展望デザイン・チーム
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展望デザイン・チーム/Vision Design Teamは、マジックのカード・セットごとに構成される制作チームの1つ。かつてのデザイン・チームに近い役割を持つ。イクサランの相克およびドミナリアから、この体制による開発が行われることとなった。
開発部のメンバー数人から構成される。Mark Rosewaterがリード/Vision Leadと呼ばれるリーダーを務め、その次席者/Strong Secondがファイルキーパー(会議や変更の記録、データベースへの入力係)および経験の浅いデザイナーへの指導係を受け持つ。また、プレイ・デザイン・チームからの代理とクリエイティブ・チームからの代理も参加しており、各チーム間の連繋をとりやすくする。
展望デザインは、まず3ヶ月間の先行デザイン/Exploratory Design期間から始まる。これはミニチーム(先行デザイン・チーム)によって行われ、Mark Rosewaterとは異なる先行デザイン・リードが率いる。アイデアをブレインストーミングし、カードやデッキを作って対戦しながら、セットの基礎となるテーマやメカニズムを模索する。フレイバーを元にしたトップダウン・デザインをすることもあれば、メカニズムを元にしたボトムアップ・デザインをすることもある。
その後、4ヶ月間の展望デザイン/Vision Design期間に入る。セットに必要なテーマやメカニズムを作り上げ、ブースター・ドラフトやシールドをするためのコモンやアンコモン全体と、必要なだけのレアや神話レアが入っているファイルをセット・デザイン・チームに引き渡す。
このため、展望デザイン・チームの仕事は楽しいセットのための基礎・原案を作ることであり、カードの「完成品」を作ることではない。適正なコストやP/Tといった数値をつけるのは、最終的にはプレイ・デザイン・チームの仕事である。また、クリエイティブ・チームなど数多くの人々が協力してカードを製品として完成させてくれるため、カード名を決定したりフレイバー・テキストを書いたり、ルール文章を正しいテンプレートで書くことも展望デザイン・チームの本分ではない。
とはいえ、イメージが伝わりやすいカード名はプレイテストの役に立つし、紙のマジックやMagic Onlineなどのデジタルで実行不可能な能力を作ってしまわぬようルール・マネージャーに相談しながら展望デザインを進めることも重要である。特殊なカード枠を使用するものなど、アート・チームの協力があってこそ生まれたメカニズムも多い。
- Mark Rosewater曰く、家を建てることに喩えるなら、展望デザインは家の設計図を描く「建築士」、セット・デザインは実際に家を建てる「職人」である。職人が床材の種類や窓の数(個々のカードやメカニズム)を変更しても建築士が介入することはないが、職人が大黒柱(セットの根幹となるメカニズム)を取り除こうとするなら、建築士はそれに介入する責任があるとされる[1]。
脚注
- ↑ A Historic Story/歴史的な話(Making Magic -マジック開発秘話- 2018年4月9日 Mark Rosewater著)
参考
- Vision Design, Set Design, and Play Design/展望デザイン、セット・デザイン、プレイ・デザイン(Making Magic -マジック開発秘話- 2017年10月23日 Mark Rosewater著)
- 開発部
- 用語集