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+ | '''指輪があなたを誘惑する'''/''The Ring tempts you''とは、「[[あなた]]が《指輪/The Ring》という[[名前]]の[[紋章]]を持っていないならば、それを得る。その後、その紋章は次の[[能力]]を得て、あなたはあなたの指輪所持者/Ring-bearerにするための、あなたの[[クリーチャー]]1体を選ぶ。」を意味する。 | ||
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+ | ==解説== | ||
+ | [[Wikipedia:ja:指輪物語|指輪物語]]のキーアイテム「[[一つの指輪/The One Ring]]」に誘惑され、その力を得ることを表した[[メカニズム]]。 | ||
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+ | 指輪があなたを誘惑するたび、あなたのクリーチャー1体を指輪所持者にできる。指輪所持者はプレイヤー1人につき1体しか存在しないが、誘惑のたびに所持者を選び直すことができる。 | ||
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+ | 最初に指輪から得られる能力は「[[伝説]]化+[[潜伏]]」だけだが、2回目では[[攻撃]]時の[[ルーティング]]、3回目では[[ブロック]]してきた[[クリーチャー]]への[[除去]]、4回目では[[サボタージュ能力]]による[[ライフロス]]が追加され、どんどん強力になっていく。5回目以降の誘惑では能力は追加されないが、所持者の選び直しは依然として行える。 | ||
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+ | [[指輪物語:中つ国の伝承]]では全ての[[色]]が使用可能である。指輪があなたを誘惑するたびに誘発する能力や、指輪所持者を参照する能力も収録されているほか、[[伝説のクリーチャー]]を参照する[[効果]]とも[[シナジー]]を形成している。同時発売の[[指輪物語:中つ国の伝承統率者デッキ]]でも扱われている。 | ||
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+ | *指輪物語:中つ国の伝承の[[コレクター・ブースター]]でない[[ブースター・パック]]からは、片面に指輪の能力、もう片面に指輪の[[ルール]]が記された[[注釈カード]]が封入されることがある<ref>[https://magic.wizards.com/en/news/card-preview/the-tokens-of-the-lord-of-the-rings-tales-of-middle-earth The Tokens of The Lord of the Rings: Tales of Middle-earth™]/[https://mtg-jp.com/reading/publicity/0036989/ 『指輪物語:中つ国の伝承』のトークン](Card Preview [[2023年]]6月9日 [[Clayton Kroh]]著)</ref>。 | ||
+ | *クリーチャー1体を[[強化]]し、そのクリーチャーが[[戦場]]を離れても別のクリーチャーにつけかえられるという点では[[装備品]]に近いものがある。実際、初期デザイン(後述)では装備品であった。 | ||
+ | *指輪所持者は伝説化するものの、[[レジェンド・ルール]]は同名の[[伝説のパーマネント]]にのみ影響するため、伝説でないクリーチャーを指輪所持者にしても基本的にデメリットはない。 | ||
+ | **無論、[[セラからの翼/On Serra's Wings]]など他の伝説化させる効果の影響下では話が変わる。 | ||
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+ | ==ルール== | ||
+ | *あなたがクリーチャーをコントロールしていなくとも、指輪があなたを誘惑することはできる。 | ||
+ | *指輪があなたを誘惑するたび、あなたがクリーチャーを1体でもコントロールしていたならば必ず1体を指輪所持者に選ばなければならない。これは[[対象]]を取らない。 | ||
+ | *各プレイヤーは《指輪/The Ring》という名前の紋章を1つしか持てず、そのプレイヤーの指輪所持者は同時に1体しか存在しない。 | ||
+ | *指輪があなたを誘惑する[[効果]]を持つ呪文か能力が他に対象を選ぶ効果を持っており、それが解決時にすべて[[不正な対象]]であったなら、その呪文や能力は[[立ち消え]]、誘惑も行われない。 | ||
+ | ==開発秘話== | ||
+ | この能力の原点は没になった[[カード・セット]]「[[Salad]]」のために考案されていた指揮者/Leaderというメカニズムである。これは恩恵を得られるクリーチャーを指揮者として選んだ1体に限定することで、支援の[[フレイバー]]と盤面の複雑さの低減を両立したものである。この段階では指揮者は[[パーマネント]]の「状態」に過ぎず、どのような恩恵を与えるかはカードごとに定義されていた。 | ||
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+ | 指輪物語の[[ユニバースビヨンド]]を扱うにあたって、一つの指輪は文字通り1つしか存在しないが所持者は変わりうる、ということを表現するために指揮者メカニズムが掘り起こされた。しかし[[展望デザイン]]は、[[戦場]]の状況によって指輪の効果が変わるのはふさわしくないとされ、誘惑のたびにタダで[[つける|つけられる]][[伝説の]]装備品・[[トークン]]を[[生成]]する効果にした<ref name="mm20230530">[https://magic.wizards.com/en/news/making-magic/crafting-the-ring-part-1 Crafting the Ring, Part 1]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0036967/ 『指輪』作り その1]([[Making Magic]] 2023年5月30日 [[Mark Rosewater]]著)</ref>。 | ||
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+ | [[セット・デザイン]]は、展望デザインの案では[[アーティファクト]]であることや複雑さの観点から問題があると判断し、[[オブジェクト]]ではなくパーマネントの「状態」へと変更し、最終的に紋章となった。また、[[ダンジョン]]メカニズムを参考に、徐々に能力を追加していくことで所有者が堕落と共にその力を増していくフレイバーを表現した<ref name="mm20230605">[https://magic.wizards.com/en/news/making-magic/crafting-the-ring-part-2 Crafting the Ring, Part 2]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0036976/ 『指輪』作り その2](Making Magic [[2023年]]6月5日 Mark Rosewater著)</ref>。 | ||
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+ | 指輪の付与する能力については、潜伏のみ展望デザイン段階から一貫しているが<ref name="mm20230530"/>、それ以外については何度か調整を受けている。最終的に、ゲームを終局に向かわせやすくし、かつ指輪所持者が変わる機会を増やすため、いずれも攻撃的な能力になった。また、原作のフレイバーに基づき全体的に邪悪さを感じるものとなっている<ref name="mm20230605"/>。 | ||
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+ | *原作における一つの指輪は所有者を堕落させる性質があり、それを表すため[[ペナルティ能力]]も与えてしまうことが検討された。しかしテストプレイで不評であったため取り除かれた<ref>[https://markrosewater.tumblr.com/post/716690398742003712/shouldnt-the-ring-have-negative-effects-flavor Shouldn't the ring have negative effects flavor...]([[Blogatog]] [[2023年]]5月7日)</ref>。 | ||
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+ | ==脚注== | ||
+ | <references /> | ||
+ | ==参考== | ||
+ | *[https://magic.wizards.com/en/news/feature/the-lord-of-the-rings-tales-of-middle-earth-mechanics The Lord of the Rings: Tales of Middle-earth™ Mechanics]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0036967/ 『指輪物語:中つ国の伝承』のメカニズム](Feature 2023年5月30日 [[Matt Tabak]]著) | ||
+ | *{{WHISPER検索/カードテキスト|指輪があなたを誘惑する|指輪があなたを誘惑する(The Ring tempts you)}} | ||
+ | *{{WHISPER検索/カードテキスト|指輪所持者|指輪所持者(Ring-bearer)}} | ||
+ | *[[紋章]] | ||
+ | *[[キーワード処理]] |
2023年6月11日 (日) 00:12時点における版
指輪があなたを誘惑する/The Ring tempts youは、指輪物語:中つ国の伝承初出のキーワード処理。
*
指輪/The Ring紋章
・指輪所持者は伝説であり、自身よりも大きなパワーを持つクリーチャーにはブロックされない。
・あなたの指輪所持者が攻撃するたび、カード1枚を引き、その後、カード1枚を捨てる。
・あなたの指輪所持者がクリーチャー1体にブロックされた状態になるたび、戦闘終了時に、そのクリーチャーのコントローラーはそれを生け贄に捧げる。
・あなたの指輪所持者がプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、各対戦相手はそれぞれ3点のライフを失う。
*
指輪の誘い / Call of the Ring (1)(黒)エンチャント
あなたのアップキープの開始時に、指輪があなたを誘惑する。
あなたがクリーチャー1体をあなたの指輪所持者に選ぶたび、あなたは2点のライフを支払ってもよい。そうしたなら、カード1枚を引く。
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定義
指輪があなたを誘惑する/The Ring tempts youとは、「あなたが《指輪/The Ring》という名前の紋章を持っていないならば、それを得る。その後、その紋章は次の能力を得て、あなたはあなたの指輪所持者/Ring-bearerにするための、あなたのクリーチャー1体を選ぶ。」を意味する。
「指輪があなたを誘惑するたび」という記載は、あなたが指輪所持者となるクリーチャーをコントロールしていなくとも、指輪があなたを誘惑するたびに誘発する。
「あなたがクリーチャー1体をあなたの指輪所持者に選ぶたび」誘発する能力や、どのクリーチャーがあなたの指輪所持者に選ばれたかを参照する能力は、既に指輪所持者であるクリーチャーを改めて指輪所持者として選んだ場合も機能する。
解説
指輪物語のキーアイテム「一つの指輪/The One Ring」に誘惑され、その力を得ることを表したメカニズム。
指輪があなたを誘惑するたび、あなたのクリーチャー1体を指輪所持者にできる。指輪所持者はプレイヤー1人につき1体しか存在しないが、誘惑のたびに所持者を選び直すことができる。
最初に指輪から得られる能力は「伝説化+潜伏」だけだが、2回目では攻撃時のルーティング、3回目ではブロックしてきたクリーチャーへの除去、4回目ではサボタージュ能力によるライフロスが追加され、どんどん強力になっていく。5回目以降の誘惑では能力は追加されないが、所持者の選び直しは依然として行える。
指輪物語:中つ国の伝承では全ての色が使用可能である。指輪があなたを誘惑するたびに誘発する能力や、指輪所持者を参照する能力も収録されているほか、伝説のクリーチャーを参照する効果ともシナジーを形成している。同時発売の指輪物語:中つ国の伝承統率者デッキでも扱われている。
- 指輪物語:中つ国の伝承のコレクター・ブースターでないブースター・パックからは、片面に指輪の能力、もう片面に指輪のルールが記された注釈カードが封入されることがある[1]。
- クリーチャー1体を強化し、そのクリーチャーが戦場を離れても別のクリーチャーにつけかえられるという点では装備品に近いものがある。実際、初期デザイン(後述)では装備品であった。
- 指輪所持者は伝説化するものの、レジェンド・ルールは同名の伝説のパーマネントにのみ影響するため、伝説でないクリーチャーを指輪所持者にしても基本的にデメリットはない。
- 無論、セラからの翼/On Serra's Wingsなど他の伝説化させる効果の影響下では話が変わる。
ルール
- あなたがクリーチャーをコントロールしていなくとも、指輪があなたを誘惑することはできる。
- 指輪があなたを誘惑するたび、あなたがクリーチャーを1体でもコントロールしていたならば必ず1体を指輪所持者に選ばなければならない。これは対象を取らない。
- 各プレイヤーは《指輪/The Ring》という名前の紋章を1つしか持てず、そのプレイヤーの指輪所持者は同時に1体しか存在しない。
- 指輪があなたを誘惑する効果を持つ呪文か能力が他に対象を選ぶ効果を持っており、それが解決時にすべて不正な対象であったなら、その呪文や能力は立ち消え、誘惑も行われない。
開発秘話
この能力の原点は没になったカード・セット「Salad」のために考案されていた指揮者/Leaderというメカニズムである。これは恩恵を得られるクリーチャーを指揮者として選んだ1体に限定することで、支援のフレイバーと盤面の複雑さの低減を両立したものである。この段階では指揮者はパーマネントの「状態」に過ぎず、どのような恩恵を与えるかはカードごとに定義されていた。
指輪物語のユニバースビヨンドを扱うにあたって、一つの指輪は文字通り1つしか存在しないが所持者は変わりうる、ということを表現するために指揮者メカニズムが掘り起こされた。しかし展望デザインは、戦場の状況によって指輪の効果が変わるのはふさわしくないとされ、誘惑のたびにタダでつけられる伝説の装備品・トークンを生成する効果にした[2]。
セット・デザインは、展望デザインの案ではアーティファクトであることや複雑さの観点から問題があると判断し、オブジェクトではなくパーマネントの「状態」へと変更し、最終的に紋章となった。また、ダンジョンメカニズムを参考に、徐々に能力を追加していくことで所有者が堕落と共にその力を増していくフレイバーを表現した[3]。
指輪の付与する能力については、潜伏のみ展望デザイン段階から一貫しているが[2]、それ以外については何度か調整を受けている。最終的に、ゲームを終局に向かわせやすくし、かつ指輪所持者が変わる機会を増やすため、いずれも攻撃的な能力になった。また、原作のフレイバーに基づき全体的に邪悪さを感じるものとなっている[3]。
脚注
- ↑ The Tokens of The Lord of the Rings: Tales of Middle-earth™/『指輪物語:中つ国の伝承』のトークン(Card Preview 2023年6月9日 Clayton Kroh著)
- ↑ 2.0 2.1 Crafting the Ring, Part 1/『指輪』作り その1(Making Magic 2023年5月30日 Mark Rosewater著)
- ↑ 3.0 3.1 Crafting the Ring, Part 2/『指輪』作り その2(Making Magic 2023年6月5日 Mark Rosewater著)
- ↑ Shouldn't the ring have negative effects flavor...(Blogatog 2023年5月7日)