王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns

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[[エルドレインの王権]]で登場した[[緑青]]の[[プレインズウォーカー (カード・タイプ)|プレインズウォーカー]]。[[忠誠度能力]]は[[食物]]・[[トークン]][[生成]]、[[アーティファクト]]か[[クリーチャー]]の[[大鹿]]への変身、アーティファクトかクリーチャーと[[パワー]]の低いクリーチャーとの[[コントロール (ルール用語)|コントロール]][[交換]]。  
 
[[エルドレインの王権]]で登場した[[緑青]]の[[プレインズウォーカー (カード・タイプ)|プレインズウォーカー]]。[[忠誠度能力]]は[[食物]]・[[トークン]][[生成]]、[[アーティファクト]]か[[クリーチャー]]の[[大鹿]]への変身、アーティファクトかクリーチャーと[[パワー]]の低いクリーチャーとの[[コントロール (ルール用語)|コントロール]][[交換]]。  
  
変則的ながら盤面に触れられる2つの能力、[[ライフ]][[回復]]、戦力の供給をこなせる万能性を備え、そのうえ3[[マナ]]という[[軽い|軽さ]]に対し非常に場持ちが良く、序盤から長期にわたって圧力をかけ続けることができる[[パワーカード]]である。
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変則的ながら盤面に触れられる2つの能力、[[ライフ]][[回復]]、戦力の供給をこなせる万能性を備え、そのうえ3[[マナ]]という[[軽い|軽さ]]に対し非常に場持ちが良く、序盤から長期にわたって圧力をかけ続けることができる[[パワーカード]]
  
 
登場後瞬く間に様々な[[フォーマット]]で採用された、エルドレインの王権の[[トップレア]]である。
 
登場後瞬く間に様々な[[フォーマット]]で採用された、エルドレインの王権の[[トップレア]]である。
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;+1能力
 
;+1能力
 
:クリーチャーかアーティファクトを3/3の[[バニラ]]クリーチャーに変える。範囲の狭くなった疑似[[内にいる獣/Beast Within]]。
 
:クリーチャーかアーティファクトを3/3の[[バニラ]]クリーチャーに変える。範囲の狭くなった疑似[[内にいる獣/Beast Within]]。
:大きく分けて2つの運用法がある。一つはこちらの食物をはじめとしたアーティファクトや役割を果たした[[マナ・クリーチャー]]を3/3にして戦力に加えることで勝ち筋になり得る打点を確保する使い方、もう一つは対戦相手の持つ強力なパーマネントをただの3/3に変えてしまうことで脅威度を下げて対戦相手の勝ち筋を潰す使い方。いずれもゲームへの関与が大きく強力な能力である。
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:大きく分けて2つの運用法がある。一つはこちらのアーティファクトや役割を果たした[[マナ・クリーチャー]]を3/3にして戦力に加えて打点を確保する使い方、もう一つは対戦相手の持つ強力なクリーチャーやアーティファクトを永続的にただの3/3に変えてしまい、脅威度を下げて対戦相手の勝ち筋を潰す使い方。いずれもゲームへの関与が大きく強力な能力である。
 
:この能力でも忠誠度が増えるという点が使い勝手を大幅に良くしており、+2能力とのループで3/3を生み出しつつ忠誠度をぐんぐん上げて[[ボード・アドバンテージ]]を稼ぐ展開はさながらミニ[[世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World]]。また、[[コンボデッキ]]相手に序盤に[[キーカード]]を排除する目的で3/3に変えてボード・アドバンテージを与えてしまった時も、ある程度ならオーコ自身で受けきれてしまうためコンボデッキに対する妨害手段としても使いやすい。
 
:この能力でも忠誠度が増えるという点が使い勝手を大幅に良くしており、+2能力とのループで3/3を生み出しつつ忠誠度をぐんぐん上げて[[ボード・アドバンテージ]]を稼ぐ展開はさながらミニ[[世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World]]。また、[[コンボデッキ]]相手に序盤に[[キーカード]]を排除する目的で3/3に変えてボード・アドバンテージを与えてしまった時も、ある程度ならオーコ自身で受けきれてしまうためコンボデッキに対する妨害手段としても使いやすい。
:+2と+1の組み合わせで出る[[大鹿]]を使ったキルターンは(全て通ったと考えて)0-3-3-6-6-9の6ターンと3マナパワー4の[[クロック]]に相当し、普通にアグロデッキで採用できる基準。前のターンから存在するアーティファクトに使えば[[召喚酔い]]はない事や、[[+1/+1カウンター]]併用前提の小型クリーチャーに使うことで+3/+3のサイズアップができるのも見逃せない。
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:対戦相手のクリーチャーに対して使う場合、[[]][[クリーチャー・タイプ]]を上書きすることにより様々なシナジーを崩すことができるのも優秀。
  
 
;-5能力
 
;-5能力
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:[[青]]には[[混迷/Befuddle]]など一時的にクリーチャーのパワーを下げる[[カード]]が存在するため、それらと組み合わせれば奪える範囲が広がる。
 
:[[青]]には[[混迷/Befuddle]]など一時的にクリーチャーのパワーを下げる[[カード]]が存在するため、それらと組み合わせれば奪える範囲が広がる。
  
それぞれの能力のシナジーが強く自己完結して[[アドバンテージ]]を取り続ける上に、3マナのプレインズウォーカーとしてはダメージに対して一線を画した堅牢さを持つ。これ単体でクリーチャー戦力の増強と[[擬似除去]]ができるので、おおよその[[フェアデッキ]]、[[コンボデッキ]]相手に通用する。色の合う[[デッキ]]が採用するだけでなく、これを目的に2色目3色目を[[タッチ]]する価値のあるパワーカードである。
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それぞれの能力のシナジーが強く自己完結して[[アドバンテージ]]を取り続ける上に、3マナのプレインズウォーカーとしてはダメージに対して一線を画した堅牢さを持つ。これ単体でクリーチャー戦力の増強とクリーチャー&アーティファクトの[[擬似除去]]が可能であり、おおよその[[フェアデッキ]]、[[コンボデッキ]]相手に通用する。色の合う[[デッキ]]が採用するだけでなく、これを目的に2色目3色目を[[タッチ]]する価値のあるパワーカードである。
 
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特に同[[セット]]の[[金のガチョウ/Gilded Goose]]との相性は良く、+2能力で食物・トークンを生み出し、金のガチョウの[[マナ能力]]をサポートすることができる。逆に金のガチョウの[[起動型能力]]で生成した食物トークンをこちらで大鹿に変え、毎ターン忠誠度を上げつつ3/3を生み出し続けることも可能。
特に同時登場の[[金のガチョウ/Gilded Goose]]との相性は良く、2ターン目にこのカードを出し、すぐに食物・トークンを生み出すことで金のガチョウの[[マナ能力]]をサポートすることができる。逆に金のガチョウの[[起動型能力]]でトークンを補充しての+1能力で延々と2マナで3/3を生み出し続けることもでき、相互の連携ができる。食物主体のデッキ、軽量アーティファクト主体のデッキの主力としては単純なパワーカード以上の活躍を見せる。
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軽いマナコストの割に高い忠誠度で除去が非常に難しく、それでいて各能力で[[ウィニー]](+2/+1の併用)・ファッティやアーティファクト(+1)・システムクリーチャー(+1や-5)など、広範囲を容易に対処可能。[[マナレシオ]]が良い軽量クリーチャーや[[フライヤー]]に対してはオーコのみではやや後手気味になるが、+2能力と金のガチョウを組み合わせてマナで優位に立てば、後続のクリーチャーで轢き潰せる。確定除去カードには特に堅さは発揮しないが、出た直後にパーマネントを増やせるため返しに除去されても損にはならないし、早い段階で出ればそもそも確定除去が難しい。総じて序盤に先んじて投下すれば大抵の場合に莫大のアドバンテージをもたらす、非常に強力なプレインズウォーカーである。
 
軽いマナコストの割に高い忠誠度で除去が非常に難しく、それでいて各能力で[[ウィニー]](+2/+1の併用)・ファッティやアーティファクト(+1)・システムクリーチャー(+1や-5)など、広範囲を容易に対処可能。[[マナレシオ]]が良い軽量クリーチャーや[[フライヤー]]に対してはオーコのみではやや後手気味になるが、+2能力と金のガチョウを組み合わせてマナで優位に立てば、後続のクリーチャーで轢き潰せる。確定除去カードには特に堅さは発揮しないが、出た直後にパーマネントを増やせるため返しに除去されても損にはならないし、早い段階で出ればそもそも確定除去が難しい。総じて序盤に先んじて投下すれば大抵の場合に莫大のアドバンテージをもたらす、非常に強力なプレインズウォーカーである。
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*高いボード・コントロール性能に注目が集まるが、+2と+1の組み合わせで出る[[大鹿]]を使ったキルターンは(全て通ったと考えて)0-3-3-6-6-9の6ターン=[[パワー]]4の[[クロック]]に相当し、アグロデッキでも採用できる水準である。前のターンから存在するクリーチャー/アーティファクトに使えば[[召喚酔い]]に影響されない(=プレインズウォーカー同士の攻防に有利)ことや、[[+1/+1カウンター]]併用前提のクリーチャーに使うことで+3/+3のサイズアップができるのも見逃せない。
  
 
==利用==
 
==利用==
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===[[スタンダード]]===
 
===[[スタンダード]]===
登場してすぐに[[青緑コントロール#ラヴニカのギルド~基本セット2021期|シミック・フード]]/[[緑白青コントロール#ラヴニカのギルド~基本セット2021期|バント・フード]]等のフード系デッキの[[キーカード]]になったほか、単独でのカードパワーの高さもあり食物シナジーを扱わないバント・ランプや[[青赤緑ビートダウン#ラヴニカのギルド~基本セット2021期|ティムール・フレンズ]]など、緑青を含む幅広いデッキで採用されている。登場して最初に迎えた[[ミシックチャンピオンシップロングビーチ19秋]]では、オーコを採用しない[[ゴロス・ランプ]]が[[トップメタ]]であったにも関わらず採用率は上位6位となった。
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登場してすぐに各種[[食物 (デッキ)|フード系デッキ]]の[[キーカード]]になったほか、単独でのカードパワーの高さもあり食物シナジーを扱わない[[緑白青コントロール#ラヴニカのギルド~基本セット2021期|バント・ランプ]][[青赤緑ビートダウン#ラヴニカのギルド~基本セット2021期|ティムール・フレンズ]]など、緑青を含む幅広いデッキで採用されている。登場して最初に迎えた[[ミシックチャンピオンシップロングビーチ19秋]]では、オーコを採用しない[[ゴロス・ランプ]]が[[トップメタ]]であったにも関わらず採用率上位に喰い込んだ。[[死者の原野/Field of the Dead]]禁止後はフード系デッキがトップメタとなり、[[ミシックチャンピオンシップリッチモンド19]]では全参加者中69パーセントがオーコを採用していた<ref>[https://magic.gg/news/mythic-championship-vi-day-one-metagame-breakdown Mythic Championship VI Day One Metagame Breakdown]/[https://mtg-jp.com/coverage/2019MC6/article/0033360/ 2019ミシックチャンピオンシップⅥ(リッチモンド)初日メタゲームブレイクダウン](MAGIC ESPORTS 2019年11月8日 [[Frank Karsten]]著)</ref>。
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主にこのカードを対処するために[[害悪な掌握/Noxious Grasp]]が[[メインデッキ]]から2~4枚投入され、さらにそれを対処するために[[夏の帳/Veil of Summer]]をメイン投入するケースも見受けられるほどに環境を歪めてしまっており、最終的に発売からわずか49日で[[禁止カード]]に指定された([[#禁止指定|後述]])。
  
 
===[[パイオニア]]===
 
===[[パイオニア]]===
フォーマット制定直後から[[緑青黒コントロール]]、シミック・ランプ、[[サヒーリコンボ#パイオニア|サヒーリコンボ]]、[[霊気池の驚異]]、[[緑白青ビートダウン|バント・カンパニー]]など、色の合う幅広いデッキで採用されている。
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フォーマット制定直後から[[緑青黒コントロール]]、シミック・ランプ、[[サヒーリコンボ#パイオニア|サヒーリコンボ]]、[[霊気池の驚異]]、[[緑白青ビートダウン|バント・カンパニー]]など、色の合う幅広いデッキで採用されている。特に[[カラデシュ]]産のアーティファクト関連シナジーとの併用が強力で、[[産業の塔/Spire of Industry]]、[[キランの真意号/Heart of Kiran]]など枚挙に暇がない。[[呪文捕らえ/Spell Queller]]や[[難題の予見者/Thought-Knot Seer]]などとも相性がよい。
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モダンほど[[マナ基盤]]が多彩でないパイオニアにおいて[[青緑]]という[[デッキカラー]]は扱いやすく、安定して早期に出せる勝ち筋として需要が高い。特にフォーマット初期のサヒーリコンボにおいては戦場を保たせコンボの邪魔になるカードを大鹿にできる汎用性から特に重要性が高く、パイオニア初の[[Magic Online]]内[[プロツアー予選]]では上位に残った同アーキタイプにおいて高い採用率を誇った<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/mtgo-standings/pioneer-ptq-2019-11-02 Pioneer PTQ](MTGO Standings [[2019年]]11月2日)</ref>。
  
 
===[[モダン]]===
 
===[[モダン]]===
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クリーチャーの採用枚数が少なく低コストのものが選ばれやすいヴィンテージにおいては、[[Mox]]を3/3というそれなりのサイズの[[クロック]]として扱うことができ、脅威を奪って利用できることが環境とマッチしている。
 
クリーチャーの採用枚数が少なく低コストのものが選ばれやすいヴィンテージにおいては、[[Mox]]を3/3というそれなりのサイズの[[クロック]]として扱うことができ、脅威を奪って利用できることが環境とマッチしている。
  
主に[[緑青赤]][[ゼロックス]]で採用されているほか、[[オース]]では[[対戦相手]]の[[SoloMoxen]]を大鹿に変え、[[ドルイドの誓い/Oath of Druids]]の条件を無理やり満たす目的で採用されている。
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主に[[緑青赤]][[ゼロックス]]で採用されているほか、[[オース]]では[[対戦相手]]の[[SoloMoxen]]や[[墓掘りの檻/Grafdigger's Cage]]を大鹿に変え、[[ドルイドの誓い/Oath of Druids]]の条件を無理やり満たす目的で採用されている。
  
 
===[[ブロール]]===
 
===[[ブロール]]===
[[伝説のクリーチャー]]に加えプレインズウォーカー・カードを[[統率者]]として指定できるブロールにおいては、伝説のクリーチャーである統率者のほとんどを戦場に留めたまま無力化できることが極めて強力で、よく統率者として選ばれている。同様に統率者の能力を封じることができる[[魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass]][[禁止カード]]に指定されているが、そちらと比べても[[統率]][[領域]]から唱えられる分確実性が高い。
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[[伝説のクリーチャー]]に加えプレインズウォーカー・カードを[[統率者]]として指定できるブロールにおいては、よく統率者として選ばれていた。対策カードを手に入れにくい[[ハイランダー]]ルールにおいてこちらは確実にノーペナルティでクリーチャー統率者を無力化でき、クリーチャー統率者を軸にしたデッキ全般に対して有利を取ることができる。[[統率者ダメージ]]のルールも無く、比較的ゆったりとした展開になるため、+2能力で[[ライフ・アドバンテージ]]を得やすいことも強み。クリーチャーの質が不安定になるハイランダールールにおいて、安定して3/3クリーチャーを戦線投入できることも環境とマッチしている。
  
[[統率者ダメージ]]のルールも無く、比較的ゆったりとした展開になるため、+2能力で[[ライフ・アドバンテージ]]を得やすいことも強み。クリーチャーの質が不安定になる[[ハイランダー]]ルールにおいて、安定して3/3クリーチャーを戦線投入できることも環境とマッチしている。
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ブロールの醍醐味を半ば無視するようなこのカードが許されるわけもなく、[[#禁止指定|後述]]のとおり[[Magic: The Gathering Arena]]では[[紙|テーブルトップ]]に先駆けて禁止カードに指定され、テーブルトップ環境でもスタンダードと同時に禁止指定された。
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==禁止指定==
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[[2019年]]11月22日([[Magic: The Gathering Arena]]、[[Magic Online]]では11月18日)より、[[スタンダード]]で[[禁止カード]]に指定される<ref name="N_1">[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/news/november-18-2019-banned-and-restricted-announcement November 18, 2019 Banned and Restricted Announcement]/[https://mtg-jp.com/reading/publicity/0033448/ 2019年11月18日 禁止制限告知]</ref>。[[#スタンダード|前述]]の通り、これを[[キーカード]]とする[[食物 (デッキ)|食物デッキ]]が高い勝率と使用率を記録し、環境を不健全なものにしていた。また、デッキの軸となるクリーチャーやアーティファクトを環境から締め出し、メタゲームとゲームプレイの多様性を奪っていることも問題視された。
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2019年11月5日より、アリーナのブロールにおいて禁止カードに指定される<ref>[https://forums.mtgarena.com/forums/threads/61382 NOV 5 – BRAWL BAN ANNOUNCEMENT]</ref>。その後、スタンダード禁止と同日の11月22日より、テーブルトップでも禁止カードに指定される<ref name="N_1" />。
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*このカードと[[むかしむかし/Once Upon a Time]]は、発売から49日で禁止されたことになる([[紙|テーブルトップ]]スタンダード基準)。これはかの[[記憶の壺/Memory Jar]](45日)にも匹敵する記録である。
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*このカードが支配的であるということを理由に、テーブルトップ正式禁止告知以前にも、MTGアリーナで11/9および11/16に開催された[[ウィザーズ・オブ・ザ・コースト|ウィザーズ社]]がスポンサーを務める大会「AetherHub Community Tournament」(フォーマットはスタンダード)では、このカードを禁止とする特例措置が取られ、[[StarCityGames.com]]主催の招待性大会「SCG:シーズン2」のフォーマットも急遽パイオニアとモダンに変更された。
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*発売からあまりに早すぎる禁止であること、スタンダードで4枚もの禁止カードを出してしまったことを鑑みてか、禁止告知と同時に、[[プレイ・デザイン・チーム]]による記事が公開された<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/play-design-lessons-learned-2019-11-18 Play Design Lessons Learned]/[https://mtg-jp.com/reading/pd/0033449/ プレイデザインの教訓](Feature 2019年11月18日 [[Bryan Hawley]]著)</ref>。
  
 
==ルール==
 
==ルール==
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==ストーリー==
 
==ストーリー==
 
'''オーコ'''/''Oko''はフェイ/Feyの[[プレインズウォーカー/Planeswalker]]。詳細は[[オーコ/Oko]]を参照。
 
'''オーコ'''/''Oko''はフェイ/Feyの[[プレインズウォーカー/Planeswalker]]。詳細は[[オーコ/Oko]]を参照。
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==脚注==
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<references/>
  
 
==参考==
 
==参考==
 
*[[クリーチャー・タイプを変更するカード]]
 
*[[クリーチャー・タイプを変更するカード]]
 
*[[カード個別評価:エルドレインの王権]] - [[神話レア]]
 
*[[カード個別評価:エルドレインの王権]] - [[神話レア]]

2019年12月3日 (火) 21:15時点における版


Oko, Thief of Crowns / 王冠泥棒、オーコ (1)(緑)(青)
伝説のプレインズウォーカー — オーコ(Oko)

[+2]:食物(Food)トークンを1つ生成する。(それは「(2),(T),このアーティファクトを生け贄に捧げる:あなたは3点のライフを得る。」を持つアーティファクトである。)
[+1]:アーティファクト1つかクリーチャー1体を対象とする。それは能力をすべて失い、基本のパワーとタフネスが3/3の緑の大鹿(Elk)クリーチャーになる。
[-5]:あなたがコントロールしているアーティファクト1つかクリーチャー1体と、対戦相手がコントロールしていてパワーが3以下のクリーチャー1体を対象とし、それらのコントロールを交換する。

4

エルドレインの王権で登場した緑青プレインズウォーカー忠誠度能力食物トークン生成アーティファクトクリーチャー大鹿への変身、アーティファクトかクリーチャーとパワーの低いクリーチャーとのコントロール交換

変則的ながら盤面に触れられる2つの能力、ライフ回復、戦力の供給をこなせる万能性を備え、そのうえ3マナという軽さに対し非常に場持ちが良く、序盤から長期にわたって圧力をかけ続けることができるパワーカード

登場後瞬く間に様々なフォーマットで採用された、エルドレインの王権のトップレアである。

目次

解説

+2能力
食物・トークン生成。
基本となるこの能力から入れば忠誠度6スタートであり、丸焼き/Fryでも焼け残る、3マナのプレインズウォーカーとしては抜群の堅さで戦場に出現する。
食物は+1能力で戦力に変える事ができ、-5能力で対戦相手に渡すパーマネントにもできるため、自己完結した活用が可能。アーティファクトとシナジーを形成するカードとの併用も強力。
もちろん本来の2マナ3点回復トークンとしてもアグロバーンへの延命手段になり、この能力一回ごとに忠誠度2+回復3点分の5点ダメージを疑似的に受けられる計算になる。除去や勝ち筋を戦闘火力ダメージに頼ったデッキ(フェアデッキ)相手にはこれのみでも大きなプレッシャーをかけられる。
+1能力
クリーチャーかアーティファクトを3/3のバニラクリーチャーに変える。範囲の狭くなった疑似内にいる獣/Beast Within
大きく分けて2つの運用法がある。一つはこちらのアーティファクトや役割を果たしたマナ・クリーチャーを3/3にして戦力に加えて打点を確保する使い方、もう一つは対戦相手の持つ強力なクリーチャーやアーティファクトを永続的にただの3/3に変えてしまい、脅威度を下げて対戦相手の勝ち筋を潰す使い方。いずれもゲームへの関与が大きく強力な能力である。
この能力でも忠誠度が増えるという点が使い勝手を大幅に良くしており、+2能力とのループで3/3を生み出しつつ忠誠度をぐんぐん上げてボード・アドバンテージを稼ぐ展開はさながらミニ世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World。また、コンボデッキ相手に序盤にキーカードを排除する目的で3/3に変えてボード・アドバンテージを与えてしまった時も、ある程度ならオーコ自身で受けきれてしまうためコンボデッキに対する妨害手段としても使いやすい。
対戦相手のクリーチャーに対して使う場合、クリーチャー・タイプを上書きすることにより様々なシナジーを崩すことができるのも優秀。
-5能力
こちらのクリーチャーかアーティファクトと対戦相手のパワー3以下のクリーチャーのコントロールを交換する。
忠誠度を余しやすいため起動は容易。+2能力から入れば次のターンから忠誠度を残しつつ使うことも可能。これで対象にできないファッティは+1能力で対処できるので、こちらは食物・トークンを渡してロードや強力なシステムクリーチャーを奪うのが基本になる。
には混迷/Befuddleなど一時的にクリーチャーのパワーを下げるカードが存在するため、それらと組み合わせれば奪える範囲が広がる。

それぞれの能力のシナジーが強く自己完結してアドバンテージを取り続ける上に、3マナのプレインズウォーカーとしてはダメージに対して一線を画した堅牢さを持つ。これ単体でクリーチャー戦力の増強とクリーチャー&アーティファクトの擬似除去が可能であり、おおよそのフェアデッキコンボデッキ相手に通用する。色の合うデッキが採用するだけでなく、これを目的に2色目3色目をタッチする価値のあるパワーカードである。 特に同セット金のガチョウ/Gilded Gooseとの相性は良く、+2能力で食物・トークンを生み出し、金のガチョウのマナ能力をサポートすることができる。逆に金のガチョウの起動型能力で生成した食物トークンをこちらで大鹿に変え、毎ターン忠誠度を上げつつ3/3を生み出し続けることも可能。

軽いマナコストの割に高い忠誠度で除去が非常に難しく、それでいて各能力でウィニー(+2/+1の併用)・ファッティやアーティファクト(+1)・システムクリーチャー(+1や-5)など、広範囲を容易に対処可能。マナレシオが良い軽量クリーチャーやフライヤーに対してはオーコのみではやや後手気味になるが、+2能力と金のガチョウを組み合わせてマナで優位に立てば、後続のクリーチャーで轢き潰せる。確定除去カードには特に堅さは発揮しないが、出た直後にパーマネントを増やせるため返しに除去されても損にはならないし、早い段階で出ればそもそも確定除去が難しい。総じて序盤に先んじて投下すれば大抵の場合に莫大のアドバンテージをもたらす、非常に強力なプレインズウォーカーである。

  • 高いボード・コントロール性能に注目が集まるが、+2と+1の組み合わせで出る大鹿を使ったキルターンは(全て通ったと考えて)0-3-3-6-6-9の6ターン=パワー4のクロックに相当し、アグロデッキでも採用できる水準である。前のターンから存在するクリーチャー/アーティファクトに使えば召喚酔いに影響されない(=プレインズウォーカー同士の攻防に有利)ことや、+1/+1カウンター併用前提のクリーチャーに使うことで+3/+3のサイズアップができるのも見逃せない。

利用

エルドレインの王権発売直後から、使用可能なほとんどのフォーマットに進出し、それぞれの環境に影響を与えている。

スタンダード

登場してすぐに各種フード系デッキキーカードになったほか、単独でのカードパワーの高さもあり食物シナジーを扱わないバント・ランプティムール・フレンズなど、緑青を含む幅広いデッキで採用されている。登場して最初に迎えたミシックチャンピオンシップロングビーチ19秋では、オーコを採用しないゴロス・ランプトップメタであったにも関わらず採用率上位に喰い込んだ。死者の原野/Field of the Dead禁止後はフード系デッキがトップメタとなり、ミシックチャンピオンシップリッチモンド19では全参加者中69パーセントがオーコを採用していた[1]

主にこのカードを対処するために害悪な掌握/Noxious Graspメインデッキから2~4枚投入され、さらにそれを対処するために夏の帳/Veil of Summerをメイン投入するケースも見受けられるほどに環境を歪めてしまっており、最終的に発売からわずか49日で禁止カードに指定された(後述)。

パイオニア

フォーマット制定直後から緑青黒コントロール、シミック・ランプ、サヒーリコンボ霊気池の驚異バント・カンパニーなど、色の合う幅広いデッキで採用されている。特にカラデシュ産のアーティファクト関連シナジーとの併用が強力で、産業の塔/Spire of Industryキランの真意号/Heart of Kiranなど枚挙に暇がない。呪文捕らえ/Spell Queller難題の予見者/Thought-Knot Seerなどとも相性がよい。

モダンほどマナ基盤が多彩でないパイオニアにおいて青緑というデッキカラーは扱いやすく、安定して早期に出せる勝ち筋として需要が高い。特にフォーマット初期のサヒーリコンボにおいては戦場を保たせコンボの邪魔になるカードを大鹿にできる汎用性から特に重要性が高く、パイオニア初のMagic Onlineプロツアー予選では上位に残った同アーキタイプにおいて高い採用率を誇った[2]

モダン

採用枚数やメインデッキサイドボードのバラつきはあれど、登場直後からアミュレット・タイタンソプターコンボなどの最高工匠卿、ウルザ/Urza, Lord High Artificer系デッキの2つを筆頭に、バント・カンパニー、バント石鍛冶、エルドラージサヒーリコンボ5色ニヴ=ミゼット、果ては緑青マーフォーク死の影など、非常に幅広いデッキで採用されている。

エターナルと比べクリーチャーの採用率が高いモダンにおいては、使い終わった呪文捕らえ/Spell Queller瞬唱の魔道士/Snapcaster Mageなどを3/3に変え、脅威として送り込む戦術が取られる。特に呪文捕らえや潮の虚ろの漕ぎ手/Tidehollow Scullerの能力を失わせる場合、一時的に追放したカードを永遠に追放したままにできる利点がある。最高工匠卿、ウルザを使うデッキにおいてはウルザや湖に潜む者、エムリー/Emry, Lurker of the Lochをアーティファクトを産み出す事でサポートしたり、同型相手に相手のウルザやエムリーを奪う可能性をちらつかせて牽制する働きを見せる。もちろんスタンダード以上に凶悪なクリーチャーや対策アーティファクトを無力化する戦術も強い。

レガシー

ティムール・デルバー4Cレオヴォルドなど緑青を含む幅広いデッキで採用される。

レガシー環境においても様々な目的で実績を残している。ファッティ対策という点では、実物提示教育/Show and Tell経由で出された引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Tornリアニメイトの各種ファッティに対処できるようになった。速攻がついていたり、グリセルブランド/Griselbrandには先にカードを引かれたりと出されるクリーチャーによっては完全にではないが、メインデッキから解決策が出来たのは大きい。アーティファクト対策という点でも、虚空の杯/Chalice of the Void罠の橋/Ensnaring Bridge三なる宝球/Trinisphere等の環境に数多くある妨害系のアーティファクトを無力化し、こちらも多く見かける殴打頭蓋/Batterskull梅澤の十手/Umezawa's Jitteといった各種装備品も押さえつけることができる。対戦相手に3/3のクロックが渡ってしまうことは小さくないデメリットではあるが、腐っていた除去が当たるようになったり、タルモゴイフ/Tarmogoyf等の優秀なクリーチャーで押し留めたりはできるため上手に運用したい。いずれにしてもメインデッキからこれらの脅威に対応できるようになった点は環境に変化をもたらしている。

ヴィンテージ

クリーチャーの採用枚数が少なく低コストのものが選ばれやすいヴィンテージにおいては、Moxを3/3というそれなりのサイズのクロックとして扱うことができ、脅威を奪って利用できることが環境とマッチしている。

主に緑青赤ゼロックスで採用されているほか、オースでは対戦相手SoloMoxen墓掘りの檻/Grafdigger's Cageを大鹿に変え、ドルイドの誓い/Oath of Druidsの条件を無理やり満たす目的で採用されている。

ブロール

伝説のクリーチャーに加えプレインズウォーカー・カードを統率者として指定できるブロールにおいては、よく統率者として選ばれていた。対策カードを手に入れにくいハイランダールールにおいてこちらは確実にノーペナルティでクリーチャー統率者を無力化でき、クリーチャー統率者を軸にしたデッキ全般に対して有利を取ることができる。統率者ダメージのルールも無く、比較的ゆったりとした展開になるため、+2能力でライフ・アドバンテージを得やすいことも強み。クリーチャーの質が不安定になるハイランダールールにおいて、安定して3/3クリーチャーを戦線投入できることも環境とマッチしている。

ブロールの醍醐味を半ば無視するようなこのカードが許されるわけもなく、後述のとおりMagic: The Gathering Arenaではテーブルトップに先駆けて禁止カードに指定され、テーブルトップ環境でもスタンダードと同時に禁止指定された。

禁止指定

2019年11月22日(Magic: The Gathering ArenaMagic Onlineでは11月18日)より、スタンダード禁止カードに指定される[3]前述の通り、これをキーカードとする食物デッキが高い勝率と使用率を記録し、環境を不健全なものにしていた。また、デッキの軸となるクリーチャーやアーティファクトを環境から締め出し、メタゲームとゲームプレイの多様性を奪っていることも問題視された。

2019年11月5日より、アリーナのブロールにおいて禁止カードに指定される[4]。その後、スタンダード禁止と同日の11月22日より、テーブルトップでも禁止カードに指定される[3]

  • このカードとむかしむかし/Once Upon a Timeは、発売から49日で禁止されたことになる(テーブルトップスタンダード基準)。これはかの記憶の壺/Memory Jar(45日)にも匹敵する記録である。
  • このカードが支配的であるということを理由に、テーブルトップ正式禁止告知以前にも、MTGアリーナで11/9および11/16に開催されたウィザーズ社がスポンサーを務める大会「AetherHub Community Tournament」(フォーマットはスタンダード)では、このカードを禁止とする特例措置が取られ、StarCityGames.com主催の招待性大会「SCG:シーズン2」のフォーマットも急遽パイオニアとモダンに変更された。
  • 発売からあまりに早すぎる禁止であること、スタンダードで4枚もの禁止カードを出してしまったことを鑑みてか、禁止告知と同時に、プレイ・デザイン・チームによる記事が公開された[5]

ルール

+1能力

関連カード

サイクル

エルドレインの王権レア神話レアの2カードサイクル。3枚のプレインズウォーカー・カードを含む。

レア
神話レア

ストーリー

オーコ/Okoはフェイ/Feyのプレインズウォーカー/Planeswalker。詳細はオーコ/Okoを参照。

脚注

  1. Mythic Championship VI Day One Metagame Breakdown/2019ミシックチャンピオンシップⅥ(リッチモンド)初日メタゲームブレイクダウン(MAGIC ESPORTS 2019年11月8日 Frank Karsten著)
  2. Pioneer PTQ(MTGO Standings 2019年11月2日)
  3. 3.0 3.1 November 18, 2019 Banned and Restricted Announcement/2019年11月18日 禁止制限告知
  4. NOV 5 – BRAWL BAN ANNOUNCEMENT
  5. Play Design Lessons Learned/プレイデザインの教訓(Feature 2019年11月18日 Bryan Hawley著)

参考

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