禁止カード
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*[[Chaos Orb]]や[[アンティ]]関係のような現在のマジックのゲーム性からかけ離れていると判断されたカード、[[策略]]カードのように通常のトーナメントで用いることを想定していないカードは環境制定や印刷と同時に禁止カードに指定される。 | *[[Chaos Orb]]や[[アンティ]]関係のような現在のマジックのゲーム性からかけ離れていると判断されたカード、[[策略]]カードのように通常のトーナメントで用いることを想定していないカードは環境制定や印刷と同時に禁止カードに指定される。 | ||
+ | *人種差別を想起させる描写や文言が含まれるカード。[[Invoke Prejudice]]や[[プラデッシュの漂泊民/Pradesh Gypsies]]、[[十字軍/Crusade]]などが挙げられる。 | ||
===スタンダード=== | ===スタンダード=== |
2020年6月12日 (金) 18:40時点における版
禁止カード(Banned Card)は、構築またはエターナルにおいて、デッキ(メインデッキおよびサイドボード)に1枚も入れてはいけないカードのこと。
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解説
マジック:ザ・ギャザリングのプレイの健全化のため開発部が必要と判断した場合、禁止カードが発効される。発効時期は不定期だが、告知する場合月曜日(日本時間同火曜日午前)発表と決まっている[1]。
どのようなカードが禁止カードとして指定されるかは、フォーマットやその時の禁止ポリシーによって異なる。禁止カード指定の最終的な目的は、プレイヤーにマジックを楽しんでもらえるようにすることである[2]。#禁止のスタンスや変遷も参照。
禁止カードはフォーマットごとに定められている。あるフォーマットで禁止でも、別のフォーマットでは問題なく4枚使えたりする。その完全なリストは各フォーマットの項を参照のこと。リミテッドでは、禁止カードリストが存在しない。
- 他のカードゲームの中には併用禁止といった種別の禁止方法もあるが、マジックの禁止カードは「メインデッキおよびサイドボードに入れてはいけない」という単純な禁止のみである。
- 例外として、石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mysticがスタンダードで禁止された際、イベントデッキである消耗戦/War of Attritionをそのまま使用する場合に限り使用が認められていた[2]。
- 霊気池の驚異/Aetherworks Marvelがスタンダードで禁止された当時、「併用禁止」など禁止以外の規制形式も検討されたが、混乱を招く懸念があり見送られた[3]。
- 一度ローテーション落ちしたタイミングで、禁止カード指定は解除される。
- かつてミラディン・ブロックが使えるスタンダードにて禁止指定を受けたダークスティールの城塞/Darksteel Citadelだが、後に基本セット2015で再録された際には引き続き禁止とはなっておらず、通常通り4枚使用可能。
- 旧エクステンデッドでも、ローテーションで第4版が落ちるまで禁止指定を受けていた惑乱の死霊/Hypnotic Specterが、のちに第9版再録された際には禁止指定にはなっていなかった。
- Magic OnlineやMTG Arenaが十分普及した現在、コンピューターゲーム内のメタゲームのデータが禁止カードの制定に活用されている。
- アモンケットより、スタンダードでは紙での発売日よりも先行してMagic Onlineでイベントが行われていたが、そこでのメタゲームを受けて最新セットの公式発売日の前に禁止カードが追加されるという、これまでにない指定が行われた。その経緯は、守護フェリダー/Felidar Guardian項目を参照。
禁止のスタンスや変遷
禁止にされるカードとしては以下のようなものがある。
- メタゲームを不健全にしているカード。つまり特定のデッキを他のデッキと比較してあまりに強力にしているものや、使い勝手が良すぎてある種の色やアーキタイプのデッキなら必ず採用されてしまうようなもの。例えば精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptorや密輸人の回転翼機/Smuggler's Copter、王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crownsなどがこれに当たる。禁止後にそれまで2番手だったデッキが支配的になるのを防ぐためにそれらのデッキのカードが一緒に禁止になることもある。
- 数字的にはメタゲームが適正に見えても、多くのプレイヤーがその環境を面白くないと感じておりマジックを離れてしまっていると調査結果が出た場合も禁止カードが発効される。親和デッキ弱体化のための一斉禁止や、霊気池の驚異/Aetherworks Marvelなどがこれに当たる。
- 適正なプレイを行っていてもトーナメントの進行を遅延させる可能性の高いカード。師範の占い独楽/Sensei's Divining Top(エクステンデッド・モダン・レガシー)、第二の日の出/Second Sunriseと(モダン)、Shahrazad(エターナル)などがこれに当たる。
- コンピューターゲーム独自の処理手順から悪用させる可能性の高いカード。Magic: The Gathering ArenaのBO1での運命のきずな/Nexus of Fate禁止がこれにあたる。
- Chaos Orbやアンティ関係のような現在のマジックのゲーム性からかけ離れていると判断されたカード、策略カードのように通常のトーナメントで用いることを想定していないカードは環境制定や印刷と同時に禁止カードに指定される。
- 人種差別を想起させる描写や文言が含まれるカード。Invoke Prejudiceやプラデッシュの漂泊民/Pradesh Gypsies、十字軍/Crusadeなどが挙げられる。
スタンダード
開発部はスタンダードで禁止カードをできるだけ発効しないことを目標としている[2][4]。
- 黎明期のスタンダードの禁止カードは露天鉱床/Strip Mineなど初期セットの強力カードであり、第4版がローテーション落ちすることで禁止カードは無くなった。
- 1999年、ウルザ・ブロック参入後のスタンダードでトレイリアのアカデミー/Tolarian Academyを始め禁止が頻発し、最終的に10枚のカードが禁止された。
- 2004年、ミラディン・ブロック参入後のスタンダードで頭蓋骨絞め/Skullclampが5年ぶりに禁止カードとされ[5]、さらに2005年に親和デッキのためにアーティファクト・土地を含めた8枚のカードが大量禁止された[6]。
- 2011年、ミラディンの傷跡ブロック期に、精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptorと石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mysticが禁止された[2]。
- 2017年、カラデシュ・ブロック期に約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised Endを含む3枚のカードがスタンダードで禁止された[7]。このとき、開発部はスタンダード環境に対する禁止カードのスタンスを見直すと声明を出している。それまではトレイリアのアカデミーや精神を刻む者、ジェイスのように明らかに壊れていて、トーナメントをそれ一色で染め上げるようなカードでなければ見送られるのが通例であった。しかしそれらを比較対象にするのは「禁止カードを出すためのハードルが高すぎ」であり、環境を健全に保つための判断を妨げていたと判断された。特定のデッキを完全に抹殺するような方法ではなく、特定のカードが禁止にされてもユーザーが所持している他のカードが有用性を保つような方法で禁止を行う方針だが、これはモダンにおける強力すぎるデッキを弱体化させるため禁止措置と似た手法である。また「出来る限り禁止カードを出したくない」という方針そのものはこれまでと変わっていない[8]。だがこの後も本来の改訂時期ではない緊急禁止[9]も含めた禁止処置が連続し、2018年のイクサラン・ブロック期に跨ってスタンダードで合計9枚もの禁止カードが発効されてしまう。相次ぐ禁止の連発に危機感を覚えた開発部は、トーナメント・シーンでのバランス調整に特化した「プレイ・デザイン・チーム」部門を新設することになる。
- 2019年、プレイ・デザイン・チームが完全に機能し始めたはずのエルドレインの王権期に、再びスタンダードで禁止カードを出してしまう。特に王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crownsの異常な強さを見落としてしまった事に関しては、プレイ・デザイン・チームが「責任は我々にあります」と事実上の謝罪文まで掲載する事態になった[10]。
その他のフォーマット
スタンダード以外の環境では、かつてのエクステンデッドを除きカードプールは増えていくしか無いこともあり、発効しないことを目標とはしていない[4]。環境のバランスを取るために禁止解除が行われることもある。
改定タイミングの変遷
2016年まで、禁止カードの改訂は「スタンダード・セットのプレリリース後の月曜日」(年ごと4回)に行われていた。
スタンダード環境に対するスタンスとローテーションが見直された2017年には、当初の改定スケジュールは「スタンダード・セットのプレリリース後と、プロツアーの5週間後の月曜日」(年ごと8回)とされていたが、「改訂回数が多すぎ」と多くのプレイヤーから不評だったため、2017年6月より定期的では無くなり、禁止告知のたびに次回の禁止告知日を指定する形に変更された[3][12]。
更に2020年より、柔軟で迅速な対応のために変更の間隔は変わらないが告知と変更の日程を確約しない形となった[1]。
- パイオニアは導入当初(2019年)は始まったばかりのフォーマットということで、通常の禁止改定サイクルとは別のタイミングで禁止カードが発表されていた。
- 通常の禁止改訂時期以外の改訂で禁止されたカードも存在する。その経緯は当該項目を参照。
その他
- 最初に日本語版が発売された第4版には非常に多くの禁止カードが含まれていた。これらは反則的なほど強いが、トーナメントで使えないので本当に紙くず扱いだった。当時のカードショップやデュエルスペースの「カード捨て箱」(不要なカードを初心者などに提供する目的で設置されていた)にはチャネル/Channel・露天鉱床/Strip Mine・黒の万力/Black Viseが山の様に捨ててあったものである。
- スタンダードがブロック制に移行した後は禁止カード発効は無くプレイヤーも「まさかスタンダードで禁止カードは出ないだろう」とたかをくくっていたが、ウルザ・ブロック発売後の1999年は連続で発効され、中には波動機/Fluctuatorの様に「そんなに強いか?」というカードまで禁止されたために、「スタンダード環境でも、いつどんなカードが禁止になるのかわからない」という疑心暗鬼が広がった。これによってトレードなどで「このカードはもうすぐ禁止になるらしいよ」などと言って価値を暴落させて有利に駆け引きをしようとするシャークが後を絶たなかった。
- 「禁止になる」と噂のあったカードは数多い。意志の力/Force of Will、ジェラードの知恵/Gerrard's Wisdom、リシャーダの港/Rishadan Port、梅澤の十手/Umezawa's Jitteなど。特にゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin Nabobには禁止の噂が絶えず、4枚揃えるのにかなり勇気が必要とされた。大枚をはたいたり、キツいトレードの果てに揃えたりした瞬間「禁止」などと言われたらたまらないからだ。しかし、これらは禁止カードになる事なくスタンダード落ちを迎えることとなった。
- 禁止カードを連発してしまったウルザ・ブロックの件で、開発スタッフが社長室に呼ばれて叱られたという逸話がある[13]。
- アメリカ国内ではスタンダードの禁止カードをブースターパックから引き当てた場合、そのカードをウィザーズ社に郵送することでブースターパック1つと交換してもらえるサービスが実施されていたことがある[14][15]。「使えないカードを引いても仕方が無い。パック代を返せ」という合理主義の国民らしいクレームに応えた形である。
- 非常に強力なカードが台頭すると、禁止カード入りを阻止するためか、露骨な対策カードが作られる場合もある。リシャーダの港/Rishadan Portに対するテフェリーの反応/Teferi's Response・サーボの網/Tsabo's Webなどがその一例。また、禁止カード入りを阻止するために作られた露骨な対策カードが環境に与える影響が甚大であったため、禁止カードになったケースもある。守護フェリダー/Felidar Guardianに対する暴れ回るフェロキドン/Rampaging Ferocidonなど。
- 日本のマジック・コミュニティでは、特定プレイヤー(主に渡辺雄也と八十岡翔太)の活躍に対する(冗談交じりの)敬意として、「(プレイヤー名)が禁止カード」をネタにすることがある。
- これは、2012年にグランプリマニラ12を勝った渡辺雄也がMartin Juzaに「禁止が出るとしたら、思案/Ponderと秘密を掘り下げる者/Delver of Secretsどっちかな?」と言ったら「お前が禁止でいいよ」と返されたのが発端だとか[16]。
- カジュアルプレイの域になるが、グランプリのサイドイベントなどで「禁止解除大会」を行っていることがある。「禁止解除モダン」や「禁止解除レガシー」などで、その環境では想像もできないような状況を見ることが出来る[17][18]。
- リミテッドに禁止カードは存在しないが、アンティに関するカードと策略カードに収録されているセットを用いて行われた認定イベントはマジック・イベント規定と総合ルールの別途規定により認められない(策略カードは認定カジュアルイベントに限り使用が認められていた)。そのため、マジック25周年記念グランプリとマジック25周年記念プロツアーのサイドイベントとして行われた、アンティに関係したカードが収録されているセットを用いるロチェスター・ドラフトでは、「アンティに関するカードは通常カードと同様にピック可能だが、トーナメント中では使用できない(実質上カードプールから除外)」という特別ルールがあった。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 2019年12月16日 禁止制限告知(Daily MTG 2019年12月16日)
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 Standard Bannings Explained/スタンダードの禁止に関する声明(Daily MTG Feature 2011年6月20日 Aaron Forsythe著)
- ↑ 3.0 3.1 2017年6月13日 禁止制限告知(Daily MTG News 2017年6月13日)
- ↑ 4.0 4.1 Development Risks in Modern/モダンにおけるデベロップのリスク (Latest Developments、Sam Stoddard、2015年5月22日)
- ↑ Skullclamp, We Hardly Knew Ye(Daily MTG 2004年6月4日)
- ↑ Eight Plus One(Daily MTG 2005年3月4日)
- ↑ January 9, 2017 Banned and Restricted Announcement/2017年1月9日 禁止制限告知(Daily MTG 2017年1月9日)
- ↑ Standard/スタンダード (Latest Developments、Sam Stoddard、2017年1月13日)
- ↑ Addendum to April 24, 2017 Banned and Restricted Announcement/2017年4月24日 禁止制限告知への追加(Daily MTG 2017年4月24日)
- ↑ Play Design Lessons Learned/プレイデザインの教訓(Feature 2019年11月18日 Bryan Hawley著)
- ↑ Welcome to the Modern World/モダンの世界へようこそ (Latest Developments、Tom LaPille、2011年8月12日 米村薫訳)
- ↑ 2017年8月28日 禁止制限告知(News 2017年8月28日)
- ↑ Eighteen Years (Daily MTG、Making Magic、英語)
- ↑ DCI Banned and Restricted List Announcement(WebArchive)(WotC、1999年3月1日告知、同年4月1日発行の禁止・制限リスト改定告知)
- ↑ 上記ページの邦訳(MjMJ.info)
- ↑ 渡辺雄也のTwitter (2012年6月18日)
- ↑ サイドイベント・「禁止解除レガシー」上位入賞者デッキリスト(カジュアル) (マジック日本公式、グランプリ千葉15)
- ↑ 禁止解除モダン 全デッキリスト(晴れる屋、グランプリ千葉16 2016/11/25)
参考
- All Banned Cards—Ever! : Daily MTG : Magic: The Gathering (Daily MTG、Magic Arcana、英語)
- 2009年3月19日の時点で、禁止されたことがあるカードの一覧(Magic Onlineのみで禁止されたカードを除く)。斜体は再録禁止カード。
- A Brief History of the Standard Banned List(2015年7月13日 Magic Arcana Michael Yichao著)
- 「禁止制限告知」「お知らせ」の検索結果(日本公式サイト 記事一覧)
- 制限カード
- From the Vault:Exiled
- トーナメント用語