ヨーグモスの取り引き/Yawgmoth's Bargain
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凶悪カード満載のウルザズ・デスティニーで登場した、マジック史上最強クラスのドローエンジン。
リメイク元のネクロポーテンス/Necropotenceと比べると、即座に手札に加わる、カードを捨てても追放されない等強化されているが、代わりに(4)(黒)(黒)と高コストになり調整されている。
ただ、カードとしての性質はネクロポーテンスとは大きく異なっている。基本的にはコンボデッキのパーツとして使われることが多い。ネクロポーテンスもコンボデッキのサポートとして使われる事が多いが、こちらはこれ自体がコンボのパーツになるのだ。
特に即座に手札に加わるのが強力な点である。ネクロポーテンスはライフの支払いとドローにタイムラグがあったため、自分の手札や戦場の状況を確認しながらドロー量を決める必要があった。しかしこのカードは即座に手札に加わるため、ライフをカードに変換し、引いた手札を見ながら先の行動を決めることが可能なのだ。さらに増えた手札からマナ加速・ライフ回復し、さらにドロー…、と、チェイン・コンボに使用することもできる(ピットサイクルなど)。
しかもウルザ・ブロック時代には、当時現役だった暗黒の儀式/Dark Ritualに加え、強力なマナ・アーティファクトが複数存在し、それによるマナ加速によりダブルシンボルの6マナでさえも容易に唱えることができた。さらにはアカデミーの学長/Academy Rector等によりマナ・コストを無視する事もできたため、容易に戦場に出す事ができ、強化された部分ばかりが目立つ結果になった。
その強さのゆえにカードプールの広いエクステンデッド・エターナルでは調整前のネクロポーテンスよりも先に制限カード・禁止カードに指定されるというとんでもないカードに化けてしまった。しかしスタンダードにおいては、6マナというマナ・コストの重さに加え、爆発力は無類な半面、防御力が低く、さらに安定性に欠ける(不確実なドローに頼らざるを得ない)という性質から、最後まで生き残ることができた。実際、これを中核に据えたバーゲン系コンボデッキは複数組まれたものの、メタゲームの中心とまではいかなかった。また、非常に強力ではあったがネクロポーテンスに比べるとデッキを選ぶため、シングル価格もあまり高騰しなかった。
現在の主戦場はヴィンテージであり、ドネイト系のセラピィバーゲンや、ロング・デック等のストーム系コンボデッキの大量ドロー手段として活躍している。
- 戦場に出ると、そのターンのうちに「コンボが決まって勝利する」か「手詰まりになって負ける」のいずれかでゲームが終わることから、「裏のエンド・カード」とも呼ばれる。
- さらに調整するとファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arenaになる。こちらはコントロールデッキ向き。いずれも「黒特有のスーサイド要素を利用したドローエンチャント」という点では同様であるが、その役割が三種三様なのが面白いところ。
- マナ加速の充実したコントロールデッキにおけるドローエンジン、という真っ当な(?)使い方も一応はなされていたようだ。(例:黒茶単)
1999/08/01エクステンデッドで禁止カードに。同年10/01にヴィンテージで制限カード、Type1.5では禁止カード。2004/09/20よりType1.5から移行したレガシーでも続けて禁止となっている。
代表的なデッキ
この他、無限コンボのキメラでもパーツを集める手段として用いられている。
ストーリー
このカードのイラスト下手の人物は、小説Bloodlinesの描写からファイレクシア/Phyrexiaのインナー・サークル/Inner Circleの一員、Croag(クローグ)と思われる。
AR39世紀末期(少なくとも3385AR以降)にクローグは暗黒神ヨーグモス/Yawgmoth自身によって長い眠りから目覚めさせられ、ウルザ/Urza抹殺とラース/Rath整備の使命を授けられている。この際にクローグはヨーグモスから特権として、エヴィンカー/Evincarの任命権あるいはクローグ自身のエヴィンカー就任権を与えられている。また、フレイバー・テキストにおける「彼(ヨーグモス)の渇望するただ一つの品」とはドミナリア/Dominariaそのもので間違いないだろうが、ウルザ抹殺を命令したことからヨーグモスの計画を(この時点で)3000年以上も阻み続けている「ウルザの命」とも捉えられる。以上から、このヨーグモスの取り引き/Yawgmoth's Bargainは、エヴィンカーの権力を報酬にウルザの命を要求するヨーグモスの契約(Bargain)を表現したカードなのだろう。