疾風のデルヴィッシュ/Whirling Dervish
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2020年3月30日 (月) 21:03時点における版
クリーチャー — 人間(Human) モンク(Monk)
プロテクション(黒)
各終了ステップの開始時に、このターン疾風のデルヴィッシュが対戦相手にダメージを与えていた場合、その上に+1/+1カウンターを1個置く。
プロテクション(黒)持ちのクリーチャー。最初は小型だが、攻撃が通るたびに大きくなり、6回通れば計21点で勝利できる。
黒デッキにとっては頭の痛い存在。得意の単体除去が通用せずブロックすることもできず、これ1体に敗北することもあった。
初期サイズが小さいので基本的にはサイドボードから投入されることが多い。ただしステロイドのような、火力などでブロッカーを排除できるデッキではメインデッキから数枚採用されることもあった。時のらせんでの再録時にも、緑白ゴイフなどのサイドボードに採用された。
- +1/+1カウンターを置くのは終了ステップであり、戦闘ダメージを与えてすぐ置かれるわけではない。また、二段攻撃などで複数回ダメージを与えたとしても1個しか置かれないことにも注意。
- ミラディン・ブロックに登場したスリスの元となったカード。ただし、スリスは戦闘ダメージを与えた直後に+1/+1カウンターが置かれる。戦闘ダメージではないダメージを与えても+1/+1カウンターが置かれない点も異なる。
- 第4版で基本セットに再録されるが、色のバランスを取るため、白に怒れる群衆/Angry Mob、黒に忌まわしき者/Abominationが一緒に収録された(A Guide to Magic: The Gathering Fourth Edition(Duelist誌5号の記事))。
- 時のらせんでタイムシフトカードとして再録されるのに伴い、クリーチャー・タイプがそれまでのデルヴィッシュ(Dervish)から人間・モンクに変更された(デルヴィッシュは絶滅)。これにより、最古のモンクとなる。
- さらに次の次元の混乱にて、黒の砂丘乗りの無法者/Dunerider Outlawとしてタイムシフト。
訳語
「Whirling Dervish」を「疾風のデルヴィッシュ」と訳す事に疑問を投げかける者もいる。
「whirling」は「回転している、ぐるぐる回っている」様子を表し、「dervish」は一般的に「(禁欲的な)イスラム教の修道僧、托鉢僧、踊る人」を意味する言葉。また歴史上、"Whirling Dervish"と言えばイスラム教神秘主義の一派である「メヴレヴィー教団(旋舞教団)」、またはその教団員のこと。→Wikipedia:ja:メヴレヴィー教団
Whirling=疾風の…?
上述の「whirling」を踏まえた上で改めて「whirl」について考察する。
「whirl」には自動詞で「(人・車などが)疾走する」意味もあるので現在分詞の形容詞的用法を用い、さらに意訳して「疾風の」としたとしても、その解釈にさほど問題はない。これはイラストとも矛盾しない(イラストの人物は回転していない)。
Dervish=デルヴィッシュ?
「デルヴィッシュ」は綴りと発音を参照したカタカナ表記と思われるが、ファンタジーを題材にしたゲームでは、職業をカタカナ表記するのは別段珍しいものではない。初期のダンジョンズ&ドラゴンズなどの翻訳でも、「デルヴィッシュ」としている例は散見される。また、「dervish」は上記のとおり、「(イスラム教の)修道僧、托鉢僧、踊る人」などと翻訳が可能だが、”聖職者”を意味する英単語はそれこそ種類が多く、将来的に一対一の訳で対応しきれるか、という問題がある。そこで、読みをそのまま日本語化する事でそれを回避したという可能性もある。 「dervish」は日常会話で使われる類の言葉ではないが、ちょっとした辞書になら載っている単語であり、これを固有名詞と勘違いした線は薄い。
旋舞教団ではダメなのか?
現実のイスラム教の宗派そのものを表す「旋舞教団」という語を、架空世界であるマジックで用いるのを避けたと考えるのが妥当だろう。このカードを和訳する際、訳者の朱鷺田祐介氏が実在する宗教に配慮したとする記事(下記の注参照)がこれを裏付けている。だが、ただ単に専門語である「旋舞教団」を訳者が知らなかった可能性も否定はできない。
- 注:アスキー社から発行のテーブルトークRPG雑誌「LOG OUT」(現在廃刊)掲載の田中としひさ氏の漫画「おこんないでね」に、このカードの和訳に悩む朱鷺田祐介氏の姿が描かれている。それによると、「回る僧侶」は(時節柄)まずいだろ、などと書かれている。
- なおイスラム教は和名で「回教」と呼ばれるが、上記「旋舞教団」は無関係である。中国にこの宗教を定着させた民族・回回族に由来する。
以上の事から、「疾風のデルヴィッシュ」は訳者の腐心の作であることが見て取れ、適訳かどうかは意見の分かれるところだろうが、これを”誤訳”と断じるには根拠不十分と言わざるを得ない。