トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach
提供:MTG Wiki
細 |
細 |
||
(19人の利用者による、間の28版が非表示) | |||
1行: | 1行: | ||
{{#card:Hymn to Tourach}} | {{#card:Hymn to Tourach}} | ||
− | 数ある[[手札破壊]][[呪文]]の中でもトップクラスの性能を誇る凶悪な[[カード]] | + | 数ある[[手札破壊]][[呪文]]の中でもトップクラスの性能を誇る凶悪な[[カード]]。複数[[捨てる|捨て]]させて確実に[[カード・アドバンテージ]]となり、しかも選択法が[[無作為に|無作為]]であるため[[対戦相手]]の選択肢を大いに削ぐことができ、それでいて2[[マナ]]と非常に[[軽い]]。 |
− | + | 特に序盤戦での破壊力が凶悪。通常通り[[土地]]を並べて2[[ターン]]目に使用するのでも強いのに、当時の[[黒]]には[[暗黒の儀式/Dark Ritual]]があったため1ターン目から即使用できるのが凶悪さに拍車をかけた。これで[[土地]]カードが落ちると対戦相手はそのまま[[マナスクリュー]]に陥ってまったく身動きできなくなるだろうし、そこまで劇的な抜き方にならなくとも序盤の[[展開]]は間違いなく大幅に圧迫され、その影響は終盤まで残り続ける。 | |
− | + | 強いて弱点を挙げるなら、無作為なので一定の確率で「落としたいカードを落とせない」という状況も発生しうる。そのため、これに加えて[[強迫/Duress]]などを併用して弱点を補う[[構築]]がよく見られる。1マナの手札破壊ならば暗黒の儀式から一気に連続使用でき、対戦相手にとってはまさに悪夢と言えよう。その場合どちらを先に使うかの選択は難しいが、一般にこちらを先、強迫を後で使うと効率がよいことが多い。(強迫を先に使用すると対戦相手の重要カードが落ち、後のトーラックへの賛歌で無作為に捨てるカードの平均の質も落ちる。また、例えば相手が[[コンボ]]となるカード2枚以上を所持していた場合に、それらがトーラックへの賛歌によって1枚でも欠ければコンボ自体の危険性が下がるため、後の強迫で別の脅威となるカードを選ぶなどの手札評価の変更もありうるからである。)ただし相手が[[ドレッジ]]の可能性もあるし、[[ヴァラクート]]などに対して[[クリーチャー]]と[[土地]]を選べない強迫から使い、トーラックへの賛歌で[[キーカード]]を捨てさせやすくするプレイングもとりうる。 | |
− | + | どのような[[アーキタイプ]]でも採用しうる強力呪文であるが、現在の[[エターナル]]においては[[アグロ]]系統の高速[[デッキ]]のほうでの活躍が目立つ。[[コントロール (デッキ)|コントロール・デッキ]]ではより確実性があり、かつ「対戦相手の[[手札]]を見る」という副次効果も期待できる[[思考囲い/Thoughtseize]]などの選択型手札破壊のほうが優先されるためである。特に[[ヴィンテージ]]では、[[Mox]]が多用されているため[[ダブルシンボル]]の捻出が確実ではないこともあって、その傾向が顕著。 | |
− | + | [[レガシー]]では[[フォーマット]]設立当初から[[ピキュラ黒]]や[[黒ウィニー]]といった黒主体の速攻デッキでよく使用され、特に[[ローウィン]]で思考囲いが追加されたことで強迫との8デュレス体制が可能になって以降は、黒絡みの[[ビート・コントロール]]型デッキではほとんどのケースで採用されていた。使うと必然的に[[墓地]]が[[肥やす|肥える]]ことから[[タルモゴイフ/Tarmogoyf]]との相性も凶悪。[[タルキール覇王譚]]で[[宝船の巡航/Treasure Cruise]]や[[時を越えた探索/Dig Through Time]]が登場した時期には敬遠されることもあったが、この二枚が禁止された現在は再び採用率が上がってきている。 | |
+ | *[[対象]]が対戦相手ではなく[[プレイヤー]]なので、[[誤った指図/Misdirection]]などの[[対象の変更|対象変更]]呪文には注意。 | ||
*発売当初は[[精神錯乱/Mind Twist]]の影に隠れて、あまり注目されていなかった。 | *発売当初は[[精神錯乱/Mind Twist]]の影に隠れて、あまり注目されていなかった。 | ||
*修正版は[[呆然/Stupor]]など。呆然は[[色拘束]]が弱くなったものの、[[マナ・コスト]]は増え[[効果]]が弱体化している。 | *修正版は[[呆然/Stupor]]など。呆然は[[色拘束]]が弱くなったものの、[[マナ・コスト]]は増え[[効果]]が弱体化している。 | ||
*[[ディセンション]]で土地が管轄外である[[隆盛+下落/Rise+Fall|下落/fall]]が登場した。 | *[[ディセンション]]で土地が管轄外である[[隆盛+下落/Rise+Fall|下落/fall]]が登場した。 | ||
− | *非常に強力なカードだが、[[フォールン・エンパイア]]では[[コモン]] | + | *非常に強力なカードだが、[[フォールン・エンパイア]]では[[コモン]]の上に[[絵|イラスト]]違いで4種類({{Gatherer|id=1849|ver.1}}、{{Gatherer|id=1850|ver.2}}、{{Gatherer|id=1851|ver.3}}、{{Gatherer|id=1852|ver.4}})もあったため、あまりパックを剥かなくても4枚揃えることができた。 |
− | * | + | **後に[[From the Vault:Twenty]]に[[1995年]]を代表する1枚として収録され、{{Gatherer|id=373324|5種類目の新たなイラスト}}が与えられた。 |
− | * | + | *「Hymn」は「ヒム」と読む。名前に「Hymn」を持つカードはいくつか存在するが({{WHISPER検索/カード名|Hymn}})、単に「ヒム」と言う場合はこのカードを指していると思ってよい。 |
+ | **海外の[[プレイヤー]]の中には[[カジュアルプレイ]]の際にこの呪文を唱えながら妙な歌を口ずさむ人もいる。[[マジック:ザ・ギャザリング|マジック]]において手札破壊は「精神攻撃」のイメージを持たされているので、余程精神的にこたえる歌声なのであろう。 | ||
+ | *[[エターナルマスターズ]]に[[再録]]され、日本語名が与えられた。 | ||
− | 1996年10月1日より、[[スタンダード]]で[[制限カード]] | + | 1996年10月1日より、[[スタンダード]]で[[制限カード]]に指定されている。また、[[2019年]]には[[パウパー#公認フォーマットへの動き|パウパーの公認フォーマット化]]によりパウパーで[[禁止カード]]に指定された。 |
==参考== | ==参考== | ||
+ | *[[手札破壊カード]] | ||
+ | *[[トーラック/Tourach]]([[背景世界/ストーリー用語]]) | ||
*[[カード個別評価:フォールン・エンパイア]] - [[コモン]]1(4種類) | *[[カード個別評価:フォールン・エンパイア]] - [[コモン]]1(4種類) | ||
+ | *[[カード個別評価:エターナルマスターズ]] - [[アンコモン]] | ||
+ | *[[カード個別評価:Vintage Masters]] - [[アンコモン]] | ||
*[[カード個別評価:Masters Edition]] - [[アンコモン]] | *[[カード個別評価:Masters Edition]] - [[アンコモン]] | ||
+ | *[[From the Vault:Twenty]] | ||
+ | |||
+ | [[Category:俗称のあるカード|とーらつくへのさんか]] |
2019年11月23日 (土) 16:01時点における最新版
数ある手札破壊呪文の中でもトップクラスの性能を誇る凶悪なカード。複数捨てさせて確実にカード・アドバンテージとなり、しかも選択法が無作為であるため対戦相手の選択肢を大いに削ぐことができ、それでいて2マナと非常に軽い。
特に序盤戦での破壊力が凶悪。通常通り土地を並べて2ターン目に使用するのでも強いのに、当時の黒には暗黒の儀式/Dark Ritualがあったため1ターン目から即使用できるのが凶悪さに拍車をかけた。これで土地カードが落ちると対戦相手はそのままマナスクリューに陥ってまったく身動きできなくなるだろうし、そこまで劇的な抜き方にならなくとも序盤の展開は間違いなく大幅に圧迫され、その影響は終盤まで残り続ける。
強いて弱点を挙げるなら、無作為なので一定の確率で「落としたいカードを落とせない」という状況も発生しうる。そのため、これに加えて強迫/Duressなどを併用して弱点を補う構築がよく見られる。1マナの手札破壊ならば暗黒の儀式から一気に連続使用でき、対戦相手にとってはまさに悪夢と言えよう。その場合どちらを先に使うかの選択は難しいが、一般にこちらを先、強迫を後で使うと効率がよいことが多い。(強迫を先に使用すると対戦相手の重要カードが落ち、後のトーラックへの賛歌で無作為に捨てるカードの平均の質も落ちる。また、例えば相手がコンボとなるカード2枚以上を所持していた場合に、それらがトーラックへの賛歌によって1枚でも欠ければコンボ自体の危険性が下がるため、後の強迫で別の脅威となるカードを選ぶなどの手札評価の変更もありうるからである。)ただし相手がドレッジの可能性もあるし、ヴァラクートなどに対してクリーチャーと土地を選べない強迫から使い、トーラックへの賛歌でキーカードを捨てさせやすくするプレイングもとりうる。
どのようなアーキタイプでも採用しうる強力呪文であるが、現在のエターナルにおいてはアグロ系統の高速デッキのほうでの活躍が目立つ。コントロール・デッキではより確実性があり、かつ「対戦相手の手札を見る」という副次効果も期待できる思考囲い/Thoughtseizeなどの選択型手札破壊のほうが優先されるためである。特にヴィンテージでは、Moxが多用されているためダブルシンボルの捻出が確実ではないこともあって、その傾向が顕著。
レガシーではフォーマット設立当初からピキュラ黒や黒ウィニーといった黒主体の速攻デッキでよく使用され、特にローウィンで思考囲いが追加されたことで強迫との8デュレス体制が可能になって以降は、黒絡みのビート・コントロール型デッキではほとんどのケースで採用されていた。使うと必然的に墓地が肥えることからタルモゴイフ/Tarmogoyfとの相性も凶悪。タルキール覇王譚で宝船の巡航/Treasure Cruiseや時を越えた探索/Dig Through Timeが登場した時期には敬遠されることもあったが、この二枚が禁止された現在は再び採用率が上がってきている。
- 対象が対戦相手ではなくプレイヤーなので、誤った指図/Misdirectionなどの対象変更呪文には注意。
- 発売当初は精神錯乱/Mind Twistの影に隠れて、あまり注目されていなかった。
- 修正版は呆然/Stuporなど。呆然は色拘束が弱くなったものの、マナ・コストは増え効果が弱体化している。
- ディセンションで土地が管轄外である下落/fallが登場した。
- 非常に強力なカードだが、フォールン・エンパイアではコモンの上にイラスト違いで4種類(ver.1、ver.2、ver.3、ver.4)もあったため、あまりパックを剥かなくても4枚揃えることができた。
- 後にFrom the Vault:Twentyに1995年を代表する1枚として収録され、5種類目の新たなイラストが与えられた。
- 「Hymn」は「ヒム」と読む。名前に「Hymn」を持つカードはいくつか存在するが(カード名を「Hymn」で検索)、単に「ヒム」と言う場合はこのカードを指していると思ってよい。
- エターナルマスターズに再録され、日本語名が与えられた。
1996年10月1日より、スタンダードで制限カードに指定されている。また、2019年にはパウパーの公認フォーマット化によりパウパーで禁止カードに指定された。