甲鱗のワーム/Scaled Wurm
提供:MTG Wiki
初心者に、コストが重く、大きいだけのクリーチャーは(意外と)弱いのだ、と教えるためにあるかのようなカード。
カード資産も知識も少ない初心者同士のゲームでなら、圧倒的なサイズによってまさにフィニッシャーとして活躍するだろうが、中級以上の相手と戦ったときには案外活躍できないものである。重い上に、回避能力を持たず、大きい(高いタフネス)以外の除去耐性を持たない、というのがその理由。攻撃はチャンプブロックでやり過ごされ、青のバウンスやカウンター、黒や白の除去(及び平和な心/Pacifism系擬似除去)への耐性が全くなく、対戦相手が赤や緑であればこれが出る前に決着がついている可能性が高い。そこに気付けば初心者脱出も近いだろう。
しかしながら、ゲームの展開が遅く対抗手段が限られるリミテッドでは侮れない存在となる。8マナ出るまでゲームが長引くことも珍しくなく、7/6ものサイズがあるため火力やコンバット・トリックで倒されることもそうそうない。3回通せば勝負が決まってしまい、かと言って強引に止めるにはかなりの犠牲が強いられるとあり、相手としては対処につくづく困ることになる。特に第9版のはびこり/Overgrowth、コンスピラシーのブレイゴの好意/Brago's Favorと相性は抜群であり、いずれもコモンなので狙ってピックしていけば数を集めやすい。
シングルシンボルはメリットではあるが、普通8マナが出る頃には緑マナも2~3点出せるのでその利点がほとんどない。ただタッチ緑のデッキで使ったり、無色マナが豊富に出るデッキで使ったりしやすいのは事実であり、そのような使用例もしばしば見られる(#カード人気と逸話参照)。
- 上位互換にはキヅタの精霊/Ivy Elemental、超大なベイロス/Enormous Baloth、残忍なハイドラ/Feral Hydra、カヴーの上等王/Kavu Primarch、グール樹/Ghoultree、トークンであるため厳密には違うがワーム呼び/Wurmcalling、スライム成形/Slime Moldingなどがある。このサイズのクリーチャーになると、大抵はダブルシンボル以上になるため、純粋な上位互換は意外と少ない(もっとも前述したとおり、ここまで重くなると多少の色拘束の差は大した意味を持たないが)。
- シャークトレードの話によくジョークとして出される。レアリティがエキスパンション・シンボルに表示されていなかった時代はそれを利用して初心者を騙そうとする人が多かった為である。また、実際に第5版のスターターデッキを買うと1枚くらいは当たるので、これから始めた人にとっては(後述のイラストやフレイバー・テキストのインパクトも大きく作用して)最強のクリーチャーに見える事も多かった。ただし、ちょっとカードを買い集めていけば、これのコスト・パフォーマンスが高くないことにすぐ気がついてしまうため、カジュアルでも根切りワーム/Rootbreaker Wurm等の方がよく使われた。
- バニラであることを活かせるカードが遂に未来予知で登場した。→ムラガンダの印刻/Muraganda Petroglyphs
- 修整が+3/+3だったならば殴る回数を1回減らせたのが惜しいところ。
- 基本セット2013にて、このカードと類似した名前を持つカードが登場した。→古鱗のワーム/Elderscale Wurm
カード人気と逸話
コモンにしては特例的なファッティであり、さらにその堂々たるイラストがアイスエイジのパッケージを飾っていることから、知名度と存在感が非常に高いカードである。
- 文章欄にびっしり書かれたフレイバー・テキストはこのワームの凶悪さを物語っており、人気の一因となっている。
氷河期のあいだに繁栄を極めたこのワームは、キイェルドーのありとあらゆる人々にとって恐怖の的だった。その巨体と狂暴な性格が呼び起こした悪夢は数知れない―――甲鱗のワームはまさに、氷河期の災厄の象徴だった。― 「キイェルドー:氷の文明」
その知名度から、各種媒体においてファッティの代表格のように扱われ、新緑の魔力/Verdant Forceなどを用いたほうがいいように思える場面でも甲鱗のワームが優先して用いられる描写があった。例を挙げれば
- ドミニアへの招待2で、精神爆弾/Mind Bombと動く死体/Animate Deadのコンボで3ターン目から攻撃する光景が描かれた。
- ハイパーコロコロに掲載されていたエルフデッキのレシピに、ティタニアの僧侶/Priest of Titaniaによる大量マナから高速召喚するフィニッシャーとして2枚投入されていた。
それらの影響もあってか、現在日本のインターネットコミュニティでは屈指の人気カードであり、「甲鱗様」等と呼ばれ、一部に熱狂的なファンがいる。
- 大小様々なアスキーアートが存在。マジックのアスキーアートは比較的珍しい。(→参考。)
- イラストの類も、背景ストーリーに登場するプレインズウォーカーやレジェンドを差し置いてトップクラスに多い。投稿サイト「Pixiv」では、P/Tの数値になぞらえ7月6日7時6分に甲鱗のワームのイラストを投稿する企画も行われた。
そういった話題性からか、実際のゲームであえてこのカードを使用する例もしばしば見られ、ウルザトロンやオースやバベルなど、様々なデッキに1枚差しされることがある。ほとんどの場合は勝敗を度外視した一発ネタで終わっているが、中にはレガシーの青単BtBにタッチ緑で採用され、大会準優勝に貢献したという例も。