「Timmy, Johnny, and Spike」を編集中
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− | '''ティミー、ジョニー、スパイク'''/''Timmy, Johnny, and Spike'' | + | '''ティミー、ジョニー、スパイク'''/''Timmy, Johnny, and Spike''とは[[R&D]]が、[[カード]]開発のターゲットとなるユーザーのタイプを3つに分けて定義したもの。サイコグラフィック(psychographic、顧客の心理的特性)という広告販売での考え方を応用している。 |
− | + | [[マジック]]をプレイする動機を理解し、カード開発の助けにするため作られたもので、「'''何を求めてプレイするか?'''」「'''どんなカードを好むか?'''」によってプレイヤーを分類しようというものである。ステレオタイプな人物に仮託して説明する場合が多いが、本来はマジック[[プレイヤー]]が持つ多彩な動機を分類し説明しようというものであり、実際のプレイヤーが必ずどれか1種に当てはまるというものではない。よってティミー/ジョニーといった風に組み合わせて傾向を説明することや、平時はティミーでないプレイヤーが極めて興奮を誘う局面に出会ったその瞬間だけティミー的な楽しさに心を奪われるということも、自然にあることである。 | |
− | [[ | + | |
− | + | R&Dはティミー、ジョニー、スパイク全てをターゲットにしており、どの[[セット]]にもティミー向け・ジョニー向け・スパイク向けに尖ったカードが一通り収録される。 | |
==ティミー、ジョニー、スパイク== | ==ティミー、ジョニー、スパイク== | ||
− | ; | + | ;ティミー(Timmy) |
:マジックに楽しい'''体験'''を求めるプレイヤー。何かを達成することではなく、プレイそのものから得られる興奮や快感を求めていて、分かりやすく派手な[[能力]]・[[効果]]を持ったカードを好む。ティミーはプレイの目的を設定する必要がない。ティミーにとってはプレイの瞬間に得られる体験そのものが目的なのだ。 | :マジックに楽しい'''体験'''を求めるプレイヤー。何かを達成することではなく、プレイそのものから得られる興奮や快感を求めていて、分かりやすく派手な[[能力]]・[[効果]]を持ったカードを好む。ティミーはプレイの目的を設定する必要がない。ティミーにとってはプレイの瞬間に得られる体験そのものが目的なのだ。 | ||
:ティミーは[[コスト・パフォーマンス]]に頓着しない傾向があるが、これはティミーが[[コスト]]を勘案できない初心者だということを示すのではない。単にティミーにとってはそのコストよりも、それを[[プレイ]]できた時の楽しさの方がより重要だというだけである。この分類はプレイヤーとしての能力ではなく、本人がマジックに求めることに拠っている。初心者はティミー的な楽しみを求めることが多いというのが事実でも、逆は真ではない。 | :ティミーは[[コスト・パフォーマンス]]に頓着しない傾向があるが、これはティミーが[[コスト]]を勘案できない初心者だということを示すのではない。単にティミーにとってはそのコストよりも、それを[[プレイ]]できた時の楽しさの方がより重要だというだけである。この分類はプレイヤーとしての能力ではなく、本人がマジックに求めることに拠っている。初心者はティミー的な楽しみを求めることが多いというのが事実でも、逆は真ではない。 | ||
*[http://archive.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtgcom/daily/mr220b Timmy, Johnny, and Spike Revisited]では、それぞれのプレイスタイルをさらに細分化して紹介している。ティミーの場合、これは彼が求める「楽しさ」が具体的にどんな楽しさなのかを説明するものである。 | *[http://archive.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtgcom/daily/mr220b Timmy, Johnny, and Spike Revisited]では、それぞれのプレイスタイルをさらに細分化して紹介している。ティミーの場合、これは彼が求める「楽しさ」が具体的にどんな楽しさなのかを説明するものである。 | ||
**;「パワー・ゲーマー/Power Gamers」 | **;「パワー・ゲーマー/Power Gamers」 | ||
− | **: | + | **:巨大なクリーチャーや呪文で[[対戦相手]]をぶちのめしたい。ステレオタイプなティミー。 |
**;「ソーシャル・ゲーマー/Social Gamers」 | **;「ソーシャル・ゲーマー/Social Gamers」 | ||
**:親しい友人と一緒に遊びたい。[[多人数戦]]や[[ハウスルール]]も好んで使う。 | **:親しい友人と一緒に遊びたい。[[多人数戦]]や[[ハウスルール]]も好んで使う。 | ||
**;「ダイバーシティ・ゲーマー/Diversity Gamers」 | **;「ダイバーシティ・ゲーマー/Diversity Gamers」 | ||
− | **: | + | **:未体験のゲームを体験したい。新しいデッキ、新しいセット、新しい[[フォーマット]]を次々と求める。ジョニーと異なりこの動機は単に「やったことがないことは楽しい」という思いからくる。 |
**;「アドレナリン・ゲーマー/Adrenalin Gamers」 | **;「アドレナリン・ゲーマー/Adrenalin Gamers」 | ||
**:予測を裏切るゲームがしたい。[[コイン投げ]]や[[今引き]]に左右されるゲームを好む。 | **:予測を裏切るゲームがしたい。[[コイン投げ]]や[[今引き]]に左右されるゲームを好む。 | ||
− | ; | + | ;ジョニー(Johnny) |
− | :マジックで'''自己表現''' | + | :マジックで'''自己表現'''をしようとする想像力あふれるプレイヤー。新しい[[デッキ]]や[[コンボ]]を自分で創造しそれを披露することを求めていて、変わったコンボを作れるカードや用途の広いカード、逆に有効に利用することが非常に困難なカードを好む。ジョニーにとってマジックが持つゲームとしての自由度の高さが何より重要となる。それが自らの個性を表現する道具になるからだ。 |
:最も[[構築]]との結び付きが強いプレイヤーと言えるが、必ずしも構築でなければジョニー的なプレイができないということではない。[[リミテッド]]においても新しいコンボを披露することは可能だし、プレイスタイルそのもので斬新さを見せつけられればそれもジョニーなのだ。 | :最も[[構築]]との結び付きが強いプレイヤーと言えるが、必ずしも構築でなければジョニー的なプレイができないということではない。[[リミテッド]]においても新しいコンボを披露することは可能だし、プレイスタイルそのもので斬新さを見せつけられればそれもジョニーなのだ。 | ||
*ジョニーにもサブグループは存在する。ジョニーの場合、表現をどのような形で行うかによって分けることができる。 | *ジョニーにもサブグループは存在する。ジョニーの場合、表現をどのような形で行うかによって分けることができる。 | ||
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**:例えば[[土地単]]など、突飛な発想に基づくデッキを構築したい。コンボ・プレイヤーが隠されたコンボを探す探検家ならば、こちらは発明家だといえる。 | **:例えば[[土地単]]など、突飛な発想に基づくデッキを構築したい。コンボ・プレイヤーが隠されたコンボを探す探検家ならば、こちらは発明家だといえる。 | ||
**;「デッキ・アーティスト/Deck Artists」 | **;「デッキ・アーティスト/Deck Artists」 | ||
− | **: | + | **:例えばエルフの文化を体現したデッキや、ストーリーを再現したデッキなど、構築方法そのものが創造的なデッキを作りたい。 |
**;「ユーバー・ジョニー/Uber Johnnies」 | **;「ユーバー・ジョニー/Uber Johnnies」 | ||
**:非常識なこと、他の誰もやらなかったことを実現することで個性を示したい。[[空虚自身/One with Nothing]]のような[[カスレア]]、[[紙]]を実戦の場に引き上げることなどが筆頭である。 | **:非常識なこと、他の誰もやらなかったことを実現することで個性を示したい。[[空虚自身/One with Nothing]]のような[[カスレア]]、[[紙]]を実戦の場に引き上げることなどが筆頭である。 | ||
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*スパイクのサブグループは、具体的に何に挑戦し何を勝ち取ろうとしているかという点で分けることができる。 | *スパイクのサブグループは、具体的に何に挑戦し何を勝ち取ろうとしているかという点で分けることができる。 | ||
**;「イノベイター/Innovators」 | **;「イノベイター/Innovators」 | ||
− | **: | + | **:誰よりも早く壊れたカードを発見し、次の[[メタゲーム]]を支配するデッキを生み出すことを目指す。発表当時の[[タルモゴイフ/Tarmogoyf]]のように、容易には強さを見抜けないパワーカードがまさに彼ら向けのカードといえる。[[デッキビルダー]]としてジョニーと違うのは、イノベイターは一番乗りを目指すのに対し、ジョニーは新奇さや個性を求めていること。 |
**;「チューナー/Tuners」 | **;「チューナー/Tuners」 | ||
**:いわゆる[[デッキチューナー]]。既知のデッキをパーツ選択や枚数調整によって最適化し、誰よりも完成されたデッキを目指す。 | **:いわゆる[[デッキチューナー]]。既知のデッキをパーツ選択や枚数調整によって最適化し、誰よりも完成されたデッキを目指す。 | ||
**;「アナリスト/Analyst」 | **;「アナリスト/Analyst」 | ||
− | **: | + | **:[[メタゲーム]]に注目し、仮想敵となるデッキを洗い出すことで、その[[環境]]で最適のデッキを見つけることを目指す。特に[[サイドボード]]戦略に注力する事が多い。 |
**;「ナッツ・アンド・ボルト/Nuts & Bolts」 | **;「ナッツ・アンド・ボルト/Nuts & Bolts」 | ||
**:プレイングを磨き、ミスを極力無くすことで他プレイヤーと差をつけることを目指す。リミテッドを得意とするプレイヤーが多い。 | **:プレイングを磨き、ミスを極力無くすことで他プレイヤーと差をつけることを目指す。リミテッドを得意とするプレイヤーが多い。 | ||
==ヴォーソスとメルヴィン== | ==ヴォーソスとメルヴィン== | ||
− | 上記の3つと異なる観点からの分類で'''ヴォーソス'''(''Vorthos'')や'''メルヴィン | + | 上記の3つと異なる観点からの分類で'''ヴォーソス'''(''Vorthos'')や'''メルヴィン'''(''Melvin'')という定義もある。 |
− | + | これが分析するのはマジックを遊ぶ動機ではなく、マジックのどこに注目するか、何を高く評価するかという価値判断であり、ティミーらとは分類の軸が異なる。この観点は[[ゲーム]]のプレイと直結しないため、コアなヴォーソスやメルヴィンであっても、プレイに割く時間が少ない(読み物や、ルール談義など、ゲームの外の行為に長い時間を割く)ということもありうる。 | |
− | + | ヴォーソスとメルヴィンはものの見方としては対極にあり、ヴォーソスはカードから“総体的に何を感じられるか(直観)”を重視し、一方、メルヴィンは“分析して何を考えられるか(思索)”に重きを置いている。 | |
;ヴォーソス(Vorthos) | ;ヴォーソス(Vorthos) | ||
− | : | + | :カードの持つ雰囲気やフレイバー、コンセプトなどが大好きで、イラストやキャラクター、ストーリー、[[背景世界/読み物|小説]]、[[背景世界/ストーリー用語|背景世界]]、アーティストなどにこだわりを持つタイプ(ある種の[[コレクター]]も含む)。興味の対象や判断基準は個人によって異なることがあり、あるヴォーソスにとってのお気に入りが別のヴォーソスにはそうでない場合もある。 |
:[[ドラゴン変化/Form of the Dragon]]のような、[[トップダウン・デザイン]]として完成されたカードがまさにヴォーソス好みのカード。 | :[[ドラゴン変化/Form of the Dragon]]のような、[[トップダウン・デザイン]]として完成されたカードがまさにヴォーソス好みのカード。 | ||
− | ; | + | ;メルヴィン(Melvin) |
:カードの機能や相互作用、メカニズム、複雑なトリックが大好きで、ルールに則ったパズルを解いたり、詰めマジックを考案したり、現行ルールでは答えの出ないルールの穴を見つけて議論したり、といったことなどに喜びを見出すタイプ(「なぜそんな無駄なことを考えるのか?」といった無粋な疑問は持たない)。コンボ好きな点はジョニーと親和性が高い。 | :カードの機能や相互作用、メカニズム、複雑なトリックが大好きで、ルールに則ったパズルを解いたり、詰めマジックを考案したり、現行ルールでは答えの出ないルールの穴を見つけて議論したり、といったことなどに喜びを見出すタイプ(「なぜそんな無駄なことを考えるのか?」といった無粋な疑問は持たない)。コンボ好きな点はジョニーと親和性が高い。 | ||
:[[秘教の思索/Mystic Speculation]]のような、メカニズムが無駄なく噛み合ったカードがメルヴィン向けのカードとされる。 | :[[秘教の思索/Mystic Speculation]]のような、メカニズムが無駄なく噛み合ったカードがメルヴィン向けのカードとされる。 | ||
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+ | ヴォーソスとメルヴィンは概念としては対照的だが、これはあくまで極端な例であり、現実のプレイヤーには、'''メルソス(Melthos)'''というべき、場面場面によってそのどちらも好む中庸タイプが多くいる。 | ||
==関連カード== | ==関連カード== | ||
− | + | [[銀枠]]世界では[[伝説のクリーチャー]]として2種がカード化されている。 | |
− | + | *[[Timmy, Power Gamer]] | |
− | + | *[[Johnny, Combo Player]] | |
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==参考== | ==参考== | ||
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*[http://archive.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtgcom/daily/mc2 Snack Time with Vorthos] (Savor the Flavor、コアなヴォーソスの紹介) | *[http://archive.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtgcom/daily/mc2 Snack Time with Vorthos] (Savor the Flavor、コアなヴォーソスの紹介) | ||
*[http://www.wizards.com/Magic/TCG/Article.aspx?x=magic/futuresight2/jailer Meet a Melvin] (コアなメルヴィンの紹介) | *[http://www.wizards.com/Magic/TCG/Article.aspx?x=magic/futuresight2/jailer Meet a Melvin] (コアなメルヴィンの紹介) | ||
− | *[http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtgcom/daily/mr278 Melvin and Vorthos] | + | *[http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtgcom/daily/mr278 Melvin and Vorthos] ([[Maro]]によるメルヴィンとヴォーソスの説明) |
*[http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgcom/feature/403 The Italicized World of Future Sight] (Vorthosの説明、記事の半ばに記載) | *[http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgcom/feature/403 The Italicized World of Future Sight] (Vorthosの説明、記事の半ばに記載) | ||
*[http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtgcom/daily/mr280 Design Language] (Making Magic、全タイプとその組み合わせの解説) | *[http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtgcom/daily/mr280 Design Language] (Making Magic、全タイプとその組み合わせの解説) | ||
**[http://iwasgame.tumblr.com/post/80059856981 デザインのための言葉] (I was game、上の記事の和訳) | **[http://iwasgame.tumblr.com/post/80059856981 デザインのための言葉] (I was game、上の記事の和訳) | ||
*[http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/mm/29 Designing For Timmy] (Making Magic、ティミー向けカードのデザイン) | *[http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/mm/29 Designing For Timmy] (Making Magic、ティミー向けカードのデザイン) | ||
− | **[http://iwasgame.tumblr.com/post/80260476029 ティミーのためのデザイン] (I was | + | **[http://iwasgame.tumblr.com/post/80260476029 ティミーのためのデザイン] (I was game、同じく和訳) |
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*[http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/mm/50 Designing For Johnny] (Making Magic、ジョニー向けカードのデザイン) | *[http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/mm/50 Designing For Johnny] (Making Magic、ジョニー向けカードのデザイン) | ||
− | **[http://iwasgame.tumblr.com/post/80262353733 ジョニーのためのデザイン] (I was | + | **[http://iwasgame.tumblr.com/post/80262353733 ジョニーのためのデザイン] (I was game、同じく和訳) |
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*[http://www.wizards.com/magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/mm/67 Designing For Spike] (Making Magic、スパイク向けカードのデザイン) | *[http://www.wizards.com/magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/mm/67 Designing For Spike] (Making Magic、スパイク向けカードのデザイン) | ||
− | **[http://iwasgame.tumblr.com/post/80263266368 スパイクのためのデザイン] (I was | + | **[http://iwasgame.tumblr.com/post/80263266368 スパイクのためのデザイン] (I was game、同じく和訳) |
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+ | *[http://archive.wizards.com/Magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/sf/29 The Timmy Manifesto] (Serius Fun、ティミーウィーク記事、文:Kelly Digges) | ||
+ | *[http://archive.wizards.com/Magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/sf/50 Johnny Be Good] (Serius Fun、ジョニーウィーク記事、文:Kelly Digges) | ||
*[[用語集]] | *[[用語集]] | ||
*[[その他]] | *[[その他]] |