アモンケット/Amonkhet
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アモンケット/Amonkhetは、多元宇宙/Multiverseに存在する次元/Planeの一つ。アモンケット・ブロック、霊気走破の舞台となった。
目次 |
[編集] 世界観
陽に焼かれた砂の単調な地平線を突き破るように、黄金を散りばめた碑/Monumentが高くそびえ立つ。畏敬の念を抱かずにはいられない獣頭の神々は、人々の間を歩き、砂漠の恐怖から彼らを優しく庇護してくれる。広大なルクサ川/The Luxa Riverは豊かな恵みをもたらし、物質的な必要のすべてを満たしてくれる。幸福で希望に満ちた人々は大神殿にて神々に供物を捧げ、精神的な充足を得る。素晴らしきこの人生――だがこれは始まりに過ぎないと、誰もが知っている。王神/The God-Pharaohによって約束された、完璧な「来世」の前座でしかないのだと。
[編集] 歴史
[編集] 大修復直後
大修復/The Mendingによりプレインズウォーカー/Planeswalkerの本質が変化し、ニコル・ボーラス/Nicol Bolasは「神にも等しき力」を急速に失いつつあった。彼はその力を取り戻すための長期的計画の一環として、アモンケットに目をつけた。
都市ナクタムン/Naktamunに襲来した謎のドラゴンを前に、民を守るべく八柱の神々が立ちはだかったが、彼らの攻撃はボーラスに何の損傷も与えることができなかった。さらにボーラスが編んだ呪文は、ナクタムンから自分の足で歩ける年齢以上の者をすべて消滅させた。苦悶に膝をつく神々と、親を失った何千もの幼児だけがそこに残された。孤児たちを守ろうとし、「ナクタムンの子らは獣の手にかかって死にはせぬ!」と叫ぶ神の一柱、ハゾレト/Hazoretに、ボーラスはこう返すだけであった――「ナクタムンの子らはおぬしの槍にて死すであろう」。
最初に、ボーラスは三柱の神々を自らのものとし、封印したうえで、残り五柱の神々に流れるマナの力線を操作し、その記憶と精神を改竄した。第二に、地下の墓所を開いて魔法で動く死者を連れ出し、孤児たちの子守とした。第三に、ボーラスはこの次元の歴史を利用した。副陽/The Second Sunが一巡するたびに一人の勇者を捧げる宗教儀式、功績の試練/Trials of meritだ。勇者の要求は数十年に一度から、絶え間ないものへと変えられた。第四に、都市内には玉座を、地平線には自身の二つ角を模した碑を建造した。自身がアモンケットに帰還する際に、ちょうど副陽がその角の間に入るように。そして最後に、帰還の約束を預言書として記すとともに、神々と孤児たちの精神にその約束を植えつけた。
こうして全く新しい社会の基盤を作り上げたボーラスは、アモンケットを去っていった。
[編集] ゲートウォッチの到着(アモンケット)
それから数十年が経ったナクタムンでは、栄光の来世の教えと神々が監督する試練を中心とする社会が完成していた。修練者/Initiateたちは鍛錬を積んで五つの試練に挑む。途中で命を落とした者は選定された者/The Anointedと呼ばれるミイラとなり、生者の代わりに労働を行う。生きて試練を達成した者は蓋世の英雄/The worthyとして、激情の神ハゾレトの槍に貫かれ、栄誉ある死を迎えるのだ。
ボーラスの手掛かりを追ってアモンケットを訪れたゲートウォッチ/The Gatewatchの五人は、教えに背く造反者/Dissenterとなり、すべては欺瞞だと叫ぶサムト/Samutの姿を目撃した。ギデオン/Gideonは除名されたサムトに代わって野望の試練/The Trial of Ambitionに挑み、デジェル/Djeruたちが仲間同士で殺しあうさまを目の当たりにして、この地の試練の残忍さに怒りを覚えた。
続く激情の試練/The Trial of Zealを達成したデジェルはハゾレトの手によって栄光の死を迎えようとしていたが、この世界の欺瞞を知ったギデオンとサムトたちにとって、それはただの無駄死にでしかなかった。ハゾレトの双叉槍がデジェルを貫くその瞬間、ギデオンが彼の前に立ち塞がって、黄金色の防御魔法で死の槍を防いだ。
[編集] 「刻」の訪れ(破滅の刻)
副陽が地平線の二つ角の間に入り、預言に伝わる「刻/Hour」が訪れた。
預言どおりに来世への門/Gate to the Afterlifeが動き出し、「啓示の刻/The Hour of Revelation」が始まった。ナクタムン中から殺到した巨大な群集が、神々が、その一部始終を見届けた。そこにあったのは、果てしない砂漠。ナクタムンの外となんら変わりない、無の荒野が広がるばかりであった。人々と神々に困惑が広がる中、門の向こうよりデーモン/Demonのラザケシュ/Razakethが飛来し、血魔術の儀式によってルクサ川の流れを血のぬかるみに変えた。
死滅都市に流れ込んだ血が封印されていた三柱の神を目覚めさせ、「栄光の刻/The Hour of Glory」が始まった。門を潜り抜けた蠍の神/The Scorpion Godに活力の神ロナス/Rhonasは名乗りを上げて対峙し、これを圧倒する。一度は打ち倒すことに成功し、勝利を確信して定命の者に向き直ったその瞬間、復活した蠍の神に身動きを封じられた彼は背後から頭部に針を突き立てられ、神の不死性さえも侵すその毒によって絶命した。
続いて蝗の神/The Locust Godがナクタムン/Naktamunに到着し、「約束の刻/The Hour of Promise」が始まった。その手から放たれる無数の蝗が魔法の障壁ヘクマ/The Hekmaを喰らい尽くして雪崩れ込み、防御の要を失った都市は砂漠に飲まれ、凶暴なミイラや怪物の侵入を許すがままとなった。さらには知識の神ケフネト/Kefnet、結束の神オケチラ/Oketraの二柱が、蠍の神に殺害された。
絶望の中、ついに王神ことニコル・ボーラスが帰還し、アモンケットの人々は歓喜に沸いた――その王神が自分たちを殺戮し始めるまでは。野望の神バントゥ/Bontuは王神への忠誠を訴え、その命に従って同胞ハゾレトに襲いかかったが、最後にはボーラスに用済みだとして始末された。
そして門の向こうに静止していたスカラベの神/The Scarab Godがナクタムンへと向かって侵攻を開始し、「永遠の刻/The Hour of Eternity」が始まった。その背後に引き連れた、かつての試練の突破者たち――今ではアンデッドの精鋭部隊、永遠衆/Eternalと化した蓋世の英雄たちによって、都市のそこかしこで殺戮が巻き起こった。
ハゾレトはサムト、デジェルらと協力して蠍の神を葬ることに成功したが、すでに被害は甚大だった。彼女は生存者たちを連れてナクタムンを離れ、砂漠に新天地を求めるほかなかった。
[編集] 新ファイレクシアによる侵略戦争(機械兵団の進軍)
新ファイレクシア/New Phyrexiaによる多元宇宙/Multiverseへの侵略が始まった。迫り来る侵略の警告を受けたアモンケットの生存者たちはファイレクシアンの目から逃れようと身を隠したが、それも無駄だった。しかしながら、ニコル・ボーラスによる次元の災禍を生き延びた者たちはたくましく機知に富んでおり、自分たちの立場を把握するやいなや、暴力的な作戦で反撃に出た。守護神ハゾレトと、その忠実な副官デジェルを頼みの綱とする作戦だ。
驚くべきことに、彼女たちがナクタムンに到着すると、そこにはすでにスカラベの神と蝗の神がおり、侵略者たちと交戦していた。虫の神々のアンデッド軍がファイレクシアンの注意を引いているうちに、ハゾレトは燃え盛る槍を用いて、ファイレクシアンの血管を流れるぎらつく油/Oilに火を点けた。ファイレクシアンが苦痛に悶える中、デジェルは精鋭戦士の一団を率いてその体をバラバラにし、彼らが永久に死んだままとなることを確実にした。
[編集] ナクタムンとルクサ川の復興
ファイレクシアンは敗北し、アモンケット人は勝利したとも言えた。スカラベの神と蝗の神は遺棄地へと去った。ハゾレトは、ナクタムンの生者や忠実なアンデッドたちとともに、追撃しないことを選んだ。その代わりに、彼女は生存者たちとともに都市の復興に取りかかった。これは生者と死者両方の人手を必要とする大規模な取り組みで、大きく分けて二つの仕事から成っていた。一つは、ヘクマの崩壊後に遺棄地から彷徨い来る、迷えるアンデッドたちから都市を防衛すること。そしてもう一つは、再建という大事業を始めることだ。侵略戦争が終わった後には希望に満ちた兆しもあった――長い間穢れていたルクサ川が澄み渡り始めたのだ。ナクタムンの城壁の割れ目には生者が殺到し、絶え間ないが当てどなく彷徨うアンデッドの波を食い止めた。この哀れで危険な怪物たちは、生者によってこの都市に引き寄せられ、自らの消えゆく魂の最後の残響に衝き動かされて、都市を奪い自分たちのものにしようとしていた。生者は彼らを食い止めるべく戦った。
一方で、ナクタムンのアンデッドたちは重大な決断を迫られていた。ファイレクシアによる侵略は何万ものアモンケット人の死をもたらした。放浪の呪いのもと新たに蘇ったこのアンデッドたちは、奴隷的なミイラになるという古い秩序に従うことを望まなかった。自分たちが解放されるのは、生者がアンデッドを最も必要とする再建の始まりにしか叶わないと彼らは認識していた。ボーラスの支配下時代(およびその後)の古きミイラのアンデッドたちは、より長期的な見方をした。アモンケットの死者は――忠実な者もそうでない者も――生者よりずっと多いにもかかわらず、その数を用いてこの次元を自分たちのものにするのは長期的目標としては良くないと。放浪の呪いはアンデッドを保存するわけではない。ゆっくりとではあるが、彼らは朽ちていく。もし生者が虐殺されアンデッドだけが支配するのなら、この次元は時とともに衰え、滅びてしまうだろう。要するに、忠実なアンデッドはアモンケットの未来のために、生者が耐え抜き成長することを必要としていた。ナクタムンの忠実なアンデッドたちは一丸となって、この都市を防衛する生者たちに嘆願と約束を行った――「我らを解放せよ、さすれば我らはナクタムンを守ろう」。生者はそれに同意し、そして生者と忠実なアンデッドたちは一緒になって、再び都市を共同で防衛し、彷徨う死者の波を食い止めた。
今やナクタムンは長年の廃墟状態から復興しつつある。生者と死者の両方が一緒になって、街路を片付け、修復可能な建物は補強し、廃墟と化しすぎてどうにもならない建造物は撤去している。都市の中心部は片付いたが、郊外の地区ではまだ作業が続いている。ルクサ川の岸辺では、ナクタムンに緑が戻るにつれ、農民たちが新たな灌漑用水路を掘って畑に真水を引き、槌音や作業歌とともに、収穫物を売る商人たちの声が響く。再建には長い時間がかかるだろうが、暴君たちの影響を長年受けてきたこの次元にとっては、その最初の夜明けから一日一日が新たな自由の日なのだ。
[編集] ギラプール・グランプリへの参加(霊気走破)
王神。灯争大戦。ファイレクシアによる侵略。アモンケットは長きにわたり、多元宇宙最悪の悪魔と暴君たちの災禍に苦しめられてきた。忘れられし時代の忘却の彼方へと消えたものを除けば、これまでアモンケットの歴史はそれがすべてだった。しかし、この傷ついた次元に夜明けが近づいている。このたびのアモンケットは、自らの歴史を認識するとともに自らの運命を真に指揮する、初のアモンケットなのだ。領界路/Omenpathが開かれると、アモンケットはアヴィシュカー/Avishkarから来た代表団を歓迎し、ギラプール・グランプリ/The Ghirapur Grand Prixに参加することを選んだ。自分自身の運命を指揮するという希望とともに。
アモンケットは、黄昏の次元ではないことを是非とも証明したがっている。アヴィシュカーと同じように、アモンケットも夜明けを待ち望んでいる。血は流したが倒されてはいないのだから。そのため、アモンケットに建設されたコースは、ナクタムンの指導者たちが使用を許可した遺跡や建造物の上だけを進むことになる。この次元の歴史の深さは底知れず、最高齢の死者の記憶にさえもないような統治者や神々の碑がある。それらを舗装して道路や観覧席にしてしまうのは、砂に飲み込まれるがままにしておくのと何ら変わりない。むしろ逆に、アモンケットとその民がこれらの土地に立ち入ることを許可すれば、アモンケットは貿易や技術交換で利益にあずかることができる。アモンケットは、このレースの遠隔ステージで遺棄地を横断することも許可するつもりだ。この次元の未知の領域を探り、乾いた砂の風景に生命と憤怒を送り込み、何か反応があれば――それが何であれ――見届ける良い機会なのだ。
さらに、アモンケットにはこのレースにチームが出場するという栄誉がある。チャンピオンズ・オブ・アモンケット/The Champions of Amonkhetだ。チャンピオンのザフール/Zahurとその従者たちは、灯/Sparkを失った元プレインズウォーカーのバスリ・ケト/Basri Ketとともに、アモンケットの生者と死者の団結した希望を体現している。沿道に並び、観覧席に詰めかける群衆はアモンケット人となるだろう。祝い、恐怖ではなく希望の声援を上げ、訪れると確信している勝利に歓喜すべく集まるのは、彼らにとって久しくなかったことなのだ。
[編集] 地理
[編集] ナクタムン/Naktamun
アモンケットで確認されている唯一の都市。ヘクマ/The Hekmaと呼ばれるドーム状の魔法の障壁が都市を覆い、危険なゾンビと野生動物、砂漠の熱と砂嵐から内部を保護している(イラスト)。
五柱の神々の碑、試合場、不思議な幻影が作る迷路、密林のような区域、障害物競走路、ありふれた教室が、修練者たちの訓練の日々を支えている。この都市に商店の類は存在しない。農業や建築といった人々の生活に必要な仕事は、すべて死者が行うからである。生者は労働から解放され、試練を達成するための自己鍛錬だけに集中することができる。
[編集] ルクサ川/The Luxa River
ナクタムンに恵みをもたらす大河。運河によりナクタムン内部に水が引かれ、人々の喉を潤し、農作物を育てている。
[編集] シェフェト/Shefet
ヘクマの向こう側に広がる砂漠。風と砂によって岩は削り取られ、急峻な地形が形成されている。
[編集] ラムナプ/Ramunap
シェフェトを越えた先にある乾ききった遺棄地。古い文明の遺跡が存在するが、遺跡の探索者でナクタムンに戻った者はいない。
[編集] イフニル/Ifnir
呪われた者の揺り籠/Cradle of the Accursedのような遺跡が点在し、魔神が住む荒れ地。
[編集] 宗教
[編集] 神
ナクタムンには五柱の神がいる。この神々は来世への道の管理者として王神によって定められた存在とされており、人々を清め、完璧なものとする役割を担う。それぞれの神は五つの試練/Trialのうちの一つを監督し、試練に挑む人々を教え導き、彼らが現世における完全性の五つの側面――結束/Solidarity、知識/Knowledge、活力/Strength、野望/Ambition、激情/Zeal――を修める助けとなる。
- オケチラ/Oketra - 猫の頭部を持つ神。結束を司る。
- ケフネト/Kefnet - トキの頭部を持つ神。知識を司る。
- バントゥ/Bontu - クロコダイルの頭部を持つ神。野望を司る。
- ハゾレト/Hazoret - ジャッカルの頭部を持つ神。激情を司る。
- ロナス/Rhonas - コブラの頭部を持つ神。活力を司る。
実際は八柱が存在するが、他の三柱は封印されており、現在の五柱も精神が改竄されてしまっている。元々の役割は明確にされてはいないが、現在より平和的なものであった。封印されていた三柱は王神の帰還に際し復活した。
- 蠍の神/The Scorpion God - 蠍の頭部を持つ神。役割は用済みとなった神々の殺害。
- 蝗の神/The Locust God - 蝗の頭部を持つ神。役割はヘクマの破壊。
- スカラベの神/The Scarab God - スカラベの頭部を持つ神。役割は永遠衆の統率。
戦いの末に五柱が斃れ、ハゾレト、蝗の神、スカラベの神だけが生き残った。だが新ファイレクシアによる侵略が終わると、新たな二柱の神が姿を現した。
- サブ=スネン/Sab-Sunen - カエルの頭部を持つ神。
- ケトラモーズ/Ketramose - 獅子の頭部を持つ神。
[編集] 王神/The God-Pharaoh
すべての神の上に立つ存在。二本の角を持ち、角ある御方/The Horned Oneの尊称で呼ばれる。今は輝かしい来世を準備している最中であると言われており、人々の前に姿を現すことはない。
その正体は邪悪なプレインズウォーカー、ニコル・ボーラス/Nicol Bolasである。彼は数十年前にアモンケットを訪れ、とある長期的計画のために、この次元の環境や文化を作り変えたのだ。
[編集] 刻/Hour
刻の書/The Accounting of Hoursには、将来訪れる四つの刻(とき)/Hourが記されている。
副陽が地平線の二つ角の間に入ったとき、啓示の刻/The Hour of Revelationが始まる。その後、栄光の刻/The Hour of Glory、約束の刻/The Hour of Promiseと続き、最後に永遠の刻/The Hour of Eternityが訪れる。
[編集] 日々の記/The Record of Days
ボーラスによる支配の間は、刻の書がアモンケット人の主要な宗教文書だった。ボーラスの嘘が明らかになり、アモンケットの人々の信仰は打ち砕かれた。だがそれでも信仰は残り、拠り所を求めていた。破滅の刻とファイレクシアによる侵略の恐怖から抜け出したアモンケットの生存者たちは、新たな文書を作り始めた。それは激動の過去にあった切なる信仰と、より良い日々が来るという守られし希望が結びついたものだ。その文書こそが日々の記/The Record of Daysであり、一致団結してしか築くことのできない黄金時代への道のりを示している。この文書には三柱の神が記されている――既知の神ハゾレト、そして新たな神サブ=スネンとケトラモーズだ。
[編集] 用語
[編集] 太陽
アモンケットには二つの太陽があり、大きな方が主陽/The First Sun、小さな方が副陽/The Second Sunと呼ばれる(イラスト)。
主陽は日の出と日の入りを繰り返すが、副陽は常に地平線の上にある。したがってアモンケットでは、夜でも完全に暗くなることはない。副陽が王神の碑の上の定められた位置についたとき、王神が帰還し人々は来世での栄光を約束されるとされている。
[編集] ラゾテプ/Lazotep
魔法的な力を持った青い鉱石。ミイラによって採掘され(イラスト1、イラスト2)、カルトーシュ/Cartoucheに使われている。
実際にはカルトーシュの生成に使われているラゾテプは僅かであり、大多数は葬送の舟とともに来世への門の向こう側に送られ永遠衆/Eternalの製造に使われていた。
[編集] 種族
[編集] 人型種族
アモンケットには五つの人型種族が存在する。
- 人間/Human - 最も多様で適応力に富んだ人型種族。他種族が得意とするものも含め、様々な戦闘技術を学ぶ。
- エイヴン/Aven - タカやトキの頭部と翼を持つ人型種族。敵よりも高く飛び、その優れた機動性で相手を困惑させる。
- ケンラ/Khenra - ジャッカルの頭部を持つ人型種族。ほとんどが双子で生まれ、その二人は強い感情的繋がりを有する。
- ミノタウルス/Minotaur - 羊の頭部を持つ人型種族。屈強な肉体と頑固で無謀な精神を併せ持ち、戦闘を、特に不利な戦闘を楽しむ。
- ナーガ/Naga - 蛇の頭部と下半身を持つ人型種族。肉体と精神の完璧な釣り合い、「甘美なる調和/The Sweetest Harmony」を目指している。
[編集] ゾンビ
アモンケットでは次元そのものに呪いがかけられている。放浪の呪い/The Curse of Wanderingと呼ばれる呪いによって、この地で死んだ生命は肉体を失わない限り、独りでに蘇ってゾンビとなる。
試練の中で命を落とした者は、内臓を取り除くなどの不朽処理を施され、全身を白い包帯で覆われたミイラとなる。胸のカルトーシュの力で従順な奴隷と化した彼らは選定された者/The Anointedと呼ばれ、生者に代わって様々な労働を担う。
ナクタムンから追放されて死んだ者、もしくはナクタムンから追放されたミイラは、人々に危害を及ぼすゾンビとなる。ヘクマの防護により、彼らがナクタムンに侵入することはない。
[編集] 社会
[編集] 一門/Crop
ナクタムンでは種族に関わらず五歳に達した子供は見習い/Acolyteとなり、同じ年に生まれた子供たちと集まり一門/Cropを組む。ストーリー中に登場する一門は以下のものがある。
- ター一門/Tah crop - サムト/Samutやデジェル/Djeruなど、約二十人が所属する。
- アン一門/Ahn crop - ネヘブ/Nehebが所属する。
- レト一門/Rhet crop - イータ/Ethaやイクソル/Ixorが所属する。
- ネフ一門/Nef crop - ピタムン/Pytamunが所属する。
一門の最初の仕事は一門のオベリスクを建立することであり、優に十年はかかる務めである。この務めを通して一門は友情の絆を深め、五つの試練を突破し栄誉の死を迎えるために互いに励まし合う。
見習いの期間は一門が神々のピラミッド/Pyramid of the Pantheonで評定の儀式/The Ceremony of Measurementと呼ばれる魔法の儀式を受けることで終わる。神々は見習いたちの信念を見極め、ある者は王神の修練者/Initiateとなり、ある者は一柱の神に使える侍臣/Vizierになる。誉れなしとされたものは一門を破門され、都市から追放される。
[編集] 修練者/Initiate
修練者/Initiateとして認められた者は、五つの試練/Trialの達成を目指して日々鍛錬に励む。この試練は、現世における完全性の五つの側面を試すものであり、対応する神の碑で行われる。一門の者が共同して試練に当たる。
- 結束の試練/The Trial of Solidarity - オケチラが執り行う第一の試練。他者と協力する力を測る。
- 知識の試練/The Trial of Knowledge - ケフネトが執り行う第二の試練。精神的な能力を測る。
- 活力の試練/The Trial of Strength - ロナスが執り行う第三の試練。肉体的な能力を測る。
- 野望の試練/The Trial of Ambition - バントゥが執り行う第四の試練。為すべきことを為す意志力を測る。
- 激情の試練/The Trial of Zeal - ハゾレトが執り行う最後の試練。死に挑む。
試練を達成した者にはその証として、対応するカルトーシュ/Cartoucheが授けられる。これは王神の魔法を宿す護符であり、青く輝く鉱石、ラゾテプ/Lazotepが埋め込まれている。各々のカルトーシュは繋ぎ合わせることができ、修練者の胸に一列に並ぶことになる。王神の教えによれば、この勲章が修練者の本質を保存し、来世での人生を約束してくれるとされる。
激情の試練を通過した栄誉ある遺骸は葬送の舟によって来世への門/Gate to the Afterlifeへ運ばれる。彼らは壮麗なオアシスの中で、王神が彼らを永遠の来世に招くために降臨するのを待つこととなる。
[編集] 侍臣/Vizier
評定の儀式で、少数の者は五柱の神から選ばれ、その侍臣/Vizierとなる。侍臣は儀式の先導、試練の監督、見習いや修練者の稽古、ヘクマの防護の監視、神々の意志を伝えることなど多くの重要な仕事を果たす。修練者と違い侍臣に五つのカルトーシュはもたらされないが、代わりに彼らは一つの熟達した面を示したカルトーシュを授かる。彼らの献身は、その功労を終えた後に与えられる栄誉の死で報いられる。
[編集] 選定された者/The Anointed
来世での栄光を目指すものも、すべてが成功するわけではない。訓練中に命を落とした見習い、試練に失敗した修練者、献身を証明する前に没した侍臣、王神は彼らを放浪の呪いによって永遠に砂漠を彷徨う運命から救う。彼らの死体は不朽処理され、選定され、仕えるために起き上がる。
選定された者は個々の仕事によって、その命令を与えるカルトーシュを授けられる。彼らの仕事は作物の収穫、石材の運搬、建築、給仕と清掃、子供の世話、汚物の処理、儀礼の補助、見習いや修練者達の修行の相手、葬送の舟の導き、他のミイラの不朽処理などである。彼らの奉仕は、来世への付き添いとしての地位をもたらす。
[編集] 造反者/Dissenter
王神の教えを疑った者は造反者/Dissenterと呼ばれる。彼らへの処罰は過酷である。天使/Angelたちは彼らをTombs of Disgrace(不名誉の墓)と呼ばれる囚人の手が剥き出しとなった特別な石棺(イラスト)に閉じ込める。石棺はナクタムンの通りに並べられる。これはDisplay of Doubt(疑念の展示)として知られる。展示が終わると天使は造反者をヘクマの外へと運び、放浪の呪いに呑み込まれるに任せる。
[編集] キャラクター
- アモンケット出身者
- サムト/Samut - ター一門に所属していた人間の元修練者。女性。隠されていた過去の歴史を知り、造反者となった。ナクタムンを襲う破滅の中、プレインズウォーカーとして覚醒する。
- バスリ・ケト/Basri Ket - オケチラを崇める人間の元修練者。男性。ゲートウォッチ/The Gatewatchがアモンケットを訪れる少し前に覚醒し、他の次元へと姿を消した。
- 他次元からの来訪者
- ゲートウォッチ/The Gatewatch - プレインズウォーカーのチーム。ボーラスの謀略を突き止めるため、この次元を訪れた。
- ギデオン・ジュラ/Gideon Jura - テーロス/Theros出身の人間の神聖術師。
- ジェイス・ベレレン/Jace Beleren - ヴリン/Vryn出身の人間の精神魔道士。
- リリアナ・ヴェス/Liliana Vess - ドミナリア/Dominaria出身の人間の屍術師/Necromancer。彼女の真の目的は、自らを縛る契約の悪魔ラザケシュを葬ることである。
- チャンドラ・ナラー/Chandra Nalaar - カラデシュ/Kaladesh出身の人間の紅蓮術師。
- ニッサ・レヴェイン/Nissa Revane - ゼンディカー/Zendikar出身のエルフの精霊信者。
- ニコル・ボーラス/Nicol Bolas - ドミナリア出身のエルダー・ドラゴン/Elder Dragon。この次元を支配した王神そのものである。
- テゼレット/Tezzeret - エスパー/Esper出身の人間の工匠。ボーラスの手先として、次元橋/Planar Bridgeで永遠衆/Eternalをラヴニカ/Ravnicaへと転送した。
- ダク・フェイデン/Dack Fayden - フィオーラ/Fiora出身の人間の盗賊。灯争大戦のさなか、次元橋を止めるためカーン・ニクシリス・サムトと共にこの地へ向かった。
- カーン/Karn - ドミナリア出身のゴーレム。
- オブ・ニクシリス/Ob Nixilis - 元人間のデーモン/Demon。
- サルカン・ヴォル/Sarkhan Vol - タルキール/Tarkir出身のシャーマン。アジャニ/Ajaniからの連絡を受け、ボーラスを打倒する手掛かりを探していた。
- ゲートウォッチ/The Gatewatch - プレインズウォーカーのチーム。ボーラスの謀略を突き止めるため、この次元を訪れた。
- アモンケットの住人
- 神
- オケチラ/Oketra - 猫の頭部を持つ神。
- ケフネト/Kefnet - トキの頭部を持つ神。
- バントゥ/Bontu - クロコダイルの頭部を持つ神。
- ハゾレト/Hazoret - ジャッカルの頭部を持つ神。
- ロナス/Rhonas - コブラの頭部を持つ神。
- 蠍の神/The Scorpion God - 蠍の頭部を持つ神。
- 蝗の神/The Locust God - 蝗の頭部を持つ神。
- スカラベの神/The Scarab God - スカラベの頭部を持つ神。
- サブ=スネン/Sab-Sunen - カエルの頭部を持つ神。
- ケトラモーズ/Ketramose - 獅子の頭部を持つ神。
- 人型種族
- デジェル/Djeru - ター一門に所属する人間の修練者。男性。
- ハパチラ/Hapatra - ロナスに仕える人間の侍臣。女性。毒物の侍臣/Vizier of poisonsとして、活力の試練で使われるバジリスクを管理する。
- ネヘブ/Neheb - アン一門に所属するミノタウルスの修練者。男性。
- テムメト/Temmet - オケチラに仕える人間の侍臣。男性。ナクタムンの侍臣/Vizier of Naktamunとして、他の侍臣を監督し、都市の基本的施設を管理する。
- イモーティ/Imoti - ナクタムンの外に暮らすナーガ。女性。
- その他
- ラザケシュ/Razaketh - リリアナと魂の契約を交わしたデーモンの一体。
[編集] 登場
[編集] 登場カード
[編集] フレイバー・テキストに登場
- アモンケット
- 枯死コウモリ/Blighted Bat、グレイブディガー/Gravedigger、穢れた果樹園/Foul Orchard
- 破滅の刻
- 死者の砂丘/Dunes of the Dead、敵意ある砂漠/Hostile Desert、マンティコアの永遠衆/Manticore Eternal、穢れた血、ラザケシュ/Razaketh, the Foulblooded、砂爆破/Sandblast
- ドミナリア
- ギデオンの叱責/Gideon's Reproach
- 灯争大戦
- 不気味な修練者/Grim Initiate、戦慄衆の先駆け/Herald of the Dreadhorde、護法鱗のクロコダイル/Wardscale Crocodile
- 統率者レジェンズ
- 副陽のスフィンクス/Sphinx of the Second Sun
- モダンホライゾン2
- 永久の証人/Timeless Witness(スケッチ版)
- 機械兵団の進軍
- 死滅都市の開封/Unseal the Necropolis、花咲く砂地/Blossoming Sands
[編集] 登場作品・登場記事
- AMONKHET/『アモンケット』(旧公式サイト、いずれもInternet Archive)
- AMONKHET/アモンケット(公式サイト)
- Plane Shift: Amonkhet(PDF)(Feature 2017年7月5日) - ダンジョンズ&ドラゴンズでアモンケットの世界観を再現するためのサプリメント
- Puppets/闇の手先(Magic Story 2017年1月25日 James Wyatt著、名前のみ)
- Renewal/未来へ(Magic Story 2017年2月1日 Mel Li, Kelly Digges, Alison Luhrs, Doug Beyer, Chris L'Etoile著、名前のみ)
- The Legendary Team-Ups of March of the Machine/『機械兵団の進軍』の伝説のチームたち(Daily MTG - Feature 2023年4月13日 Emily Teng著)
- Planeswalker's Guide to Aetherdrift, Part 2/プレインズウォーカーのための『霊気走破』案内 その2(Daily MTG 2024年12月11日 Miguel Lopez著)
[編集] その他
- モチーフは古代エジプト[1]。ミイラ[1]や砂漠[2]といった要素のほか、獣頭の神々はアヌビスなどのエジプト神話の神[1]、碑はピラミッドやギザの大スフィンクスといった巨大建造物[2]、ルクサ川はナイル川[3]をそれぞれモチーフとしている。
[編集] 脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 Amonkhet Down to Business, Part 1/『アモンケット』に入ろう その1(Making Magic 2017年4月3日 Mark Rosewater著)
- ↑ 2.0 2.1 Amonkhet Down to Business, Part 2/『アモンケット』に入ろう その2(Making Magic 2017年4月10日 Mark Rosewater著)
- ↑ Amonkhet Talking, Part 1/『アモンケット』語り その1(Making Magic 2017年4月24日 Mark Rosewater著)