苦渋の破棄/Anguished Unmaking
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名誉回復/Vindicateのような万能除去。比較するとこちらは土地以外のパーマネントのみ、破壊ではなく追放、ソーサリーからインスタントへ、さらに代償として3点のライフを失う。
3点のライフは(特にアグロ相手では)決して小さい代償ではないが、それでもこの汎用性は魅力的。登場時のスタンダードでは3マナインスタントのクリーチャー除去が貴重であり、メインデッキからエンチャントやアーティファクトを除去できることで対応力も上がる。また、ライフロスが痛くないコントロール相手にサイドボードから投入する戦術も考えられる。
登場時のスタンダードでは白黒コントロールや悪魔の契約に採用された。
- 入れ替わりでスタンダード落ちした完全なる終わり/Utter Endに比べて、3ライフロスが付いた代わりに1マナ軽くなった格好。
- 思考囲い/Thoughtseizeと困窮/Distress、黒焦げ/Charと電撃破/Lightning Blast、ファイレクシア・マナなどの前例からすると、ライフロスの量は少々多い。それだけ強力な効果だということか。
- 土地・クリーチャーを除去できないため、スタンダードで共存する戦乱のゼンディカー・ブロックのミシュラランドや覚醒には弱い。
- イニストラードを覆う影のゲームデーの上位入賞者にはこれのテキストボックスレス・プロモーション・カードが配布された[1]。
開発秘話
カードデザイン
このカードは、「ストーリー上重要な場面を積極的にカード化する」という方針のもと、トップダウン・デザインで作られたカードである。デザイン時点では〈アヴァシンの破棄/The Unmaking of Avacyn〉というカード名だったらしい。
物語において、アヴァシン/Avacynは狂気に陥ってイニストラード/Innistradを害することになった。ジェイス/Jaceはタミヨウ/Tamiyoとともにアヴァシンを止めようとするがかなわず、逆に窮地に陥る。そこに現れたソリン/Sorinは、千年以上も前に作った、「イニストラードの守護者」であり、「外部からの次元侵略を防ぐための最後の防壁」であった「自らの片割れ」を破棄することになる。
このシーンをカード化するにあたって、これを唱えるのがソリンであるということを表すため白黒になった。白黒は「パーマネント1つを対象とし、それを取り除く」能力を持つ2色の組み合わせであるため、除去呪文になった。土地を破壊できないように調整され、墓地利用の対策になるように追放するようになった。ライフの喪失には、ソリンにとってどれだけ苦渋の決断であったかを表すフレイバー上の意味と、このカードのコストを下げるというデベロップ上の意味がある[2]。
プロモカード選出とプレビュー
ゲームデーのプロモカードでもあるため、公式プレビューでは初日に公開された。しかしストーリーの核心部分を描いたカードであるために「スポイラー(ネタバレ)」の要素が強いカードであり、公開タイミングが早すぎるのではないかという意見も多かった。
開発部でもその問題は認識しており、どのタイミングで公開すべきか部内で意見が大きく分かれたという[4]。
脚注
- ↑ Shadows over Innistrad Intro Packs and Promo Cards(Internet Archive)/『イニストラードを覆う影』のエントリーセットとプロモカード(Card Preview 2016年3月14日 Blake Rasmussen著)
- ↑ Dark Shadows, Part 1/暗き影 その1(Making Magic 2016年3月28日 Mark Rosewater著)
- ↑ Shadows over Innistrad Art—Week 1(Internet Archive)(Feature 2016年3月18日 Wizards of the Coast著)
- ↑ Odds & Ends: Shadows over Innistrad, Part 2/こぼれ話:『イニストラードを覆う影』 その2(Making Magic 2016年4月18日 Mark Rosewater著)