稲妻/Lightning Bolt
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ブーンズの1つで、最高の火力との呼び声高いカード。呪文が直接相手のライフを削るという、全てのカードゲームに於けるバーンデッキという概念を造った、カードゲーム史上でも重要なカードである。
1マナで3点ダメージと非常に効率がよい。タフネス3の中堅クリーチャーまでもインスタント・タイミングで除去可能であり、その上、プレイヤー本体にも撃ち込めるため、特殊な状況下でない限りまったく無駄にならない。使用制限・デメリットなしの1マナ火力としては破格の高性能。このカード以上のコスト・パフォーマンスを持った火力は、黎明期でさえも作られていないし、今後も作られることはないだろう。
後に多くの亜種が作成されているが、その多くは性能が下方修正されている。そうしたバランス調整の結果生み出されたショック/Shockと火山の鎚/Volcanic Hammer(第7版~第9版)、火葬/Incinerate(第5版、第10版)、灼熱の槍/Searing Spear(基本セット2013)は、昨今の火力の基幹となる後継カードである。特にショックは1マナ火力の基準線(ベースライン)・標準値(デフォルト)とみなされている。
利用
高いダメージ効率と使い勝手の良さから、赤単色からタッチしたデッキまで、多種多様なデッキで活躍する。エターナルにおいてですら黎明期から現在までバーンデッキの中核を担っていることからも、歴代最高の火力と言われるカードパワーが伺える。
- 第4版以前の頃は、いわゆる4枚制限ルールに従ってデッキを構築するのはトーナメントだけというカジュアル志向のプレイヤーが多かったため、山/Mountainと稲妻だけのデッキというのもあった。
対クリーチャー除去としての性能の高さも利点。また近年はプレインズウォーカーに対する除去としても機能するようになった。前者はビートダウンに、後者はコントロールにおいて重要視されており、その両方に睨みを利かせられることは非常に大きな意味を持つ。
基本セット収録とカードパワー
稲妻はリミテッド・エディションから第4版まで基本セットの常連であった。しかし、第5版では「カードパワーの割に低コスト」という理由で収録されず、代わりに火葬/Incinerateが収録された(Taming the Flames(Duelist誌17号の記事))。
そうして何年も経った基本セット2010で復帰することになる。これは基本セット2010の目玉として公式記事やファンサイトなどで度々取り上げられた。新規のフレイバー・テキストも、久々の再録に相応しいものが用意された。
火花魔道士は叫び、彼が若かった頃の嵐の怒りを呼び起こそうとした。 驚いたことに、空はもう再び見られないと思った恐るべき力で応えた。
再録についてMark RosewaterはDrop and Give Me 2010(邦訳:さあ2010だ)で2つの理由を挙げて説明している。
第一の理由は、クリーチャーのカードパワーが向上したことで、相対的に稲妻のカードパワーが下がったため。そして、より重要な第二の理由とは、基本セット2010においても依然として1マナ火力の基準線はショック/Shockであるものの、ゲーム上、稲妻が存在しても許容範囲内に収まると判断されたためである。
つまり、R&Dによってゲームバランスが適正に調整できるならば、稲妻のようなパワーカードの存在も許されるという方針が理由である。これは将来的に基本セットの常連として稲妻が返り咲いたわけではなく、あくまで制限付の一時的な復帰とされる。ローズウォーターは稲妻とは別のパワーカードが再録される可能性も示唆しており、事実基本セット2011以降もかつて活躍した優秀なクリーチャーや呪文が頻繁に再録されている。
その後、基本セット2011でも続けて再録されたが、基本セット2012ではショックと火葬と入れ替わりで再録されなかった。
関連カード
サイクル
ブーンズ。マジック黎明期の基本セットに収録されたサイクルであり、すべて1マナで3つ分の何かを発生させる。
- 治癒の軟膏/Healing Salve
- Ancestral Recall
- 暗黒の儀式/Dark Ritual
- 稲妻/Lightning Bolt
- 巨大化/Giant Growth
それぞれ各色の特徴をよく表しているが、そのカードパワーには大きなばらつきがある。
主な亜種
火力の元祖であるため、後のX火力以外のすべての火力が亜種にあたるという見方もあるが、特に近い亜種としては以下の例がある。それらのほぼすべてが下位互換である点からも、このカードの強力さがよくわかる。特に記述がない限り、1マナ3点インスタント。
- コスト・使用条件の調整版
- 灼熱の槍/Searing Spear - (1)増えた2マナ。
- 欠片の飛来/Shard Volley - 追加コストとして土地を生け贄に捧げる必要がある。
- Chain Lightning - ソーサリー。コピーを作る能力つき。
- 癇しゃく/Fiery Temper - マッドネスでのみ1マナ。通常は3マナ。
- 裂け目の稲妻/Rift Bolt - ソーサリー。待機でのみ1マナ。通常は3マナ。
- 巻き添え被害/Collateral Damage - 追加コストとしてクリーチャーを生け贄に捧げる必要がある。
- 対象の調整版
- 炎の斉射/Blazing Salvo - 対象はクリーチャーのみ。懲罰者カード。
- 溶岩の撃ち込み/Lava Spike - ソーサリー・秘儀。対象はプレイヤーのみ。
- 掃射/Strafe - ソーサリー。対象は赤以外のクリーチャーのみ。
- 威力の調整版
- ショック/Shock - 1マナ2点。
- 焦熱の槍/Scorching Spear - ソーサリー。1マナ1点。
他の例は火力、もしくはショック/Shockなどのページを参照。
その他
- 初期のジャッジ褒賞カードとしてFoil版が作成されている。この頃はDCIマークが入っていないなど、過渡期を思わせるデザインである。
- このプロモーション・カード、文章欄など一切の文字が印刷されていないテストプリントカードが、ウルザズ・デスティニーの日本語版のブースターパックに誤って混入されていたといういわくがある。他にも、セラのアバター/Serra Avatarや、天才のひらめき/Stroke of Genius等にも、同様のカードが発見されている。いずれもサマーマジックのレアカードに匹敵するか、それ以上の高値で取引されていたことがある。
- 初期のマジックにおいてクリーチャー評価(主に酷評)の基準に使われていた。どんなに性能が高いクリーチャーでも、それがタフネス3以下であれば、曰く「しょせん稲妻一発で落とされる」というように。
- また、「タフネスが低いが高性能のクリーチャー」を表す用語「ボルトベイト」の語源でもある。
- 基本セット2010以降の環境でも同様に、タフネス4以上が「稲妻で焼けない」を根拠に一つのステータスとされる。
- これと火炎破/Fireblastのおかげで、「赤相手でライフ一桁は秒読み段階」などとすら言われたこともあった。
- 基本セット2010での再録によりモダンでも使用できるようになり、需要の増大を招いている。怨恨/Rancorほどではないが、こちらも高額コモンの代表格になりつつある。
- カード名をかな表記する場合は、基本セット2010以降の日本語版を見ればわかるように、「いなづま」ではなく「いなずま」が正しい。
- 現代日本語では「いなずま」でも「いなづま」でもかまわないが、基本的には音韻主義で「いなずま」が正しいとされる。実際、PCや携帯電話などの日本語入力システムで「いなづま」と入れても「稲妻」への漢字変換ができないものも多い。
- 「雷」というと、空や風雨を操る青や、自然現象そのものを操る緑の領域に近くも思えるが、災害・火災(雷が原因の山火事は多い)・直接的暴力のイメージから赤に割り振られたのであろう。火山が噴火する際にも発生することがあるため問題はない。