再帰誘発型能力

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'''再帰誘発型能力'''/''Reflexive Triggered Ability''は、[[誘発型能力]]の一種。[[アモンケット]]で登場した。
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'''再帰誘発型能力'''/''Reflexive Triggered Ability''は、[[誘発型能力]]の一種。
  
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[[遅延誘発型能力]]と同じように、何らかの[[呪文]]や[[能力]][[解決]]されることで生成される能力である。その解決中に[[プレイヤー]]が「~してもよい/may」という処理を行ったかどうかが[[誘発条件]]になっており、「'''そうしたとき'''/''When'' [a player] ''does''」、「'''そうしなかったとき'''/''When'' [a player] ''doesn't''」もしくは「'''これにより'''/''This way''」の書式で書かれる。生成された再帰誘発型能力はただちに誘発条件をチェックし、満たしていたなら[[誘発]]し、次にいずれかのプレイヤーが[[優先権]]を得る際に[[スタック]]に置かれる。
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==解説==
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[[呪文]]や[[能力]][[効果]]の中で、[[解決]]中に何らかの処理をさせ「'''そうしたとき'''/''When'' [a player] ''does''」、「'''そうしなかったとき'''/''When'' [a player] ''doesn't''」もしくは「'''これにより[○○した]とき'''/''when [something happens] this way''」という書式で、その呪文や能力の解決後に何かを行うよう指示しているものがある。これを再帰誘発型能力という。
  
遅延誘発型能力は、自身が生成される前に[[誘発イベント]]が起こっていたとしても誘発しない。これに対し再帰誘発型能力は、自身を生成した呪文や能力の解決中に誘発イベントが起こっていたかどうかをチェックする。
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例として、[[追い詰められた曲者/Cornered Crook]]の誘発型能力には、[[アーティファクト]]を[[生け贄に捧げる|生け贄に捧げ]]てもよいという効果と、それによって[[誘発]]する再帰誘発型能力([[ダメージ]]を[[与える]]能力)が書かれている。この2つの能力は以下の手順で誘発し、解決される。
  
それ以外の点では、再帰誘発型能力は遅延誘発型能力の[[ルール]]に従う。すなわち、呪文によって生成された再帰誘発型能力の[[発生源]]はその呪文であり、他の能力によって生成された再帰誘発型能力の発生源はその能力の発生源と同じである。再帰誘発型能力の[[コントローラー]]は、それを生成した時点での呪文や能力のコントローラーと同じである。
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#追い詰められた曲者が[[戦場に出た]]とき、最初の能力が誘発する。それは[[対象]]を選ばない能力であり、単に[[スタック]]に置かれる。
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#その解決時に、アーティファクトを生け贄に捧げるか否かを選択する。生け贄に捧げなかった場合は、再帰誘発型能力は誘発せず、スタックに置かれない。
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#「そうしたとき」(生け贄に捧げたとき)、再帰誘発型能力が誘発し、次に[[プレイヤー]]が[[優先権]]を得る際、つまり元の能力の解決後にスタックに置かれる。この能力がスタックに置かれる際に、ダメージを与える[[任意の対象|1つの対象]]を選ぶ。プレイヤーはこれに[[対応]]することができる。
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#再帰誘発型能力が解決されれば、対象にダメージが与えられる。
  
例として、[[電光吠えのドラゴン/Sparktongue Dragon]][[ルール文章]]には、誘発型能力([[マナ]]を[[支払う]]能力)と、それによって生成される再帰誘発型能力([[ダメージ]]を[[与える]]能力)が書かれている。この2つの能力は以下の手順で誘発し、解決される。
+
呪文によって生成された再帰誘発型能力の[[発生源]]はその呪文であり、他の能力によって生成された再帰誘発型能力の発生源はその能力の発生源と同じである。再帰誘発型能力の[[コントローラー]]は、それを生成した時点での呪文や能力のコントローラーと同じである。
  
#電光吠えのドラゴンが[[戦場に出る|戦場に出た]]とき、最初の能力が誘発する。それは[[対象]]を選ばない能力であり、単にスタックに置かれる。
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*「そうしたなら、/If you do,」という[[ルール・テキスト]]は再帰誘発型能力ではない。
#その解決時に、[[あなた]]は(2)([[赤マナ|]])を支払うか否かを選択する。
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*再帰誘発型能力が誘発するかどうかは、誘発条件である[[イベント]]が実際に起きたかどうかを見る。結果が[[置換効果]]などによって変化した結果、再帰誘発型能力が誘発しなくなることがある。
#支払うことを選ばなかった場合、再帰誘発型能力は誘発せず、スタックに置かれない。
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**例:[[王家の跡継ぎ/The Royal Scions]]の-8[[忠誠度能力]]の再帰誘発型能力は、[[覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils]]などにより[[カード]]を4枚[[引く]]ことができなかった場合誘発しない。
#支払うことを選んだ場合、再帰誘発型能力がただちに誘発し、次にプレイヤーが優先権を得る際にスタックに置かれる。この能力がスタックに置かれるとき、対象を取る必要がある。
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#再帰誘発型能力が解決され、対象にダメージが与えられる。
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==利点==
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;前半の結果を見てから他のプレイヤーが対応できる
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:誘発型能力には、[[コスト]]を[[支払う|支払った]]場合のみ実際の効果が発生するようなものが一部存在する。古いカード(例:[[カルドーサの炎魔/Kuldotha Flamefiend]])ではコストを支払ったあと、続く効果の処理が即座に行われるため、他のプレイヤーはそのコストが支払われるかどうかを見てから[[対応して]]行動することはできず、解決前に行動しなければならなかった。再帰誘発型能力(例:[[心臓貫きのマンティコア/Heart-Piercer Manticore]])ではコストが支払われたあと各プレイヤーが[[優先権]]を得るため、コストを支払ったのを見てから行動できる。
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;前半の結果を見てから対象を選べる
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:対象を取る呪文や能力で、効果の量が解決中に決まるものがある。従来のカードでは量が決まる前に対象を選ばなければならなかったが(例:[[うつろう爆発/Erratic Explosion]])、再帰誘発型能力では前半の結果を見てから対象を選べる(例:[[計算された爆発/Calibrated Blast]])。
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;効果全体が解決失敗することを防ぐ
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:対象を取る呪文や能力は[[対象不適正]]になってしまうと、従来のカードでは対象がいなくても実行できる部分も実行できなくなっていたが(例:[[天才の煽り/Blast of Genius]])、再帰誘発型能力にすることで効果の前半部分は確実に効果を行えるようになった(例:[[高熱仮説/Hypothesizzle]])。
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;忠誠度以外のコストを持つ忠誠度能力
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:起動型能力であっても、忠誠度能力は書式の都合で忠誠度の増減以外のコストを持てず解決中に支払う形しか取れなかった(例:[[巧妙な偶像破壊者、ダレッティ/Daretti, Ingenious Iconoclast]])。再帰誘発型能力の導入によって、通常の起動型能力のようにコストを支払う場合のみ対象を選んだり、支払いのあと優先権を得るようになった(例:[[傲慢な血王、ソリン/Sorin, Imperious Bloodlord]])。
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*コストが必要な誘発型能力であっても[[向こう見ずな探偵/Reckless Detective]]のように、自分に恩恵を与えるだけ、かつ[[タフネス]]が上昇しない効果は基本的に再帰誘発型能力は使われていない。
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*[[甦りし悪夢、ブレイズ/Braids, Arisen Nightmare]]のように、再帰誘発型能力を使わず、コストの支払いからその効果の発揮まで相手に対応の隙を与えないことを強みとするカードも変わらずに印刷されている。
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==その他==
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*「再帰/Reflexive」とは、記述の中で記述するもの自身を参照することをいう。[[遅延誘発型能力]]が効果がそれが誘発するために別の[[イベント]]を必要とするのに対し、生成する呪文や能力の最中にその誘発型能力が誘発させるイベントが含まれている事を示していると思われる。
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*[[アモンケット]]で制定され、[[心臓貫きのマンティコア/Heart-Piercer Manticore]]で初めて使用された。アモンケットよりも前の[[カード・セット]]においても再帰誘発型能力であるかのようなルール・テキストのカードが稀に存在するが、これらは[[誤訳]]である([[定命の者の強情/Mortal Obstinacy]]など)。
  
 
==参考==
 
==参考==
 
*[[誘発型能力]]
 
*[[誘発型能力]]
 
*[[ルーリング]]
 
*[[ルーリング]]
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2024年7月5日 (金) 03:29時点における最新版

再帰誘発型能力/Reflexive Triggered Abilityは、誘発型能力の一種。


Cornered Crook / 追い詰められた曲者 (4)(赤)
クリーチャー — トカゲ(Lizard) 戦士(Warrior)

追い詰められた曲者が戦場に出たとき、アーティファクト1つを生け贄に捧げてもよい。そうしたとき、1つを対象とする。追い詰められた曲者はそれに3点のダメージを与える。

5/4


Ill-Timed Explosion / 間の悪い爆発 (2)(青)(赤)
ソーサリー

カード2枚を引く。その後、カード2枚を捨ててもよい。そうしたとき、間の悪い爆発は各クリーチャーにそれぞれX点のダメージを与える。Xは、これにより捨てられたカードの中のマナ総量の最大値に等しい。


目次

[編集] 解説

呪文能力効果の中で、解決中に何らかの処理をさせ「そうしたとき/When [a player] does」、「そうしなかったとき/When [a player] doesn't」もしくは「これにより[○○した]とき/when [something happens] this way」という書式で、その呪文や能力の解決後に何かを行うよう指示しているものがある。これを再帰誘発型能力という。

例として、追い詰められた曲者/Cornered Crookの誘発型能力には、アーティファクト生け贄に捧げてもよいという効果と、それによって誘発する再帰誘発型能力(ダメージ与える能力)が書かれている。この2つの能力は以下の手順で誘発し、解決される。

  1. 追い詰められた曲者が戦場に出たとき、最初の能力が誘発する。それは対象を選ばない能力であり、単にスタックに置かれる。
  2. その解決時に、アーティファクトを生け贄に捧げるか否かを選択する。生け贄に捧げなかった場合は、再帰誘発型能力は誘発せず、スタックに置かれない。
  3. 「そうしたとき」(生け贄に捧げたとき)、再帰誘発型能力が誘発し、次にプレイヤー優先権を得る際、つまり元の能力の解決後にスタックに置かれる。この能力がスタックに置かれる際に、ダメージを与える1つの対象を選ぶ。プレイヤーはこれに対応することができる。
  4. 再帰誘発型能力が解決されれば、対象にダメージが与えられる。

呪文によって生成された再帰誘発型能力の発生源はその呪文であり、他の能力によって生成された再帰誘発型能力の発生源はその能力の発生源と同じである。再帰誘発型能力のコントローラーは、それを生成した時点での呪文や能力のコントローラーと同じである。

[編集] 利点

前半の結果を見てから他のプレイヤーが対応できる
誘発型能力には、コスト支払った場合のみ実際の効果が発生するようなものが一部存在する。古いカード(例:カルドーサの炎魔/Kuldotha Flamefiend)ではコストを支払ったあと、続く効果の処理が即座に行われるため、他のプレイヤーはそのコストが支払われるかどうかを見てから対応して行動することはできず、解決前に行動しなければならなかった。再帰誘発型能力(例:心臓貫きのマンティコア/Heart-Piercer Manticore)ではコストが支払われたあと各プレイヤーが優先権を得るため、コストを支払ったのを見てから行動できる。
前半の結果を見てから対象を選べる
対象を取る呪文や能力で、効果の量が解決中に決まるものがある。従来のカードでは量が決まる前に対象を選ばなければならなかったが(例:うつろう爆発/Erratic Explosion)、再帰誘発型能力では前半の結果を見てから対象を選べる(例:計算された爆発/Calibrated Blast)。
効果全体が解決失敗することを防ぐ
対象を取る呪文や能力は対象不適正になってしまうと、従来のカードでは対象がいなくても実行できる部分も実行できなくなっていたが(例:天才の煽り/Blast of Genius)、再帰誘発型能力にすることで効果の前半部分は確実に効果を行えるようになった(例:高熱仮説/Hypothesizzle)。
忠誠度以外のコストを持つ忠誠度能力
起動型能力であっても、忠誠度能力は書式の都合で忠誠度の増減以外のコストを持てず解決中に支払う形しか取れなかった(例:巧妙な偶像破壊者、ダレッティ/Daretti, Ingenious Iconoclast)。再帰誘発型能力の導入によって、通常の起動型能力のようにコストを支払う場合のみ対象を選んだり、支払いのあと優先権を得るようになった(例:傲慢な血王、ソリン/Sorin, Imperious Bloodlord)。

[編集] その他

[編集] 参考

引用:総合ルール 20231117.0

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