薄暮の軍団/The Legion of Dusk
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薄暮の軍団/The Legion of Duskは、イクサラン/Ixalanに存在する吸血鬼/Vampireと人間/Humanの集団。イクサランの四大勢力の一つ。
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[編集] 概要
トレゾン/Torrezon大陸全土を支配する国家アルタ・トレゾン/Alta Torrezonが保有する強大な軍団。吸血鬼の貴族階級と、人間の兵士や労働者から成る。女王ミラルダ/Miraldaと薄暮教会/The Church of Duskのそれぞれが権威を持ち、彼らはその両方に忠誠を誓っている。
薄暮の軍団の吸血鬼は、自ら闇魔術の儀式を受けて不老となった元人間だが、自分たちの吸血衝動を忌むべきものと考えている。国と教会の法により、吸血鬼が血を飲めるのは罪人のみ、すなわち異端者や反乱者と見なされた者、戦時中の敵などに限られている。彼らは不滅の太陽/The Immortal Sunがあれば真の不死、すなわち吸血に頼らない永遠の命が得られると信じており、数年前からイクサラン/Ixalan大陸を侵略し始めた――不滅の太陽が眠るという黄金都市オラーズカ/Orazcaを求めて、何百年も不滅の太陽を探し続けている最初の吸血鬼エレンダ/Elendaを求めて、あるいは単純に富や栄光を求めて。
[編集] 歴史
[編集] 奪われた不滅の太陽
薄暮の軍団の前身は、不滅の太陽を所持していた人間の山岳国家、トレゾン/Torrezonである。何世代にもわたり、そのアーティファクトは山頂の修道院にて神聖な管理人に保護され、宗教的な敬意を集めると同時に、トレゾンの君主に不相応な国際的影響力をもたらしていた。
やがてその強すぎる力が嫉妬を招き、敵対する王、ペドロン/Pedronの軍勢が修道院を襲撃する事態となった。ペドロン軍は僧たちを圧倒し、最後にエレンダを殺すと――実は一命を取り留めていたのだが、彼らは気づかず放置した――不滅の太陽を手に入れた。しかし彼らが聖域の守りを離れた際に「翼ある獣/The winged beast」がそれを奪い、西へ飛び去った。
しばしの間、その地の人々は、崇拝の中心たる不滅の太陽を取り戻すという執念に取り憑かれた。だが年月が過ぎてもそれは果たせず、執念は非難へと変わった。教会は不信心の者を咎め、一方で世俗の統治者は政争にかまけるようになった。かつては物理的な崇拝対象であった不滅の太陽は、もはや好奇の対象に過ぎない伝説へと霞んでしまった。
[編集] 異統戦争/The Apostasine War
約800年前、トレゾンは君主の死をきっかけに三つに分裂し、三人の子供がそれぞれを継いだ。長姉が最大の領土を相続したが、二人の弟は彼女に対抗するための軍を結成し、分かたれた国を武力で再統一しようとした。三国すべてで強大な力を持っていたトレゾン教会/The Church of Torrezonの指導者たちは、二人を異端の簒奪者だと非難した。これには教会の影響力を高めようとする狙いがあったのかもしれない。いずれにせよ、二人は異統の王子/The Apostasine Princesの名で知られるようになった。
すぐにトレゾン軍は宗教的熱情の波に乗り、熱狂的な信仰心をもって異統の王子との戦争に突入したが、異統軍の総合的な戦力はトレゾン軍さえも上回ることが明らかとなった。異統戦争/The Apostasine Warと呼ばれるこの継承戦争は300年続き、三人の子供が、そして孫が後を継いだ。戦争の残虐行為によって三国全土の人口は減少し、貴族は衰退し、騎士も数を減らしたが、トレゾンの統治者と教会の司教らは敗北を受け入れなかった。
戦争が始まって3世紀目、異統軍は数々の勝利を満喫し、トレゾン首都の尖塔を視界に捉えるところまで来ていた。君主と教会の連合軍の残余は、この圧倒的な侵略軍と対峙すべく隊列を組んだ。敗北は確実と思われたその時、一人の見知らぬ女性が姿を現した。波打つ黒い煙に包まれたその女性は、馬を駆って異統の王子の儀仗兵に突撃し、行く先のすべてを殺戮した。敵軍は崩れ、撤退を余儀なくされた。その女性は告げた――自分はエレンダであり、数百年に及ぶ不滅の太陽の捜索から帰還したのだと。そのあまりに突飛な主張は君主と司教にとって信じがたいものであったが、彼女は責務を全うするために吸血の祝福を受けたことを告白した。司教は、エレンダの変質を無私の自己犠牲であると解釈した。すぐにトレゾンの貴族の多くがその変質の儀式を受け、それは教会により救済の儀式/The Rite of Redemptionとして知られるようになった。
こうして吸血鬼の力を得た貴族たちは、異統の王子に対する軍隊を結成した。王国と教会の連合軍は速やかに勝利を収め、とうとう国の再統一を果たした。
[編集] 大陸全土の征服
だが300年にも及ぶ戦争を経たトレゾンの統治者たちが、古くからの国境に満足することはなかった。彼らは大陸全土の征服作戦に乗り出した。長年の戦争経験と、吸血鬼の人間離れした力を得た貴族騎士とが組み合わさり、トレゾンの軍は大陸最強となっていたのだ。それから400年、激しい戦争と短く不安定な平和を繰り返しながら、トレゾン軍は王国を一つまた一つと飲み込み、大陸中央の山岳地帯から外へ広がり、難民の群れを海の方へ押しやっていった。最後に南岸の自由都市/The Free Citiesを征服すると、トレゾンは一国家の名ではなく、大陸全土の名となった。
[編集] 地理
薄暮の軍団はイクサラン大陸を侵略し、南東部を植民地化している。
- 女王湾/Queen's Bay - 薄暮の軍団が占領するイクサラン大陸の湾。ミラルダ女王を称えて名付けられた。
- アダント/Adanto - 女王湾の島の上に築かれた、イクサラン大陸最初の砦。別名一番砦/The First Fort。
- デュロン/Durron - 女王湾を囲む三大砦の一つ。別名信念砦/The Fort of Faith。
- リオア/Leor - 女王湾を囲む三大砦の一つ。別名追放砦/The Edge of Exile。
[編集] 薄暮教会/The Church of Dusk
トレゾン教会を前身とする薄暮教会/The Church of Duskは、薄暮の司教/The Pontifex of Duskを頂点とする厳格な階級組織である。トレゾン大陸における高位の司祭や枢機卿の階級は細密だが、イクサラン大陸における薄暮の軍団の聖職者を考えるのであれば、その階級は3種類しかない。
- 助祭/Deacon - 僧侶を補佐する低位の聖職者。
- 僧侶/Cleric - 教会の儀式の大部分を執り行う中位の聖職者。
- 司教/Bishop - 僧侶を監督する高位の聖職者。
あらゆる騎士団や征服者集団に、少なくとも一人の聖職者が帯同している。使者となる、負傷者を看護する、教会の聖なる怒りを下すなど、彼らは様々な役割を果たす。聖職者は流れるようなローブを纏っていることで識別できる。
[編集] 教義
薄暮教会の教義は比較的単純で、以下の3点に要約できる。
- 血は神聖なものである/Blood Is Holy - 血は命をもたらすものである。活力の器である。人の死すべき運命を思い出させてくれるものである。血統を証明するものである。
- 沈みゆく太陽/The Sinking Sun - 救済は代価を伴う。日が沈まなければ新たな夜明けが訪れないように、後に救済をもたらすためなら、人は闇に堕ちることも許される。
- 血が流れ止まぬ、約束の時代/The Promised Age of Ever-Flowing Blood - 不滅の太陽の伝説が教会にもたらした新たな概念。不滅の太陽を取り戻せば、吸血鬼は後ろ暗いアンデッドとしての存在に別れを告げ、真の永遠の生命を得ることができる。
[編集] 断血/The Blood Fast
吸血鬼はときどき、断血/The Blood Fastと呼ばれる神聖な儀式を行い、血を飲むことを慎む。断血を始めてから時間が経てば、突発的な飢えが生じ、それにより研ぎ澄まされた感覚を得ることができるのは事実である。
しかし一方で、この状態の吸血鬼は非常に恐ろしく、高められた感覚は狂える怒りと化す。教会はそれを、敬虔なる信心の最も純粋な形であると宣言している。
[編集] 尊者/Venerable
死した吸血鬼の中で特に教会の理想を体現するとされた者は、教会に聖人として認定され、尊者/Venerableと呼ばれる。敬虔な吸血鬼はしばしば、聖遺物を用いて尊者の力を呼び起こす。それらは尊者がかつて所有していたものであり、武器、鎧の破片、乾燥した一房の髪、歯、指の骨さえも含まれる。
[編集] 賛美者/Glorifier
賛美者/Glorifierと呼ばれる吸血鬼の僧侶は、教会の祝福を授けて信者に力を与える専門職である。その祝福は重傷を治し、信心を鼓舞する。彼らは儀式において血を様々な用途で用い、装飾豊かな杯に注いだ血を使って祝福を授けることも多い。戦場では、戦闘で流れた血液から力を引き出し、その力を仲間に分け与えることもできる。
[編集] 糾弾師/Condemner
糾弾師/Condemnerは教会の正当なる権威を認めない者たちを罰するべく力を振るい、教会の全力の怒りを示す。彼らの呪いは肉体を萎びさせ、闇を呼び、大地を穢し、霊的な力を弱め、敵の毛穴や涙管から血を抜き取ることすら可能とする。糾弾師の中には、凝視の力だけで敵に動けなくなるほどの恐怖を与える者もいる。
影縛り/The Shade-Bindersと呼ばれる糾弾師の特殊部隊は、闇そのものでできたアンデッドの霊、亡霊/Revenantを捕らえ、黒煙が染み出す真鍮の器の中に魔法的に閉じ込める。亡霊は征服者が下船している際に船を守るほか、吸血鬼の武器に封じられることもある。
[編集] キャラクター
- エレンダ/Elenda - 薄暮の軍団の始祖である聖人。伝説では不滅の太陽を追ってオラーズカへ旅立ったとされるが……。
- ミラルダ/Miralda - トレゾン大陸の女王。
- マーブレン・フェイン/Mavren Fein - 吸血鬼の高司祭。エレンダの敬虔な信者で、彼女と不滅の太陽を探し出すためにイクサラン大陸へ渡った。
- ヴォーナ・デ・イェード/Vona de Iedo - 吸血鬼の戦士。非情なる戦闘狂で、新たな戦を求めてイクサラン大陸へ渡った。
- ヴィト・キハノ・デ・パサモンテ/Vito Quijano de Pasamonte - 吸血鬼の司祭。狂信的な人物で、救済は不滅の太陽をもってのみ得られると信じている。
- クラヴィレーニョ/Clavileño - ヴィトの副官。
- アマリア・べナヴィデス・アギーレ/Amalia Benavides Aguirre - 吸血鬼の地図術師。新ファイレクシア/New Phyrexia戦争後、女王湾会社に加入した。
- バルトロメ・デル・プレシディオ/Bartolomé del Presidio - 女王湾会社の幹部である吸血鬼。女王の命を受け、ヴィトを監視している。
[編集] ゲームでの特徴
クリーチャー — 吸血鬼(Vampire) クレリック(Cleric)
駆り立てる僧侶が戦場に出たとき、あなたは4点のライフを得る。
3/2クリーチャー — 吸血鬼(Vampire) 兵士(Soldier)
2点のライフを支払う:ターン終了時まで、薄暮の賛美者は飛行を得る。
2点のライフを支払う:ターン終了時まで、薄暮の賛美者は警戒を得る。
クリーチャー — 吸血鬼(Vampire) 騎士(Knight)
誓いを立てた吸血鬼はタップ状態で戦場に出る。
あなたがこのターンにライフを得ていたなら、あなたはあなたの墓地から誓いを立てた吸血鬼を唱えてもよい。
白と黒に存在し、ほとんどが吸血鬼のクリーチャー・タイプを持つ。職業のクリーチャー・タイプとしては、クレリック、兵士、騎士が多い。
名前の付いた固有のメカニズムはないが、ライフの取り扱いをテーマとしている。特にライフを回復する能力(絆魂やドレインを含む)と、ライフを支払う/失う能力とのシナジーが中心にある[1]。イクサランの相克では、あなたがライフを得ることを参照する能力も追加された。
[編集] 登場
- IXALAN/イクサラン(公式サイト)
- Ixalan Map/イクサランの地図(公式サイト)
- Magic: The Gathering(公式ブログ)
- The Race, Part 1/争奪戦 その1(Magic Story 2017年10月11日 R&D Narrative Team著)
- Planeswalker's Guide to Ixalan, Part 2/プレインズウォーカーのための「イクサラン」案内 その2(Feature 2017年11月8日 R&D Narrative Team著)
- The Lost Caverns of Ixalan | Pawns/サイドストーリー ポーン(Magic Story 2023年10月20日 Miguel Lopez著) - トレゾンとアルタ・トレゾンについて
- Planeswalker's Guide to The Lost Caverns of Ixalan(Daily MTG 2023年11月10日 Miguel Lopez著)
[編集] その他
- モチーフは15~17世紀に南北アメリカ大陸を探検・侵略したスペイン人、コンキスタドール(スペイン語で「征服者」を意味する)[2]。マヤ文明(川守りのモチーフ)、アステカ帝国(太陽帝国のモチーフ)、インカ帝国(同左)などがこれによって滅ぼされた。
- Jenna Hellandの「吸血鬼のコンキスタドール」というアイディアが、イクサラン次元およびイクサラン・ブロックの出発点である[3]。
[編集] 脚注
- ↑ Just for Ix(alan), Part 3/ただ『イクサラン』のために その3(Making Magic 2017年9月18日 Mark Rosewater著)
- ↑ Magic Story Podcast: Ixalan(Feature 2017年8月30日 Blake Rasmussen and Alison Luhrs、文字起こししたものはこちら)
- ↑ Just for Ix(alan), Part 1/ただ『イクサラン』のために その1(Making Magic 2017年9月4日 Mark Rosewater著)