率者戦を下回っている事が公式からたびたび語られている。それを受けて2023年からは、後述のローテーション期間変更を初めとした各種復興施策が行われる事が発表されている。
[編集] 変遷
新規のプレイヤーと初期からのプレイヤーでカード資産の差がついてしまう問題を解決するため、「新しめのセット限定」として考え出されたのがスタンダードである。
- 1995年1月1日に、公式に制定された。この時の使用可能セットはリバイズド・エディション、ザ・ダーク、フォールン・エンパイアの3セットのみ。その後アイスエイジが発売されてからは1つの基本セットと3つのエキスパンションから構成された。
- 初期の一時期、デッキを作るとき、「フォーマットで使えるカードセットすべてから最低5枚ずつ入れる必要がある」というルールがあった。
- 1997年7月1日からは、1つの基本セットと2つのブロックから構成する形式となった。新基本セットが参入するたびに直前の基本セットが落ち(2年に1回)、新ブロックの第一セットが参入するたびに現行のブロックの内で最も古いブロックが落ちるようになった(1年に1回)。
- 2009年(基本セット2010)からは、ローテーションの制度は変更されていないが、基本セットの発売間隔が1年に1回に変わった。
- 2010年(基本セット2011)からは、1~2つの基本セットと2つのブロックから構成する形式となった。新基本セットが参入しても直前の基本セットは落ちず、新ブロックが参入するたびに古い方の基本セットと最古のブロックが同時に落ちるようになった。
- 2015年から、3つのブロックから構成する形式となった。同時に、マジック・オリジンを最後に基本セットは(一度)廃止されるとともに、1ブロックは2セットで構成されるようになった。これに伴い、2016年春からローテーションも半年に1度に変更された。
- 半年に1度のローテーションは「スタンダードについて行くのが大変だ」と多くのプレイヤーから不評だったため、2017年から、春のローテーションが廃止され、使用可能なセットが3つのブロック(5~6セット)から4つのブロック(5~8セット)に拡張された[1]。
- 2018年(ドミナリア)からはブロック制が廃止され基本セットも復活したが、ローテーション制度は変化していない(5~8セットのまま)[2]。
- またデジタルゲームのうち「アリーナ・スタンダード」(BO1)のみ、基礎セットに含まれるカードの一部も使用可能として扱われていたが、2022年3月22のアップデートによりスタンダードでは使用不可になった。
- 2023年(ファイレクシア:完全なる統一)から、カード・セットがスタンダードで使用可能になる日にちが、製品の正式発売日ではなくプレリリース・イベントの開始日に変更された。
- 2023年(エルドレインの森)から、セットのローテーション落ちする期間が2年から3年に延長され、9~12のセットがスタンダードで使用できるようになった[3]。
- 実際には機械兵団の進軍:決戦の後にとビッグスコアという特殊なセットの存在により最大で14のセットが使用可能な時期があった。
- 2024年に3年(あるいは永続的に)ローテーションしない基本セットであるファウンデーションズが登場し、また2025年よりユニバースビヨンドのセットもスタンダードに含まれるようになること、そして2027年よりローテーションが秋ではなく年始のセットになることが発表された[4]。
[編集] 現在の使用可能カードセット
2024年11月8日現在、以下のセットに含まれるカード(番外カード含む)が使用可能である。
- 団結のドミナリア
- 兄弟戦争
- ファイレクシア:完全なる統一
- 機械兵団の進軍
- 機械兵団の進軍:決戦の後に
- エルドレインの森
- イクサラン:失われし洞窟
- カルロフ邸殺人事件
- サンダー・ジャンクションの無法者
- ビッグスコア
- ブルームバロウ
- ダスクモーン:戦慄の館
- ファウンデーションズ
[編集] 本流のセットのブースター製品から出るがスタンダードにおいては使用不可能なカード
以下については基本的に使用できないが、スタンダードで使用可能なカードと名前が同じならば使用可能である。詳細は名前を参照。
- 使用可能なセットのセット・ブースターおよびコレクター・ブースターから出現する統率者デッキ収録カード
- エキスパンション・シンボルが本流のセットと異なる点で判別可能である。
- 使用可能なセットのセット・ブースターおよびプレイ・ブースターから出現する特殊な再録カード「ザ・リスト」
- カード左下にプレインズウォーカー・シンボルが印刷されている点で判別可能である。
- 使用可能なセットのセット・ブースターおよびプレイ・ブースターから出現するスペシャルゲスト
- エキスパンション・シンボルが異なる点で判別可能である。
- 使用可能なセットの各種ブースターから出現するボーナスシート
- 具体的には以下が該当する。いずれもエキスパンション・シンボルが異なる点で判別可能である。
- 兄弟戦争 - 旧枠版アーティファクト
- 機械兵団の進軍 - 多元宇宙の伝説
- エルドレインの森 - おとぎ話
- サンダー・ジャンクションの無法者 - 速報
- 使用可能なセットのセット・ブースターおよびコレクター・ブースターから出現するユニバースビヨンドセット
- 具体的には以下が該当する。いずれもエキスパンション・シンボルが異なる点で判別可能である。
- イクサラン:失われし洞窟 - ジュラシック・ワールド・コレクション
- 兄弟戦争 - トランスフォーマー・カード
- ファイレクシア:完全なる統一のボーダーレスコンセプトアート法務官カード
- エキスパンション・シンボルが初出セットと同じであることで判別可能である。
- イクサラン:失われし洞窟の宝物ボックストッパー
- エキスパンション・シンボルが異なる(統率者デッキのものと同じ)点で判別可能である。
[編集] 禁止カード
なし
[編集] 主なデッキ・その他
スタンダードの変遷を参照。
[編集] 関連リンク
[編集] Standard Week
WotCの公式ウェブマガジン『Daily MTG』では、2012年8月6日から10日にかけて「Standard Week(スタンダード特集)」として、各連載記事でスタンダードに関する特集が組まれた。以下は各コーナーの特集記事。
- Stand Hard(From the Lab 2012年8月3日 Noel deCordova著)
- Setting The Standard/スタンダードの決定(Making Magic 2012年8月6日 Mark Rosewater著)
- Zero to Sixty: How to Win in Standard/ゼロからのデッキ構築:スタンダードで勝つ方法(ReConstructed 2012年8月6日 Gavin Verhey著)
- Coloring in Lines(Serious Fun 2012年8月7日 Adam Styborski著)
- Standard Bearers(Top Decks 2012年8月9日 Mike Flores著)
- Ah Yes. Very Standard./まさしくスタンダードだ(Latest Developments 2012年8月10日 Zac Hill著)
[編集] 脚注
- ↑ Revisiting Standard Rotation/スタンダード・ローテーションの見直しについて(News 2016年10月19日 Aaron Forsythe著)
- ↑ Metamorphosis 2.0/変身2.0(Making Magic 2017年6月12日 Mark Rosewater著)
- ↑ スタンダードに再び活気を(Daily MTG 2023年5月7日)
- ↑ 「ユニバース」が揃うとき――「ユニバースビヨンド」製品の使用可能フォーマットについてのお知らせ(Daily MTG 2024年10月25日)