意志の力/Force of Will
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あなたは、この呪文のマナ・コストを支払うのではなく、1点のライフを支払うとともにあなたの手札にある青のカードを1枚、追放することを選んでもよい。
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
マジック史上最強クラスの打ち消し呪文であり、ピッチスペルの代表的存在。マナ・コストだけで見れば重い対抗呪文/Counterspellだが、1点のライフと青のカード1枚という代替コストを持つ。
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解説
マナを支払うことなく打ち消し呪文を撃てるというのはこの上なく強力である。まず、戦場に関係なく手札2枚だけでブラフになるため、環境に存在するだけで大きな意味を持つ。また、タイム・アドバンテージ、テンポ・アドバンテージの観点でも極めて優秀であり、隙を作らない、展開を阻害しないという強い長所から、パーミッションだけでなくコンボデッキやビートダウンでも大いに使われる。まさに当時の青を最強の色たらしめたカードである。
また、後攻の場合に1ターンキルされるのを防ぐ手段の一つとして重宝され、エターナル環境の青絡みのデッキでの採用率は非常に高い。意志の力の存在が青を使う理由になるくらいである。
ただし、代替コストで唱えた場合は2対1交換になるためカード・アドバンテージを失ってしまう点には留意が必要である。上記のように対コンボデッキカードとして優秀であるためメインデッキに多く採用されるものの、特定のキーカードを持たないデッキに対してはサイドアウトされることも多い。また、他の選択肢が存在する場合は採用が控えられることもあり、実際精神的つまづき/Mental Misstepが禁止カード指定される前に行われたグランプリプロビデンス11では、意志の力が採用されていないNo-Force Bantが優勝を飾った。
- 中盤以降、魔力の乱れ/Force Spikeやマナ漏出/Mana Leakをエサにして撃つとちょうどよい。デッキによっては、メインデッキから採用している特定の対策カード(基本に帰れ/Back to Basicsなど)が腐ってしまった場合の処理手段になる。また、マナが余り始めた時には普通に5マナ支払って生撃ちすることも多い。
- 1点のライフロスは些細なデメリットであり問題視されることはほとんどない。むしろ些細すぎてライフを支払い忘れることが非常に多く、そちらの方が問題になるくらいである。使い始めの内は特に注意したい。
- サイクルの中ではこのカードと(このカードほどではないが)当時のトーナメントで活躍したContagionのみライフの支払いを追加要求している。この点をみるに、このカードの代替コストが青のカード1枚では強すぎることはR&Dも認識していたのだろう。問題は追加のライフロスがほとんどデメリットとして機能していない点であり、同ブロックに収録されている剣を鍬に/Swords to Plowshares、ネクロポーテンス/Necropotenceと共に、黎明期においてライフ・アドバンテージが過大評価されていたことを象徴する一枚といえる。
- ピッチコストの都合上、このカードを安定してピッチで使うためにはデッキ内に一定量の青いカードが必要となる。この枚数は通称「ブルーカウント」と呼ばれる。
開発秘話
このカードは「Stop Spell」の仮称で青の呪文として開発されていた。しかし、アーティストのTerese Nielsenは、このイラストを「Stop Spell」という名前の赤の呪文を想定して、赤い背景に炎を描いたと述べている。R&Dはアート部門かマジック・コンティニュイティの誰かが間違った色の指示を出したのだろうと考えている。(→One prolific and talented lady Behind the Canvas: Terese Nielsen)
マジック・コンティニュイティが知性を持つゴリラ種族をストーリーに登場させる決定を下した際(アライアンス参照)、デザイン・チームはこのカードの開発名を「Gorilla, Gorilla, Gorilla, Gorilla, Gorilla, Stop That!」に変更した。(→More tales from the R&D gang Take This Job and Love It)
一方、アライアンスのデザイン・チームのJim Linによる記事「Do You Know Your Gorillas?」(Duelist11号掲載)では、このカードの開発(ゴリラ)名は「Monkey in the Middle」であり、「Gorilla Gorilla Gorilla Gorilla Gorilla Gorilla Gorilla Gorilla (Stop That)」はTidal Controlの開発名だと記されている。
逸話
非常に強力なカードであり、様々な逸話があげられる。
- このカードのおかげでエターナルでは「青のカードである」ことが、このカードのピッチコストにできるというだけで一つのメリットとして扱われる。あるカードの実質下位互換が青のカードであることを理由に使われたり、上記の魔力の乱れ、基本に帰れのような、特定のタイミングやデッキには有効だがそれ以外では腐りやすいカードも青であれば重大なデメリットでないなどという評価が真面目にされたりする。
- 2017年8月の禁止改定において、ヴィンテージで意外な授かり物/Windfallが制限解除されなかった理由の1つに「意志の力の弾になる」ことがあげられている。(参考 / 翻訳)
- エターナルにおいては、他の打ち消し系カードはこれを温存するために存在するとすら言われている。意志の力を使わないデッキがコンボデッキと戦う助けになることを目標としていたはずの精神的つまづき/Mental Misstepも、青いデッキで意志の力温存のために使われて青いデッキを強化してしまい、レガシーで禁止カードに指定されてしまった(参考)。
- 旧エクステンデッドで青いデッキを作る場合にはまず4枚積みされるカードであり、その汎用性から「監視カードリスト」に常駐しており、「いつ禁止になるか」という話題には事欠かなかったが、エクステンデッドのローテーション制度が導入されたため、禁止されることがないままローテーション落ちを迎えた。
再録
エターナルでの使用頻度が高いにもかかわらず、その強力さゆえに初出以来長らく再録されていなかった。ただし、初出時の稀少度はアンコモン2である為再録禁止カードリストに載っていない。現在では通常のカードセットではないものの、以下のように再録が行われている。
- 2014年にジャッジ褒賞としてプロモーション・カードが配布された。
- 2016年発売のエターナルマスターズにて、紙媒体のカードセットとして再録された。その際に稀少度が神話レアに変更され、新規イラストとフレイバー・テキストも用意された(参考)。同時に、日本語名が与えられた。
- Magic Onlineのデジタルカードセットでは、Masters Editionにて初収録され、数ある収録カードの中で、WotCによるプレビューでトップを飾った。その後、同じくMagic Online専売セットのVintage Mastersにも再録された(イラストはレガシー選手権11のトロフィーに用いられたもの)。
- 2017年、Amonkhet Invocationsにて(ジャッジ褒賞を除き)2度目の再録が行われた。
通常のカードセットでの再録が行われていないため、取引価格はアンコモンの中ではマナ吸収/Mana Drainともどもトップクラス。
その他
- サイクル中、唯一クリーチャーを対象に取らない。
- 俗称は頭文字をとってFoW。または単にウィル、英語名の聞き間違いから高層ビルとも呼ばれる。
- レガシー選手権11では、優勝者Jared Kohlerに新規描き下ろしイラストの意志の力の額が贈られた(参考)。この際のイラストはジャッジ褒賞でも用いられている。
- 2013年4月27日~28日に開催された『ニコニコ超会議2』において、1996年を代表するカードとして展示された(参考)。
関連カード
- 撃退/Foil - 調整版。ピッチコストが「島カード1枚+任意のカード1枚を捨てる」に変更された。(プロフェシー)
- 撹乱する群れ/Disrupting Shoal - 亜種。追放した青のカードの点数で見たマナ・コストが対象の呪文のそれと等しい場合のみ打ち消せる。(神河謀叛)
サイクル
アライアンスのピッチスペル。手札から同じ色のカードを追放することで、マナ・コストを支払わずに唱えることができる(意志の力/Force of WillとContagionは1点のライフも要求する)。
- 古参兵の傷痕/Scars of the Veteran
- 意志の力/Force of Will
- Contagion
- 紅蓮操作/Pyrokinesis
- 狩りの報奨/Bounty of the Hunt