誘発型能力
提供:MTG Wiki
(→解説: 誘発型能力へのカウンター) |
|||
7行: | 7行: | ||
==解説== | ==解説== | ||
誘発型能力は[[誘発条件]]と[[効果]]を持ち、「〜とき/when」「〜たび/whenever」「〜時に/at」の語を含む一節から始まる「誘発条件、効果」という書式で書かれている。 | 誘発型能力は[[誘発条件]]と[[効果]]を持ち、「〜とき/when」「〜たび/whenever」「〜時に/at」の語を含む一節から始まる「誘発条件、効果」という書式で書かれている。 | ||
+ | |||
+ | 誘発型能力への[[打ち消す|カウンター]]は珍しく、[[起動型能力]]に対するカウンターに比べてもかなり少ない(→[[もみ消し/Stifle]])。 | ||
===誘発/trigger=== | ===誘発/trigger=== |
2012年9月27日 (木) 23:33時点における版
誘発型能力/Triggered Abilityは、特定の条件を満たすたびに誘発される能力である。
クリーチャー — 巨人(Giant)
警戒
太陽のタイタンが戦場に出るか攻撃するたび、あなたの墓地にあるマナ総量が3以下であるパーマネント・カード1枚を対象とする。あなたはそれを戦場に戻してもよい。
アーティファクト クリーチャー — ゴーレム(Golem)
真面目な身代わりが戦場に出たとき、あなたは「あなたのライブラリーから基本土地カード1枚を探し、タップ状態で戦場に出す。その後、ライブラリーを切り直す。」を選んでもよい。
真面目な身代わりが死亡したとき、あなたはカード1枚を引いてもよい。
エンチャント
各プレイヤーのアップキープの開始時に、そのプレイヤーはゾンビ(Zombie)でないクリーチャー1体を生け贄に捧げる。
終了ステップの開始時に、戦場に1体もクリーチャーがいない場合、墓への呼び声を生け贄に捧げる。
解説
誘発型能力は誘発条件と効果を持ち、「〜とき/when」「〜たび/whenever」「〜時に/at」の語を含む一節から始まる「誘発条件、効果」という書式で書かれている。
誘発型能力へのカウンターは珍しく、起動型能力に対するカウンターに比べてもかなり少ない(→もみ消し/Stifle)。
誘発/trigger
誘発型能力は、誘発条件に書かれたイベントが起こるたびに1回誘発する。誘発した時点では、誘発型能力はスタックに置かれない。
あるイベントが誘発イベントを複数回満たす場合、その数だけ誘発する。
- 例:リリアナの愛撫/Liliana's Caressをコントロールしているとき、精神腐敗/Mind Rotで対戦相手がカードを2枚捨てた。リリアナの愛撫の能力は、2回誘発する。
通常は誘発型能力が誘発するかどうかはイベントが起きた後の状況で判断する。例外として、戦場を離れる事で誘発する能力は、そのイベントが起こる前の状況に基づいて誘発する。→(領域変更誘発)
- 例:溶鉄の尖峰、ヴァラクート/Valakut, the Molten Pinnacleと6枚の山が同時に戦場に出た。ヴァラクートの能力は戦場に出た山の数だけ誘発する。
- 例:審判の日/Day of Judgmentでファルケンラスの貴族/Falkenrath Nobleを含むすべてのクリーチャーが死亡した。ファルケンラスの貴族の能力は、死亡したクリーチャーの数だけ誘発する。
誘発型マナ能力はスタックに置かれず誘発して即座に解決される。ただし、起動型マナ能力によって誘発するマナを生み出す能力のみが誘発型マナ能力である。 それ以外はマナを生み出す効果を持っていてもマナ能力ではなく、スタックに置かれ解決を待つ。(マナ能力)
- マナ能力である誘発型能力:繁茂/Wild Growth、魔力の篭手/Gauntlet of Power
- マナを生み出すがマナ能力ではない誘発型能力:Su-Chi、水蓮のコブラ/Lotus Cobra
誘発条件の後に、追加の条件が書かれている場合もある。(if節ルール)
誘発型能力の中には、イベントではなくゲームの状況に基づいて誘発するものもある。(状況誘発)
呪文や能力の効果によって、後で何かに対して誘発する誘発型能力が生成される場合がある。(遅延誘発型能力)
スタックに置く/put on the stack
誘発した能力は、次にプレイヤーが優先権を得る際、状況起因処理をチェックした後にスタックに置かれる。一度誘発した能力はその発生源とは独立して存在し、発生源が破壊されたり除去されたりしていてもスタックに置かれる。
誘発した能力をスタックに置かない事を選ぶ事はできない。
- あなたしかアーティファクトをコントロールしていないときに躁の蛮人/Manic Vandalを戦場に出した。あなたは望まなくても自分のコントロールするアーティファクトを対象に選んで躁の蛮人の能力をスタックに置かなくてはならない。
誘発型能力を置く際に複数の誘発型能力が誘発していた場合、APNAP順でプレイヤーは自分のコントロールする誘発型能力を好きな順でスタックに置く。必ずしも誘発した順番どおりにスタックに置かれるわけではない。
- 例:対戦相手が大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobiteをコントロールしているときに真面目な身代わり/Solemn Simulacrumを出した。誘発する順番は1つ目の能力→2つ目の能力だが、どちらを先にスタックに置いてもよい。
- 例:台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finksが攻撃し、残忍なレッドキャップ/Murderous Redcapにブロックされ相打ちとなった。頑強が誘発するのは同時だが、スタックに置く順はアクティブプレイヤーのコントロールする台所の嫌がらせ屋の頑強が先になる。
能力をスタックに置くとき、唱えることや起動することと同じように、モードの選択、対象の選択、ダメージやカウンター等の割り振りの決定を行う。それ以外の選択は、すべて解決時に行う。
- 誘発型能力の中には、「~してもよい。/ may ~.」と書かれたものがある。これらはスタックに置くか置かないかを選べるわけではなく、解決時になにもしない事を選べる。
- 誘発型能力の中には、「~してもよい。そうした場合~~/may ~ ,if you do,~~」としてマナの支払いや、生け贄等コストを要求するものがある。これらも実際にコストを支払うかどうかは解決時に決める。コストを支払う前に、マナ能力を起動する機会も得る。
- 例:金切り声のコウモリ/Screeching Batの能力のコストを支払うか決めるのは解決時である。コストを支払うかどうかを見てから金切り声のコウモリを除去する事はできない。
- 例:突き刺しモズ/Impaler Shrikeを生け贄に捧げるかを選択するのは能力の解決時である。生け贄に捧げる事で能力が誘発するわけではないし、また解決時まで突き刺しモズが除去されてしまったらカードを引く事はできない。
- 「~しない限り、~~する/~~ unless ~」は「~してもよい。そうしない場合~~/may ~, if you don't~~」と同じ意味である。
スタックに置かれる時に適正な対象を選べない場合、その誘発型能力はスタックから取り除かれる。再びスタックに置き直されることはない。
解決/resolve
解決時に誘発した状態から変化していても、誘発型能力の解決は通常通り行われる。
- 例:あなたのコントロールする幻影の熊/Phantasmal Bearを対象にショック/Shockが唱えられた。あなたは呪文滑り/Spellskiteの能力でショックの対象を幻影の熊から変更したが、誘発型能力の解決時に幻影の熊は生け贄に捧げられる。
ただし、if節に書かれた条件が満たされてない場合、その誘発型能力は何もしない。
- 例:冷たき集いの吸血鬼/Bleak Coven Vampiresの能力の解決前に、あなたのコントロールするアーティファクトが破壊され2つになった。そのまま能力を解決した場合、冷たき集いの吸血鬼の能力は何もしない。
カードが領域を移動する事で誘発する能力は、領域を移動したカードを「見つけてくる」事ができる。ただし、能力の解決前に指定された領域から別の領域へ移動したカードは見つける事ができない。(領域変更誘発)
- 絡み根の霊/Strangleroot Geistが死亡し不死が誘発した。不死能力の解決前に墓場の浄化/Purify the Graveによって絡み根の霊が墓地から追放された場合、不死は絡み根の霊を戦場に戻す事はできない。
その他
誘発条件によって、愛称が付けられている誘発型能力のグループがある。
- 「〜が戦場に出たとき」→CIP能力 187クリーチャー
- 「~が死亡したとき]「〜が(戦場から)墓地に置かれたとき」→死亡誘発、PIG能力
- 「~をサイクリングしたとき」→サイクリング誘発型能力
- 「~が表向きになったとき」→変異誘発型能力
誘発型能力を含むキーワード能力、能力語
参考
引用:総合ルール 20231117.0
- 6 呪文、能力、効果
- 603 誘発型能力の扱い
- 603.1 誘発型能力は誘発条件と効果を持ち、「[[[誘発条件]]またはイベント]とき/たび/時に, [[[効果]]] [指示(ある場合)]/When/Whenever/At [Trigger condition or event], [effect]. [Instructions (if any).]」という書式で書かれている。
- 603.2 誘発型能力は、ゲームのイベントやゲームの状況がその能力の誘発イベントを満たすたび、自動的に誘発する。能力はこの時点では何もしない。
- 603.2a 唱えられることも起動されることもないので、誘発型能力は呪文を唱えたり能力を起動したりできないときにも誘発する。能力を起動できないようにする効果は、誘発型能力には影響を及ぼさない。
- 603.2b フェイズやステップの開始時に、「開始時に/at the beginning of」誘発する能力がすべて誘発する。
- 603.2c 能力は、その誘発イベントが発生するたびに一度だけ誘発する。しかし、そのイベントが複数の出来事を含んでいる場合、複数回誘発することもある。
- 603.2d 能力によって、誘発型能力が追加で誘発するという場合がある。この場合、単純にその種の能力が誘発したと決定するのではなく、それが何回誘発するべきかを決定し、それからその能力がその回数誘発する。その能力を誘発させるという効果がそれ自身を何度も引き起こすことはなく、その能力が何回誘発するかに影響を与える他の効果に適用されることもない。
- 603.2e 効果の中には、オブジェクトの誘発型能力に言及しているものがある。それらの効果は、そのオブジェクトが持つ誘発型能力だけを参照し、そのオブジェクトが持つ能力によって生成されうる遅延誘発型能力(rule 603.7 参照)は参照しない。
- 603.2f 「になる/becomes」という語を用いている誘発イベント(たとえば「ついた状態になる/becomes attached」「ブロックされた状態になる/becomes blocked」など)が存在する。これらはその示されたイベントが発生したときにのみ誘発する。すなわち、元々その状態であった場合に誘発することはないし、その状態であり続ける間は再び誘発することはない。「タップ状態 になる/becomes tapped」や「アンタップ状態 になる/becomes untapped」ときに誘発する能力は、パーマネントがその位相で戦場に出たときには誘発しない。
- 603.2g 誘発型能力の誘発条件が満たされたときにその誘発型能力を持ったオブジェクトがすべてのプレイヤーに見える状態でなかった場合、その能力は誘発しない。
- 603.2h 能力は、その誘発イベントが実際に発生したときにのみ誘発する。軽減されたり置換されたりしたイベントによって誘発することはない。
- 603.2i 誘発型能力には、「これは毎ターン1回しか行えない。/Do this only once each turn.」という記述があることがある。この能力は、その発生源のコントローラーがそのターンにその処理をまだしていない場合にのみ誘発する。
- 603.3 能力が誘発すると、次にいずれかのプレイヤーが優先権を得る時点で、そのコントローラーはそれをスタックに積む。rule 117〔タイミングと優先権〕参照。その能力は、スタックの一番上にあるオブジェクトとなる。スタックにある誘発型能力は、それを作った能力の文章を持ち、それ以外の特性を持たない。能力は、打ち消されるか解決されるか、ルールによってスタックから取り除かれるか、あるいは効果によって他の領域に移動されるまでスタックにとどまる。
- 603.3a 遅延誘発型能力を除く誘発型能力は、誘発した時点でその発生源をコントロールしていたプレイヤーがコントローラーである。遅延誘発型能力のコントローラーについては、rule 603.7d-f 参照。
- 603.3b プレイヤーが最後に優先権を得たときよりも後で複数の能力が誘発した場合、それらの能力は2段階の工程を経てスタックに置かれる。まず、APNAP順で、各プレイヤーは自分がコントロールしていて誘発した能力のうち、誘発条件がそれ以外の能力が誘発したことでないすべての能力を、自分の選んだ順序でスタックに積む。(rule 101.4 参照。)次に、APNAP順で、各プレイヤーは自分がコントロールしていてまだ残っているすべての誘発した能力を自分の選んだ順序でスタックに積む。その後、状況起因処理をチェックして解決することを、発生しなくなるまで繰り返す。その後、この工程中に誘発した能力がスタックに積まれる。この工程を、新しい状況起因処理の発生も能力の誘発もしなくなるまで繰り返す。その後、該当するプレイヤーが優先権を得る。
- 603.3c 誘発型能力がモードを持つ場合、そのコントローラーはその能力をスタックに積む時点で選択するモードを宣言する。不適正なモード(適正な対象を選べないなど)を選ぶことはできない。モードが選ばれなかった場合、その能力はスタックから取り除かれる。(rule 700.2 参照。)
- 603.3d これ以降の手順は、呪文を唱える手順として rule 601.2c から rule 601.2d に記されていたのと同じである。誘発型能力がスタックに行くときに選択が必要で、その選択が適正に行えない場合、あるいはルールや継続的効果によって能力が不正になっている場合、能力は単にスタックから取り除かれる。
- 603.4 誘発イベントのすぐ後に条件が記されている(最新の日本語版では、このルールに当てはまらない「if」は「なら」と翻訳されている)誘発型能力(例えば、「[[[誘発イベント]]]とき/たび/時に、[条件]場合、[[[効果]]]する/When/Whenever/At [trigger event], if [condition], [effect]」)は、誘発条件の一部として条件が真かどうかをチェックする。条件が真でないなら、能力は誘発しない。また、解決時にも再び条件をチェックし、条件が真でなくなっていた場合、能力は何もしない。これは、対象が適正かどうかのチェックと同じことである。このルールは「"場合"のルール/"intervening 'if' clause" rule」と呼ばれる。(このルールは、テキスト内の他のところに「if」条件がある(日本語版の場合、「なら」と書かれている)誘発型能力には適用しないことに注意。)
- 603.5 誘発型能力の効果のなかには、行動をするかしないかを選択できる(「あなたのアップキープ開始時に、あなたはカード1枚を引いてもよい。」というように、「してもよい/may」が含まれる)ものがある。コントローラーがその能力の選択をする意図があるかどうかに関係なく、その能力は誘発したときにスタックに積まれる。選択は能力の解決時に行う。同様に、何かの条件を満たさ「ない限り/unless」発生しない効果を持つ誘発型能力や、プレイヤーが何かをすることを選ぶ効果を持つ誘発型能力は、通常どおりスタックに積まれる。能力の「ない限り/unless」の部分は能力の解決時に処理される。
- 603.6 オブジェクトが領域を移動することを含む誘発条件は「領域変更誘発」と呼ばれる。領域変更誘発を持つ能力の多くは、領域が変わった後でそのオブジェクトに何かしようとする。解決中に、これらの能力はオブジェクトを移動先の領域で探す。その指定された領域でそのオブジェクトが見つからなかった場合、効果のうちでそのオブジェクトに何かをする部分は失敗する。能力によるオブジェクトの捜索は、オブジェクトがその領域に入らなかった場合や、能力の解決よりも前に指定された領域を離れた場合、あるいはその移動先の領域がライブラリーや対戦相手の手札などで非公開な場合に失敗する(能力の解決よりも前に、オブジェクトが領域を離れてまた戻ってきた場合でも同じである)。領域変更誘発の最も一般的な例には、戦場に出た時に誘発する能力と戦場を離れた時に誘発する能力とがある。
- 603.6a 戦場に出た時の能力は、パーマネントが戦場に出た時に誘発する。これらは、「[このオブジェクト]が戦場に出たとき、…/When [this object] enters the battlefield,」、あるいは「[[[タイプ]]]が戦場に出るたび、…/Whenever a [type] enters the battlefield,」と書かれている。1つ以上のパーマネントを戦場に出すイベントのたびに、戦場に出ているすべてのパーマネント(今出たものも含む)は、そのイベントにあった、戦場に出た時の誘発条件をチェックする。
- 603.6b パーマネントの特性を変える継続的効果は、パーマネントが戦場に出る瞬間にすぐ適用され(それより前には適用されない)、そのパーマネントが本来の特性で戦場に出ることはない。継続的効果はパーマネントが戦場に出る前には適用しない。rule 603.6d 参照。
- 603.6c 戦場を離れた時の能力は、指定されたパーマネントが戦場を離れた時、あるいはフェイズ・イン 位相のパーマネントがそのオーナーがゲームから離れたことによってゲームから離れた時に誘発する。これらは、「[このオブジェクト]が戦場を離れたとき、…/When [this object] leaves the battlefield,」、あるいは「[何か]が戦場から墓地へ置かれるたび、…/Whenever a [something] is put into a graveyard from the battlefield,」と書かれている(rule 603.10 も参照)。カードが戦場を離れた時に何かしようとする能力は、そのカードが最初に行った領域のみをチェックする。カードが特定の領域に「いずこかから/from anywhere」置かれたことによって誘発する能力は、そのオブジェクトが戦場から移動したとしても、戦場を離れた時の能力としては扱わない。
- 603.6d いくつかのパーマネントは、「[このパーマネント]は、…状態で戦場に出る/[this permanent] enters the battlefield with」「[このパーマネント]が戦場に出るに際し…/As [this permanent] enters the battlefield」、「[このパーマネント]は…として戦場に出る/[this permanent] enters the battlefield as」、「[このパーマネント]はタップ状態で戦場に出る/[this permanent] enters the battlefield tapped.」と書かれた文章を持つ。これらの文章は誘発型能力でなく常在型能力であり、その効果はそのパーマネントを戦場に出すイベントの一部として発生する。
- 603.6e オーラの中には、エンチャントしているパーマネントが戦場を離れたときに誘発する誘発型能力を持つものがある。これらの誘発型能力は、エンチャントされていたパーマネントが移動する先の領域でなるオブジェクトを見つけるだけでなく、そのオーラが状況起因処理がチェックされた後でオーナーの墓地に行った先でなるオブジェクトも見つける。rule 400.7 参照。
- 603.7 効果によって、後で何かを行う遅延誘発型能力が作成されることがある。遅延誘発型能力は、それらの単語が先頭ではないことが多いが、「~とき/When」「~たび/Whenever」「~時/At」の3語のうちいずれかを含む。
- 603.7a 遅延誘発型能力は、呪文や他の能力の解決中に、あるいは置換効果の適用の結果、あるいはプレイヤーに何らかの処理を認める常在型能力の結果、作られる。実際に作られるまで、その直前に誘発イベントが起こっていたとしても、誘発することはない。その類のイベントによって、条件が決して満たされることがなくなることもありうる。
- 603.7b 遅延誘発型能力は、「このターンの間/this turn」のような記された期限がない限り、次に誘発イベントが起こった時に一度だけ誘発する。その誘発イベントが複数同時に発生し、その能力に記された期限がなかった場合、その遅延誘発型能力のコントローラーが、どちらのイベントによって誘発するかを選ぶ。
- 603.7c あるオブジェクトに影響する遅延誘発型能力は、そのオブジェクトの特性が変化しても影響を及ぼす。しかし、そのオブジェクトがその領域を離れていた場合には影響を及ぼさない。(一旦領域を離れて再び戻ってきた場合にも、それは新しいオブジェクトであるので影響を受けない。rule 400.7 参照)
- 603.7d 呪文が遅延誘発型能力を作った場合、その遅延誘発型能力の発生源はその呪文であり、コントローラーはその呪文の解決時のコントローラーである。
- 603.7e 起動型あるいは誘発型の能力が遅延誘発型能力を作った場合、その遅延誘発型能力の発生源は作った能力の発生源と同じであり、コントローラーは作る能力の解決時のコントローラーである。
- 603.7f 常在型能力による置換効果が遅延誘発型能力を作った場合、その遅延誘発型能力の発生源はその常在型能力を持つオブジェクトであり、コントローラーは置換効果を適用した時点でのそのオブジェクトのコントローラーである。
- 603.7g プレイヤーに何らかの処理を認め、そのプレイヤーがそうしたなら遅延誘発型能力を作る常在型能力が存在する場合、その遅延誘発型能力の発生源はその常在型能力を持つオブジェクトである。その遅延誘発型能力のコントローラーは、その処理が行われた時点でのそのオブジェクトのコントローラーである。
- 603.7h 起動型や誘発型である能力は、それを生成した能力が1ターンの間に一定回数解決されたときに誘発する遅延誘発型能力を生成することがある。その場合、その遅延誘発型能力はその能力の該当する解決中に1度だけ生成される。
- 603.8 誘発型能力の中には、イベントの発生したときに誘発するものの他に、(プレイヤーがあるカード・タイプのパーマネントをコントロールしていない場合に誘発するものなど、)ゲームの状況によって誘発するものがある。それらの能力はゲームの状況がその条件を満たしたら即座に誘発し、次の機会にスタックに積まれる。これらの能力を状況誘発型能力と呼ぶ(状況誘発型能力は状況起因処理とは異なる)。状況誘発型能力は、その能力が解決されるか打ち消されるなどでスタックから取り除かれるまでは再び誘発することはないが、それ以降にその能力を持つオブジェクトがまだその領域に残っていてゲームの状況が誘発条件を満たしていた場合には、その能力は再び誘発する。
- 603.9 プレイヤーが負けたときに誘発すると明記されている誘発型能力が存在する。その種の能力は、理由を問わず、プレイヤーが負け、あるいは引き分け以外の理由でゲームから離れた時に誘発する。rule 104.3 参照。
- 603.10 通常、そのイベントが誘発条件を満たしたかどうかのチェックを行うのは、イベントの直後に存在するオブジェクトについてである。その時点で存在する継続的効果は、その誘発条件が何であるか、また、そのイベントに関与するオブジェクトが何であるかを決定するために用いられる。しかし、誘発型能力の中には、例外としてその能力が誘発するかどうかを決定するためにゲームがそれらの能力の存在とそのイベントの直前のオブジェクトの状態を用いて「直前の状態を見る」ものがある。その例外は以下の通りである。
- 603.10a 領域変更誘発の中には、直前の状態を見るものがある。戦場を離れたときの能力、カードが墓地を離れたときに誘発する能力、ならびに全てのプレイヤーが見ることができるオブジェクトが手札やライブラリーに移動したときに誘発する能力である。
- 603.10b パーマネントがフェイズ・アウトしたときに誘発する能力は直前の状態を見る。
- 603.10c オブジェクトがはずれたときに誘発すると明記されている能力は直前の状態を見る。
- 603.10d プレイヤーがオブジェクトのコントロールを失ったときに誘発する能力は直前の状態を見る。
- 603.10e 呪文が打ち消されたときに誘発する能力は直前の状態を見る。
- 603.10f プレイヤーがゲームに負けたときに誘発する能力は直前の状態を見る。
- 603.10g プレイヤーが次元からプレインズウォークしたときに誘発する能力は直前の状態を見る。
- 603.11 オブジェクトの中には、誘発型能力と関連した常在型能力を持つものがある。(rule 607〔関連している能力〕参照)。この類のオブジェクトでは、先に常在型能力、後に誘発型能力という順序で、両方の能力が一行に書かれている。まれに、誘発条件が能力の最初ではなく途中に書かれているオブジェクトもある。
- 603.12 呪文や能力の解決によって、プレイヤーに強制または任意で何らかの処理をさせ、そして「[[[プレイヤー]]が]そう[した/しなかった]とき/when [a player][does or doesn't]」または「これにより[○○した]とき/when [something happens] this way」処理する、という誘発型能力が作られることがある。これらの「再帰誘発型能力/reflexive triggered ability」は、作られた直後にチェックされ、それを作った呪文や能力の解決中に、すでにその条件を満たしていたかどうかを参照するという点を除いては遅延誘発型能力のルールに従う(rule 603.7 参照)。
- 603 誘発型能力の扱い