サルカン・ヴォル/Sarkhan Vol (ストーリー)

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===狂乱のサルカン===
 
===狂乱のサルカン===
彼のもう一つの姿である[[狂乱のサルカン/Sarkhan the Mad]]は、忠誠を誓った主である[[ニコル・ボーラス/Nicol Bolas (ストーリー)|ニコル・ボーラス/Nicol Bolas]]が計略敗れ、アラーラから姿を消した事によって心が折れてしまった状態である。完全にボーラスを盲信しており、言動が不明瞭なことも多い。
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彼の姿の一つである[[狂乱のサルカン/Sarkhan the Mad]]は、忠誠を誓った主である[[ニコル・ボーラス/Nicol Bolas (ストーリー)|ニコル・ボーラス/Nicol Bolas]]が計略敗れ、アラーラから姿を消した事によって心が折れてしまった状態である。完全にボーラスを盲信しており、言動が不明瞭なことも多い。
  
 
==経歴==
 
==経歴==
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タルキールの[[氏族/Clan]]の一つ、[[マルドゥ族/The Mardu Horde]]に生まれたサルカンは、生来、龍への強い憧憬を抱いていた。軍族として戦いに生きるのがサルカンの宿命であり、彼の魔法の才能、獰猛さ、そして闘志は同族からも恐れられるほどであったが、それらはサルカンにとってただの日々の生活にすぎず彼の心を真に満たすことはなかった。
 
タルキールの[[氏族/Clan]]の一つ、[[マルドゥ族/The Mardu Horde]]に生まれたサルカンは、生来、龍への強い憧憬を抱いていた。軍族として戦いに生きるのがサルカンの宿命であり、彼の魔法の才能、獰猛さ、そして闘志は同族からも恐れられるほどであったが、それらはサルカンにとってただの日々の生活にすぎず彼の心を真に満たすことはなかった。
  
際限ない戦いの日々に倦み、サルカンは放浪の旅に出た。その中で彼はいくつか不可思議な体験をした。カル・シスマ山脈/Qal Sisma Mountainsへの登山中、彼は己を呼ぶ謎の声を聞いた。ある夜、氷の中から彼自身の姿をしたなにものかが現れ、彼に龍とその力について囁いた。その姿が消えた後、目の前に一人の若者が現れ、彼をいにしえの龍たちの伝承らしきものを詠唱する「囁く者/the whisperers」たちの洞窟へと導いた。彼はそこで数ヶ月過ごし、幾ばくかの平穏を得たが満たされることはなく去った。
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際限ない戦いの日々に倦み、サルカンは放浪の旅に出た。その中で彼はいくつか不可思議な体験をした。[[カル・シスマ山脈/The Qal Sisma mountains]]への登山中、彼は己を呼ぶ謎の声を聞いた。ある夜、氷の中から彼自身の姿をしたなにものかが現れ、彼に龍とその力について囁いた。その姿が消えた後、目の前に一人の若者が現れ、彼をいにしえの龍たちの伝承らしきものを詠唱する「囁く者/the whisperers」たちの洞窟へと導いた。彼はそこで数ヶ月過ごし、幾ばくかの平穏を得たが満たされることはなく去った。
  
 
氏族に帰還したサルカンを戦士たちは歓迎したが、彼らの軍族長/hordechiefであった[[ズルゴ/Zurgo]]はそうではなかった。ズルゴはサルカンに騎馬隊を任せて[[スゥルタイ群/The Sultai Brood]]への戦に派遣したが、隊の兵は精兵ではなかった。無益な戦いに失望したサルカンの中で怒りが燃え上がったが、再び謎の声を聞いた。それを古きドラゴンの声だと確信したサルカンは応えるように、純粋な炎を放って敵味方問わず戦場を焼きつくした。龍の炎の栄光の中、喜びに酔いしれたサルカンは気が付くと果てしない砂漠の只中にいた。そこで彼は初めて本物の、生きたドラゴンを目にした。
 
氏族に帰還したサルカンを戦士たちは歓迎したが、彼らの軍族長/hordechiefであった[[ズルゴ/Zurgo]]はそうではなかった。ズルゴはサルカンに騎馬隊を任せて[[スゥルタイ群/The Sultai Brood]]への戦に派遣したが、隊の兵は精兵ではなかった。無益な戦いに失望したサルカンの中で怒りが燃え上がったが、再び謎の声を聞いた。それを古きドラゴンの声だと確信したサルカンは応えるように、純粋な炎を放って敵味方問わず戦場を焼きつくした。龍の炎の栄光の中、喜びに酔いしれたサルカンは気が付くと果てしない砂漠の只中にいた。そこで彼は初めて本物の、生きたドラゴンを目にした。
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チャンドラをも倒そうとするサルカン。しかし、彼女の炎を見ると攻撃を止め、ウギンの名前を口にした。サルカンは彼女の頼みを受け入れウギンの目に案内する。しかしそれはチャンドラを目の生贄とするためだった。サルカンはドラゴン変化し、チャンドラに襲いかかる。
 
チャンドラをも倒そうとするサルカン。しかし、彼女の炎を見ると攻撃を止め、ウギンの名前を口にした。サルカンは彼女の頼みを受け入れウギンの目に案内する。しかしそれはチャンドラを目の生贄とするためだった。サルカンはドラゴン変化し、チャンドラに襲いかかる。
  
チャンドラは必死に応戦するものの面晶体/Hedronに魔法を吸収されてしまい、ドラゴン変化したサルカンの攻撃を避けるのが精一杯だった。その時、別の入口から侵入した[[ジェイス・ベレレン/Jace Beleren (ストーリー)|ジェイス・ベレレン/Jace Beleren]]がチャンドラに協力し、彼女に[[幽霊火/Ghostfire|透明な炎(Sheer Fire)]]を使うことを教え、さらに[[双つ術/Twincast]]を使う。その二回の炎によってサルカンは倒された。
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チャンドラは必死に応戦するものの[[面晶体/Hedron]]に魔法を吸収されてしまい、ドラゴン変化したサルカンの攻撃を避けるのが精一杯だった。その時、別の入口から侵入した[[ジェイス・ベレレン/Jace Beleren (ストーリー)|ジェイス・ベレレン/Jace Beleren]]がチャンドラに協力し、彼女に[[幽霊火/Ghostfire|透明な炎(Sheer Fire)]]を使うことを教え、さらに[[双つ術/Twincast]]を使う。その二回の炎によってサルカンは倒された。
  
 
===Enter the Eldrazi===
 
===Enter the Eldrazi===
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===タルキール覇王譚===
 
===タルキール覇王譚===
ボーラスへの奉仕がただの徒労だった事を思い知らされたサルカンは、幻影の龍の声の導きにより故郷タルキールに帰還する。ひたすら戦いを繰り返す未来のない「この地を癒やす」ように導かれ、再び文明に活気をもたらす何かを取り戻すために「入口」を探し放浪する。
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ボーラスへの奉仕がただの徒労だった事を思い知らされたサルカンは、[[苦しめる声/Tormenting Voice|幻影の龍の声]]の導きにより故郷タルキールに帰還する。ひたすら戦いを繰り返す未来のないこの地を「癒やす」ように導かれ、「入口」を探し放浪する。
  
ジェスカイの要塞を訪れたサルカンの前に、[[ジェスカイ道/The Jeskai Way]][[カン/Khan]]である[[ナーセット/Narset]]が姿を現す。彼の瞳の中に別の力を感じた彼女は此処へ来た経緯を話すよう促し、サルカンはたどたどしくもナーセットへすべてを話した。彼女はサルカンを導いているのが[[ウギン/Ugin]]であることを確信し、[[精霊龍の墓/Tomb of the Spirit Dragon#ストーリー|精霊龍の墓/The Spirit Dragon's tomb]]へ彼を連れて行くことを決めた。
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===「きずな」への旅/Journey to the Nexus===
辿り着いた峡谷でサルカンの杖が輝き出し、[[ウギンのきずな/Ugin's Nexus#ストーリー|きずな/The Nexus]]から燃え盛る扉が彼らの前に現れる。しかし二人は[[ズルゴ/Zurgo]]の襲撃を受け、ズルゴの凶刃にナーセットが倒れた。
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[[ジェスカイ道/The Jeskai Way]]の高山を訪れたサルカンの前に、ジェスカイの[[カン/Khan]]である[[ナーセット/Narset]]が姿を現す。彼の瞳の中に別の力を感じた彼女は此処へ来た経緯を話すよう促し、サルカンはたどたどしくもナーセットへすべてを話した。彼女はサルカンを導いているのが[[ウギン/Ugin]]であることを確信し、[[精霊龍の墓/Tomb of the Spirit Dragon#ストーリー|精霊龍の墓/The Spirit Dragon's tomb]]へ彼を連れて行くことを決めた。
激高したサルカンは帰還した後にズルゴへ報復することを誓い、扉を潜り抜けた。
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===運命再編===
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2人はカル・シスマ山脈に入り、ウギンの眠る峡谷に辿り着いた。サルカンの内なる声は強くなり、彼の杖の面晶体の欠片が脈動し、輝き出した。そこに突然、サルカンへの復讐に燃える[[ズルゴ/Zurgo]]が現れた。ナーセットは怒れるズルゴの拳を受け止め、ここは自分に任せて先へ進むようサルカンに言った。彼女は戦闘を優勢に進めたが、不意を突かれて剣の一撃を受け、鮮血を迸らせて地面に崩折れた。サルカンは怒りと悲しみに心を掻き乱されながら、[[ウギンのきずな/Ugin's Nexus#ストーリー|きずな/The Nexus]]に現れた燃え盛る扉をくぐり、1280年前のタルキールへと旅立った。
扉を潜り抜けたサルカンが目にしたのは、上空をドラゴンの群れが飛び回るタルキールの空であった。彼は自分が憧れていた龍の住むタルキールの世界に歓喜し、ドラゴンへと変化してその群れへ加わったが群れは人間の部族によって包囲され、彼はドラゴンが人間に狩られる様を目の当たりにした。怒ったサルカンは狩猟の長である人間の女を殺そうと考えたが、同時に龍を狩る手腕と勇気に感銘し、その跡を追う事にした。
+
[[ティムール境/The Temur Frontier]]の集落で、サルカンは女に待ち伏せされた。互いに名乗った際、女は男の名をサル-カン(偉大なるカン)と呼んで敬意を表しながらも警戒し、サルカンは女がティムールのカン「[[ヤソヴァ/Yasova]]」と名乗ったことで非礼を詫び、自分がいるこの地がどんな世界であるかを尋ねた。
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ヤソヴァが話したことは、サルカンにとって破滅の呪文に等しかった。彼が扉を潜って辿り着いたのは1280年前の龍が絶滅していない時代のタルキールであり、今この時はウギンがボーラスに敗れ没した日であり、彼女はウギンを殺せば龍のいない平和な未来が訪れるとボーラスに唆されていたのだ。そして上空では、2匹の巨大なドラゴンが決闘を始めようとしていた。
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===古の、新たなタルキール/A New Tarkir of Old===
サルカンはウギンに加勢し、ボーラスを討つためドラゴンに変化して空を飛んだ、しかしヤソヴァはをドラゴンを使役する呪文を唱え、サルカンごとドラゴンの大軍を操りウギンへ襲わせた。人間へ戻ることで呪文の支配から逃れたサルカンであったが飛行能力を失って墜落し、地面へ激突し致命傷を負った。そしてウギンはボーラスに討たれ、谷底へ墜落した。
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扉を潜り抜けたサルカンが目にしたのは、上空を龍の群れが飛び回るタルキールの空であった。彼は自分が憧れていた龍の住むタルキールの世界に歓喜し、自らも竜の姿へと変化してその群れへ加わった。しかし程なくして群れは人間の部族によって包囲され、彼は龍が人間に狩られる様を目の当たりにした。怒ったサルカンは狩猟の長である人間の女性を殺そうと考えたが、同時に龍を狩る手腕と勇気に感銘し、その後を追う事にした。
  
絶望に瀕して死を待つのみとなったサルカンへ、ヤソヴァが近づき治癒の呪文を唱えた。彼の言うことはおよそ信じられなかったが、ならば訊問し真実と正体を知るためわずかながらに彼を回復させたのだった。死は免れたが重症の体を引きずるサルカンは「ウギンを救う」と発し、制止しようとしたヤソヴァへ[[苦悩火/Banefire]]を放ち彼女を気絶させた。
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===書かれざるもの/Unwritten===
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しかしその女性、[[ティムール境/The Temur Frontier]]のカンである[[ヤソヴァ/Yasova]]は彼の尾行に気付いており、サルカンを捕らえた上で尋問した。ヤソヴァにとって彼はティムールの領土に無断で侵入した不審者に他ならなかったが、ウギンを探していると言い、'''サル-カン'''/''Sar-khan''――カンの中のカン――を名乗るこの男がいったい何者であるのかを見極めるため、彼を殺さず、話を聞くことにしたのだ。サルカンは狂人の妄想と思われるのを覚悟の上で、真実を語った。自分は龍が絶滅した、未来のタルキールから来たのだと。
  
谷底で死を待ち横たわるウギンの元へ辿り着いたサルカンは「なぜ俺をこの時代に連れてきた!?俺はどうすればいいのだ!!」と叫び、それに対してウギンは「そうやって他の龍の導きに縋る限り、お前は自分の内にある龍になることはできない」と返した。サルカンは杖から[[ウギンの目/Eye of Ugin]]を取り出し、彼へ掲げた。それはウギンを癒す石の繭となり、不可視の結界と化して彼の地にこれを封印した。かくしてウギンが死ぬ運命は覆り、未来に大きな変化が生じた。
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意外にも、ヤソヴァは彼の言葉を受け入れた。彼女もまた、龍が絶滅した未来のタルキールの幻視を見ていたのだ。しかし、龍を失った結果、生きるためでなく私欲のために戦うようになった氏族を見てきたサルカンと、今実際に龍に苦しめられているヤソヴァでは、「龍のいないタルキール」に対する見解は正反対であった。彼女は言った、自分が[[龍の大嵐/Dragon Tempest#ストーリー|龍の大嵐/Dragon tempests]]を追いながら印を残し、精霊龍のねぐらへの道を示せば、自分に未来の幻視を見せてくれた「偉大なる龍」がウギンを殺し、タルキールに平和が訪れると。彼女の語ったその龍の姿は、サルカンもよく知る存在――ニコル・ボーラスそのものであった。
  
永らく久しぶりに、そしてようやく自分の意志で成すべき事をした結果に満足したサルカンは「一体何をしたのだ」と叫ぶヤソヴァへ感謝の言葉を述べ、再編される運命に身を委ね、この時間から消滅した。
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ウギンが危機にある。ボーラスは今、ここにいる。サルカンは龍の姿になり、飛び立った。
  
===タルキール龍紀伝===
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===再編の連環/The Reforged Chain===
[[精霊龍のるつぼ/Crucible of the Spirit Dragon]]で目を覚ましたサルカンは、自らがウギンへ施した封印が目の前にあること、そして上空ではドラゴンが飛び回っていることに運命が再編されたのを確信し、狂喜した。だが彼は自分がどれほど大きく運命を変化させたのかをすぐさまに思い知らされた。
+
空の裂け目からニコル・ボーラスが現れ、ウギンとの一大決戦が始まった。ボーラスを討つべく、サルカンは龍の姿のままウギンに加勢しようとした。ウギンは[[次元/Plane|次元]]全土を揺るがす咆哮を上げ、それに応えてタルキール中から龍の軍勢が集まった。しかしその時、地上のヤソヴァが強力な精霊呪文を織り上げた。その呪文は龍たちの精神を支配し、彼らは敵であるボーラスではなく、主であるウギンの方に襲いかかった。サルカンは人間の姿に戻ることで呪文の束縛から逃れたが、代わりに翼を失い、地面へと落下した。
人間を含むすべての生物は奴隷あるいは食料としてドラゴンに支配され、[[カン/Khan]]は遥か昔に5匹の龍王によって滅ぼされ、カンを唱えた者はドラゴンに殺された。かつて自分がいた部族の名はマルドゥではなくコラガンとなり、知人であったはずの[[足首裂き/Ankle Shanker]]は薬瓶割りと名が変わっており、[[兜砕きのズルゴ/Zurgo Helmsmasher]]は鐘叩きとなり、そして出会う者すべてが、サルカンの事を知らなかった。
+
  
サルカンは自分のしたことがナーセットの命を救ったのか不安に駆られ、ジェスカイ-この世界ではオジュダイと呼ばれる部族の拠点である龍眼の聖域へ向かった。そこではナーセットでなく部族の師を務めるテイガムが彼を迎え、テイガムの口から彼女は異端者として罰せられ、もうここには居ないと告げられた。
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墜落の衝撃で瀕死状態となったサルカンの命を助けたのは、他ならぬヤソヴァであった。彼女はサルカンの中に何かの答えがあるように感じ、彼が何者であるのかをはっきりさせる必要があると考えていた。彼女は癒しの呪文でサルカンの身体を治療しながら、彼に戦いの終わりを――ウギンの敗北を知らせた。サルカンは大地の裂け目に墜ちるウギンの姿を見た。サルカンとヤソヴァの視線が交錯したとき、サルカンは、ウギンの死を望んでいたはずの彼女の顔に懸念の影がよぎったように思った。彼はウギンを救うと宣言した。サルカンは制止しようとするヤソヴァへと[[苦悩火/Banefire|龍の炎の魔法]]を放ち、彼女を気絶させた。
  
余りにも大きな運命の変転に打ちのめされたサルカンは事の真実を知るため、そしてナーセットを救うためウギンを封印から解放することを決意した。
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[[精霊龍のるつぼ/Crucible of the Spirit Dragon#ストーリー|裂け目の底]]に辿り着いたサルカンは死を待ち横たわるウギンの元へ駆け、導きを求めた。理解などできない、教えてくれ、俺を助けてくれ、と。死にゆく巨龍から返答はなく、代わりに頭に響いたのは他ならぬサルカン自身の心の声であった。''――お前ではない龍を求めている限り、決して自身の内なる龍にはなれない――''。
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サルカンは杖から面晶体の欠片を取り外した。龍魔道士サルカン・ヴォルの吐息が吹き込まれたウギンの目の一片は癒しの繭となり、ウギンの身体を完全に覆い尽くした。ウギンが死ぬ歴史は覆り、運命は再編された。永らく久しぶりに、そしてようやく自分の意志で成すべき事ができたと感じた。サルカンはヤソヴァへ感謝の言葉を述べた。時の力が1280年前のタルキールからサルカンを消し去った。
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===龍たちのタルキール/A Tarkir of Dragons===
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サルカンは元の時代、運命を再編してから1280年後のタルキールの地に戻っていた。龍の群れが飛び交う大空を見て、サルカンの目から涙が溢れた。サルカンはタルキールの龍たちをも救ったのだ。しかし[[精霊龍のるつぼ/Crucible of the Spirit Dragon#ストーリー|精霊龍のるつぼ/Crucible of the Spirit Dragon]]には未だ繭が存在しており、ウギンが目覚めた様子はなかった。しかしサルカンにとってはこの世界が現実であり、自分がここにいるということだけで十分だった。サルカンは龍の姿を取り、タルキールの各地を飛び回った。彼は繰り返し繰り返し、喜びの咆哮を上げた。
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突然サルカンの龍の耳に不快な鐘の音が響いた。マルドゥのものらしき宿営地と、その中央で鐘を鳴らす1人の[[オーク]]が目に入った。同時に宿営地から龍たちが空へと弾け出た。龍と氏族の民が同じ宿営地に共生している事に喜びを感じつつ、サルカンは宿営地に着地し人の姿をとった。「侵入者」を出迎えたのは先程の鐘を鳴らしていた人物――そしてサルカンがよく知っている人物――ズルゴであった。彼はカンではなく、兜砕き/Helmsmasherでもなく、サルカンのことを全く知らなかった。サルカンは自分を除いたタルキールのすべての運命が変わっている事に動揺し戸惑ったが、つまりそれは彼女もまた同じだと気付いた。サルカンはナーセットに会うべく、ジェスカイの領土を目指した。
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[[オジュタイ/Ojutai]]の弟子、[[テイガム/Taigam]]に会いナーセットの居場所を問うも、「異端者ナーセットは去った」と聞かされるのみで追い返されてしまう。サルカンにとって完璧なものに見えていたタルキールだったが、今や傷つき荒廃して見えた。彼女のいない世界になど、何の意味もなかった。怒りの咆哮を上げる中、ひとつの手がかりを思い出す。ウギン。
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精霊龍を目覚めさせるべく、彼が眠る繭へと急いだ。
  
 
==登場==
 
==登場==
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*[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/uncharted-realms/new-tarkir-old-2014-12-31 A New Tarkir of Old]/[http://mtg-jp.com/reading/translated/ur/0011830/ 古の、新たなタルキール](Uncharted Realms 2014年12月31日 [[Kimberly J. Kreines]]著)
 
*[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/uncharted-realms/new-tarkir-old-2014-12-31 A New Tarkir of Old]/[http://mtg-jp.com/reading/translated/ur/0011830/ 古の、新たなタルキール](Uncharted Realms 2014年12月31日 [[Kimberly J. Kreines]]著)
 
*[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/uncharted-realms/unwritten-2015-01-14 Unwritten]/[http://mtg-jp.com/reading/translated/ur/0011991/ 書かれざるもの](Uncharted Realms 2015年1月14日 [[Kelly Digges]]著)
 
*[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/uncharted-realms/unwritten-2015-01-14 Unwritten]/[http://mtg-jp.com/reading/translated/ur/0011991/ 書かれざるもの](Uncharted Realms 2015年1月14日 [[Kelly Digges]]著)
 
+
*[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/uncharted-realms/reforged-chain-2015-01-21 The Reforged Chain]/[http://mtg-jp.com/reading/translated/ur/0012022/ 再編の連環](Uncharted Realms 2015年1月21日 [[Doug Beyer]]著)
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*[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/uncharted-realms/tarkir-dragons-2015-02-25 A Tarkir of Dragons]/[http://mtg-jp.com/reading/translated/ur/0014451/ 龍たちのタルキール](Uncharted Realms 2015年2月25日 [[Kimberly J. Kreines]]著)
 
==脚注==
 
==脚注==
 
<references />
 
<references />

2015年3月6日 (金) 13:00時点における版

サルカン・ヴォル/Sarkhan Volアラーラの断片ブロックエルドラージ覚醒タルキール覇王譚ブロック‎のキャラクター。

アラーラの断片に先立ちFrom the Vault:Dragonsカードドラゴン変化/Form of the Dragonヘルカイトの首領/Hellkite Overlord)で存在を匂わせ、同期のプレインズウォーカー・カードの中でも最初に公式サイトの記事で露出した。

目次

解説

タルキール/Tarkir出身[1]シャーマンでありドラゴン崇拝者でもある人間男性のプレインズウォーカー/Planeswalkerイラスト)。

マナの扱いに長け、ドラゴンに関する魔術を専門とする。例えば、ドラゴンを召喚・制御したり、ドラゴン族の激情を呼び起こしたり、あるいは自身がドラゴンのような姿に変身したり、ドラゴンの息攻撃を模倣して攻撃を行ったり等、多様である。

ドラゴンを崇めるサルカンではあったが、故郷の次元/Planeではドラゴンが狩り尽くされすでに絶滅しているため、究極の捕食者であるドラゴンを求め故郷を離れて多元宇宙/Multiverseを探索することになる。その旅の果てに、ドラゴンが頂点に立つ理想世界ジャンド/Jundを発見し、そこを住処と定めるのだった(A Planeswalker's Guide to AlaraおよびAlara Unbrokenによるとアラーラの断片ブロックの2年ほど前になる)。

狂乱のサルカン

彼の姿の一つである狂乱のサルカン/Sarkhan the Madは、忠誠を誓った主であるニコル・ボーラス/Nicol Bolasが計略敗れ、アラーラから姿を消した事によって心が折れてしまった状態である。完全にボーラスを盲信しており、言動が不明瞭なことも多い。

経歴

覚醒前

タルキールの氏族/Clanの一つ、マルドゥ族/The Mardu Hordeに生まれたサルカンは、生来、龍への強い憧憬を抱いていた。軍族として戦いに生きるのがサルカンの宿命であり、彼の魔法の才能、獰猛さ、そして闘志は同族からも恐れられるほどであったが、それらはサルカンにとってただの日々の生活にすぎず彼の心を真に満たすことはなかった。

際限ない戦いの日々に倦み、サルカンは放浪の旅に出た。その中で彼はいくつか不可思議な体験をした。カル・シスマ山脈/The Qal Sisma mountainsへの登山中、彼は己を呼ぶ謎の声を聞いた。ある夜、氷の中から彼自身の姿をしたなにものかが現れ、彼に龍とその力について囁いた。その姿が消えた後、目の前に一人の若者が現れ、彼をいにしえの龍たちの伝承らしきものを詠唱する「囁く者/the whisperers」たちの洞窟へと導いた。彼はそこで数ヶ月過ごし、幾ばくかの平穏を得たが満たされることはなく去った。

氏族に帰還したサルカンを戦士たちは歓迎したが、彼らの軍族長/hordechiefであったズルゴ/Zurgoはそうではなかった。ズルゴはサルカンに騎馬隊を任せてスゥルタイ群/The Sultai Broodへの戦に派遣したが、隊の兵は精兵ではなかった。無益な戦いに失望したサルカンの中で怒りが燃え上がったが、再び謎の声を聞いた。それを古きドラゴンの声だと確信したサルカンは応えるように、純粋な炎を放って敵味方問わず戦場を焼きつくした。龍の炎の栄光の中、喜びに酔いしれたサルカンは気が付くと果てしない砂漠の只中にいた。そこで彼は初めて本物の、生きたドラゴンを目にした。

その後幾つかの次元を渡り、ある時着いたこれまでのどこよりも獰猛な世界で、ついに長年追い求めてきた巨大なドラゴン、空の覇者の勇姿を目の当たりにした。ジャンドは彼にとっての楽園であった。

Alara Unbroken (1)

クレシュ/Kreshラッカ・マー/Rakka Marが率いるclan Antaga(アンタガ氏族)と遭遇し、サルカンは興味本位で氏族の“生命狩り”/Life Huntsに参加することになる。

白獅子の飛翔

プレインズウォーカーに目覚めたばかりのアジャニ/Ajaniがジャンドにさまよい出て巨竜カーサス/Karrthusに襲われていたところ、サルカンはアジャニを救ってプレインズウォーカーとしての簡単な指南を行う。

Alara Unbroken (2)

ラッカ・マーを橋渡しとしてニコル・ボーラスに紹介を受けたサルカンは、この古代竜のプレインズウォーカーに探し求めていたドラゴンの究極の姿を見出し、忠誠を誓うのだが…。

ヴェールの呪い/The Veil's Curse

サルカンはボーラスの命により、鎖のヴェール/The Chain Veilを手に入れたリリアナ・ヴェス/Liliana Vessを追っている。

Journey to the Eye

ボーラスの命によりゼンディカー/Zendikarのアクーム/Akoumにおいてウギンの目/Eye of the Uginを守備していたサルカンは、侵入者のアノワン/Anowonを殴り倒すことにより、アノワンに襲われて絶体絶命の危機だったチャンドラ・ナラー/Chandra Nalaarをたまたま救うこととなった。

Awakenings

チャンドラをも倒そうとするサルカン。しかし、彼女の炎を見ると攻撃を止め、ウギンの名前を口にした。サルカンは彼女の頼みを受け入れウギンの目に案内する。しかしそれはチャンドラを目の生贄とするためだった。サルカンはドラゴン変化し、チャンドラに襲いかかる。

チャンドラは必死に応戦するものの面晶体/Hedronに魔法を吸収されてしまい、ドラゴン変化したサルカンの攻撃を避けるのが精一杯だった。その時、別の入口から侵入したジェイス・ベレレン/Jace Belerenがチャンドラに協力し、彼女に透明な炎(Sheer Fire)を使うことを教え、さらに双つ術/Twincastを使う。その二回の炎によってサルカンは倒された。

Enter the Eldrazi

サルカンは気を失っていただけで生きていた。目を覚ますと二人のプレインズウォーカーは去った後だった。主人の命を果たせなかったことを悔やみながらも水を求めて一旦ウギンの目から外へ出ると、水場にはドラゴンの死体があった。サルカンは、そのドラゴンが語りかけてきて己の失態を攻める幻想をみる。その埋め合わせをするべく、ウギンの目を完全に開かせないように面晶体の一部を折りとりプレインズウォークする。

ボーラスの瞑想次元(Bolas's Meditation Plane)に降り立ったサルカンはボーラスの居城の本陣に向かう。ウギンの目守備の任務失敗を報告するが、ボーラスにとってはそれは策略のうちだった。目に3人のプレインズウォーカーを集め、エルドラージ/Eldraziを覚醒させることこそがボーラスの真の目的だったのだ。

タルキール覇王譚

ボーラスへの奉仕がただの徒労だった事を思い知らされたサルカンは、幻影の龍の声の導きにより故郷タルキールに帰還する。ひたすら戦いを繰り返す未来のないこの地を「癒やす」ように導かれ、「入口」を探し放浪する。

「きずな」への旅/Journey to the Nexus

ジェスカイ道/The Jeskai Wayの高山を訪れたサルカンの前に、ジェスカイのカン/Khanであるナーセット/Narsetが姿を現す。彼の瞳の中に別の力を感じた彼女は此処へ来た経緯を話すよう促し、サルカンはたどたどしくもナーセットへすべてを話した。彼女はサルカンを導いているのがウギン/Uginであることを確信し、精霊龍の墓/The Spirit Dragon's tombへ彼を連れて行くことを決めた。

2人はカル・シスマ山脈に入り、ウギンの眠る峡谷に辿り着いた。サルカンの内なる声は強くなり、彼の杖の面晶体の欠片が脈動し、輝き出した。そこに突然、サルカンへの復讐に燃えるズルゴ/Zurgoが現れた。ナーセットは怒れるズルゴの拳を受け止め、ここは自分に任せて先へ進むようサルカンに言った。彼女は戦闘を優勢に進めたが、不意を突かれて剣の一撃を受け、鮮血を迸らせて地面に崩折れた。サルカンは怒りと悲しみに心を掻き乱されながら、きずな/The Nexusに現れた燃え盛る扉をくぐり、1280年前のタルキールへと旅立った。

古の、新たなタルキール/A New Tarkir of Old

扉を潜り抜けたサルカンが目にしたのは、上空を龍の群れが飛び回るタルキールの空であった。彼は自分が憧れていた龍の住むタルキールの世界に歓喜し、自らも竜の姿へと変化してその群れへ加わった。しかし程なくして群れは人間の部族によって包囲され、彼は龍が人間に狩られる様を目の当たりにした。怒ったサルカンは狩猟の長である人間の女性を殺そうと考えたが、同時に龍を狩る手腕と勇気に感銘し、その後を追う事にした。

書かれざるもの/Unwritten

しかしその女性、ティムール境/The Temur Frontierのカンであるヤソヴァ/Yasovaは彼の尾行に気付いており、サルカンを捕らえた上で尋問した。ヤソヴァにとって彼はティムールの領土に無断で侵入した不審者に他ならなかったが、ウギンを探していると言い、サル-カン/Sar-khan――カンの中のカン――を名乗るこの男がいったい何者であるのかを見極めるため、彼を殺さず、話を聞くことにしたのだ。サルカンは狂人の妄想と思われるのを覚悟の上で、真実を語った。自分は龍が絶滅した、未来のタルキールから来たのだと。

意外にも、ヤソヴァは彼の言葉を受け入れた。彼女もまた、龍が絶滅した未来のタルキールの幻視を見ていたのだ。しかし、龍を失った結果、生きるためでなく私欲のために戦うようになった氏族を見てきたサルカンと、今実際に龍に苦しめられているヤソヴァでは、「龍のいないタルキール」に対する見解は正反対であった。彼女は言った、自分が龍の大嵐/Dragon tempestsを追いながら印を残し、精霊龍のねぐらへの道を示せば、自分に未来の幻視を見せてくれた「偉大なる龍」がウギンを殺し、タルキールに平和が訪れると。彼女の語ったその龍の姿は、サルカンもよく知る存在――ニコル・ボーラスそのものであった。

ウギンが危機にある。ボーラスは今、ここにいる。サルカンは龍の姿になり、飛び立った。

再編の連環/The Reforged Chain

空の裂け目からニコル・ボーラスが現れ、ウギンとの一大決戦が始まった。ボーラスを討つべく、サルカンは龍の姿のままウギンに加勢しようとした。ウギンは次元全土を揺るがす咆哮を上げ、それに応えてタルキール中から龍の軍勢が集まった。しかしその時、地上のヤソヴァが強力な精霊呪文を織り上げた。その呪文は龍たちの精神を支配し、彼らは敵であるボーラスではなく、主であるウギンの方に襲いかかった。サルカンは人間の姿に戻ることで呪文の束縛から逃れたが、代わりに翼を失い、地面へと落下した。

墜落の衝撃で瀕死状態となったサルカンの命を助けたのは、他ならぬヤソヴァであった。彼女はサルカンの中に何かの答えがあるように感じ、彼が何者であるのかをはっきりさせる必要があると考えていた。彼女は癒しの呪文でサルカンの身体を治療しながら、彼に戦いの終わりを――ウギンの敗北を知らせた。サルカンは大地の裂け目に墜ちるウギンの姿を見た。サルカンとヤソヴァの視線が交錯したとき、サルカンは、ウギンの死を望んでいたはずの彼女の顔に懸念の影がよぎったように思った。彼はウギンを救うと宣言した。サルカンは制止しようとするヤソヴァへと龍の炎の魔法を放ち、彼女を気絶させた。

裂け目の底に辿り着いたサルカンは死を待ち横たわるウギンの元へ駆け、導きを求めた。理解などできない、教えてくれ、俺を助けてくれ、と。死にゆく巨龍から返答はなく、代わりに頭に響いたのは他ならぬサルカン自身の心の声であった。――お前ではない龍を求めている限り、決して自身の内なる龍にはなれない――

サルカンは杖から面晶体の欠片を取り外した。龍魔道士サルカン・ヴォルの吐息が吹き込まれたウギンの目の一片は癒しの繭となり、ウギンの身体を完全に覆い尽くした。ウギンが死ぬ歴史は覆り、運命は再編された。永らく久しぶりに、そしてようやく自分の意志で成すべき事ができたと感じた。サルカンはヤソヴァへ感謝の言葉を述べた。時の力が1280年前のタルキールからサルカンを消し去った。

龍たちのタルキール/A Tarkir of Dragons

サルカンは元の時代、運命を再編してから1280年後のタルキールの地に戻っていた。龍の群れが飛び交う大空を見て、サルカンの目から涙が溢れた。サルカンはタルキールの龍たちをも救ったのだ。しかし精霊龍のるつぼ/Crucible of the Spirit Dragonには未だ繭が存在しており、ウギンが目覚めた様子はなかった。しかしサルカンにとってはこの世界が現実であり、自分がここにいるということだけで十分だった。サルカンは龍の姿を取り、タルキールの各地を飛び回った。彼は繰り返し繰り返し、喜びの咆哮を上げた。

突然サルカンの龍の耳に不快な鐘の音が響いた。マルドゥのものらしき宿営地と、その中央で鐘を鳴らす1人のオークが目に入った。同時に宿営地から龍たちが空へと弾け出た。龍と氏族の民が同じ宿営地に共生している事に喜びを感じつつ、サルカンは宿営地に着地し人の姿をとった。「侵入者」を出迎えたのは先程の鐘を鳴らしていた人物――そしてサルカンがよく知っている人物――ズルゴであった。彼はカンではなく、兜砕き/Helmsmasherでもなく、サルカンのことを全く知らなかった。サルカンは自分を除いたタルキールのすべての運命が変わっている事に動揺し戸惑ったが、つまりそれは彼女もまた同じだと気付いた。サルカンはナーセットに会うべく、ジェスカイの領土を目指した。

オジュタイ/Ojutaiの弟子、テイガム/Taigamに会いナーセットの居場所を問うも、「異端者ナーセットは去った」と聞かされるのみで追い返されてしまう。サルカンにとって完璧なものに見えていたタルキールだったが、今や傷つき荒廃して見えた。彼女のいない世界になど、何の意味もなかった。怒りの咆哮を上げる中、ひとつの手がかりを思い出す。ウギン。

精霊龍を目覚めさせるべく、彼が眠る繭へと急いだ。

登場

登場カード

フレイバー・テキストに登場

From the Vault:Dragons
ヘルカイトの首領/Hellkite Overlord
アラーラの断片
火のるつぼ/Crucible of Fire、ヘルカイトの首領/Hellkite Overlord、暴力的な根本原理/Violent Ultimatum
コンフラックス
苦悩火/Banefire
アラーラ再誕
途方もない力/Colossal Mightサングライトの反発/Sangrite Backlash
基本セット2010
反逆の行動/Act of Treason
基本セット2011
ドラゴンの爪/Dragon's Claw、反逆の行動/Act of Treason
基本セット2012
ドラゴンの爪/Dragon's Claw、反逆の行動/Act of Treason
基本セット2014
反逆の行動/Act of Treason
基本セット2015
火のるつぼ/Crucible of Fire
タルキール覇王譚
雪花石の麒麟/Alabaster Kirin蔑み/Despiseマルドゥの戦叫び/Mardu Warshrieker苦しめる声/Tormenting Voiceラッパの一吹き/Trumpet Blastウギンのきずな/Ugin's Nexus精霊龍の墓/Tomb of the Spirit Dragon
運命再編
勇敢な姿勢/Valorous Stance命運の核心/Crux of Fate龍怒/Dragonrage

イラストに登場

From the Vault:Dragons
ドラゴン変化/Form of the Dragon
アラーラの断片
暴力的な根本原理/Violent Ultimatum
コンフラックス
苦悩火/Banefire
From the Vault:Twenty
残酷な根本原理/Cruel Ultimatum
タルキール覇王譚
蔑み/Despise、苦しめる声/Tormenting Voice、精霊龍の墓/Tomb of the Spirit Dragon
運命再編
命運の核心/Crux of Fate

登場作品・登場記事

脚注

  1. 当初はモンセン/Mongsengを故郷にする構想であった。Khan Do Attitude, Part 1/カンの強い姿勢 その1

参考

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