アンティ
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アンティ/Anteとは、初期のマジックに存在した、賭けのルール。またはそれに使われる領域の名前。
それぞれのプレイヤーは、ゲーム開始時に自分のライブラリーから無作為にカードを1枚選び、それをアンティ領域に置く。ゲームに勝利したプレイヤーはアンティ領域にあるカードの所有権を得る。これらのカードはゲームの外部にあるカードではない。またその内容は公開情報である。
アンティに関係したカードもいくつかあるが、いずれも構築では禁止カードとなっている。
- 現行のルールでは『無作為に1枚』となっているが、当初のルールでは『ライブラリーの一番上のカードをアンティに置く』ことになっていた。とはいえ、ゲーム開始時ではライブラリーの一番上が何かは誰も知らないので、ほとんど差はないだろう。
アンティに関するルールを採用する場合、その『賭け』の要素以外にもゲーム的な差が発生する点には注目しておこう。『賭け物件』としてカード1枚がライブラリーから抜かれ&公開されるので、アンティなしのプレイとはまた違ったデッキ構築術・プレイ術が発生する。例えば、キーカード1枚挿しだとか、いわゆるシルバーバレット戦略を狙うデッキはリスクを伴う。重要カードがアンティにおかれてしまうと、デッキ戦略自体が崩壊しかねないからだ。同様の意味で1枚制限カードについては使えない可能性が発生する。また、ゲーム開始直後から相手のライブラリーの一部を見られることになるので、プレイングにも多少の差が生まれるだろう。
また一口にアンティを使うといっても、本気で賭けをする『リアル・アンティ』でのプレイの他に、『フェイク・アンティ』というよりカジュアルな方式もある。その選択によっても、アンティ関連カードの価値は変わってくるので、案外奥深い。
- 映画「ハイランダー」の様にお互いの寿命ならぬ「魔法」を取り合うというイメージで制定されたであろう初期のルールと思われる。また、今では考えられないことだが、カード資産の差によってデッキの強さが左右されにくいように、「高価なカードを入れているとアンティによって取られる可能性がある」ということを匂わせて、デッキに入れにくくする効果を狙っていたと言われる。確かに、本当にリアル・アンティありきのゲームだったならば「オールコモンデッキ」みたいなのばかりになり、レアカードを4枚ずつ投入した「コンセプト・デッキ」などは生まれようが無かったに違いない。徐々にこの「カードの取り合い」要素は姿を消していくことになる。恐らく最初はたかがカードゲームに数十万円をつぎ込む様なヘビーユーザーがゴロゴロ出てくるなど想像もしていなかったのだろう。
- そしてこの「トレーディング・カードゲーム」という新ジャンルの創造と共に生まれた「アンティ」要素を排していくことでまた新たな展開への扉を開くことになる。「拡張エキスパンション」のバックプリントを共通のものにしたのと同じ「歴史的な発明」ならぬ「歴史的な改良」である。
- わが国でも、初の日本語版である第4版発売当初は「リアル・アンティ」でゲームを行うのが普通であった。そのため、この時期に始めたプレイヤーの中にはこれで負け続けることで大量にカードを取られてしまうという“被害”に遭う例もあった。
- とはいえ、仲間内のデュエルでは本当に高価なレアカードがアンティでめくれてしまった場合には「別カードで勘弁してやる」などと柔軟に対応することが多かったらしい。この辺りの黎明期のエピソードは中村聡氏のマジックエッセイ「五輪の書」で読むことが出来る。
- この時に「勘弁してやった」カードは、初心者垂涎の大型クリーチャーシヴ山のドラゴン/Shivan Dragon。そして「そんな島/Islandと変わらないカードなんかいらないや」とMox Sapphireをあげていたりするのだった。
- 海外でも、初期のマジック解説書「Learn Magic Cards」において「リアル・アンティで相手の貴重なレアを勝ち取ってしまった場合は、後から多少手心を加えたトレードをして返してあげよう」というような記述があった。上述の中村氏のエピソードともあわせて、こういうところは洋の東西は問わないようだ。
- 日本の法律では「リアル・アンティ」でのゲームを行うと賭博罪に問われる恐れがある。アンティが現役であった時代のカードともなればそれなりの値打ちものも少なくないだろうから、その危険はなおさら高い。このルールの採用はプレイヤー各自の責任で決定していただくよう願いたい。
アンティに関係したカード
以下の9枚だけが存在し、今後増加することはないだろう。
- Amulet of Quoz
- 青銅のタブレット/Bronze Tablet
- Contract from Below
- Darkpact
- Demonic Attorney
- 宝石の鳥/Jeweled Bird
- 再誕/Rebirth
- 嵐のイフリート/Tempest Efreet
- Timmerian Fiends
青銅のタブレットと嵐のイフリートは所有権の移動を伴うだけでアンティ領域の操作を行わないが、アンティ関連のカードとみなされる。逆にアンヒンジドのCollector Protectorは、所有権の移動を伴うがアンティ関連のカードとはみなされない。
参考
引用:総合ルール 20231117.0
- 4 領域
- 407 アンティ
- 407.1 マジックの昔のルールには、「勝ち取ったものを返さない」でプレイする方法としてのアンティ・ルールが存在した。アンティを賭けてプレイすることは、現在では、このゲームにおける選択ルールであり、法律その他の規則で禁止されていない地区でのみ許される。アンティを賭けてプレイすることは、マジック・イベント規定([[1]])の下では厳しく禁止されている。
- 407.2 アンティを賭けてプレイする場合、ゲームの開始時に、各プレイヤーはそれぞれのデッキからカードを無作為に1枚選び、それをアンティ 領域に置く。アンティ 領域にあるカードは、いつでも全てのプレイヤーが確認できる。ゲームの終了時に、勝利者はアンティ 領域にあるカード全ての所有権を得る。
- 407.3 「アンティを賭けてプレイしていないなら、プレイ前に[このカード]をデッキから取り除く/Remove [this card] from your deck before playing if you're not playing for ante.」と書かれているカードがある。この類のカードだけが、アンティ 領域にカードを追加したり、取り除いたり、あるいはカードのオーナーを変更したりすることができる。プレイヤーがアンティを賭けてプレイしていないときは、これらのカードはデッキにもサイドボードにも入れることはできず、ゲーム外からゲーム内に持ってくることもできない。
- 407.4 オブジェクトをアンティするとは、そのオブジェクトを現在ある領域からアンティ 領域に移すことである。オブジェクトのオーナーだけがそのオブジェクトをアンティすることができる。
- 407 アンティ