エルズペス・ティレル/Elspeth Tirel (ストーリー)

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(ファイレクシア:完全なる統一)
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[[完成化]]された仲間の姿や、酷く痛めつけられたカーンの姿を目にしながらも、プレインズウォーカー達は新ファイレクシアの底へと進む。そして次元壊しへ繋がる道を守っていたのは[[ティボルト/Tibalt]]と……完成化されたアジャニであった。仲間を先に進ませるため、エルズペスはかつての導師との戦いに臨む。
 
[[完成化]]された仲間の姿や、酷く痛めつけられたカーンの姿を目にしながらも、プレインズウォーカー達は新ファイレクシアの底へと進む。そして次元壊しへ繋がる道を守っていたのは[[ティボルト/Tibalt]]と……完成化されたアジャニであった。仲間を先に進ませるため、エルズペスはかつての導師との戦いに臨む。
  
[[タイヴァー・ケル/Tyvar Kell (ストーリー)|タイヴァー・ケル/Tyvar Kell]]の助力もあり、アジャニを昏倒させ先に進むエルズペス。だが次元壊しの元で目にしたのは、[[ケイヤ/Kaya]]の静止――次元壊しが既に多元宇宙に接続してしまった今、酒杯を起動すれば多くの次元が巻き込まれてしまう――を無視して終焉をもたらさんとする[[ジェイス・ベレレン/Jace Beleren (ストーリー)|ジェイス・ベレレン/Jace Beleren]]の姿であった。
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[[タイヴァー・ケル/Tyvar Kell (ストーリー)|タイヴァー・ケル/Tyvar Kell]]の助力もあり、アジャニを昏倒させ先に進むエルズペス。だが次元壊しの元で目にしたのは、[[ケイヤ/Kaya]]の制止――次元壊しが既に多元宇宙に接続してしまった今、酒杯を起動すれば多くの次元が巻き込まれてしまう――を無視して終焉をもたらさんとする[[ジェイス・ベレレン/Jace Beleren (ストーリー)|ジェイス・ベレレン/Jace Beleren]]の姿であった。
  
 
一瞬にして何をすべきか悟ったエルズペスは、彼にラクシオールを突き立てると、爆発直前の酒杯を奪い[[久遠の闇/Blind Eternities]]へと消えていった。
 
一瞬にして何をすべきか悟ったエルズペスは、彼にラクシオールを突き立てると、爆発直前の酒杯を奪い[[久遠の闇/Blind Eternities]]へと消えていった。

2023年9月16日 (土) 13:24時点における版

エルズペス・ティレル/Elspeth Tirelアラーラの断片ブロック初出のキャラクター。カードとしてはアラーラの断片遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errantが初出。

目次

解説

バント/Bantヴァレロン/Valeron国の騎士・勇者(champion)。人間/Humanと思しき女性(イラスト)。デジタルゲームマジック2014―デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ」によると年齢24歳、身長172cm、体重63kg。

圧倒的な戦闘技術と高潔な人柄で知られ、所属する騎士団で最も多くの印章/Sigilを有している。自己に厳しく公平であり、判断力に優れた指導者に相応しい人物ではあるのだが、国を守るのに地位は関係ないと考えており、自分は他者の上に立つ器ではないと謙虚な態度を崩さない。その誉れ高き心と実力は天使/Angelに匹敵するといわれることもある。しかし、生まれは謎に包まれており、彼女が自分の出自について語ることはなく、過去に関する質問をかわすのが常である。

自身の才能に溺れることなく努力を積み礼節や調和を重んじ、秩序を守るためなら自らの命も厭わない。その社交的な姿勢は多くの共感と仲間を集めている。反面理想主義がすぎる節もあり、未だに幼少時のトラウマを引きずるがあまり現実との落差に狼狽するなど精神的に脆い部分もある。

エルズペスの下には、人間のアラン/Aran不屈のロウクス兵など忠実な従者やMardis(マーディス)らの騎士が連なっている。

プレインズウォーカー

騎士エルズペスの正体は、別の次元/Plane出身のプレインズウォーカー/Planeswalkerである。

10代でプレインズウォーカーとなった彼女は、ファイレクシア/Phyrexiaによる暗黒(dark)と争い(strife)、非道(oppressive)、恐怖(horror)が支配する故郷の次元(後にカペナ/Capennaという名であると開示)を捨てて、理想の世界を求め多元宇宙/Multiverseを放浪、最後にバントへ辿り着いた。バントには故郷で既に失われた「平和と愛と共存(peace, love, and community)」があり、彼女はこの断片を真の理想郷と考え、第二の故郷と定めた。

エルズペスはバントを心の底から慈しみ、この地に骨を埋める覚悟である。法と秩序を尊び、国民を愛し、天使を敬い、この楽園の平和を乱す害悪には断固容赦はしない。ただし、あくまで「普通の人間」としてバントの一部になろうと心に決めているため、特別な力を無闇に振るわないよう自己を抑制している。次元渡りも二度と試みるつもりはなかった。この点が他のプレインズウォーカーとは違う大きな特徴である。

その一方で、自分に厳格すぎる生真面目さが災いしてか、素性を偽り真の能力を隠した超人であるという事実が彼女には常に付きまとい、負い目を感じ悩み続けてしまう原因となっている(ときには人々の崇敬の眼差しすら彼女には非難の裏返しと見えてしまうようだ)。もし理想郷バントが変わってしまったら、もし異邦人であることが――普通の人間ですらないことが――知られてしまったら、やっとの思いで見つけた故郷を失うことになるだろう。恐れと不安がエルズペスの表情を曇らせる。

魔法の実力

騎士としての戦闘能力に加え、白のマナによる強力な集団(community)と防衛(fortification)の魔法を操ることができ、強靭な軍隊を作り、兵を励まし、被害から守る。コミックや小説では、自身のカード忠誠度能力同様に兵士を呼び出したり、仲間を強化して空を飛ばしたりなどといった魔法の描写が見られる。その他には、訓練中の仲間を防御魔法で怪我から守る、力場で悪魔を絡めとって動きを封じる、エスパー/Esper軍のドレイクと衝突する自軍のエイヴン/Aven部隊の戦闘力を高める、更には死者を蘇生する、忌まわしき者の軍隊を消し去る光を全身から放射する、という離れ業も行っている。

強大な魔力を内に秘めているとはいえ、(大修復/The Mending以後の新時代のプレインズウォーカーに限った話ではないが)予期せぬ危険に対しては不死身とは言えず、普通の人間と同じように負傷したり昏倒したりしてしまう。

上述のように「普通の人間」であろうとするエルズペスは自身の魔術の能力を周囲に隠し、滅多なことでは用いない(使っても自分の行いとばれないようにする)。身近に仕える従者のアランには魔道士の力を持つと明かしてはいるものの、それも真の力のほんの一端に過ぎない。

天使

アラーラを去り、幾多の戦いを経た後に、彼女は真の正体を取り戻した。それは人間ではなく、輝かしい天使の姿であった(イラスト)。カペナの同族が石のような翼を持っているのに対し、彼女のそれは大きく光り輝いており、宙を自在に駆け巡ることを可能としている。その手に握る神送り/Godsendの写しは、わずかに狙いをつけるだけで法務官/Praetorの鎧をも焦がす灼熱の光線を放つ。

この姿の彼女は精神面も落ち着いて達観したようなものとなっているが、これが天使化による精神構造の変化なのか、多元宇宙で数多の経験を経てきたことによる成長なのかは不明である。

  • 彼女が天使となる展開は2013年よりも前から計画されていた[1]

経歴

名誉にかけて/Honor Bound (1)

ファイレクシアに支配された争いと闇の次元に誕生する。

13歳の時、影のような人ならざる者によって生命の危機にさらされたことでプレインズウォーカーの灯/Planeswalker's Sparkに火が入り、故郷の次元を旅立った(以後、戻ったことはない)。

多元宇宙をさまよった後、17歳でヴァレロン騎士の従者となり、20歳で騎士と認められる。

アランの両親が亡くなった直後の夏、騎士エルズペスと従者になったばかりのアランは海岸を馬で駆けているときに、青空に姿を現した天使の大聖堂/Angels' Cathedralを見る。畏敬の念に打たれたエルズペスはアランとバント、自分自身への責任感を心に強く刻みつけた。

Alara Unbroken (1)

エルズペスは自分の素性や魔術の才能を隠したままヴァレロン国の騎士長の任に就いていた。任地である城の近くに、異邦人アジャニ/Ajaniが満身創痍の姿で現れる。得体の知れない獅子人間に騎士たちは警戒するが、エルズペスは僧侶に治療をさせる。彼女はアジャニの正体が自分と同じプレインズウォーカーであると勘付いていた。

手厚い看護の下でアジャニの傷は回復し、エルズペスはバントを新たな故郷として留まるよう説得するのだが、アジャニは申し出を断りの仇を追ってナヤ/Nayaへ帰ってしまう。しかし、エルズペスはアジャニから、5つの世界が一つにまとまりつつあるようだと警告を受けるのだった。

名誉にかけて/Honor Bound (2)

エルズペスは村や隊商で広まる恐ろしい噂を確かめるため、従者アランを連れてヴァレロンからアクラサ/Akrasaは暁の光の砦/Fort Dawnway方面へと調査に向かう。そして見捨てられたロウクス/Rhoxの修道院(Rhox Monastery。作中では「ロックス修道院」と誤訳)において、グリクシス/Grixisへ繋がった扉と不浄なるアンデッドを発見する。エルズペスはアジャニの言葉が本当であったことを知る。

旧き邪悪の権化の爪/Claws of an Ancient Evil

バントが他の断片と繋がった衝合/Confluxの時代、隣接するエスパーとナヤ/Nayaを相手取った戦争がバントで始まる。エルズペスはこのまま世界が破壊されるのを戦わずに見過ごす訳にはいかないと考えている。

Alara Unbroken (2)

バント境界地域ではエスパーとの戦争が勃発していた。騎士将軍ラフィーク/Rafiqアーシャ軍(Asha's Army)と共に侵略者を迎え撃つエルズペスは、突如戦場で味方のロウクス騎士Mubin(ムビン)に襲われ、頭に傷を負って意識不明に陥いる。

ベッドの上で意識を取り戻したエルズペスは一刻も早い戦線復帰を申し出るのだが、ラフィークに回復するまで出陣を禁じられ、敵軍の精神操作呪文の影響を受けて襲い掛かったロウクスは彼の友人ムビンだと謝罪される。ラフィークからバント内部に裏切りの嫌疑のかかった逮捕者がいることを聞き出すと、エルズペスはグヮファ・ハジード/Gwafa Hazidの尋問を行い、ハジードを影で操る「ドラゴン」が存在することを探り出す。

アラーラ再誕

アラーラ再誕では、バントの戦争はこれまでのエスパーとナヤに加えて、グリクシスとジャンド/Jundをも敵に迎えることになる。これは小説Alara Unbrokenでも同様で、バントが戦争する相手はエスパーからグリクシスの軍へと変遷する。同時代を扱っているエルズペスの関連する掌編やコミックでも戦争の相手はグリクシスである。

名誉にかけて/Honor Bound (3)

エルズペスはアランと共にバント軍の戦列に加わり、迫りくる悪魔の軍勢と戦うことになる。激戦の中、同僚の騎士団は次々と倒れ、天使は羽をもぎとられ地に落ち、ついには従者アランも敵の刃に命を落とすのだった。

1人の人間としての人生を望んでいたエルズペスであったが、アランの死に直面したことでプレインズウォーカーの真の力を解放し、忌まわしき者の軍隊を消滅させ、更にはアランを復活させる。しかし、エルズペスを見る周囲の目はがらりと変わってしまい、アランにも皆の希望の星であると告げられる。彼女の表情はなぜか悲しげであった。

目前に迫る戦争/The Face of War

他断片との戦争が激化する中、エルズペスはバントの希望の象徴となっていた。この頃にはナヤのエルフナカティル/Nacatlの軍勢すらも従えているようである。

スラクジムンダール/Thraximundarの軍団がバントを恐怖と混乱に陥れていた頃、石碑塔の戦い(The battle of Tower Stele)で戦果を上げたエルズペスに対して、民衆からスラクジムンダール討伐の期待が集まる。しかし、石碑塔から来たという少年が語るところでは、その戦いでエルズペスは罪を犯し、名誉を守るために火炎の中に身を投じて自らの生命を絶ったという。これは少年の嘘偽りであったが戦乱の難民に不安と動揺が広まっていった。

Alara Unbroken (3)

バントとグリクシスとの決戦の地は黄金塔/Giltspireの廃墟。先発していたエルズペスの軍はアーシャ軍総大将ラフィークを迎え入れ戦闘態勢を整える。方やグリクシス率いるは悪魔将軍マルフェゴール/Malfegor、その忌まわしき大軍団が猛攻を仕掛けてきた。混沌とする戦場、そこに祝福階級のアーシル/Aarsilが伝説の聖剣アーシャの剣を自ら携えて駆けつける。エルズペスはラフィークに剣を届ける任を負い、窮地に陥っていたラフィークの手についに聖剣が握られる。エルズペスの魔力の後押しを受け、アーシャの再来と自覚したラフィークは宙に舞い上がり、大悪魔マルフェゴールを十文字に切り捨てるのだった。

指揮官を失ったグリクシス軍は敗走し、アラーラの大戦乱を仕組んだ黒幕ニコル・ボーラス/Nicol Bolasもアジャニの活躍でこの次元から姿を消した。しかし、けがれなき楽園バントの姿は失われてしまった。失意のエルズペスは部下マーディスに別れを告げて、独りアラーラをプレインズウォークで立ち去った。

Gathering Forces、エルズペスvsテゼレット

エルズペスはドミナリア/Dominariaを訪れた。剣闘士(Gladiator)として戦いを続ける中、対戦相手の腕に忌まわしきファイレクシアのシンボルを見つける。その人物は故郷ミラディン/Mirrodinへのファイレクシアの侵攻に立ち向かう勢力を募るためにやってきたコス/Kothであった。

コスと共に「肉の墳墓」(Tomb of Flesh)という場所を訪れたエルズペスは、そこでかつて自分が捨てた故郷の幻影を見る。その場から逃げ出し、放っておいてくれと頼むエルズペスだったが、コスに連れられアーボーグ/Urborgの「英雄達の記念碑」(Heros' Memorial)を訪れる。その地でコスは彼の呪文により情報を手に入れる。「ヴェンセール/Venserという名の男を見つけなければならない」と。

コスと共にヴェンセールの工房を訪れたエルズペス。ヴェンセールは2人を歓迎するが、ヴェンセールがファイレクシアの技術を使用していることに激昂したコスはエルズペスの制止も解さずヴェンセールを脅してミラディンへと渡る道を作らせる。エルズペスはコスに「ファイレクシアはあまりにも危険だ」と忠告するものの、コスは聞き入れずミラディンへと飛び立っていった。

Scarred

ミラディンへと辿りついたエルズペス一行。しかし、屍賊/Nimとの戦闘によってエルズペスの過去の悪夢が蘇り、先へは進めなくなってしまう。エルズペスは一時、ヴァルショクの集落に身を寄せ現地の女性のもてなしを受ける。彼女との対話により己の信念を取り戻したエルズペスは、ファイレクシアに囚われたコスとヴェンセールを救出する。人々と失われた故郷のために、彼女は自らの悪夢を克服したのだ。

Dark Discoveries

エルズペスとコスは偵察に向かったヴェンセールが地表で意識を失って倒れているのを発見する。エルズペスはファイレクシアに打撃を与えようと出発を促すも、ヴェンセールはカーン/Karnを探す必要を主張してそれを拒んだ。カーンがファイレクシアの指導者として祀り上げられようとしていることを聞き、エルズペスとコスはカーンを見捨てるか抹殺すべきだとヴェンセールを説得するものの、ヴェンセールはカーンの力が必要だと反論する。なぜならば、新ファイレクシア/New Phyrexiaは多元宇宙全ての「完成/Compleate」に照準を合わせようとしていたからだ。

Scars of Mirrodin: The Quest for Karn

エルズペス一行はミラディンでカーンを捜索する。カーンは発見されたものの、既にファイレクシアの汚染は心臓部にまで達しており、癒し手のメリーラ/Meliraにすら浄化できない程であった。病により余命いくばくもなかったヴェンセールは、己の心臓をカーンに移植することでファイレクシアから解放する。残されたエルズペスとコスは、ファイレクシアと戦い続けることを誓う。

失われし告白/The Lost Confession

カーンは解放後暫くして、ミラディンを去っている。その間にも新ファイレクシアの内部抗争は激化し、法務官/Praetorたちは支配権をめぐって相争った。エリシュ・ノーン/Elesh Nornシェオルドレッド/Sheoldredウラブラスク/Urabraskの領土を掌握し、余所者のテゼレット/Tezzeretは疎まれ始めた。そこでミラディン人たちの抵抗軍はノーンへと全戦力を向けたが、彼らは直に四散した。エルズペスとコスは、メリーラとその守り手たちともはぐれてしまった。彼女たちはファイレクシアの聖堂城塞へと潜入し、ある小部屋で強力な呪文爆弾を起動しようとしていた。そこは新たな機械の父あるいは母を決めるために法務官達が集結している玉座の間の真下にあたっていた。コスはエルズペスを巻き添えにすまいと別の次元に逃れるように告げ、彼女の足を石で固めて己との間に壁を作り出した。苦渋の思いで脱出しようとするエルズペスに、ファイレクシアの抹消者/Phyrexian Obliteratorが迫っていた。危ういところを彼女はテーロス/Therosへと次元渡りした。

この一連の出来事をエルズペスはアジャニに宛てた書簡として書き留めたが、彼女はそれを瓶に入れてテーロスの沼へと沈めるつもりだった。新ファイレクシアでの日々は筆舌にし難いほどであり、その記憶を消したりたいと思っていた。エルズペスは心身ともに衰弱していたのだ。

テーロス

エルズペスは今度こそ剣を抜くこともなく、故郷と呼べる次元で落ち着いた暮らしをすることを望んでいた。神々に守られた次元であるテーロスは、まさにうってつけの世界だと思われた。しかし、荒れ地で巨大なハイドラポルクラノス/Polukranosと遭遇してこれを倒したことにより、英雄を求める太陽の神、ヘリオッド/Heliodの注意を引くこととなった。

神々の軍勢

彼女はテーロスの人間たちを従え、モーギス/Mogis率いるミノタウルス/Minotaur軍を迎え撃つ。彼女は多数の犠牲を出しつつも、辛くもそれに勝利する。ミノタウルスに勝利した人間たちは、祝賀会で、束の間の美酒に酔いしれる。しかしそれは更なる策略への恐るべき序章であった。ゼナゴス/Xenagosによって祝賀会は暴力的な狂宴、「大歓楽/Great Revel」へと変貌する。エルズペスはゼナゴスの魔法によってダクソス/Daxos怪物と思い込まされて殺害する。そのことによってゼナゴスの儀式は完成し、彼は歓楽の神となった。勇者であったはずのエルズペスはヘリオッドよりその責任を問われて荒野を彷徨うこととなる。

ニクスへの旅

アジャニはエルズペスの力となるためにテーロスを訪れ、旧友ブリマーズ/Brimazが率いるレオニン/Leoninたちに協力を求める。エルズペスのこれまでの戦いは既に彼らの間では歴代の太陽の勇者を称える「テーリアス/The Theriad」の一部となっていた。荒野において彼らは再会し、ゼナゴスを倒しに神々の領域であるニクス/Nyxへと向かうために世界の果ての大瀑布を目指す。謎のトリトン/Tritonの女性キオーラ/Kioraの助力でタッサ/Thassaが篭もるアリクスメテス/Arixmethesに辿り着いた二人は、タッサの波によってニクスへの門であるクルフィックス/Kruphix自身まで運ばれる。

しかしニクスに到達するにはエルズペスは神々の一柱を選んで試練を受け、それを達成しなくてはならなかった。事前にタッサからは彼女を選ぶように助言されていたが、エルズペスはエレボス/Erebosを選ぶ。見事に試練を達成したエルズペスは、アジャニの制止にも耳を貸さずに自身の命と引き換えにダクソスの蘇生をエレボスに願った。

ついにエルズペスとアジャニはニクスに辿り着き、ゼナゴスと対峙する。二人は共に戦いついに歓楽の神を討ち取った。二人にナイレア/Nyleaはヘリオッドの怒りから逃れるように警告するが、エルズペスは力を使い果たして弱り切っており、しかもどうやらニクスからは直接次元渡りが出来ないように思われた。そして、ついに太陽の神の怒りはエルズペスを捉えた。彼女は槍剣を奪われてそれで貫かれた。ニクスで死した魂は無に帰す――エルズペスにエレボスとの約束を守らせるために、ヘリオッドはアジャニに彼女を息のある内に定命の者たちへの領域へ運ぶように命じた。アジャニは黙って従ったが、彼女をエレボスの使者に渡すまいと立ち向かった。しかし、アジャニの身を案じたブリマーズが派遣した戦士たちが、傷ついた彼を連れ去って保護した。

エルズペスはただ一人でエレボスの使者を迎えた――その死の瞬間に、平穏と休息を祈りながら。

定命の領域にて、ナイレアはエレボスが蘇生させたはずのダクソスを探し求めていた。彼女が見つけたのは、黄金の仮面をつけて自己を失った蘇りし者だった。

死の国にて

エルズペスは死後、エレボスの統べる死の国/The Underworldにて自らのとしての黄金の仮面を作りながら、そこから抜け出せる日を待ち続けている。

テーロス還魂記

エルズペスは死した英雄の安息の地、イリーシア/Ilysiaにて永遠の安らぎを得るはずであったが、毎夜の悪夢が彼女を責め苛んでいた。悪夢を振り撒くプレインズウォーカー、アショク/Ashiokの力が死の国にも及んでいたのだ。だがアショクの悪夢を具現化する力が、思わぬ形で作用した。悪夢の中でエルズペスはヘリオッド/Heliodの槍クルソー/Khrusorの影を掴み取り、現実の世界へと持ち出したのだ。新たなる武器影槍/Shadowspearを手にした彼女は、多元宇宙に残してきた使命を果たすことを決意し、死の国から脱出するべく立ち上がった。

時を同じくして、太陽の神ヘリオッドは自らの不死性の脆さを熟考していた。ゼナゴスの神格化と死を目の当たりにし、神の脆さを思い知った彼は、万神殿における自らの地位を確固たるものにするべく行動を開始した。ダクソスを亜神として真に蘇らせ、他の神々の痕跡を消し去るよう命じたのだ。これに対し他の神々も自らの勇者を亜神として蘇らせ、ついには神々の戦争へと発展した。しかしこの出来事が、図らずもエルズペスにとっての好機となる。神々の戦争により死の国と定命の世界の境界が薄れ、裂け目が生じたのだ。死の国の数多の怪物が、そしてエルズペスが、裂け目を目指してなだれ込んだ。死の国の看守クローティス/Klothysはエルズペスを連れ戻すための特別な工作員、ケイリクス/Calix差し向けたものの、何度相対してもエルズペスの勝利は揺るがなかった。

死の国の出口を目前にしたエルズペスの前に立ち塞がる者があった。彼女を殺した張本人、太陽の神ヘリオッドだ。罵りの言葉と共に彼はクルソーを手にエルズペスへと攻撃を仕掛ける。だがまさにその時、彼の手の中でクルソーが砕け散った。エルズペスはここまでの道中、何度も影槍を振るって敵を倒し、傍観者たちにこう宣言していた――「この槍こそが本物のクルソーであり、ヘリオッドの持つ槍は偽物である」と。神話と信心が形を成すテーロス/Therosでは、人々が信じた物語こそが真実となるのだ。ヘリオッドは遂に降伏し、エレボス/Erebosの手によって巨岩の下に封じられた。気を良くしたエレボスはエルズペスに感謝を告げるとともに、定命の世界への安全な帰路を与えるのだった。

かくしてエルズペスは死の国より脱出を果たした。ダクソスと束の間の再会を果たすと、彼女はプレインズウォークし別の次元へと去っていった。この英雄譚今日まで語り継がれている

ニューカペナの街角

死の国から脱出したエルズペスは、ドミナリアにてアジャニと再会する。アジャニは彼女の故郷がカペナ/Capennaであることを突き止めており、そこに向かうことを提案する。安住の地だと信じていたテーロスに裏切られ、傷ついた心を癒すために。そして、かの地がファイレクシア/Phyrexiaを退けられた理由を知るために。

だが彼女はカペナ唯一の都市、ニューカペナ/New Capennaでの暮らしに馴染むことができず苦悩する。そしてその日々は、犯罪組織の一つ貴顕廊一家/The Maestrosにスカウトされたことで一変する。歴史に精通した貴顕廊から真実を知るため、彼女は不承ながらもその誘いに乗った。

貴顕廊で数々の仕事をこなしたエルズペスに、ついに首領ザンダー卿/Lord Xanderは大役を任せた。ニューカペナの秩序を脅かす「敵対するもの/The Adversary」を出し抜くため、舞台座一家/The Cabarettiは魔法物質光素/Haloの無尽蔵な供給源「源/The Font」を持っていると主張した。そこで舞台座の元へ潜入し、源の正体を突き止めると共に貴顕廊が侵入するための隙を作ることを命じたのだ。成功の暁にはザンダーの書庫を閲覧することを条件とし、彼女はその任務を引き受けた。

舞台座にて彼女は少女ジアーダ/Giadaと知り合う。だが新年祭クレッシェンドにて、彼女が膨大な光素を生み出す姿を目撃する――ジアーダこそが「源」であり、光素の対価として自らの命を削っていたのだ。その様子を目にし、会場に潜入していた「敵対するもの」の工作員はジアーダに迫らんと動き出す。「敵対するもの」も五大一家も、ジアーダを道具としか思っていない――そう悟ったエルズペスは、混乱の中、彼女達の窮地を救ったビビアン・リード/Vivien Reidと共に逃避行を開始する。

逃亡の末、彼女達がたどりついた大聖堂には、ジアーダが家族と呼ぶ無数の天使像が満ちていた。そこに、「源」を始末せんと「敵対するもの」ことオブ・ニクシリス/Ob Nixilisが姿を現す。ニクシリスの圧倒的な力に打ちひしがれるエルズペスであったが、ジアーダが輝きを放ちだし、彼女を激励する。アジャニとジアーダの言葉が重なり、彼女は気づく。安住の地とは義務。家族とは守りたい人々。ずっと願っていたものはこの手にあったのだと。ジアーダの身体から放たれた光素がエルズペスの剣を包むと、それは新たなる剣ラクシオール/Luxiorへと変化し、ニクシリスを退けた。そして、ジアーダもどこかへと姿を消した。

「敵対するもの」との抗争の中でザンダーは散った。だが彼の遺言には、自らの書庫をエルズペスに開放してやるよう記されていた。書庫にはカペナの真実が記されていた――光素とは天使の精髄であり、これをもってカペナはファイレクシアを退けたと。彼女は書庫に蓄えられていたわずかな光素を持ち出すと、アジャニと合流すべくドミナリアへと向かった。

兄弟戦争

ドミナリアにたどり着いた彼女を待ち受けていたのは絶望的な知らせであった。カーンは新ファイレクシアに拉致され、アジャニは彼らの潜伏工作員に改造されていたと。そんな彼女を癒したのは、ジョダー/Jodahチャンドラ・ナラー/Chandra Nalaarとの語らいであった。

ある晩、集まったプレインズウォーカー達を殲滅せんとファイレクシアの軍勢が来襲した。エルズペスはサヒーリ・ライ/Saheeli Raiの機械兵を指揮し、ヤヤ・バラード/Jaya Ballard――ジョダーの知人にして、チャンドラの師匠――の遺した魔法を起動し軍勢を退ける。後続のローナ/Ronaとの戦いで満身創痍になったエルズペスの前に、姿を現したのはテゼレットであった。彼は依然として新ファイレクシアの手先であったが、ローナを回収するにとどめ、エルズペスを見逃した――エルズペスが新ファイレクシアを崩すきっかけになると考えたからだ。

ファイレクシア:完全なる統一

金線の酒杯/The Filigree Sylexにより新ファイレクシアの計画の要「次元壊し/Realmbreaker」を打ち砕くべく、エルズペス含む11人のプレインズウォーカー達は新ファイレクシアへと向かった。次元の障壁により仲間とはぐれてしまったが、思わぬ再会もあった――ミラディン人の拠点にて、コスと再会したのだ。

完成化された仲間の姿や、酷く痛めつけられたカーンの姿を目にしながらも、プレインズウォーカー達は新ファイレクシアの底へと進む。そして次元壊しへ繋がる道を守っていたのはティボルト/Tibaltと……完成化されたアジャニであった。仲間を先に進ませるため、エルズペスはかつての導師との戦いに臨む。

タイヴァー・ケル/Tyvar Kellの助力もあり、アジャニを昏倒させ先に進むエルズペス。だが次元壊しの元で目にしたのは、ケイヤ/Kayaの制止――次元壊しが既に多元宇宙に接続してしまった今、酒杯を起動すれば多くの次元が巻き込まれてしまう――を無視して終焉をもたらさんとするジェイス・ベレレン/Jace Belerenの姿であった。

一瞬にして何をすべきか悟ったエルズペスは、彼にラクシオールを突き立てると、爆発直前の酒杯を奪い久遠の闇/Blind Eternitiesへと消えていった。

機械兵団の進軍

酒杯と共に散ったはずの彼女は、不思議な空間で目を覚ます。母親のような謎の声が彼女に語り掛け、多元宇宙に起こっている惨状を見せた。それはあらゆる次元が新ファイレクシアに侵略されている光景、そしてエリシュ・ノーンへ反抗せんとする者達の目前に死が迫っている光景であった。声はただ一度だけ選択の機会を与えた。エルズペスはノーンを斃すことを選ぼうとしたが、声は語った。自分だけの世界を創造した慈悲深き女性――ファイレクシアの地下牢でその名を呼ぶことは禁忌とされた――は、かつて偉大なる魔術師から助けを乞われたとき、その背景にある脅威を想像していなかった。今目の前に広がるこの脅威は、ノーンを殺しただけでは終わらぬと。

エルズペスが新ファイレクシアの光景を見渡すと、一つの答えに気づいた。レン/Wrennを次元壊しの元へたどり着かせることで、全ての次元を救えるのだと。その選択を見届けた声の主――セラ/Serraは彼女を本来あるべき姿へと生まれ変わらせた。

天使としての姿に。

新ファイレクシアに降り立った大天使エルズペスの前に、完全なる統一を阻ませぬとエリシュ・ノーンが立ちはだかる。だが今の彼女に、かつてのようなノーンへの恐れはなかった。自らの矮小さを突きつけられ呪詛の言葉を吐くノーンに、光の矢を放ち吹き飛ばすと、彼女は次元壊しへと向かっていき、抵抗軍を勝利へと導いた。

機械兵団の進軍:決戦の後に

戦後のテーロスにおいて、彼女が神格化されていることが明らかになっている。

登場

登場カード

カード名に登場

テーロス還魂記
エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Deathエルズペスの悪夢/Elspeth's Nightmare
テーロス還魂記 プレインズウォーカーデッキ
エルズペスの信奉者/Elspeth's Devotee
アルケミー:兄弟戦争
エルズペスの命令により/By Elspeth's Command
機械兵団の進軍
エルズペスの強打/Elspeth's Smite

フレイバー・テキストに登場

エルズペスvsテゼレット
十字軍/Crusade
アラーラの断片
アクラサの守護者/Guardians of Akrasa
コンフラックス
聖遺の騎士/Knight of the Reliquary
アラーラ再誕
不屈の随員/Dauntless Escort
ミラディンの傷跡
魂の受け流し/Soul Parry
新たなるファイレクシア
清純のタリスマン/Pristine Talisman巻き戻しの時計/Unwinding Clock
基本セット2013
アクラサの守護者/Guardians of Akrasa
テーロス
神々との融和/Commune with the Gods
神々の軍勢
勇気の元型/Archetype of Courage陽絆/Sunbond悪戯と騒乱/Mischief and Mayhem
ニクスへの旅
神討ち/Deicide復仇/Reprisal最悪の恐怖/Worst Fears
エルズペスvsキオーラ
常備軍/Standing Troopsロクソドンの非正規兵/Loxodon Partisan
Unstable
アマチュア監督/Amateur Auteur(バージョンC)
テーロス還魂記
苦悶の悔恨/Agonizing Remorse執拗な探求/Relentless Pursuit
テーロス還魂記 プレインズウォーカーデッキ
栄光の重装歩兵/Sunlit Hoplite
ニューカペナの街角
断れない提案/An Offer You Can't Refuse堕落した廷臣/Corrupt Court Official果敢な逃亡/Daring Escape最重要指名手配/Most Wanted大都市の天使/Metropolis Angel
ファイレクシア:完全なる統一
完成化の祈り/Compleat Devotionレジスタンス再結成/Resistance Reunited久遠への消失/Vanish into Eternity
機械兵団の進軍
天使の介入/Angelic Intervention決定的瞬間/Moment of Truth

イラストに登場

エルズペスvsテゼレット
十字軍/Crusade
アラーラの断片
朗々たる根本原理/Clarion Ultimatum
アラーラ再誕
献身的な嘆願/Ardent Plea不屈の随員/Dauntless Escort(盾にエルズペスの似姿)
ミラディンの傷跡
魂の受け流し/Soul Parry
新たなるファイレクシア
倒れし者の記憶/Remember the Fallen
テーロス
神々との融和/Commune with the Gods神々の思し召し/Gods Willing邪悪退治/Vanquish the Foul
ニクスへの旅
神討ち/Deicide神送り/Godsend最悪の恐怖/Worst Fears英雄たちの結束/Solidarity of Heroes凱旋の間/Hall of Triumph
チャレンジ・デッキ
女勇者/The Champion
テーロス還魂記
エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death勝利への躍進/Triumphant Surge苦悶の悔恨/Agonizing Remorseエルズペスの悪夢/Elspeth's Nightmare
ニューカペナの街角
果敢な逃亡/Daring Escape最重要指名手配/Most Wantedジアーダの贈り物、ラクシオール/Luxior, Giada's Gift
ダブルマスターズ2022
前兆の壁/Wall of Omensボーダーレス版)
アルケミー:兄弟戦争
エルズペスの命令により/By Elspeth's Command
ファイレクシア:完全なる統一
完成化の祈り/Compleat Devotionレジスタンス再結成/Resistance Reunited久遠への消失/Vanish into Eternity
機械兵団の進軍
天使の介入/Angelic Interventionエルズペスの強打/Elspeth's Smite決定的瞬間/Moment of Truth
機械兵団の進軍統率者デッキ
エルズペスの才能/Elspeth's Talent
『機械兵団の進軍』フォイルゲット!プラトークンキャンペーン
兵士トークン・カード
機械兵団の進軍:決戦の後に
神格化/Deification(彫像)

登場デッキ

デュエルデッキ
プレインズウォーカーデッキ

登場作品・登場記事

アラーラの断片ブロック
ミラディンの傷跡ブロック
テーロス・ブロック
プレインズウォーカー達の現状
テーロス還魂記
ニューカペナの街角
兄弟戦争
ファイレクシア:完全なる統一
機械兵団の進軍

脚注

  1. Hi Mark! My birthday was two days ago, any chance...Blogatog 2023年7月30日)

参考

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