サテュロス/Satyr
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サテュロス/Satyrは、半人半獣の人型種族。主にテーロス/Therosやエルドレイン/Eldraineに棲息する。
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テーロス
山羊のような角、尾、後肢を持つテーロスのサテュロスは、上機嫌さ、宴好き、にぎやかで社交的な性格で愛されている。異なる意見を持つ者は知っている、その意見は口にしないのが吉であると。それゆえに彼らは楽しみを愛するという評判だけが広まり、その本性の暗い面が表に出ることはない――騙されてサテュロスの世話人となった人間の心の中だけに秘められている。
基本的欲求がすべて満たされているため、サテュロスはその生の唯一の目的として、楽しみを自由に追い求める。サテュロスたちの間に永続的な絆はほとんどなく、全員が救いがたい快楽主義に生きている。彼らはそれが自らの野望に沿うなら寛大になるが、野望を邪魔されるなら残忍にもなる。誰もが最後は同じ死の国/The Underworldに行き着くことから、彼らは名誉や正義といったものは無駄な努力だと信じている。「世界を味わおうよ。」そうサテュロスは言う。「エレボス/Erebosに舌を引っこ抜かれる前にね。」
スコラ谷/Skola Valley
強い魔法がかけられた、雑木林の点在する緑豊かな谷、スコラ谷/Skola Valleyはテーロスの低木地帯に位置している。サテュロスはこの谷の魔法によって生かされており、そういう意味では彼らの生は一つの長い宴のようなものだと言える。スコラに永続的な住居はなく、笛の音楽が夜明けから日暮れまで鳴り響いている。
角教団/Cult of Horns
人間はしばしば、終わりなき楽しみを求めて後先考えずにスコラへとやってくる。最初に辿り着いたとき、その者はサテュロスにご機嫌取りをされる。貴方はニクス/Nyxの秘密を知るでしょう、などと言われて。それから何日もの狂宴、音楽、恍惚の踊りを楽しむ――何の悩みもなく。必然的に、その歓待は不吉な何かに取って代わられ、そして疑いを持たない人間はふと気づく。自分がサテュロスに奉仕する側に回っていることに。
サテュロスの巫女が、このような新参者が十分に入門の儀式への準備ができたかどうかを見定める。多くの人間がその儀式を受ける、悪ふざけが自分の身に返ってくるとは露知らず。そして折れた角で作られた王冠を授かる――嘲りの象徴を。一度王冠を受け取ったなら、その者は「端くれ/Stub」と見なされる。端くれは卑しく屈辱的な仕事を割り当てられる。エンチャント魔法により、その者はサテュロスの奴隷の立場から逃れられない。当然、サテュロスが飽きるまで。その後、端くれは低木地帯の野に捨てられ、数時間後に目を覚ます。一人で、呆然として、己の行いを恥じながら。
きまりの悪さから、端くれだった者がサテュロスと過ごした時間の真の物語を語ることは滅多にない。多くの者は、スコラで過ごした時間を喜びと興奮の神話として永遠に伝え、その神話が下の世代にサテュロスと「若気の至りで馬鹿をやる」ことをますます奨励する。
狂宴
サテュロスの二面性は、彼らが開く狂宴の種類にはっきりと表れている。
お祭り騒ぎの夜/Rollick Night
サテュロスは年に数度、都市国家にて人間のための祝祭、お祭り騒ぎの夜/Rollick Nightを開く。これは美味しい食べ物と飲み物、娯楽から成る素晴らしい催しである。サテュロスは陽気で友好的であり、翌朝には街路はめちゃくちゃになるとはいえ、物事が制御不能になることは滅多にない。このお祭り騒ぎの夜はサテュロスの名声の基盤であり、彼らが最も多くの人間を角教団に「勧誘」する場でもある。
バッケイア/Bakkeia
スコラ谷でのみ開かれるバッケイア/Bakkeiaは、狂気の儀式から成る過激な祝祭である。これは多くの場合とても楽しく始まるが、スコラの権力を握る者によって、汚辱と生け贄と暴力へと変わり果ててしまう。谷の下にある、地熱ガスで熱せられた洞窟では、最も堕落した儀式のいくつかが行われる。
重要人物
- ゼナゴス/Xenagos - サテュロスのプレインズウォーカー/Planeswalker。儀式を経てニクスへと昇り、歓楽の神となる。
エルドレイン
エルドレイン/Eldraineのサテュロスはフォーン/Faunと呼ばれている。山羊のような角、尾、後肢を持つ点はテーロスのそれと類似しているが、顔はより動物らしい特徴を持ったものになっている(イラスト)。
かつてのエルドレインにおいて、フォーン達は隠遁者であった。家族で固まって森の奥に暮らしていたため、エルドレインの住民が彼らに出会うことは稀であった。しかし新ファイレクシア/New Phyrexiaがエルドレインを侵攻するのを目撃すると、彼らは森を出て抵抗軍の一員として加わった。
絡み架かり/Tanglespan
新ファイレクシアとの戦いの中、エルドレインの民は巨大な裂け目を開き、侵略者を中に閉じ込めようとした[1]。しかし戦争終結後も裂け目は閉じず、今やその場所を渡るには絡み架かり/Tanglespanと呼ばれる橋や豆の木のネットワークを通らねばならなくなった。
裂け目の近くに住んでいたフォーン達は絡み架かりを管理することで、自らの中に芽生えた共同防衛の精神を維持している。その仕事の中には、裂け目の底から現れるトロール/Trollから旅人を守るというものも含まれている。彼らの武器は、トロールをひっかけて橋から落としやすいようなものになっている。
絡み架かりに棲むフォーンは、藁や木などの軽い素材で崖に家を作っている。
モチーフ
- モチーフは童話『三びきのやぎのがらがらどん』。山羊の特徴を持つ点、橋の上でトロール/Trollと戦う点にその要素が見られる。
- 名前の由来は古代ローマにおける森の神ファウヌス(Faunus)と考えられる。後世ではサテュロスと同一視されている。
参考資料
- テーロス
- THEROS - PLANES/テーロス - 次元(旧公式サイト、Internet Archive)
- Planeswalker's Guide to Theros, Part 3/プレインズウォーカーのための「テーロス」案内 その3(Feature Article 2013年9月4日 The Magic Creative Team著)
- Thank the Gods/神々に感謝を(Uncharted Realms 2014年4月30日 Clayton Kroh著)
- The Path or the Horizon/往くは道か、彼方か(Uncharted Realms 2014年5月7日 Adam Lee著)
- エルドレイン
- MTG公式Discord(Roy Glahamによる質疑応答)
- 有志における上記内容のメモ(Reddit - r/mtgvorthos 2023年8月29日)
- 『エルドレインの森』ワールドガイド展示資料(30th Anniversary CELEBRATION TOKYO、英語)
脚注
- ↑ March of the Machine | Eldraine: The Adventures of Rankle, Master of Love/サイドストーリー・エルドレイン編 愛の達人、ランクルの冒険で開かれたものと同類と思われる