僻境/The Wilds

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僻境/The Wildsは、エルドレイン/Eldraineの地名。

目次

概要

王国/The Realmの宮廷や城から十分に離れたところまで旅をすれば、周囲の世界が変わり始めたことに気づくだろう。まるで大きな獣に飲み込まれているかのように、森は暗く、深くなる。棘だらけの茨や野生の花は、野放図に伸び盛る。小さな積み石や浮遊する謎めいた光が、貴方をより深くへと誘う。道は消え、あるいは折り返し、やがて方向感覚は遠い夢となる。ここに来てようやく、旅人は自分が僻境にいると気づくのだ。

僻境は無法で、多様で、まとまりがなく、予測不能で、野放しだ。僻境には何十種類もの生物が棲息しており、無秩序で落ち着かない停滞状態にある。彼らは戦争を起こせるほど組織立っていないが、平和に暮らしていると言うにはあまりに無法だ。人間/Humanに対してはある者は敵対的で、ある者は無関心で、ある者は好奇心旺盛で、ある者は友好的だが、生物の種族がその態度の確かな指標になることは滅多にない。

僻境の魔法は、そこに住む者たちと同じように自由かつ多様で、奇妙な形で現れ、美しい形で現れることもしばしばだ。それは人を魅惑し、力を与え、癒し、回復し、元気を取り戻させてくれることもある――しかしその一方で、忌まわしく、力を奪い、破壊的であることもある。この魔法の一部を手に入れることが、あるいは単に理解することさえもが、王国の騎士が僻境の探索を行う主な理由の一つとなっている。

王国の論理からすれば僻境は予測不能に思えるが、奇妙で捩れた内的論理が存在するという見方もできる。まるで皮肉なユーモアの残酷なセンスを持つ気まぐれな力によって具現化したかのように。僻境の物語は楽しくて面白いものになり得る、貴方がその物語の登場人物でないかぎりは。以下は僻境で出会うものの不条理な性質を説明するのに役立つと思われる、あるヴァントレス/Vantressの伝承魔道士の教訓だ。

「僻境カエル/Wilderfrogとの21回の遭遇のうち、16回はカエルを丁重に褒め、素早く後ろに歩き去ることが正解だった。3回はすぐにカエルを殺すことが適切な戦略だった、それがグロッデヒモス/Grodhemothと呼ばれる大喰らいの怪物に化ける前に。1回は、エンバレス/Emberethの騎士12人を殺す病を引き起こした。最後の1匹のカエルとの遭遇は、長く楽しい結婚生活をもたらしてくれた。」

フェイ属/The fair folk

王国の人間は、僻境に棲む魔法生物をまとめてフェイ属/The fair folkと呼ぶ。フェイ属は多種多様な種から成る。そして同じ種の中でも、個体によって気まぐれも縄張りも異なり、集団的な目的や領地は持たない。フェイ属には独自の関心事があり、人間には理解しがたい理由で、人の営みに突然興味を抱いたり失ったりする。

王国にとって、フェイ属は永久で永遠のように映る。様々な種や集団が何千年にもわたって僻境に棲み、僻境を統べてきた。フェイ属は人間が現れる前からこの地におり、そして人間が滅んだ後もこの地にいるとほとんどの者が確信している。人間が言う「重大局面」や「最近の動向」や「少しの間」に対するフェイ属の理解は、大きく異なる時間感覚に基づく。

その多様性にもかかわらず、フェイ属は皆、人間の文明や社会構造に対して同じ軽蔑を持つ傾向にある。あるフェアリー/Faerieの言葉だ。「美徳はつまらない。騎士はうざったい。王様は何の役にも立たない帽子を被っただけのただの人。人間は自分のことを真面目に考える奴ばっかりで面白いよね。面白くないのは、あいつらが剣を持って僕の森をぶらつき出したとき。そういうときは悪戯さ!」そのフェアリーによれば、最高の悪戯とは大抵、少なくとも一人の死を含むものなのだそうだ。

地理

ダンバロウ/Dunbarrow

エルドレインの子どもの多くは、しつけの一環としてダンバロウの話を聞かされる。そこは広大で道も町もなく、危険でおどろおどろしい土地。山賊、怪物、そして最も恐るべき存在――力に飢えた魔女/Witchの住む地であると。

この地域は薄暗く複雑に絡み合った森と、棘だらけのツル植物に覆われた湿地帯で構成されており、旅するならば相当に強い意志が必要となるだろう。だが、一部の独立精神の強い人間の中にはこの地に好んで住まうものも存在する。人里から遠く離れた不気味な地に住むことでのみ、得られる孤独があるからだ。

ダンバロウに住まう魔女達は階級社会を形成しており、誰もが頂点を目指そうとする――力はフェイ、他の魔女、その他あらゆる沼地の脅威から身を守ることに繋がるからだ。この地の歴史において特に力を有していたのは魔女の姉妹、すなわちエリエット/Erietteアガサ/Agathaヒルダ/Hyldaだ。彼女達は破竹の勢いで領土を増やし、自分は他の姉妹よりも優れていると認識していた。この拮抗状態の結果、奇妙な形の平和が薄氷の上で保たれていた。だが新ファイレクシア/New Phyrexiaの侵略が終結した後、彼女達は仲違いを起こしアガサを残し別の地へ移住した。有象無象の魔女達が権力の空白を狙い、ダンバロウは再び乱世に突入しつつある。

甘歯村/Sweettooth Village

ダンバロウの甘歯村は、ジンジャーブレッドとアイシングで形作られた、見捨てられし不気味な町だ(イラスト)。その正確な起源を知る者は誰一人存在しない。

バタースコッチの線で形作られた道を、生きたキャンディーの怪物が徘徊していたという証言もある。それはかつて、力のある魔女の使い魔として創造された者と考えられている。この場所全体が、空腹で疲れ切った旅人をおびき寄せるための罠として生まれたのだ――だが、今の甘歯村は誰の制御下にもない。

  • "Sweettooth"は「甘党」を表すスラング。

チューインベイル/Tuinvale

僻境の最果てにあるチューインベイルは古代の面影を色濃く残す土地であり、原生林が太古の昔より流れる滝を覆い隠している。この地は魔法と不思議に満ち溢れた場所であり、フェアリーを始めとした神出鬼没の魔法生物の故郷とされている。彼らの魔力に囚われた人間が、その姿をいつのまにか消してしまうこともある。この地では大地や風のように魔法が元素として満ちており、例えば石の輪を一つ壊すだけでも見知らぬ場所に飛ばされてしまうかもしれない。

何人かの人間は、自らチューインベイルに足を踏み入れ、人生を変えるような経験に会うという。こうした者達はかつての隣人からFae-Touched(フェイに触れられた)と呼ばれる。

チューインベイルは原始的な美しい自然が広がる地であるが、同時に危険地帯でもある。ただし、この場所における脅威は魔法の中に隠れ、刃ではなく微笑みを携えてやってくる。フェアリー、エルフ/Elfツリーフォークマーフォーク/Merfolk……この地を故郷と呼ぶ者達は、侵入者と対峙する準備を済ませている。彼らはチューインベイルの秘密の守り手であると囁かれている。森の中で何時間か彷徨い、馴染みの土地に戻ってきた冒険者は、外の世界が何年も経過していることに気づくかもしれない。

赤歯砦/Redtooth Keep

チューインベイル奥地に聳え立つ赤歯砦は、現存するエルフの城塞の数少ないひとつだ。塔や城壁は崩れ始めているが、日中はエルフ達がこれらの壁の前を巡回している――そして夜には、奇妙な獣の鳴き声が、明かりの灯された広間に響き渡る。残忍な人狐/Werefoxと化したエルフ達の声だ。

遠い昔、エルフの守備隊が僻境で危険に晒された一団をこの砦に泊めたことがあった。しかしその中には魔女が紛れ込んでおり、恐るべき呪いを残していった。日没と共に、彼らの身体はその野獣的な気質に相応しいものになるのだと。同族を被害に晒すことを拒んだ彼らにより、赤歯砦は何世紀も前よりエルフの氏族からも隔絶した地となった。

登場

カード名に登場

※日本版で僻境と訳されていなくても、明らかに僻境を表すなら記載

エルドレインの王権
僻境生まれの保護者/Wildborn Preserver僻境の暴虐/Ferocity of the Wilds僻境への脱出/Escape to the Wilds
僻森の追跡者/Wildwood Tracker
機械兵団の進軍
野生林の随員/Wildwood Escort
エルドレインの森
僻境との対峙/Brave the Wilds僻境からの帰還/Return from the Wilds僻境の修繕/Mend the Wilds
僻森の師/Wildwood Mentor
エルドレインの森統率者デッキ
僻境宮廷のエリヴェア/Ellivere of the Wild Court

登場記事・登場作品

エルドレインの王権
機械兵団の進軍
エルドレインの森

参考

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