上位互換
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− | '''上位互換''' (''Strictly Better'')とは、同じ[[能力]]でありながら[[マナ・コスト]]が軽いとか、同じマナ・コストでありながら[[パワー]]、[[タフネス]]が高いなど、2枚の[[カード]] | + | '''上位互換''' (''Strictly Better'')とは、同じ[[能力]]でありながら[[マナ・コスト]]が軽いとか、同じマナ・コストでありながら[[パワー]]、[[タフネス]]が高いなど、2枚の[[カード]]を比べた時に一方がもう一方に明らかに勝るような場合をいう。例えば、[[映像の造形者/Imagecrafter]]は[[脱走魔術師/Fugitive Wizard]]の上位互換である。 |
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− | + | ただし、100%厳密な意味での上位互換は1枚たりとも存在しない。上位互換の正確な定義としては「あらゆる局面で一方がもう一方よりも優れている」ことであるが、そのようなことは絶対にありえないからだ。[[霊感/Inspiration]]と[[Ancestral Recall]]にすら、それは当てはまる([[#100%の上位互換が存在しない理由]]も参照)。 | |
− | + | だが、普通は他のカードを考慮しない単独での使い勝手のみで考えることが多いし、その方が実用的である。このWiki内では基本的に他のカードとの相互作用は無視した上で考え、「メジャーな[[クリーチャー・タイプ]]であり部族カードの影響を受けやすい」など個別の事柄については別に言及する。 | |
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*[[メンタルマジック]]では下位互換カードや[[同型再版]]カードをどれだけ覚えているかが鍵となる。 | *[[メンタルマジック]]では下位互換カードや[[同型再版]]カードをどれだけ覚えているかが鍵となる。 | ||
*[[上位種]]とはちょっと意味が違う。上位種はサイズ、[[効果]]、[[マナ・コスト]]などが全体的に大きくなったカードのこと。 | *[[上位種]]とはちょっと意味が違う。上位種はサイズ、[[効果]]、[[マナ・コスト]]などが全体的に大きくなったカードのこと。 | ||
− | + | *なお、ここで述べた上位互換はマジックやその他一部トレーディングカードゲームでの意味。本来はソフトウェア・ハードウェアの用語であり、「上位のバージョンであるソフトウェアなどが、それの下位バージョンでのデータを扱える」という意味である。 | |
− | * | + | **例えば、プレイステーション2は下位バージョンであるプレイステーション1のソフトを扱う事ができる。この場合、プレイステーション2はプレイステーション1用ソフトに対して上位互換があるという。ゲーム業界ではしばしば、これを[[下位互換]]の意味と間違えて使われることが多い。 |
==100%の上位互換が存在しない理由== | ==100%の上位互換が存在しない理由== | ||
100%の上位互換が存在しない理由は、比較の妨げになる要素が数多く存在するからである。それには以下のようなものがある。 | 100%の上位互換が存在しない理由は、比較の妨げになる要素が数多く存在するからである。それには以下のようなものがある。 | ||
;[[カード・タイプ]]が違う場合 | ;[[カード・タイプ]]が違う場合 | ||
− | :例えば[[風生まれの詩神/Windborn Muse]]([[戦闘]]に参加できる)と[[亡霊の牢獄/Ghostly Prison]]([[クリーチャー]] | + | :例えば[[風生まれの詩神/Windborn Muse]]([[戦闘]]に参加できる)と[[亡霊の牢獄/Ghostly Prison]]([[クリーチャー]]除去が効かない・マナ・コストが低い)など。 |
;[[サブタイプ]]や[[色]]が異なる場合 | ;[[サブタイプ]]や[[色]]が異なる場合 | ||
− | :例えば[[モンスのゴブリン略奪隊/Mons's Goblin Raiders]]([[ゴブリン]])と[[凍らし/Frostling]]([[スピリット]])、[[解呪/Disenchant]]([[白]])と[[粉砕/Shatter]]([[赤]])と[[青サビ/Verdigris]]([[緑]] | + | :例えば[[モンスのゴブリン略奪隊/Mons's Goblin Raiders]]([[ゴブリン]])と[[凍らし/Frostling]]([[スピリット]])、[[解呪/Disenchant]]([[白]])と[[粉砕/Shatter]]([[赤]])と[[青サビ/Verdigris]]([[緑]])など。 |
;相手のカードを利用するカードを考慮した場合 | ;相手のカードを利用するカードを考慮した場合 | ||
− | :例えば[[威圧/Dominate]]や[[精神隷属器/Mindslaver]] | + | :例えば[[威圧/Dominate]]や[[精神隷属器/Mindslaver]]など。 |
;状況に応じてメリットになったりデメリットになったりする場合 | ;状況に応じてメリットになったりデメリットになったりする場合 | ||
− | :例えば[[飛行]]。[[寄せ餌/Lure]] | + | :例えば[[飛行]]。[[寄せ餌/Lure]]などの存在を考えると、持たない方が良い局面も存在する。現に寄せ餌との[[コンボ]]において、[[コカトリス/Cockatrice]]と[[茂みのバジリスク/Thicket Basilisk]]では後者の方がよく使われていた。 |
:*クリーチャーの場合に、パワーやタフネスが大きいことがデメリットになり得るケースは極めて多く、普遍的と言ってすら良い。たとえば[[罠の橋/Ensnaring Bridge]]で攻撃できない、[[弱者の石/Meekstone]]でアンタップしない、[[復仇/Reprisal]]で除去される、[[反発/Backlash]]で自分にダメージ、などなど。 | :*クリーチャーの場合に、パワーやタフネスが大きいことがデメリットになり得るケースは極めて多く、普遍的と言ってすら良い。たとえば[[罠の橋/Ensnaring Bridge]]で攻撃できない、[[弱者の石/Meekstone]]でアンタップしない、[[復仇/Reprisal]]で除去される、[[反発/Backlash]]で自分にダメージ、などなど。 | ||
:*[[点数で見たマナ・コスト]]を参照するカード([[燻し/Smother]]・[[うつろう爆発/Erratic Explosion]]など)の存在から、マナ・コストも小さい方が良いとは限らない。[[軽蔑する利己主義者/Scornful Egotist]]などは、もはやそのようなカードのためにデザインされている。 | :*[[点数で見たマナ・コスト]]を参照するカード([[燻し/Smother]]・[[うつろう爆発/Erratic Explosion]]など)の存在から、マナ・コストも小さい方が良いとは限らない。[[軽蔑する利己主義者/Scornful Egotist]]などは、もはやそのようなカードのためにデザインされている。 | ||
;カード名が違う場合 | ;カード名が違う場合 | ||
− | :[[翻弄する魔道士/Meddling Mage]]や[[嘘つきの振り子/Liar's Pendulum]] | + | :[[翻弄する魔道士/Meddling Mage]]や[[嘘つきの振り子/Liar's Pendulum]]など、名前を参照するカードが存在するのがその理由である。 |
− | :* | + | :*それらを使うプレイヤーは、間違いなく「強い」カードの名前を言うだろう。それによって、「弱くても別のカードが欲しい」という、奇妙な状況が発生してしまうのだ。 |
− | :*[[マスクス・ブロック]]〜[[インベイジョン・ブロック]]期のスタンダードにおいて、[[神の怒り/Wrath of God]] | + | :*[[マスクス・ブロック]]〜[[インベイジョン・ブロック]]期のスタンダードにおいて、[[神の怒り/Wrath of God]]を封じられた時のために、その枚数を減らし(追加能力が付いているとはいえ)1マナ重い[[総くずれ/Rout]]を投入する、という構築が、実際にトッププレイヤーの間でも行われていた。 |
− | :* | + | :*カード名が同じで能力が違うものは1枚もない為、100%の上位互換が存在しない事が説明できる。 |
==参考== | ==参考== |
2008年4月8日 (火) 10:34時点における版
上位互換 (Strictly Better)とは、同じ能力でありながらマナ・コストが軽いとか、同じマナ・コストでありながらパワー、タフネスが高いなど、2枚のカードを比べた時に一方がもう一方に明らかに勝るような場合をいう。例えば、映像の造形者/Imagecrafterは脱走魔術師/Fugitive Wizardの上位互換である。
ただし、100%厳密な意味での上位互換は1枚たりとも存在しない。上位互換の正確な定義としては「あらゆる局面で一方がもう一方よりも優れている」ことであるが、そのようなことは絶対にありえないからだ。霊感/InspirationとAncestral Recallにすら、それは当てはまる(#100%の上位互換が存在しない理由も参照)。
だが、普通は他のカードを考慮しない単独での使い勝手のみで考えることが多いし、その方が実用的である。このWiki内では基本的に他のカードとの相互作用は無視した上で考え、「メジャーなクリーチャー・タイプであり部族カードの影響を受けやすい」など個別の事柄については別に言及する。
- メンタルマジックでは下位互換カードや同型再版カードをどれだけ覚えているかが鍵となる。
- 上位種とはちょっと意味が違う。上位種はサイズ、効果、マナ・コストなどが全体的に大きくなったカードのこと。
- なお、ここで述べた上位互換はマジックやその他一部トレーディングカードゲームでの意味。本来はソフトウェア・ハードウェアの用語であり、「上位のバージョンであるソフトウェアなどが、それの下位バージョンでのデータを扱える」という意味である。
- 例えば、プレイステーション2は下位バージョンであるプレイステーション1のソフトを扱う事ができる。この場合、プレイステーション2はプレイステーション1用ソフトに対して上位互換があるという。ゲーム業界ではしばしば、これを下位互換の意味と間違えて使われることが多い。
100%の上位互換が存在しない理由
100%の上位互換が存在しない理由は、比較の妨げになる要素が数多く存在するからである。それには以下のようなものがある。
- カード・タイプが違う場合
- 例えば風生まれの詩神/Windborn Muse(戦闘に参加できる)と亡霊の牢獄/Ghostly Prison(クリーチャー除去が効かない・マナ・コストが低い)など。
- サブタイプや色が異なる場合
- 例えばモンスのゴブリン略奪隊/Mons's Goblin Raiders(ゴブリン)と凍らし/Frostling(スピリット)、解呪/Disenchant(白)と粉砕/Shatter(赤)と青サビ/Verdigris(緑)など。
- 相手のカードを利用するカードを考慮した場合
- 例えば威圧/Dominateや精神隷属器/Mindslaverなど。
- 状況に応じてメリットになったりデメリットになったりする場合
- 例えば飛行。寄せ餌/Lureなどの存在を考えると、持たない方が良い局面も存在する。現に寄せ餌とのコンボにおいて、コカトリス/Cockatriceと茂みのバジリスク/Thicket Basiliskでは後者の方がよく使われていた。
- クリーチャーの場合に、パワーやタフネスが大きいことがデメリットになり得るケースは極めて多く、普遍的と言ってすら良い。たとえば罠の橋/Ensnaring Bridgeで攻撃できない、弱者の石/Meekstoneでアンタップしない、復仇/Reprisalで除去される、反発/Backlashで自分にダメージ、などなど。
- 点数で見たマナ・コストを参照するカード(燻し/Smother・うつろう爆発/Erratic Explosionなど)の存在から、マナ・コストも小さい方が良いとは限らない。軽蔑する利己主義者/Scornful Egotistなどは、もはやそのようなカードのためにデザインされている。
- カード名が違う場合
- 翻弄する魔道士/Meddling Mageや嘘つきの振り子/Liar's Pendulumなど、名前を参照するカードが存在するのがその理由である。
- それらを使うプレイヤーは、間違いなく「強い」カードの名前を言うだろう。それによって、「弱くても別のカードが欲しい」という、奇妙な状況が発生してしまうのだ。
- マスクス・ブロック〜インベイジョン・ブロック期のスタンダードにおいて、神の怒り/Wrath of Godを封じられた時のために、その枚数を減らし(追加能力が付いているとはいえ)1マナ重い総くずれ/Routを投入する、という構築が、実際にトッププレイヤーの間でも行われていた。
- カード名が同じで能力が違うものは1枚もない為、100%の上位互換が存在しない事が説明できる。
参考
- 共通の地盤 ――神河物語の伝説の土地の利点(と弱点)の評価(Wizards社;英語)
- 用語集
- 下位互換
- Strictly Better Cards (有志による上位互換カードの暫定リスト)