領域変更誘発

提供:MTG Wiki

(版間での差分)
移動: 案内, 検索
 
(13人の利用者による、間の22版が非表示)
1行: 1行:
'''領域変更誘発'''/''Zone-Change Triggers''とは、[[オブジェクト]]が[[領域]]を移動することを含む[[誘発条件]]のこと。
+
'''領域変更誘発'''/''Zone-Change Triggers''とは、[[オブジェクト]]が[[領域]]を移動することを含む[[誘発イベント]]のこと。代表的なものには「[[戦場に出る|戦場に出]]たとき([[ETB]])」「[[死亡]]したとき([[死亡誘発]]/[[PIG]])」などがある。
 +
{{#card:Thragtusk}}
 +
{{#card:Strangleroot Geist}}
 +
[[カード]]の文章には出てこず、ゲーム用語としても使う機会は少ないが[[誘発型能力]]を理解する上で重要なルール群である。特に「戦場を離れたとき」誘発する能力は、特別なルールで扱いゲームでも出番が多い。
  
代表的なものには「[[場に出る|場に出た]]とき([[CIP]])」「[[場]]から[[墓地]]に置かれたとき([[PIG]])」「場を離れたとき」などがある。
+
==領域を移動したオブジェクトを「見つける」==
  
この種の[[誘発型能力]]は、移動先の領域で移動したオブジェクトを「見つける」ことができる。これは「領域を移動したオブジェクトは新しいオブジェクトとして扱われる。」というルールの例外である。ただし、これはそのオブジェクトが最初に移動した領域にのみ適用され、誘発型能力の[[解決]]前にさらに別の領域に移動した場合、誘発型能力はそのオブジェクトを「見失う」。また、オブジェクトが指定された領域と違う領域に行った場合や、移動先の領域が[[非公開情報]]であった場合も「見失う」。
+
この種の誘発型能力は「ある領域から他の領域に移動したオブジェクトは、以前の状態の記憶を失い、以前の状態と関係のない新しいオブジェクトになる。」という基本的なルールの例外となる。これらの能力は、領域を移動したオブジェクトを「見つける」事ができる。
  
*例:[[怨恨/Rancor]]が場から墓地に置かれたとき、自身の誘発型能力で墓地に行った怨恨を見つけて墓地から[[手札]][[戻す]]ことになる。この誘発型能力解決前に怨恨が墓地に無かった場合、怨恨を見失うため手札には戻せない。
+
*例:[[絡み根の霊/Strangleroot Geist]]が死亡したとき、自身の[[不死]]の誘発型能力で墓地に移動した絡み根の霊を「見つけて」墓地から戦場に[[戻す]]ことになる。
**誘発型能力解決前に怨恨が一旦墓地を離れ、その後同じ[[カード]]が墓地に戻っていても、解決時には怨恨を発見できない。戻ってきた怨恨は新しいオブジェクトとして扱われるからである。
+
  
[[エンチャント]]されている[[パーマネント]]が場を離れたことによって[[誘発]]する[[オーラ]]の[[能力]]は、移動先ににあるそのパーマネントと、[[状況起因効果]]のチェック後に[[オーナー]]の墓地に置かれたそのオーラ自身を見つけることができる。これも「領域を移動したオブジェクトは新しいオブジェクトとして扱われる。」というルールの例外である。
+
ただし、これはそのオブジェクトが最初に移動した領域にのみ適用され、誘発型能力の[[解決]]前にさらに別の領域に移動した場合、誘発型能力はそのオブジェクトを「見失う」。また、オブジェクトが指定された領域と違う領域に行った場合や、移動先の領域が[[非公開領域]]であった場合も「見失う」。
  
*例:[[旅する疫病/Traveling Plague]]にエンチャントされている[[クリーチャー]]が場を離れたとき、旅する疫病は自身の誘発型能力によって墓地から場に戻る。
+
*例:絡み根の霊が死亡したあと、不死の誘発型能力の[[解決]]前に[[墓場の浄化/Purify the Grave]]で墓地の絡み根の霊を追放した。不死を解決しても、能力は絡み根の霊を見失い戦場に戻す事はできない。
 +
 
 +
能力の解決よりも前に、オブジェクトが領域を離れてまた戻ってきた場合でも同じである。
 +
 
 +
*例:[[不浄なる者、ミケウス/Mikaeus, the Unhallowed]]をコントロールしているときに絡み根の霊が死亡した。絡み根の霊は不死を2つ持っているので2回誘発するが、1回目の解決後に再び絡み根の霊を墓地に置いても、2回目の不死は絡み根の霊を見つける事はできない。
 +
 
 +
[[エンチャント (キーワード能力)|エンチャント]]されている[[パーマネント]]が戦場を離れたことによって[[誘発]]する[[オーラ]]の[[能力]]は、移動先にあるそのパーマネントと、[[状況起因処理]]のチェック後に[[オーナー]]の墓地に置かれたそのオーラ自身を見つけることができる。これも「領域を移動したオブジェクトは新しいオブジェクトとして扱われる。」というルールの例外である。
 +
 
 +
*例:[[天使の運命/Angelic Destiny]]にエンチャントされている[[クリーチャー]]が死亡したとき、天使の運命は自身の誘発型能力によって墓地から手札に戻る。
 +
 
 +
==過去の状況を見て誘発する==
  
 
通常、[[イベント]]が誘発条件を満たしたかどうかのチェックを行なうのは、イベントの直後に存在するオブジェクトについてである。
 
通常、[[イベント]]が誘発条件を満たしたかどうかのチェックを行なうのは、イベントの直後に存在するオブジェクトについてである。
  
*例:[[魂の管理人/Soul Warden]]とその他のクリーチャーが同時に場に出た場合、各クリーチャーについて魂の管理人の能力が誘発し、その分の[[ライフ]]を得られる。それぞれのクリーチャーが場に出た直後の状況を参照すると、魂の管理人が場に出ており、能力が有効になっているためである。
+
*例:[[魂の管理人/Soul Warden]]とその他のクリーチャーが同時に戦場に出た場合、各クリーチャーについて魂の管理人の能力が誘発し、その分の[[ライフ]]を得られる。それぞれのクリーチャーが戦場に出た直後の状況を参照すると、魂の管理人が戦場に出ており、能力が有効になっているためである。
 +
 
 +
だが誘発イベントが以下のいずれかに該当する場合は、誘発するかの判定はこれらが適用される直前の「過去の状況」を基に行われる。
 +
 
 +
*パーマネントが戦場を離れる
 +
**「戦場から墓地に置かれた(死亡した)」など行き先の領域が特定されている場合も、それが戦場を離れることを含んでいればこれに該当する。
 +
**カードが特定の領域に「いずこかから<ref>[[モダンホライゾン2]]より前のカードでは「いずれかの領域から」</ref>/from anywhere」置かれたことによって誘発する能力は、そのオブジェクトが戦場から移動したとしてもこれには該当しない。
 +
*カードが墓地を離れる
 +
**該当する能力:[[エレボスのタイタン/Erebos's Titan]]
 +
*すべての[[プレイヤー]]が見られるオブジェクトが手札や[[ライブラリー]]に移動する
 +
**該当する能力:[[ゴルガリの茶鱗/Golgari Brownscale]]、[[太陽と月の輪/Wheel of Sun and Moon]]があるときの[[サイクリング誘発型能力]]
 +
*プレイヤーがオブジェクトの[[コントロール (ルール用語)|コントロール]]を失う
 +
**該当する能力:[[二枚舌/Duplicity]]、[[オーガの装具奪い/Ogre Geargrabber]]
 +
*オブジェクトが[[はずす|はずれる]]
 +
**該当する能力:[[生体融合外骨格/Grafted Exoskeleton]]
 +
*パーマネントが[[フェイズ・アウト]]する
 +
**該当する能力:[[アーテイの使い魔/Ertai's Familiar]]
 +
*プレイヤーがある[[次元]]から[[プレインズウォーク]]する
 +
**該当する能力:[[セラの聖所/Sanctum of Serra (次元カード)]]
  
領域変更誘発が「パーマネントが場を離れる」「すべての[[プレイヤー]]が見られるオブジェクトが手札や[[ライブラリー]]に移動する」「プレイヤーがオブジェクトの[[コントロール (ルール用語)|コントロール]]を失う」「オブジェクトが[[はずす|はずれる]]」のいずれかに該当する場合、イベント後にはそのオブジェクトが存在していないため、特別に扱われる。この場合、誘発するかの判定はこれらが適用される直前の「過去の状況」を基に行われる。
+
===例===
 +
*例:[[審判の日/Day of Judgment]][[ファルケンラスの貴族/Falkenrath Noble]]を含むすべてのクリーチャーが死亡した場合、ファルケンラスの貴族の能力は、死亡したクリーチャーの数だけ誘発する。すべてのクリーチャーが墓地に置かれるイベントの直前の状況で、ファルケンラスの貴族の誘発型能力が有効であるからである。
 +
*[[ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine]]に[[蛙変化/Turn to Frog]]が唱えられ解決後ワームとぐろエンジンが死亡した場合、トークンを出す能力は誘発しない。ワームとぐろエンジンが死亡するイベントの直前、自身が死亡する事で誘発する能力は持っていないからである。
 +
*例:[[反逆の行動/Act of Treason]]によって対戦相手にコントロールが奪われたワームとぐろエンジンが死亡した場合、トークンを出すのは対戦相手である。誘発型能力のコントローラーはその発生源のコントローラーであり、ワームとぐろエンジンが死亡するイベントの直前、対戦相手にコントロールされているワームとぐろエンジンの能力が誘発するからである。
 +
*例:絡み根の霊をコピーした[[クローン/Clone]]が死亡した場合、不死は誘発しクローンを戦場に戻す事ができる。絡み根の霊(クローン)が死亡するイベントの直前には不死を持っており、不死は同一のオブジェクトであるクローンを墓地から「見つける」事ができる。もちろん解決時に戦場に出すクローンは絡み根の霊ではなく、戦場のいずれかのクリーチャーを選んでコピーし+1/+1カウンターを1つ置いた状態で戦場に出す事ができる。
 +
*例:[[復活]]を持つクリーチャーが戦場から墓地に置かれても、自身の持つ復活は誘発しない。そのクリーチャーが墓地に置かれる直前の状況で、そのクリーチャーが墓地に存在しておらず、墓地で機能するこの能力は無効であるからである。クリーチャーと復活を持つパーマネントが同時に戦場から墓地に置かれても同様に誘発しない。
 +
*例:[[無限に廻るもの、ウラモグ/Ulamog, the Infinite Gyre]]の「無限に廻るもの、ウラモグがいずれかの領域からいずれかの墓地におかれたとき、オーナーは自分の墓地を自分のライブラリーに加えて切り直す。」という能力は、墓地に置かれた後の特性を見て誘発する。蛙変化で能力を失ったウラモグが死亡しても、墓地に置かれたウラモグは能力を持っているので能力は誘発する。
  
*例:[[大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault]]と[[アーティファクト]]が場にあり、それらが同時に[[破壊]]された場合、大霊堂の信奉者の能力は誘発する。アーティファクトが墓地に置かれる直前の状況で、大霊堂の信奉者の誘発型能力が有効であるからである。
+
==脚注==
*例:[[復活]]を持つクリーチャーが場から墓地に置かれても、自身の持つ復活は誘発しない。そのクリーチャーが墓地に置かれる直前の状況で、そのクリーチャーが墓地に存在しておらず、墓地で機能するこの能力は無効であるからである。クリーチャーと復活を持つパーマネントが同時に場から墓地に置かれても同様に誘発しない。
+
<references />
  
 
==参考==
 
==参考==
26行: 62行:
 
*[[ルーリング]]
 
*[[ルーリング]]
  
{{#cr:410.10}}
+
{{#cr:603.6}}
 +
{{#cr:603.10}}

2021年7月20日 (火) 17:58時点における最新版

領域変更誘発/Zone-Change Triggersとは、オブジェクト領域を移動することを含む誘発イベントのこと。代表的なものには「戦場に出たとき(ETB)」「死亡したとき(死亡誘発/PIG)」などがある。


Thragtusk / スラーグ牙 (4)(緑)
クリーチャー — ビースト(Beast)

スラーグ牙が戦場に出たとき、あなたは5点のライフを得る。
スラーグ牙が戦場を離れたとき、緑の3/3のビースト(Beast)・クリーチャー・トークンを1体生成する。

5/3


Strangleroot Geist / 絡み根の霊 (緑)(緑)
クリーチャー — スピリット(Spirit)

速攻
不死(このクリーチャーが死亡したとき、それの上に+1/+1カウンターが置かれていなかった場合、それを+1/+1カウンターが1個置かれた状態でオーナーのコントロール下で戦場に戻す。)

2/1

カードの文章には出てこず、ゲーム用語としても使う機会は少ないが誘発型能力を理解する上で重要なルール群である。特に「戦場を離れたとき」誘発する能力は、特別なルールで扱いゲームでも出番が多い。

目次

[編集] 領域を移動したオブジェクトを「見つける」

この種の誘発型能力は「ある領域から他の領域に移動したオブジェクトは、以前の状態の記憶を失い、以前の状態と関係のない新しいオブジェクトになる。」という基本的なルールの例外となる。これらの能力は、領域を移動したオブジェクトを「見つける」事ができる。

ただし、これはそのオブジェクトが最初に移動した領域にのみ適用され、誘発型能力の解決前にさらに別の領域に移動した場合、誘発型能力はそのオブジェクトを「見失う」。また、オブジェクトが指定された領域と違う領域に行った場合や、移動先の領域が非公開領域であった場合も「見失う」。

  • 例:絡み根の霊が死亡したあと、不死の誘発型能力の解決前に墓場の浄化/Purify the Graveで墓地の絡み根の霊を追放した。不死を解決しても、能力は絡み根の霊を見失い戦場に戻す事はできない。

能力の解決よりも前に、オブジェクトが領域を離れてまた戻ってきた場合でも同じである。

  • 例:不浄なる者、ミケウス/Mikaeus, the Unhallowedをコントロールしているときに絡み根の霊が死亡した。絡み根の霊は不死を2つ持っているので2回誘発するが、1回目の解決後に再び絡み根の霊を墓地に置いても、2回目の不死は絡み根の霊を見つける事はできない。

エンチャントされているパーマネントが戦場を離れたことによって誘発するオーラ能力は、移動先にあるそのパーマネントと、状況起因処理のチェック後にオーナーの墓地に置かれたそのオーラ自身を見つけることができる。これも「領域を移動したオブジェクトは新しいオブジェクトとして扱われる。」というルールの例外である。

[編集] 過去の状況を見て誘発する

通常、イベントが誘発条件を満たしたかどうかのチェックを行なうのは、イベントの直後に存在するオブジェクトについてである。

  • 例:魂の管理人/Soul Wardenとその他のクリーチャーが同時に戦場に出た場合、各クリーチャーについて魂の管理人の能力が誘発し、その分のライフを得られる。それぞれのクリーチャーが戦場に出た直後の状況を参照すると、魂の管理人が戦場に出ており、能力が有効になっているためである。

だが誘発イベントが以下のいずれかに該当する場合は、誘発するかの判定はこれらが適用される直前の「過去の状況」を基に行われる。

[編集]

  • 例:審判の日/Day of Judgmentファルケンラスの貴族/Falkenrath Nobleを含むすべてのクリーチャーが死亡した場合、ファルケンラスの貴族の能力は、死亡したクリーチャーの数だけ誘発する。すべてのクリーチャーが墓地に置かれるイベントの直前の状況で、ファルケンラスの貴族の誘発型能力が有効であるからである。
  • ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine蛙変化/Turn to Frogが唱えられ解決後ワームとぐろエンジンが死亡した場合、トークンを出す能力は誘発しない。ワームとぐろエンジンが死亡するイベントの直前、自身が死亡する事で誘発する能力は持っていないからである。
  • 例:反逆の行動/Act of Treasonによって対戦相手にコントロールが奪われたワームとぐろエンジンが死亡した場合、トークンを出すのは対戦相手である。誘発型能力のコントローラーはその発生源のコントローラーであり、ワームとぐろエンジンが死亡するイベントの直前、対戦相手にコントロールされているワームとぐろエンジンの能力が誘発するからである。
  • 例:絡み根の霊をコピーしたクローン/Cloneが死亡した場合、不死は誘発しクローンを戦場に戻す事ができる。絡み根の霊(クローン)が死亡するイベントの直前には不死を持っており、不死は同一のオブジェクトであるクローンを墓地から「見つける」事ができる。もちろん解決時に戦場に出すクローンは絡み根の霊ではなく、戦場のいずれかのクリーチャーを選んでコピーし+1/+1カウンターを1つ置いた状態で戦場に出す事ができる。
  • 例:復活を持つクリーチャーが戦場から墓地に置かれても、自身の持つ復活は誘発しない。そのクリーチャーが墓地に置かれる直前の状況で、そのクリーチャーが墓地に存在しておらず、墓地で機能するこの能力は無効であるからである。クリーチャーと復活を持つパーマネントが同時に戦場から墓地に置かれても同様に誘発しない。
  • 例:無限に廻るもの、ウラモグ/Ulamog, the Infinite Gyreの「無限に廻るもの、ウラモグがいずれかの領域からいずれかの墓地におかれたとき、オーナーは自分の墓地を自分のライブラリーに加えて切り直す。」という能力は、墓地に置かれた後の特性を見て誘発する。蛙変化で能力を失ったウラモグが死亡しても、墓地に置かれたウラモグは能力を持っているので能力は誘発する。

[編集] 脚注

  1. モダンホライゾン2より前のカードでは「いずれかの領域から」

[編集] 参考

引用:総合ルール 20231117.0

引用:総合ルール 20231117.0

MOBILE