スゥルタイ/The Sultai

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スゥルタイ/The Sultaiタルキール/Tarkir氏族/Clanの一つ。黒緑青

目次

[編集] 解説

龍/Dragonの「残忍/Ruthlessness」の相を崇拝し、龍牙/The Fang of the dragonを象徴とする氏族/Clan[1]。前身たるシルムガル氏族/The Silumgar clanが、かつての名である「スゥルタイ/The Sultai」を取り戻した姿である。

タルキールの密林を領土とするスゥルタイは、困難を好機へと変えることに長けている。彼らは周囲の土地を巧みに耕作し、広大な密林を効率的な農場に変え、危険な地形の只中に美しい都市を築き上げている。スゥルタイでは、死でさえ氏族の最も有益な人員を止めることはできない。彼らが擁する強大な屍術師たちは誉れある死者を蘇らせ、引き続き指導と奉仕を行わせる。スゥルタイの戦士部隊は小規模ながらも精鋭揃いであり、隠密や地形の知識、諜報活動を活用して敵を出し抜き、この次元における氏族の地位と権力を維持している。

肥沃な土地と優れた農耕技術により、スゥルタイが産する食料と資源は次元中で大いに求められている。スゥルタイは貿易と外交を有利に活用している。表面上は良好な関係を維持することで、より巧妙な詐術を駆使して氏族の権力と地位を高めることができるのだ。彼らは間諜と斥候の広大なネットワークを用いて他氏族の活動を追跡し、スゥルタイの次なる動向を決める助けとしている。一方で高度に専門化された兵士たちは、紛争において入念な計画と地形を有利に活用する。

[編集] スゥルタイの再興

シルムガル/Silumgarの群れに属する人型生物たちは危険極まりない人生を強いられ、その価値は移り気な龍王の気分ひとつで測られていた。民間人の間には怒りと不満が渦巻いた。龍王/Dragonlordは小さな反乱こそ簡単に鎮圧したものの、抵抗の根は広がっていった。反乱軍の目にシルムガルは、過去のスゥルタイの指導者層と何ら変わらない圧制者として映っていた。浪費的で退廃的で残酷で、富を蓄えながら民の苦しみを無視し、密林の自然資源を台無しにしているのだと。

反乱軍の指導者たちはスゥルタイの名のもとに団結し、デーモン/Demonとの契約以前の氏族の起源に目を向けた。ファイレクシア戦争の余波で人型生物の反乱は勢いを増し、シルムガルの領土を手に入れていった。シルムガルに背いたナーガたちが反乱軍の魔道士へと訓練を授けた。力を得た魔道士たちは屍術を用いて戦士や指導者を死から蘇らせ、数で劣る勢力を増強した。これらの不死者たちは名誉と地位を与えられた。彼らの知識と専門技術は非常に貴重であり、死によって失わせるわけにはいかなかったのだ。彼らの力を得た軍勢により、シルムガルも他の龍王たちと同様に敗北した。

[編集] 文化

龍の支配を経験し、多くのスゥルタイは単一の指導者に従うことを躊躇している。結果としてスゥルタイ内の権力の大部分は分散している。「牙の番人/The Fangkeeper」がスゥルタイの支配者であるとみなされているが、日常生活においては小さな役割を担うのみだ。彼らの主な義務はスゥルタイの村々の関係を調整すること、精霊龍と共に公平な裁判官を務めること、そしてスゥルタイの常備軍と他氏族に対する防衛を管理することである。村々では選出された村長が、共同体からの尊敬を集める屍術師の司祭長と共にほとんどの決定を下す。

スゥルタイの常備軍はラシィド/The Lasydと呼ばれており、他氏族と比較するとその規模は小さい。彼らは高度な訓練を受けた熟練の戦士集団であり、密林の込み入った地形での戦いに習熟している。彼らは高い適応力をもって他氏族の、より大規模だが柔軟性に欠ける軍を出し抜くことに長けている。ラシィドの中には間諜や斥候や暗殺者もおり、スゥルタイの安全と防衛を確保するために次元中を機敏に動き回っている。

ナーガ/Nagaはこの次元で最も力ある魔法使いの一部を成している。彼らは生命の要素を操る達人で、害を与えも助けもする。スゥルタイでは多くの村にナーガの守護者がひとりおり、村長や屍術師とは別個の立場で村とその周辺地域を氏族内外の脅威から守り、祝福あるいは呪いの形で審判と罰を下す。

デーモンのラクシャーサ/Rakshasaは現在のスゥルタイ社会では忌避されており、これらと契約を交わした者は追放されるか殺される。ラクシャーサはシルムガルやかつてのスゥルタイの残虐行為と搾取を助長する者とみなされており、大逆者タシグルが古いスゥルタイを売り渡した理由として憎まれている。

[編集] 日々の生活

スゥルタイの民間人は主に農業生活を営んでいる。多くは農民や漁師として氏族を支え、輸出用の品々を提供している。また、船大工や織工や鍛冶師といった職人や芸術家も氏族内で高く評価されている。小規模ながらも強力な商人階級であるパンジャシがこれらの品物や材料を他氏族に販売している。同時に彼らはスゥルタイの大規模な情報ネットワークの一部として、諜報活動に従事することもしばしばある。

  • 農業と畜産 - 多くのスゥルタイ市民にとってこれらは日々の生活の中心である。彼らの暦は作物の生育期と需要によって決定される。スゥルタイは美しく優雅な園芸技術でも知られており、アルビノの爬虫類や鮮やかな羽毛の鳥、極端に大きな植物といった観賞用の動植物を育てている。追加して、彼らは村の中にも美しい庭園や景観を造っている。
  • 芸術と手工芸 - スゥルタイは秩序ある美を非常に重視しており、銀細工や金細工、精巧な宝石やその他の装飾品の製作など、多くの芸術的追求が幅広く行われている。スゥルタイは織布と染色にも非常に優れており、他氏族が切望する鮮やかな絹や綿を生産している。また、都市を飾るための印象的で精巧な石の彫刻を職人たちが制作している。これは非常に大規模なものだ。
  • 蓮の舞踏/Lotus dance - スゥルタイには熟練の踊り手たちもおり、優美で優雅なスゥルタイの生き方を表現している。大規模な公演は人気の娯楽であり、収穫祭には舞踏がしばしば取り入れられる。
  • ドゥサン拳闘/Dusan boxing - スゥルタイでは様々なスポーツが地域社会の娯楽となっている。敵意のない競技は個人の野心と競争心の発散の場として利用されており、人気のドゥサン拳闘もそのひとつだ。最も一般的なルールは、武器を使わず、拳と前腕に縄を巻き付けて一対一で戦うというものである。

[編集] 不易の実り/The Abiding Harvest

「あらゆる生物は死ぬ。その本質が大地を養い、次なる収穫をもたらす」――不易の実りはスゥルタイの核となる信念である。死後、個々の生命エネルギーは大地という巨大な生命力の泉に帰り、新たな生命となって戻ってくる。スゥルタイにとって、これは全く同一の個や意識が戻ってくるというものではない。戻ってくるのは個の本質、あるいはエネルギーなのだ。大きな泉へと杯から水を注ぎ、また汲む。すると杯の水は前と同じではない。そして泉には常に水を注ぎ続けねばならない。そうしなければ枯れてしまうからだ。

[編集] 更生の儀式/Rite of Renewal

死者の蘇生は神聖なる更生の儀式を通して行われる。死者の提供は通常は近親者によって、または提供すべきと生前に記された遺言に基づいて行われる。旧体制下では、人をシブシグ/Sibsigとして蘇らせることは刑罰として利用されていた。それは恐怖と威嚇によって大衆の忠誠心を獲得するためのものだったのである。新たなスゥルタイはこの慣習を、支配階級の残酷で無駄な堕落の象徴とみなして不本意な個人の蘇生を禁じている。敬愛された指導者、熟達の職人、尊敬を受けた戦士などが最も多く蘇生される。蘇生は今やひとつの名誉とみなされ、広大なスゥルタイ社会における価値の象徴として、多くの人々が切望する運命となっている。

儀式は死体の準備から始まる。これは細心の注意を要する繊細な工程であり、特製の湿布薬や血清、そして屍術魔法を必要とする。死体は必要に応じて修復される。手足の代わりに上質の義肢が作られ、傷は縫合され、その他の装飾が追加されることもある。その後、死体は儀式用の衣服を着せられ、寺院内の浴場に浮かぶ筏に乗せられる。そして司祭たちが屍術を用いてエネルギーを体内に戻し、屍を生き返らせるのだ。とはいえ、儀式を受けた全員が無事に蘇生されるわけではない。蘇生に失敗するのは、その個人のエネルギーが大地に留まることを必要とされているためだと信じられている。

動物も屍術師によって蘇生され、人と同様に丁重に扱われる。自衛のために幾つかの例外が設けられており、屍術師は身を守るために知性のない生物を即席で蘇生させることが許可されている。

スゥルタイの不死者はシブシグ/Sibsigと呼ばれ、氏族内で名誉ある地位を持つ。蘇生されたシブシグは自身の意識と生前の記憶を保持しているが、完全に同一人物であるかどうかは今なお疑問が残っている。ほとんどのシブシグは依然として自分自身を生前と同一であるとみなし、同じ役割を続け、多くの場合は生前よりも高い地位を得る。とはいえ蘇生した個人が生前とは異なる性格を持っている、あるいは自分のものではないと思われる記憶を持っている例もある。蘇生後にスゥルタイ内で生前とは全く異なる役割を追求する者もいる。

[編集] 葬儀と埋葬の慣習

葬儀は豪華かつ盛大に行われる。悲しみを乗り越えて故人の本質を土に還すためには、生きた生涯を祝うことが必要なのだ。一般的に葬儀で行われるものとして故人の好物を用いた饗宴や、故人の世俗的な遺品を遺志に従って配る「贈与/Gifting」などがある。

スゥルタイにおいては、適切な埋葬が非常に重要とされる。埋葬は死者の身体とエネルギーが大地へと還り、生と死の循環が迅速かつ効率的に完了するための儀式なのだ。シブシグのように蘇生されない遺体については最低限の処置だけを行う――布で包まれ、浅い沼地に必要最小限の副葬物とともに埋葬される。遺体は速やかに分解され、その水はスゥルタイの豊かな農地を潤す。専門の司祭がこれらの墓所を監視し、死体が正しく分解するように屍術魔法を行使する。

友人や家族は収穫期の間、故人の持ち物を身につけることがしばしばある。故人を思い出し、そのエネルギーが大地の循環に戻るのを助けるためだ。

[編集] 季節の祝祭

一年を通して穏やかな気候に恵まれ、高度に組織化された農業システムを持つスゥルタイでは、収穫と種まきの季節が春と秋の二度存在する。収穫と種まきを合わせた行事は氏族のどこでも大いに待ち望まれる敬虔な祭りだ。これには様々な上演を伴う大規模な祝宴や、良い生育期を確保するための司祭による儀式がしばしば含まれる。

[編集] スゥルタイの魔法

スゥルタイの魔法は主として生命の本質を操る。使用者は望むままに生命力を弱めも強めもし、治癒と攻撃の両方に用いる。魔法の使い手たちは死者の精髄と話し、遺体とやり取りをすることで占術にも長けている。ほとんどの魔道士は各村で最も熟練した屍術師のもとで正式な訓練を受ける。特に有望な魔道士はケルゥの都に赴き、ナーガなどスゥルタイでも最も力ある師のもとで訓練を受けることもある。

[編集] スゥルタイと龍との、および龍の嵐との関係

[編集] 龍狩り

スゥルタイは間諜と斥候の広範な情報網を維持しており、次に発生する龍の嵐の時期と場所の予測に役立てて氏族を助けている。多くの斥候は嵐の接近を示す微妙な天候の変化を観察するように訓練されており、また他氏族の活動をスパイしてその動向を予測もする。野生の龍を捕らえる際、スゥルタイはしばしば他氏族よりも大幅に少ない人数で到着し、龍が制圧されるのを待ってから待ち伏せ攻撃を仕掛け、弱体化した軍勢を狙い撃ちにして龍を奪い取る。

[編集] 氏族の龍

ほとんどの龍の世話は任命された戦士と魔道士が行う。龍の多くは宗教的な祝祭に参加し、ナーガと共に村の守護者として働く。スゥルタイは細身で順応性のある体格の龍を選ぶ傾向にある。彼らが生活をすることになる密林では長時間の飛行は困難なことが多いためだ。スゥルタイの龍は優れた待ち伏せ狩人になりやすい。純粋に美しさと優雅さから龍を選ぶこともあるが、だからといってその龍たちが危険ではないという意味にはならない。スゥルタイの龍は毒のブレスを攻撃手段として用いる。それは敵を包み込み、しばしば毒で死ぬよりも先に窒息させる。

[編集] 龍の嵐

龍の嵐によってスゥルタイ領土全体の水位が上昇した。彼らはこれを有効に活用し、何も無駄にしないよう浸水した廃墟の上に高床式の都市を建設した。同時にスゥルタイの魔道士たちは密林を嵐に適応させ、植物を操って雨を導き、作物に水を与え、家々を守っている。

[編集] 重要地点

スゥルタイの領土の大部分は大陸の南部に広がる巨大な三角州に位置しており、マルドゥ、アブザン、ジェスカイの領土と接している。気候は主に熱帯性で湿度が高く、ほぼ一年を通して温暖だが、冬には大きな嵐が発生する。

  • ケルゥの都/Kheru City - スゥルタイの中心都市。かつてのケルゥ神殿群の周囲に建設されたもので、三角州の水路内に座している。美しい都市であり、大きな石造りの建物や賑やかな市場、戦士の練習場、魔法の訓練のための学校がある。
  • カルシ宮殿/Qarsi Palace - ケルゥの都にあるこの宮殿はシルムガルの統治時代から存在したが、今はスゥルタイ政府の中心として再利用されている。宮殿内の植物園は名高く、丹精を込めて栽培された独特な植物が豊富に展示されている。
  • キシュラの高床式水上村/Kishla Stilt Village - 沼地の小さな漁村であり、高床式の家々が水路の上に建てられている。水位の上昇により昔からの建物の多くが浸水し、活気ある町のあちこちに廃墟が点在している。
  • グドゥル諸島/Gudul Islands - 広大な三角州に点在する一連の島々。危険な生物の宝庫であり、多くの野生の龍がこの地の一部を占拠している。
  • グルマグ沼/Gurmag Swamp - スゥルタイ領土の上部を取り囲む危険な沼沢地。
  • マラング川/Marang River - スゥルタイ領土を流れる最大の川のひとつ。雪解け水を水源とする。
  • サグの森/Sagu Forest - 領土の端にあるこの森は、スゥルタイによって正式には支配されていない。広大で緑豊かなこの密林はナーガの祖先の故郷と考えられているものの、今なおほとんど未知のままである。ここには理解を超えた巨大な獣が数多く生息している。
  • 咲蔦森/Bloomvine Jungle - スゥルタイ領土で最も広大な、かつ切れ目のない密林。高くそびえる木々と多種多様な動物が生息し、マラング川が流れ、木々の中には多くの村が座している。咲蔦森はスゥルタイの豊かな農業生産の多くを担っている。

[編集] 重要人物

[編集] 過去のスゥルタイとの差異

最も古い氏族から印象や体制が変わった氏族だろう。旧スゥルタイ群やシルムガル氏族では単なる労働力扱いであったシブシグが名誉ある死者として扱われ、退廃的な雰囲気から離れ豊穣、華美といった印象が強くなっている。氏族で大きな地位を占めていたデーモンであるラクシャーサは追放されたが、彼らは未だにスゥルタイでの権威を取り戻すことを狙っており、領地内に他氏族や龍以外の危険因子を抱えている事も含めてスゥルタイと言える。

[編集] 関連ページ

[編集] 脚注

  1. A Dragonstorm Is Brewing, Part 2/龍の嵐の兆し その2Making Magic 2025年3月24日 Mark Rosewater著)

[編集] 参考

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