メタゲーム

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メタゲーム(Metagame)とは、マジックゲームを実際に行う前の段階で発生する、駆け引き要素の一つ。略して「メタ」とも。

目次

[編集] 解説

メタゲームとは、トーナメントで選択されている使用デッキや使用カードプレイングなど(これらの傾向を俗に環境とも呼ぶ)を考慮した上で、それらに対して有利なデッキ、カード、プレイングなどを選択することである。より簡単にジャンケンで例えるなら「グーを出す人が多い(多そう)だから、自分はパーを出す」という選択である。

トーナメントでは何人もの対戦相手と戦うことになる。この場合、「どんなデッキ相手でもそこそこに戦えるよう構築したデッキ」も悪くはないが、それ以上に「大会で多く使用されているデッキ相手に有利となるよう構築したデッキ」の方が勝率を上げやすい。そういったことを考え、勝率が高くなるようにデッキ(サイドボードを含む)を構築するのがトーナメント指向のプレイヤーの基本となっている。リミテッドにおいてもこれは当てはまり、その場合は「環境」の定義の中に使用セット全体のカードプールも加え入れて考慮する。

たとえば、以外には強いが赤には弱いデッキが、赤の防御円/Circle of Protection: Redをいれて赤ともそこそこ戦えるようにしたとする。この選択は、対戦相手の使用するデッキが予測できない場合には一応合理性はある。しかし、そもそも大会参加者の中に赤デッキを使用している人がいないことが予測できるなら、赤の防御円は全くの無駄カードになってしまうので、これを抜いてより有効なカードに差し替えるほうが効果的である。逆に、赤が多数を占めると予測出来るなら、元から赤に強いデッキを使う、またはそのデッキに赤の防御円を投入する方がより高い戦果をあげられる可能性が高い。

一方、赤の割合は少ないが、数回は対戦相手となることが予測できる場合、最初の選択はその大会において最も効果的といえ、メタに合致していると言いやすいだろう。

  • ただしこの場合でも、環境の偏りが著しい場合、少数派との戦いは捨てて多数派との戦いにのみ特化するという戦略もありうる(例:ヴィダルケンの枷)。

特に色対策カードアーティファクトエンチャント除去墓地対策などの効く効かないがはっきりわかれるカードは、メタゲームによって採用率が左右されやすいと言える。それ以外にもパーミッションであれば不確定カウンターの選択、赤であれば何点の火力を重視するか、対策カードを投入されることを想定したアグレッシブ・サイドボーディングを考えるか、などデッキ構築段階でメタゲームを考慮すべき要素は枚挙にいとまがない。

トーナメントでの勝利を目指すにあたって、メタゲームはプレイングと同等、あるいはそれ以上に重要である。デッキパワーが低いデッキでも、それがメタに合致していればそのトーナメントで優勝を果たせることもあるし、逆にデッキパワーが高くともメタられればトーナメントの上位に残れないこともある。ネクロ全盛の世界選手権96(通称ネクロの夏)に、ネクロに強い白ウィニー12Knights」を使ったTom Chanphengが優勝したことや、日本選手権01における一大勢力であったブルーオーブがベスト8にも入れなかったことはその顕著な例といえる。

また、環境が極端に強くアンチデッキすら存在しないデッキ一種で占められていたとしても、そのデッキ同士のミラーマッチという形でメタゲームは存在する。この時、ミラーマッチに特化するあまり元々の強みが減ってしまい、再びメタゲームが多様化することもある(下記の例2を参照)。
そうならず、完全に1つのデッキに占拠されてしまった環境は最早それ以上の発展が見込めず、つまらないと感じた多くのプレイヤーが離れてしまうため、往々にして禁止カード制限カードが指定される。

メタゲームは主にトーナメントで用いられる用語であるが、カジュアルプレイにおいてもメタという概念がないわけではない。たとえば周囲にクリーチャー主体のデッキが少ないから、クリーチャー除去を少なくしておくということも立派なメタである。もっとも、身内における過度なメタ(色対策カードの大量投入など)は対人メタと呼ばれ、嫌われる要因となるので注意。

  • メタゲームを読み切ったのに、試合に勝てなかったりメタったデッキに当たらないこともある(→マーフィーの法則)。
  • 接頭辞 meta- は「高次の」「変化した」といった意味。プレイングなどが盤上における仮想世界での駆引き(ゲーム)なら、メタゲームは盤上に立つ前、(仮想世界より高次な)現実世界で行われる駆引きといえる。もっともマジックにおいては単に「仮想敵」とか「周りや世間で流行っているデッキ」、「それらに勝てるようなデッキ構築」という意味でも使われる。

[編集] メタの変遷

メタゲームは「流行」に左右される要素が大きいために、時期によって「主流メタ」がぐるぐる入れ替わることも珍しくない。メタゲームが入れ替わった結果、場合によっては再び似たような状況に戻ってくることもある。俗に「メタが一周する」「メタが一巡する」という。この循環はしばしば「食物連鎖」や「適者生存の法則」に例えられる。

メタが一巡した具体例を挙げる。

[編集] 例1

  1. リシャーダの港/Rishadan Portが流行する」
  2. 「リシャーダの港への対策カードを入れるのが流行する」
  3. 「相手の対策カードを無駄にさせるため、リシャーダの港を使わないデッキが流行する」
  4. 「リシャーダの港に対策しない人が増える」
  5. 「対策カードが環境にないので、リシャーダの港入りデッキが再び流行する」(最初に戻る)

以上のリシャーダの港を巡るメタの変遷は、The Finals002000年12月)から日本選手権012001年6月)の間に起こったものである。Finals00の時点ではTOP8のうち、リシャーダの港を使用したデッキはノーファイアーただ一つであり、逆に約半数のデッキが対策カードサーボの網/Tsabo's Webを使用していた。しかし日本選手権01でのTOP8のデッキのうち、サーボの網を使用したデッキはネザーゴーとタッチ緑のスクエア・ヴォイドだけであり、残り全てのデッキ(ファイアーズマシーンヘッドなど)がリシャーダの港を投入していた。

[編集] 例2

  1. パララクス補充(以下補充表記)が流行。あまりにも強いため、補充とアンチ補充のその他デッキという構図になる」
  2. 「補充に強いトリニティが開発され、環境を支配しはじめる」
    • 補充は、キーカードのほとんどが4マナ。トリニティはそれが揃う前にマナ加速からすき込み/Plow Underを打てるため優位に立てた。すき込みを序盤に打てる点は、補充に対してのみならず、当時の環境に大きく有効だった。
    • トリニティが台頭する前は、2番手として青茶単が有力視されていた。
  3. 「アンチ・トリニティデッキとしてアングリーハーミットが台頭する」
  4. 「増えたアングリーハーミットに有利なアングリーノンハーミットが台頭」
  5. 「アングリーノンハーミットを食える補充が復権」(最初に戻る)

以上が補充からアングリーハーミットを巡るメタの変遷である。ただしこのメタが一周した時点で開催された世界選手権00では、「補充もアングリーハーミットも食える」デッキとして登場したティンカースーサイドブラウン)が登場したという点で一周する前とは決定的な違いがあり、このデッキは圧倒的な強さを見せつけて世界チャンピオンに輝いた(詳細はスーサイドブラウンの項を参照)。このようにメタが一周したといっても一周前と完全に一致しているとは限らず、一周した過程を教訓に新たな「第三勢力」が登場して猛威を振るうこともある。ティンカーは青茶単に弱いのだが、青茶単は補充以上にマナ束縛に弱いため、トリニティが流行すると下火になっていった。

  • 余談ではあるが、補充自身は、ミラーマッチ対策としてサイドボード時間の名人/Temporal Adeptを投入することで、補充をメタっていた。デッキの構造上3マナ以下でクリーチャーを除去できないために、延々と毎ターン土地を戻し続けて4マナ揃えられなくするという、補充相手でしか成立しない「完全ロック」が存在したからである。
  • また、メタが一周した世界選手権00では元祖たるトリニティもベスト8に入っている。

[編集] 例3

  1. 意志の力/Force of Will目くらまし/Dazeを使ったDelver-Go系や青白奇跡コントロールが流行る」
  2. 「クリーチャーの質とライフ削る速度で勝るエルドラージスゥルタイアグロジャンドコントロール系などのアグロデッキが台頭してくる」
  3. 「環境からカウンターが減ったため、アド・ストームスニーク・ショーなどの高速コンボデッキが成功しやすくなる」
  4. 「いつでもキーカードを打ち消せるためコンボデッキに強い青系デッキが再び流行する」

レガシーで常時起きている、3大アーキタイプによるメタの一巡。新カードの参入や禁止カードの指定によって主流デッキが移り変わったり同型でも差があったりするものの、この三すくみの構造は長年変わっていない。

[編集] 参考

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