マルドゥ/The Mardu

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マルドゥ/The Marduタルキール/Tarkir氏族/Clanの一つ。赤白黒

目次

[編集] 解説

龍/Dragonの「迅速/Speed」の相を崇拝し、龍翼/The wing of the dragonを象徴とする氏族/Clan[1]。前身たるコラガン氏族/The Kolaghan clanが、かつての名である「マルドゥ/The Mardu」を取り戻した姿である。

マルドゥは放浪の戦士たちだ。彼らは機敏な戦術と優れた技術、そして敵の弱点の特定と利用を組み合わせて広大な領土を守るとともに拡大している。また彼らは稲妻を操る戦士や射手、氏族への厳格で激しい忠誠心、熟練した獣乗り、そして比類のない鍛冶の技で知られている。マルドゥはタルキールの中央ステップと草原を領土としており、巨大な移動都市を組み立てながらその地を行き来している。

マルドゥの領土は大陸の中央に位置しているため、彼らは他氏族と条約を定めて龍や他氏族から交易隊商を保護し、交易品の一部を支払いとして受け取っている。放浪生活を送るマルドゥは次元全体へと情報を迅速に広め、迫り来る脅威について同盟相手に警告を送り、また敵の動きに先んじることができる。彼らは国境を固く守っており、協定を結んでいない者は侵入者とみなして躊躇なく追い払う。

[編集] マルドゥの再興

コラガン/Kolaghanの統治下では移動と戦争が絶え間なく、人々は伝統と団結を保つのに苦労していた。群れの人型生物たちの間で抵抗と反乱の囁きが広まっていったが、彼らは孤立したまま年月が過ぎていった。だがファイレクシアの侵略戦争においてコラガンの群れは前線の戦士の多くを占め、結果として龍王の群れの中でも人と龍の両方で最大の損失を被った。彼らは最終的にファイレクシアの侵略者を追い払ったものの、この戦争は混乱への最後の一押しとなった。幾人かの反乱軍指導者がマルドゥの旗を掲げ、コラガンとの公然とした戦争を開始した――コラガンにも彼ら自身にも、侵略からの回復の時間を与えることなく。

散り散りで数も少ないマルドゥは、生き延びるためにはひとつの氏族として再建し団結する必要があると知っていた。コラガンの群れと他の群れ、反乱軍は次元中から仲間を集め、時とともに恐るべき軍隊へと成長していった。そしてついにマルドゥは他の龍王と同様にコラガンも倒した。

[編集] 文化

[編集] マルドゥのダルコヴァン/Mardu Dalkovans

マルドゥは高度に組織化された軍事的構造に従っているため、氏族内で軍人と民間人の生活の境界は明確ではない。マルドゥの氏族員は自分たちをひとつの全体の一部とみなしており、氏族の成功に対する個人の貢献の重要性を認識している。階級に関係なく、戦士は氏族を支えるために日々の雑務や家事を行う。ある鍛えられた戦士は一方で獣の訓練や裁縫、料理の達人でもあるかもしれない。完全な民間人であっても、全体的な仲間意識と軍への所属意識を持っている。例としてマルドゥの戦士を志す若者は皆、雷の試練に参加する。

マルドゥはカン/Khanが率いており、それを支えるのは任命を受けた将軍の評議会であるダルコヴァン議会だ。各将軍はダルコヴァンと呼ばれるマルドゥの独自の小集団を率いている。任命された将軍のほとんどは、コラガンに対する反乱の元指導者、ファイレクシアの侵略を戦い抜いた尊敬される戦士、秩序の再構築とコラガンの統治下で失われたマルドゥ芸術の復活に重要な役割を果たした民間人の長老などで構成されている。

マルドゥは恒久的な居住地を持っていない。代わりに彼らはダルコヴァン単位でこの次元を絶えず移動し、大規模で組織化された野営都市を一日もかからずに築く。マルドゥにはカンが率いる大旅団がひとつと、将軍たちが指揮する小規模な集団とが存在する。小集団は定期的に大旅団と合流し、物資や情報を交換し合う。彼らの旅は龍の嵐、天候、他氏族の動向、あるいは指導者の気分によって方向付けられる。マルドゥの構成員は全員、氏族の移動と居住に貢献することが期待されている。

マルドゥの氏族内には多様な生物がおり、彼らはほぼあらゆる種類の動物を訓練することができる。氏族の人々と同様に、乗騎はしばしば軍事面だけでなく生活面での機能も果たす。氏族の移動時に装備を運ぶ動物は、その後鎧を着せられて戦闘に赴くかもしれない。いずれにせよマルドゥの乗騎は敬意をもって大切に扱われ、氏族にとって不可欠なものとみなされている。

[編集] マルドゥの民間人と軍人

マルドゥでは軍人と民間人の境界線は曖昧なことが多い。とはいえ職人、狩人、及び治癒師は戦闘には参加せず、もっぱら氏族のために力を尽くす。マルドゥの最年長者たちは高く尊敬されており、その多くは議会で将軍を務め、氏族の文化と伝統を守る知恵の宝庫とみなされている。

鍛冶師は武器の製造だけでなく、見出した技術を分析、複製、改良する比類なき能力でも非常に尊敬されている。加えて鍛冶師たちは嵐唱者のための、あるいは儀式や祝賀のための道具を作ることで、マルドゥの文化的慣習において重要な役割を果たしている。またマルドゥの鍛冶師は、この次元に漂う龍の嵐の潜在的エネルギーに繋がる鎧や武器を作る技でも名高い。

[編集] 軍事的役割

マルドゥ軍には主な役割が三つ存在する。

  • 歩兵 - マルドゥ軍の比較的小規模な一部分。特定の状況、地形、あるいは戦闘目的のために訓練された集団で構成される。
  • 騎兵 - マルドゥ軍の大半を構成し、軍の中でも尊敬される役割。軽騎兵と重騎兵の両方で構成され、状況に応じて用いられる。戦士それぞれが熟練した乗り手であり、調教師でもある。通常は軽騎兵が最初に攻撃し、その後に重騎兵が追いかけて敵にとどめを刺す。
  • 攻城兵 - マルドゥ軍の最小の集団であり、複数の特殊な能力が必要とされる。攻城兵は兵器の使用に熟達しているだけでなく、大規模な構造物を制御および操作できなければならない。

[編集] 日々の生活

  • 狩猟と交易 - 何よりもまず放浪の民であるマルドゥは、肉や毛皮や革といった狩猟の戦利品を主食の農産物と交換する。マルドゥの技術は他氏族の間でも非常に高く評価されており、彼らは鍛冶師の最高の作品を厳重に守っている。とはいえ自分たちで入手できない材料を手に入れるために技術的知識や技能を提供することも厭わない。
  • 歌唱 - マルドゥの人々は新たな歌を教え合ったり共に作ったりする。マルドゥには死者を送り出す伝統的な歌、結婚式のための歌、戦士の旅立ちや病人のために幸運を祈る歌が沢山存在する。敵を威嚇し、軍隊に活力を与える鬨の声や戦の歌もマルドゥは用いる。
  • 絵画と彫刻 - マルドゥは実用と美的な目的の両方のために、大規模な壁画や金属彫刻を制作する。建造物は宿営地を飾り、その美しさを高める。また広大な草原で道標として用いられ、あるいはその場所が精神的に重要な地域であると示す。
  • スポーツ - 競争心、適応力、素早い思考力を必要とするため、スポーツは戦闘訓練に欠かせない手段であるとマルドゥは考えている。無論、多くの氏族員は楽しみと活力をくれる便利なものとしてスポーツを受け入れている。マルドゥの主なスポーツには次の三つがある。
    • 獣乗り - 乗り手が獣の背中で一連の規定の技を披露する技能コンテスト。通常はその宿営地の長が審査を行う。
    • 射撃 - 通常は炎や電気を帯びた矢を用いて他の射手と競い合う。難易度は段階的に上がる。
    • レスリング - 力、敏捷性、協調性を試す競技。観客を楽しませるためにチームで行われることが多い。

[編集] 雷の教令/Decree of Thunder

高度に組織化された共同体であるマルドゥは、氏族内で何が許され何が許されないかを定める厳格な文化的規則に従う。かつてのイラグラの布告は時とともに失われたが、コラガンが打倒されて議会が新たなカンへと忠誠を誓った後、新たな法が制定された。雷の教令は三つの主たる信条で構成されており、これらは他のすべての法の基礎を成している。

  • 忠誠は手に入れるもの/Loyalty is earned - マルドゥにおいては、行動こそが最も雄弁である。指導者は兵士たちの敬意を獲得しなければならず、兵士は仲間に対する献身を示さねばならない。
  • 共同体こそが強さ/Community is strength - マルドゥの構成員は皆、より大きな全体の中で自分の立場を持っている。そして氏族の強さは最も弱い者で決まる。そのため彼らを守り、気遣わねばならない。
  • 勝利とは生き残ること/Victory is survival - 征服の達成は一瞬の出来事。氏族としては、次に何が起こるかを考えなければならない。最大の勝利とは、氏族を将来にわたって存続させることである。

この三つの信条を元として更に多くの法と、それらを破った際の罰則が成文化された。これらの法はダルコヴァンの間でわずかに異なる場合があるものの、それに従うことはマルドゥの氏族員である重要な証とされている。そしてこれらの法の中には交戦と戦争行為に関する規則が存在し、マルドゥにおける外交の役割もここに含まれる。マルドゥは最初に外交官を派遣せずに他氏族の領土を侵略することはない。降伏した者は丁重に扱われ、氏族内での役割が提供される。

[編集] 空と炎の激突/Clash of Sky and Ember

マルドゥの氏族員は燠火心/Emberheartと空息吹/Skybreathを信仰している。これらは大地と空を象徴するふたつの自然の力であり、絶え間ない争いの中に存在する。この力の衝突は火花散る稲妻や荒れ狂う嵐、暴風、地質的激変として現れる。マルドゥにとってこれらは制御できない力であるがむしろ敬うべきものであり、彼らの放浪生活はこの容赦ない自然の衝突の中で生き延びられるように設計されている。マルドゥの中で最も強力な魔道士と嵐唱者はこれらの力を引き出し、また短時間ではあるものの操ることができる。

概してマルドゥは開かれた信教構造を持ち、そこには他の氏族の伝統や信仰が混ざり合っている。空と炎の激突への信仰は他の文化からもたらされた慣習と並行して存在するとともに、しばしばそれを補完している。

[編集] 命名

マルドゥの氏族員は三つの名前を持ちうる――家族名、自ら選んだ名、そして贈り名だ。マルドゥでは成人するまでは家族名を用いるのが伝統であり、成人すると雷の試練を終えて自らの名を選ぶ。贈り名とは氏族のために偉業を成し遂げた戦士へとカンだけが与える特別な三番目の名前であり、その偉業にちなんで名づけられる。

[編集] 天下大集会/Great Ussemble

これはカンの命により毎年開催される祝祭にして競技である。マルドゥの氏族全員が集合して盛大な宴を開き、互いに贈り物を贈り合い、歌を披露し、マルドゥの三大スポーツ競技に参加したり観戦したりする。氏族員は好敵手たちへと友好的な勝負を挑む。またここではマルドゥ氏族に最近加わった者たちが特に歓迎され、マルドゥの伝統を教えられる。

[編集] 雷の試練/Lightning Proving

この儀式では成人を迎えたマルドゥの戦士志望者全員がとある山頂へと旅立ち、嵐の中で稲妻を捕える。そして彼らは氏族の任務を完遂する才覚と能力の証明としてそれを持ち帰る。雷の試練が真に求めるものはダルコヴァンによって異なる――若き氏族員たちが結束して挑むことを重視するものもあれば、より競争的で勝者ひとりが高い地位を得るものもある。持ち帰った稲妻はかがり火を起こすために用いられ、マルドゥは夜通し食事をして祝う。参加者はそれ以降、自身が新たに選んだ名で呼ばれる。

[編集] マルドゥの魔法

マルドゥの魔法は主として雷を操り、また身体能力と武器を強化することに重きを置く。強さと敏捷性に対する彼らのこだわりによるものだ。魔道士は鍛冶師が制作した特別な装備を用いることが多いものの、最も力ある者は直接それらのエネルギーを操る。彼らは炎を起こし、あるいは他のエネルギーの形態を振るうこともできる。そしてしばしば他氏族との戦いでその技術を活用する。

マルドゥの嵐唱者/Stormsingerは氏族の精神的指導者たちであり、些事から重大事まであらゆる事柄についてしばしば相談を受ける。嵐唱者は神聖な護符を用いて大地と空のエネルギーを自分自身や他者へと与え、戦闘においては兵士や武器や互いを力づけることで支援する。嵐唱者はまた、鬨の声に魔法の力を吹き込む。戦闘以外では宿営地の防衛、民間人からの相談、儀式の主導が彼らの義務である。

[編集] マルドゥと龍との、および龍の嵐との関係

[編集] 龍狩り

予測不可能で素早い性質、そしてコラガンの群れに遅れを取るまいと奮闘してきた歴史からマルドゥは頼もしい龍狩人となっている。大陸中央を領土とする彼らはステップ全体へと常に警戒を怠らず、龍を発見したなら躊躇なく攻撃する。また彼ら独自の伝達網により、潜在的な脅威を素早く警告し合うことができる。

[編集] 氏族の龍

マルドゥの龍は氏族の中の一部として扱われ、他の戦士と同じように戦場の内外で貢献することが期待されている。献身的な訓練士と、時に嵐唱者が氏族の龍の世話をする。マルドゥの龍は速度と機敏さを特徴とする――小型の龍は熟達した空乗りの乗騎となることが多く、大型の龍は兵士やダルコヴァンの輸送を補助することもある。特に強く素早い龍を見つけたならマルドゥは容赦なく捕獲を試み、時に何か月もの時間をかける。マルドゥの龍は雷のブレス攻撃を持ち、その破壊力で敵を驚かせる。

[編集] 龍の嵐

放浪生活を営むマルドゥは龍の嵐の先を行くことができる。彼らは野生の龍を捕まえるため、また草食獣の群れを養う雨を求めてしばしば龍の嵐を追いかける。彼らの鍛冶師はまた、龍の嵐のエネルギーを一枚のうねる壁へと伝える革新的な雷の障壁を開発し、その内部の宿営地を比較的安全に保っている。

[編集] 重要地点

マルドゥの領土の大部分はタルキール中央のステップ地帯にあり、他の全氏族と境界を接している。気候は概して乾燥しており、短い雨季がある。ステップ地帯は山脈に取り囲まれ、岩だらけの台地や沼地や峡谷が点在している。

  • ダルコヴァンの都/Dalkovan cities - わずか数時間で解体も建設も可能な放浪の民の都。ダルコヴァンはそれを統べる将軍の名前で区別されることが多い。常に移動しているため、多くのマルドゥ氏族員は自分たちのダルコヴァンを単に「家」と呼んでいる。
  • 雷の競技場/Thunder Stadium - 最大のダルコヴァン都市に設置された中央天幕。市場での取引、遊戯、食事、その他日常的な活動のために氏族民が集う。また、天下大集会の饗宴が開催される場所でもある。
  • 龍歌の岩/Dragonsong Rock - とある長い環状の岩石の俗称。上空から見るとわずかに龍に似ており、経由地として利用されている。この岩には多くの絵が描かれており、外交のための平和的な集合場所とみなされている。岩が声を反響させるため、マルドゥの氏族員はここで歌うことを好む。
  • 砂草原の門/Sandsteppe Gate - かつてはアブザンの都だったが、後にマルドゥによって占領された。そのためアブザンの建造物の残骸がマルドゥの旗や天幕の間に見られる。この地域はマルドゥの草原から、更に乾燥したアブザンの領土への遷移を示している。
  • 絶叫郷(叫び沼地)/Screamreach - アブザン、マルドゥ、スゥルタイの領土が交わる付近に位置する小さな沼沢地。この名は木のうろに棲んで金切り声を上げる鴉に由来する。
  • 金色の死地(黄金の墓所)/Goldengrave - 絶叫郷と砂草原を結ぶ低地のステップ。起伏のある草原で、マルドゥの領土の大半を占めている。この地域には大型の生物が徘徊し、龍を引き寄せ、突然の嵐が頻繁に発生することが知られている。ステップには道標や嵐からの避難所として氏族員が建てた恒久的な標識が点在している。同時にこれらは大きな戦の場を示す祠であり、マルドゥや敵の死者が埋葬されている場所でもある。
  • 摩滅の地/The Scour - マルドゥの土地を通り、ティムール/The Temurの領土にあるカル・シスマ山脈にまで達する深い裂け目。細かな黒い砂が絶え間ない風によって打ち付けられ、浸食されている。危険ではあるものの採掘や待ち伏せには絶好の場所となっており、地域紛争の頻発地点でもある。

[編集] 重要人物

[編集] 過去のマルドゥとの差異

刹那的すぎたコラガン氏族からの反動か、旧マルドゥ族と比べると共同体の長期的な存続を見据えた信条へと変化している。侵攻と略奪しか無かった多氏族との関係とも、同盟や交易を含めたものになった。

[編集] 関連ページ

[編集] 注釈

  1. A Dragonstorm Is Brewing, Part 2/龍の嵐の兆し その2Making Magic 2025年3月24日 Mark Rosewater著)

[編集] 参考

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