ファイレクシアの油/Phyrexian oil
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ファイレクシアの油/Phyrexian oilとはファイレクシア/Phyrexiaによってもたらされる物質。
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解説
「油」と呼ばれる通り、黒くぎらつく油状の液体。その正体は、ファイレクシア人/Phyrexianの体内から分泌される黒い膿漿(Ichor)である。
触れるものを汚染し、ファイレクシア人に変化させる性質を持つ。ファイレクシアによる侵食・汚染の元凶。
油/oilという名称ゆえか、プレインズウォーカーの灯/Planeswalker's Sparkの力に対してはその侵食力が弱まり、”灯を持つ者”即ちプレインズウォーカー/Planeswalkerやその素質を持つ者たちは油に対して抵抗力を持つ。トレイリア/Tolariaに出来た時の裂け目/Time Riftの修復の際、プレインズウォーカーの灯を失ってしまったカーン/Karnが後に油に侵されてしまった事象や、油に侵されたカーンがヴェンセール/Venserの灯の力をもって油の呪縛から解放されたのも、油の持つこの弱点が原因とされる。
特に大修復/The Mending以前におけるプレインズウォーカーはシェイプシフター/Shapeshifterの力を持つためファイレクシア化の影響を受けなかった。大修復によりプレインズウォーカーの在り方が変わって以降この法則は当てはまらなくなったが、それでも魂のないファイレクシア人は依然としてプレインズウォーカーになれず、プレインズウォーカーをファイレクシア化して魂を奪えばプレインズウォーカーとしての能力も失う……はずであった。
神河/Kamigawaでジン=ギタクシアス/Jin-Gitaxiasが行った研究により、ついにファイレクシアはプレインズウォーカーをその灯を残したまま「完成/Compleat」させる術を身に着けてしまった。もはやプレインズウォーカーですら、油の侵食から逃れることはできないのだ。
汚染・浸食の力を持つ油とは対照的に、退魔・浄化・加護・癒し等の聖なる力を持つ白マナの力に対しては、その効力が弱まる。また、油を燃やす火の力を有した赤マナの力に対しても、侵食・汚染の進行速度が減速する。5色の太陽が輝くミラディン/Mirrodin次元/Planeに対するファイレクシアの侵略(ミラディンの傷跡ブロック)において、白と赤の2色に対するファイレクシア陣営の侵攻(※セット毎に増加していったΦマークの透かし入りカードの増加枚数)が、他の青黒緑の3色と比較して遅いものであったのも、この性質の為である。
- Doug Beyerは、黒い膿漿が目から溢れ頬を流れ落ちる様子を「ファイレクシアの涙/Phyrexian tears」と呼称している。この描写はファイレクシアによる汚染の象徴となっている。
- ヨーグモス/Yawgmothのシンボルである「苦痛の仮面」(アポカリプスのエキスパンション・シンボル)にもこの「ファイレクシアの涙」の意匠が現れている。→参考:ファイレクシアのアートは感染する
- ミラディン・ブロックにおいてメムナーク/Memnarchが乱心したのは、黒い油(=ファイレクシアの油)に侵されていたためである。続くミラディンの傷跡ブロックでは、ファイレクシアの油によりミラディン/Mirrodinが侵食されゆく様が描かれている。
- ファイレクシア:完全なる統一ではこれを表した油カウンターが登場した。
登場カード
イラスト
- ぎらつく油/Glistening Oil (イラスト)
- 汚れ/Befoul(ウルザズ・サーガ) (イラスト)
- 汚物の雨/Rain of Filth (イラスト)
- 汚染/Contamination (イラスト)
- 快活な守備兵/Sanguine Guard (目元から流れ落ちる黒い線)
- 汚れた一撃/Tainted Strike (イラスト)
- 着実な進歩/Steady Progress (イラスト)
- ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine (口元から飛ぶしぶき)
- 容赦無い潮流/Inexorable Tide (イラスト)
- 胆液の鼠/Ichor Rats (目から流れる黒い液体)
- モリオックの肉裂き/Moriok Reaver (目から流れる黒い液体)
- 嚢胞抱え/Cystbearer (口から滴る黒い液体)
- その他多数
フレイバー・テキスト
生暖かい油の雨が我が頬をつたう。もはや、ファイレクシアに入ったことは明白であろう。
― ジャーシルの日記(出典:Gate to Phyrexia)
雨が降ったと私は言ったが、小さな水の粒が落ちてきたという意味ではない。ベトベトに油っぽいよだれのようなものが、天から降り注いできたのだ。
― ウルザの日誌(出典:汚物の雨/Rain of Filth)
土地はそれに触れられるとたちまち腐り果てた。一瞬のうちに、油ぎった胆汁と化した。
― 大天使レイディアント
焚き火のそばへチータがくわえて運んできたギトギトした死骸を見て、スクイーは言った。「おいらたちに食べさせたいんじゃないかな」
(出典:有角チータ/Horned Cheetah)
その根は、清流の水を吸うのと同じように、ファイレクシア兵のどす黒い血を吸うことも好む。
油が一滴でもあるかぎり、喜びに満ちた業は続く。
ほんの一滴のぎらつく油は、ロクソドン並みの断固たる魂すら、救いようが無いほど汚してしまう。
「あの奇妙な油がまた……いや、何でもないな。」
遥か昔の侵略兵器であるぎらつく油は、数え切れない程の残虐行為の設計図を内に抱えている。
油はマイコシンスを生み出した。 マイコシンスは新ファイレクシアを生み出した。
「油と屍気の統合は数多くの喜ばしき反応を生み出している。」
― 囁く者、シェオルドレッド
オキシダ連峰がメフィドロスと混じりあう場所では、油の染みた金属が砕け、黒ずんだ壁の骨格だけを残す。
ヴォリンクレックスには大々的な計画など無かった。 生物を価値ある捕食者に進化させるのは、油がやってくれたことだ。
彼らがちらつき蛾から集めた血清は、魔女エンジンの継ぎ目の油になった。
(出典:血清掻き/Serum Raker)
ファイレクシアの油に耐えうるミラディンの生物にとっては、歯ごたえのある食べ物が大量に増えただけのことだ。
(出典:オオアゴザウルス/Gnathosaur)
参考
- The Terms of Engagement / 約束の時(Internet Archive) (Savor the Flavor 2010年9月22日 Doug Beyer著)
- Infectiously Phyrexian Art/ファイレクシアのアートは感染する(Internet Archive)(Savor The Flavor 2010年11月3日 Doug Beyer著)
- Will there be an explanation about how Phyrexians(Blogatog 2022年1月27日 Mark Rosewater著 プレインズウォーカーと油について)
- ファイレクシア/Phyrexia
- 背景世界/ストーリー用語