キッカー
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おおざっぱに言うと「[[追加コスト]]を支払うことで、本来の[[効果]]に加えて別の効果を追加することも選べる」ような能力。似たようなことができるカードは古くから[[アライアンス]]などにいくつかあったが、[[インベイジョン・ブロック]]では[[キーワード能力]]として定義され、各[[色]]に作られた。 | おおざっぱに言うと「[[追加コスト]]を支払うことで、本来の[[効果]]に加えて別の効果を追加することも選べる」ような能力。似たようなことができるカードは古くから[[アライアンス]]などにいくつかあったが、[[インベイジョン・ブロック]]では[[キーワード能力]]として定義され、各[[色]]に作られた。 | ||
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+ | [[時のらせんブロック]]、[[ゼンディカー・ブロック]]、[[ドミナリア]]、[[モダンホライゾン]]、[[ゼンディカーの夜明け]]、[[モダンホライゾン2]]、[[ニューカペナの街角統率者デッキ]]、[[団結のドミナリア]]で再登場。[[時のらせん]]では[[タイムシフト]]の[[再録]]のみの登場で、[[次元の混乱]]では[[緑]]のメカニズムとして割り当てられた。また、[[ワールドウェイク]]では新しい形の'''[[多重キッカー]]'''が登場した。ドミナリアでは全色に存在するが特に[[赤]]と緑に多い。ゼンディカーの夜明けでも全色に割り振られているが特に青と緑に多い。団結のドミナリアでは全色に均等に存在し、キッカーコストは全て呪文本体と違う色となっている。[[Unfinity]]では変種として[[つまみつまみ/Wicker Picker|ステッカー・キッカー]]が登場した。[[機械兵団の進軍]]からは[[落葉樹]]メカニズムとなり、必要とすれば少数でもセットに登場するようになる<ref>[https://markrosewater.tumblr.com/post/713781796448387072/final-flourish-is-the-only-card-in-the-set-with Blogatog]([[Blogatog]] [[2023年]]4月5日)</ref>。 | ||
===ルール=== | ===ルール=== | ||
− | * | + | *キッカーは[[追加コスト]]である。基本的なルールについては[[追加コスト]]の項を参照。 |
− | * | + | **キッカー・コストは[[唱える]]時にのみ支払える。キッカーを持つ[[パーマネント]]が[[唱える]]以外の方法で[[戦場に出る]]場合、キッカー・コストを支払うことはできない。 |
− | *キッカー・コストに含まれる[[マナ]]の[[色]] | + | **キッカー・コストに含まれる[[マナ]]の[[色]]とカードの色に関係はない。例えば、[[雷景学院の戦闘魔道士/Thunderscape Battlemage]]は[[赤]]のカードであるが、キッカー・コストを支払ったとしても[[黒]]や[[緑]]になることはない。[[マナ・コスト]]および[[マナ総量]]に関しても同様。 |
− | * | + | *「キッカー [コスト1]/[コスト2]」のように複数のキッカーを持つ場合、それぞれのキッカーに対して支払うか支払わないかを選択できる。つまり、「両方支払う」「どちらか一方のみ支払う」「どちらも支払わない」のどれを選択してもよい。 |
+ | **複数のキッカーに対してキッカー・コストを支払った場合、その数だけキッカーされていることになる。例えば、[[菌獣の横行/Saproling Infestation]]はその数だけ誘発する。 | ||
+ | **各キッカー能力とそれを支払った場合に何かする能力は[[関連している能力]]である。後者の能力は前者の能力でキッカーされたかどうかのみ参照し、他のキッカー能力は参照しない。 | ||
+ | *キッカー・コストを支払うことを選択した場合に「キッカーされている」ことになる。実際にどれだけのコストを支払うことになったのかは関係ない。 | ||
+ | *[[スタック]]上において、キッカー・コストを支払うことを選んだかどうかは[[コピー可能な値]]である。キッカー・コストを支払うことを選んで唱えられた呪文の[[コピー]]は、その選択もコピーされる({{CR|707.2}})。 | ||
+ | **既に戦場に出ているパーマネントをコピーする場合、コピー元がキッカー・コストを支払ったか否かの情報はコピーされない。 | ||
===その他=== | ===その他=== | ||
− | *[[トーナメント]] | + | *[[トーナメント]]において活躍したカードも多数生んでおり、インベイジョン・ブロックの人気に貢献した。 |
− | **よく使われたカードとしては[[ウルザの激怒/Urza's Rage]] | + | **よく使われたカードとしては[[ウルザの激怒/Urza's Rage]]が有名。当時の[[シングルカード]]価格の高騰ぶりは現在でも語りぐさである。その他にも[[スキジック/Skizzik]]、[[ラッカボルバー/Rakavolver]]、[[オアリムの詠唱/Orim's Chant]]、[[ファイレクシアの盾持ち/Phyrexian Scuta]]など[[レア]]に強いカードが多かった。もちろん[[調査/Probe]]、[[急流/Rushing River]]など[[コモン]]枠にも良いカードは見られる。 |
− | *1つの呪文に2種のキッカーが搭載されていることを俗に「'''ダブル・キッカー''' | + | *1つの呪文に2種のキッカーが搭載されていることを俗に「'''ダブル・キッカー'''」と呼ぶ。サイクルとなっているものでは[[プレーンシフト]]の[[荊景学院の戦闘魔道士/Thornscape Battlemage|戦闘魔道士]][[サイクル]]と[[アポカリプス]]の[[ボルバー]]サイクル、[[団結のドミナリア]]の[[怒りの大天使/Archangel of Wrath]]などのサイクルが該当し、それ以外では[[照射/Illuminate]]と[[アナの戦闘魔道士/Ana Battlemage]]がある。 |
− | *インベイジョン・ブロックのキッカーを持つカードの[[絵|イラスト]]には、そのコストの色に対応した[[インベイジョン]]の[[エキスパンション・シンボル]] | + | *インベイジョン・ブロックのキッカーを持つカードの[[絵|イラスト]]には、そのコストの色に対応した[[インベイジョン]]の[[エキスパンション・シンボル]](ドミナリア連合のシンボル)の一部が描かれている<ref>[https://web.archive.org/web/20020606054038/http://wizards.com/default.asp?x=mtgcom/arcana/60 Battlemage Coalition(Internet Archive)](Arcana [[2002年]]3月27日)</ref>。 |
*キッカー・コストを支払うことにより、[[+1/+1カウンター]]を得るカードも多く、この[[カウンター (目印)|カウンター]]を参照するカードとの[[シナジー]]を持つ。 | *キッカー・コストを支払うことにより、[[+1/+1カウンター]]を得るカードも多く、この[[カウンター (目印)|カウンター]]を参照するカードとの[[シナジー]]を持つ。 | ||
− | *[[中国語版]] | + | *インベイジョン・ブロックで初めて登場したときは、呪文のキッカー・コストが支払われたことによる[[能力]]を「あなたが([コスト]の)キッカー・コストを支払った場合」と表記していた。[[第8版]]発売に伴う[[総合ルール]]・[[オラクル]]更新で「([コスト]の)キッカー・コストが支払われている場合」に変更され、コントロール変更効果との相互作用が明確化された。それでも、コスト軽減の結果、キッカー・コスト部分を実際に支払わなくて済むようになった場合にキッカーによる能力が機能しなくなる問題があったため、2009年9月4日の総合ルール・オラクル更新で「([コスト]で)キッカーされている場合」という表記に改められた。 |
+ | *機能的には追加コストを支払わせるものでしかないため、多くのキーワード能力やメカニズムはキッカーを使うことでも実現できることがよく指摘されており、[[R&D|開発部]]でもそのことを認識している。このことは、キッカーの再登場をためらわせる原因となっている<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/support-group-2012-02-20 Support Group]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0004168/ サポート・グループ](Making Magic [[2012年]]2月20日 [[Mark Rosewater]]著)</ref><ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/storm-scale-zendikar-and-battle-zendikar-2016-11-21 Storm Scale: Zendikar and Battle for Zendikar]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0018047/ ストーム値:『ゼンディカー』『戦乱のゼンディカー』ブロック](Making Magic [[2016年]]11月21日 Mark Rosewater著)</ref>。 | ||
+ | *[[中国語版]]での訳語は「'''増幅'''」。日本語版の[[増幅]]は別物なので注意。 | ||
+ | *[[Mark Rosewater]]は最も後悔しているネーミングのキーワード能力として、フレーバー性が皆無な事からキッカーを挙げている。一方でどんなネーミングが良かったかはアイディアが見つからないとも言い、"Spellboost"の意味でもっと響きが良い単語が良いだろうと考えている<ref>[https://markrosewater.tumblr.com/post/632600260163829760/what-keyword-name-choice-do-you-most-regret-and Blogatog]([[Blogatog]] [[2020年]]10月21日)</ref>。 | ||
+ | **''kicker''には(「[[Chun-Li, Countless Kicks|蹴る人]]」の他に)「追加で得られる利益、あるいは追加で負担しなければならないコスト」という意味がある。インベイジョンのリード・デザイナーを務めこのメカニズムを考え出した[[Bill Rose]]いわく、ボードゲーム「[[コズミックエンカウンター]]」のキッカーカードに由来している<ref>[https://media.wizards.com/2021/podcasts/magic/drivetowork817_invasionwithbill_su76f6sD.mp3 Drive to Work #817 – Invasion with Bill Rose](ポッドキャスト)</ref>。 | ||
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+ | ==キッカーを参照するカード== | ||
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+ | !カード名!!コスト!!タイプ!!効果!!初出セット | ||
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+ | |[[アーテイの計略/Ertai's Trickery]]||U||[[インスタント]]||キッカーされている呪文を[[打ち消す]]。||[[プレーンシフト]] | ||
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+ | |[[轟く余震/Rumbling Aftershocks]]||4R||[[エンチャント]]||キッカーされた呪文を唱えるたびキッカーした回数に等しいダメージを[[任意の対象]]に与える。||[[ワールドウェイク]] | ||
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+ | |[[血石のゴブリン/Bloodstone Goblin]]||1R||[[クリーチャー]]||キッカーされた呪文を唱えるたび+1/+1の[[修整]]と[[威迫]]を得る。||[[ドミナリア]] | ||
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+ | |[[エルフェイムのドルイド/Elfhame Druid]]||1G||クリーチャー||キッカーされた呪文を唱えるためだけに使用できるマナを加える[[マナ能力]]を持つ。||ドミナリア | ||
+ | |- | ||
+ | |[[炎矢師、ハラー/Hallar, the Firefletcher ]]||1RG||クリーチャー||キッカーされた呪文を唱えるたび[[+1/+1カウンター]]を置きさらにその上のカウンターに等しいダメージを各[[対戦相手]]に与える。||ドミナリア | ||
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+ | |[[珊瑚兜の年代記編者/Coralhelm Chronicler]]||2U||クリーチャー||戦場に出たとき、[[ライブラリーの一番上]]から5枚の中からキッカー能力を持つカードを手札に加える。<br>キッカーされた呪文を唱えるたびカードを1枚引き1枚捨てる。||[[ゼンディカーの夜明け]] | ||
+ | |- | ||
+ | |[[マーフォークの鷹匠/Merfolk Falconer]]||3UU||クリーチャー||キッカーされた呪文を唱えるたび[[占術]]2を行う。||ゼンディカーの夜明け | ||
+ | |- | ||
+ | |[[目覚めし激浪/Risen Riptide]]||2U||クリーチャー||キッカーされた呪文を唱えるたび5/5になる。||ゼンディカーの夜明け | ||
+ | |- | ||
+ | |[[ドレイクの休息地/Roost of Drakes]]||U||エンチャント||キッカーされた呪文を唱えるたび[[飛行]]を持つ2/2の[[トークン]]を[[生成]]する。||ゼンディカーの夜明け | ||
+ | |- | ||
+ | |[[ムラーサの発芽種/Murasa Sproutling]]||2G||クリーチャー||キッカーされていた場合、[[墓地]]からキッカー能力を持つカード1枚を手札に戻す。||ゼンディカーの夜明け | ||
+ | |- | ||
+ | |[[蔦ヤモリ/Vine Gecko]]||1G||クリーチャー||各[[ターン]]で最初に唱えるキッカーされた呪文のコストは(1)少なくなる。<br>キッカーされた呪文を唱えるたび+1/+1カウンターを置く。||ゼンディカーの夜明け | ||
+ | |- | ||
+ | |[[凪魔道士の使い魔/Lullmage's Familiar ]]||1GU||クリーチャー||キッカーされた呪文を唱えるたび2点の[[ライフ]]を得る。||ゼンディカーの夜明け | ||
+ | |- | ||
+ | |[[分かたれし水流、ヴェラゾール/Verazol, the Split Current]]||XGU||クリーチャー||キッカーされた呪文を唱えるたび自身の上の+1/+1カウンターを取り除くことでその呪文を[[コピー]]する。||ゼンディカーの夜明け | ||
+ | |- | ||
+ | |[[マキンディの玉座/Throne of Makindi]]||||[[土地]]||キッカーされた呪文を唱えるためだけに使用できるマナを加えるマナ能力を持つ。||ゼンディカーの夜明け | ||
+ | |- | ||
+ | |[[潮廻しのヴォルシェ/Volshe Tideturner]]||1U||クリーチャー||インスタントか[[ソーサリー]]かキッカーされた呪文を唱えるためだけに使用できるマナを加えるマナ能力を持つ。||[[団結のドミナリア]] | ||
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+ | ==脚注== | ||
+ | <references/> | ||
==参考== | ==参考== | ||
*{{WHISPER検索/英語オラクル|Kicker|キッカー(Kicker)}} | *{{WHISPER検索/英語オラクル|Kicker|キッカー(Kicker)}} | ||
+ | *[[多重キッカー]] | ||
*[[キーワード能力]] | *[[キーワード能力]] | ||
*[[ルーリング]] | *[[ルーリング]] | ||
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2024年6月29日 (土) 11:14時点における最新版
キッカー/Kicker | |
---|---|
種別 | 常在型能力 |
登場セット | 多数 |
CR | CR:702.33 |
キッカー/Kickerは、インベイジョン・ブロックで初めて登場したキーワード能力。これを持つ呪文がスタック上にある間に機能する常在型能力である。
クリーチャー — カヴー(Kavu)
キッカー(2)(緑)(あなたがこの呪文を唱えるに際し、あなたは追加の(2)(緑)を支払ってもよい。)
カヴーのタイタンがキッカーされていた場合、それはその上に+1/+1カウンターが3個置かれた状態で戦場に出るとともに、トランプルを持つ。
クリーチャー — 人間(Human) ウィザード(Wizard)
キッカー(1)(黒)/(緑)(あなたがこの呪文を唱えるに際し、あなたは追加の(1)(黒)か(緑)またはその両方を支払ってもよい。)
雷景学院の戦闘魔道士が戦場に出たとき、それが(1)(黒)でキッカーされていた場合、プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを2枚捨てる。
雷景学院の戦闘魔道士が戦場に出たとき、それが(緑)でキッカーされていた場合、エンチャント1つを対象とし、それを破壊する。
[編集] 定義
キッカー [コスト]/Kicker [コスト]は、「この呪文を唱えるに際し、あなたは追加で[コスト]を支払ってもよい。」を意味する。
キッカー [コスト1]/[コスト2]は、「キッカー [コスト1]」、「キッカー [コスト2]」と同じ意味である。
呪文のコントローラーが呪文のキッカー・コストを支払う意図を宣言した場合、その呪文はキッカーされている/Kicked状態になる。
[編集] 解説
唱える際に、本来のコストに加えてキッカー・コストを支払うことができる能力である。キッカー・コストを支払った(キッカーされている)時に何が起きるかは、各カードのルール文章により定義される。
おおざっぱに言うと「追加コストを支払うことで、本来の効果に加えて別の効果を追加することも選べる」ような能力。似たようなことができるカードは古くからアライアンスなどにいくつかあったが、インベイジョン・ブロックではキーワード能力として定義され、各色に作られた。
時のらせんブロック、ゼンディカー・ブロック、ドミナリア、モダンホライゾン、ゼンディカーの夜明け、モダンホライゾン2、ニューカペナの街角統率者デッキ、団結のドミナリアで再登場。時のらせんではタイムシフトの再録のみの登場で、次元の混乱では緑のメカニズムとして割り当てられた。また、ワールドウェイクでは新しい形の多重キッカーが登場した。ドミナリアでは全色に存在するが特に赤と緑に多い。ゼンディカーの夜明けでも全色に割り振られているが特に青と緑に多い。団結のドミナリアでは全色に均等に存在し、キッカーコストは全て呪文本体と違う色となっている。Unfinityでは変種としてステッカー・キッカーが登場した。機械兵団の進軍からは落葉樹メカニズムとなり、必要とすれば少数でもセットに登場するようになる[1]。
[編集] ルール
- キッカーは追加コストである。基本的なルールについては追加コストの項を参照。
- 「キッカー [コスト1]/[コスト2]」のように複数のキッカーを持つ場合、それぞれのキッカーに対して支払うか支払わないかを選択できる。つまり、「両方支払う」「どちらか一方のみ支払う」「どちらも支払わない」のどれを選択してもよい。
- 複数のキッカーに対してキッカー・コストを支払った場合、その数だけキッカーされていることになる。例えば、菌獣の横行/Saproling Infestationはその数だけ誘発する。
- 各キッカー能力とそれを支払った場合に何かする能力は関連している能力である。後者の能力は前者の能力でキッカーされたかどうかのみ参照し、他のキッカー能力は参照しない。
- キッカー・コストを支払うことを選択した場合に「キッカーされている」ことになる。実際にどれだけのコストを支払うことになったのかは関係ない。
- スタック上において、キッカー・コストを支払うことを選んだかどうかはコピー可能な値である。キッカー・コストを支払うことを選んで唱えられた呪文のコピーは、その選択もコピーされる(CR:707.2)。
- 既に戦場に出ているパーマネントをコピーする場合、コピー元がキッカー・コストを支払ったか否かの情報はコピーされない。
[編集] その他
- トーナメントにおいて活躍したカードも多数生んでおり、インベイジョン・ブロックの人気に貢献した。
- よく使われたカードとしてはウルザの激怒/Urza's Rageが有名。当時のシングルカード価格の高騰ぶりは現在でも語りぐさである。その他にもスキジック/Skizzik、ラッカボルバー/Rakavolver、オアリムの詠唱/Orim's Chant、ファイレクシアの盾持ち/Phyrexian Scutaなどレアに強いカードが多かった。もちろん調査/Probe、急流/Rushing Riverなどコモン枠にも良いカードは見られる。
- 1つの呪文に2種のキッカーが搭載されていることを俗に「ダブル・キッカー」と呼ぶ。サイクルとなっているものではプレーンシフトの戦闘魔道士サイクルとアポカリプスのボルバーサイクル、団結のドミナリアの怒りの大天使/Archangel of Wrathなどのサイクルが該当し、それ以外では照射/Illuminateとアナの戦闘魔道士/Ana Battlemageがある。
- インベイジョン・ブロックのキッカーを持つカードのイラストには、そのコストの色に対応したインベイジョンのエキスパンション・シンボル(ドミナリア連合のシンボル)の一部が描かれている[2]。
- キッカー・コストを支払うことにより、+1/+1カウンターを得るカードも多く、このカウンターを参照するカードとのシナジーを持つ。
- インベイジョン・ブロックで初めて登場したときは、呪文のキッカー・コストが支払われたことによる能力を「あなたが([コスト]の)キッカー・コストを支払った場合」と表記していた。第8版発売に伴う総合ルール・オラクル更新で「([コスト]の)キッカー・コストが支払われている場合」に変更され、コントロール変更効果との相互作用が明確化された。それでも、コスト軽減の結果、キッカー・コスト部分を実際に支払わなくて済むようになった場合にキッカーによる能力が機能しなくなる問題があったため、2009年9月4日の総合ルール・オラクル更新で「([コスト]で)キッカーされている場合」という表記に改められた。
- 機能的には追加コストを支払わせるものでしかないため、多くのキーワード能力やメカニズムはキッカーを使うことでも実現できることがよく指摘されており、開発部でもそのことを認識している。このことは、キッカーの再登場をためらわせる原因となっている[3][4]。
- 中国語版での訳語は「増幅」。日本語版の増幅は別物なので注意。
- Mark Rosewaterは最も後悔しているネーミングのキーワード能力として、フレーバー性が皆無な事からキッカーを挙げている。一方でどんなネーミングが良かったかはアイディアが見つからないとも言い、"Spellboost"の意味でもっと響きが良い単語が良いだろうと考えている[5]。
- kickerには(「蹴る人」の他に)「追加で得られる利益、あるいは追加で負担しなければならないコスト」という意味がある。インベイジョンのリード・デザイナーを務めこのメカニズムを考え出したBill Roseいわく、ボードゲーム「コズミックエンカウンター」のキッカーカードに由来している[6]。
[編集] キッカーを参照するカード
カード名 | コスト | タイプ | 効果 | 初出セット |
---|---|---|---|---|
アーテイの計略/Ertai's Trickery | U | インスタント | キッカーされている呪文を打ち消す。 | プレーンシフト |
轟く余震/Rumbling Aftershocks | 4R | エンチャント | キッカーされた呪文を唱えるたびキッカーした回数に等しいダメージを任意の対象に与える。 | ワールドウェイク |
血石のゴブリン/Bloodstone Goblin | 1R | クリーチャー | キッカーされた呪文を唱えるたび+1/+1の修整と威迫を得る。 | ドミナリア |
エルフェイムのドルイド/Elfhame Druid | 1G | クリーチャー | キッカーされた呪文を唱えるためだけに使用できるマナを加えるマナ能力を持つ。 | ドミナリア |
炎矢師、ハラー/Hallar, the Firefletcher | 1RG | クリーチャー | キッカーされた呪文を唱えるたび+1/+1カウンターを置きさらにその上のカウンターに等しいダメージを各対戦相手に与える。 | ドミナリア |
珊瑚兜の年代記編者/Coralhelm Chronicler | 2U | クリーチャー | 戦場に出たとき、ライブラリーの一番上から5枚の中からキッカー能力を持つカードを手札に加える。 キッカーされた呪文を唱えるたびカードを1枚引き1枚捨てる。 |
ゼンディカーの夜明け |
マーフォークの鷹匠/Merfolk Falconer | 3UU | クリーチャー | キッカーされた呪文を唱えるたび占術2を行う。 | ゼンディカーの夜明け |
目覚めし激浪/Risen Riptide | 2U | クリーチャー | キッカーされた呪文を唱えるたび5/5になる。 | ゼンディカーの夜明け |
ドレイクの休息地/Roost of Drakes | U | エンチャント | キッカーされた呪文を唱えるたび飛行を持つ2/2のトークンを生成する。 | ゼンディカーの夜明け |
ムラーサの発芽種/Murasa Sproutling | 2G | クリーチャー | キッカーされていた場合、墓地からキッカー能力を持つカード1枚を手札に戻す。 | ゼンディカーの夜明け |
蔦ヤモリ/Vine Gecko | 1G | クリーチャー | 各ターンで最初に唱えるキッカーされた呪文のコストは(1)少なくなる。 キッカーされた呪文を唱えるたび+1/+1カウンターを置く。 |
ゼンディカーの夜明け |
凪魔道士の使い魔/Lullmage's Familiar | 1GU | クリーチャー | キッカーされた呪文を唱えるたび2点のライフを得る。 | ゼンディカーの夜明け |
分かたれし水流、ヴェラゾール/Verazol, the Split Current | XGU | クリーチャー | キッカーされた呪文を唱えるたび自身の上の+1/+1カウンターを取り除くことでその呪文をコピーする。 | ゼンディカーの夜明け |
マキンディの玉座/Throne of Makindi | 土地 | キッカーされた呪文を唱えるためだけに使用できるマナを加えるマナ能力を持つ。 | ゼンディカーの夜明け | |
潮廻しのヴォルシェ/Volshe Tideturner | 1U | クリーチャー | インスタントかソーサリーかキッカーされた呪文を唱えるためだけに使用できるマナを加えるマナ能力を持つ。 | 団結のドミナリア |
[編集] 脚注
- ↑ Blogatog(Blogatog 2023年4月5日)
- ↑ Battlemage Coalition(Internet Archive)(Arcana 2002年3月27日)
- ↑ Support Group/サポート・グループ(Making Magic 2012年2月20日 Mark Rosewater著)
- ↑ Storm Scale: Zendikar and Battle for Zendikar/ストーム値:『ゼンディカー』『戦乱のゼンディカー』ブロック(Making Magic 2016年11月21日 Mark Rosewater著)
- ↑ Blogatog(Blogatog 2020年10月21日)
- ↑ Drive to Work #817 – Invasion with Bill Rose(ポッドキャスト)
[編集] 参考
引用:総合ルール 20231117.0
- 7 その他のルール
- 702 キーワード能力
- 702.33 キッカー/Kicker
- 702.33a キッカーは、それを持つ呪文がスタック上にある間に機能する常在型能力である。「キッカー [[[コスト]]]/Kicker [[[コスト]]]」は、「この呪文を唱えるに際し、あなたは追加で[[[コスト]]]を支払ってもよい。」を意味する。呪文のキッカー・コストの支払いは、rule 601.2b、rule 601.2f-h に示された追加コストの支払いに関するルールに従う。
- 702.33b 「キッカー [[[コスト]]1]か[[[コスト]]2]かその両方/Kicker [cost 1] and/or [cost 2]」は、「キッカー[[[コスト]]1]、キッカー[[[コスト]]2]/Kicker [cost 1], kicker [cost 2]」と同義である。
- 702.33c 多重キッカー 能力は、キッカー 能力の一種である。「多重キッカー [[[コスト]]]/Mutikicker [[[コスト]]]」は「この呪文を唱えるに際し、あなたは追加で[[[コスト]]]を望む回数支払ってもよい。」を意味する。多重キッカー・コストはキッカー・コストである。
- 702.33d 呪文のコントローラーが呪文のキッカー・コストを支払う意図を宣言した場合、その呪文は「キッカーされた/Kicked」状態になる。呪文が2つのキッカー・コストを持っていたり多重キッカーを持っていたりする場合、それは複数回キッカーされ得る。rule 601.2b 参照。
- 702.33e キッカーや多重キッカーを持つオブジェクトは、キッカーされていたときに起こることを特定する、追加の能力を持っている。それらの能力はそのオブジェクトに記載されているキッカー 能力や多重キッカー 能力と関連しており、その特定のキッカー 能力や多重キッカー 能力のみを参照する。rule 607〔関連している能力〕参照。
- 702.33f 複数のキッカー・コストを持つオブジェクトは、それぞれのキッカー・コストに対応する能力を持っていることがある。それらの能力には、「[A]でキッカーされていたなら(場合)/if it was kicked with its [A] kicker」と「[B]でキッカーされていたなら(場合)/if it was kicked with its [B] kicker」という語句が含まれている。AとBはそれぞれカードに記されているキッカー・コストである。それらの能力は、対応するキッカー 能力に関連している。
- 702.33g 呪文の能力の一部がキッカーされた場合にのみ効果を持つ場合、その部分が対象を取っていたら、その呪文がキッカーされた場合にのみそれらの対象を選ぶ。そうでない場合、呪文はそれらの対象を取らないものとして唱えられる。rule 601.2c 参照。
- 702.33h ステッカー・キッカーはキッカー 能力と、その呪文がキッカーされたなら追加コストを持たせる能力を表すキーワード能力である。「ステッカー・キッカー[コスト]/Sticker kicker [cost]」は、「キッカー[コスト]」と、「この呪文を唱えるための追加コストとして、これがキッカーされていたなら、あなたはチケット・カウンター1個を得る。この呪文にステッカー1枚を貼ってもよい。」を意味する。
- 702.33 キッカー/Kicker
- 702 キーワード能力