変異

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変異/Morph
種別 常在型能力
登場セット 多数
CR CR:702.37

変異(へんい)/Morphオンスロート・ブロック初出のキーワード能力。それを持つカードプレイできるときに機能する常在型能力であり、そのカードを本来の特性を隠して裏向きクリーチャーとして唱えることを許可する。


War Behemoth / 軍用ビヒモス (5)(白)
クリーチャー — ビースト(Beast)

変異(4)(白)(あなたはこのカードを、(3)で2/2クリーチャーとして裏向きに唱えてもよい。これの変異コストで、これをいつでも表向きにしてもよい。)

3/6


Zoetic Cavern / 生けるものの洞窟
土地

(T):(◇)を加える。
変異(2)(あなたはこのカードを、(3)を支払うことで2/2クリーチャーとして裏向きに唱えてもよい。その変異コストを支払うことで、それをいつでも表向きにしてよい。)


定義

変異 [コスト]/Morph [コスト]は、「あなたはこのカードを、本来のマナ・コストではなく()を支払うことで、裏向きで2/2の、文章カード名クリーチャー・タイプやマナ・コストを持たないクリーチャーとして唱えられる。」を意味する。

また、あなたが優先権を持っているとき(インスタント・タイミング)ならいつでも、その(表向きの時点での)変異コストを支払うことで表向きにすることができる。この処理は特別な処理であり、スタックを使用しない。

解説

クリーチャー(あるいはそれ以外)の正体を隠して唱えることができ、いつでも正体を現すことができるメカニズムオンスロートで初登場し、レギオンスカージ時のらせん次元の混乱未来予知タルキール覇王譚統率者2014統率者2019で再登場している。

オンスロート・ブロックでは全に存在し、すべてクリーチャー・カードである。オンスロートでは戦闘ダメージを与えたり受けたりすることで誘発する能力を持つものが多い。レギオンでは変異誘発型能力を持つカードが登場した。スカージではマナ以外の変異コストを持つカードが登場した。

時のらせんブロックで復活した際には全色に存在するが特にに多く、未来予知ではクリーチャー以外で変異を持つパーマネント・カードが登場した。

タルキール覇王譚でも多色を含む各に均等に割り振られた。タルキール覇王譚ブロックでの登場はタルキール覇王譚だけだが、運命再編では予示タルキール龍紀伝では大変異と亜種メカニズムが登場している。

カルロフ邸殺人事件では変異そのものは登場しないが、亜種メカニズムの変装が登場した。

ルール

裏向きの項も参照のこと。

変異で唱える

バレてしまうので当たり前だが、カードを通常の表面で唱えるか変異で唱えるかの選択はスタックに置く前に行う。

  • カードを裏向きで唱える際、あなたは変異能力(変異・大変異の総称)か変装能力のどちらを使用したか宣言する必要がある。
    • これはカルロフ邸殺人事件で変装が登場したことにより、裏向きのクリーチャーの特性を区別する必要があるために導入されたルールである。
  • 裏向きにした時点でマナ・コストの無いカードになるが、「(3)を支払う」という部分が代替コストを意味するため、唱えることができる。
  • 呪文としての特性は「マナ総量が0である、無色のクリーチャー呪文」である。呪文を唱えることに関する許可や制限はこの特性で判断される。表面では唱えることができなくても、変異で唱えることを許可するルール効果があれば変異で唱えることができる(CR:601.3e)。
  • 当然ながら、変異を持たないカードを裏向きクリーチャーとして唱えることは違反行為(イカサマ)である。これを防止するため、裏向きの呪文がスタックから戦場以外の領域へ移動する際やゲーム終了時には、カードの表をすべて公開して、適正なプレイであったことを証明しなければならない(CR:708.9)。

変異での特性

変異で表向きになる

  • 表向きにすることに関する全般的なルールは裏向き#表向きにする/裏向きにするを参照。
  • 変異コストを払って表向きになるのは優先権を持っているときに行える特別な処理であり、スタックを用いず直ぐに実行される。起動型能力ではないので呪われたトーテム像/Cursed Totemなどで禁止できないし、対応してなにかすることもできない。逆に、何かされたことに対応して表向きになることはできる。特別な処理の項も参照。
    • 表向きにしたときに変異コストを参照できない場合、変異コストは支払えないため、表向きになることに失敗する。このような状況は、能力を失った場合や変異を持たないクリーチャーが裏向きになっている場合などに起きる。ルール上厳密には、変異コストは少し未来の時点(表向きになったときの特性)を参照することになる。
      • 例:謙虚/Humilityの影響下ではクリーチャーの能力が失われるため、表面がクリーチャーの軍用ビヒモス/War Behemothは「表向きになった際に変異コストを参照する」ことができず表向きになれない。一方、表面がクリーチャーでない生けるものの洞窟/Zoetic Cavernは表向きになれる。
      • 予示偽装)と混同しないように注意。あちらは能力を失っていても、本来のマナ・コストでなら表向きにできる。
  • 変異以外の効果によって裏向きになっている場合でも、変異コストを支払うことで表向きになることができる。例えば予示によって戦場に出た場合も、そのカードのマナ・コストではなく変異コストを支払って表向きにしてもよい。

裏向きで戦場を離れる場合

裏向きのパーマネントが戦場から他の領域へ移動する際やゲーム終了時には、オーナーはカードの表をすべてのプレイヤーに公開しなければならない(CR:708.9)。これは手札やライブラリーなど非公開領域へ移動する際も含まれる。

  • 裏向きのまま戦場を離れる場合、それはルールにより表を公開することになるが表向きになってから戦場を離れるわけではない。死亡誘発や戦場を離れることによる誘発型能力は、戦場を離れる直前の状態を見て誘発するか決まる(領域変更誘発)。
  • 裏向きのクリーチャーをちらつき/Flickerなどを用いて一時的に追放すると、表向きで追放され、そのまま戦場に戻ってくる。これによって変異コストを踏み倒すテクニックが存在する。

過去のルール

その他

開発秘話

オンスロート・ブロック

変異は、Illusionary MaskCamouflageのような裏向きを扱うマジック黎明期のカードを、ルール的に整理する過程で誕生したメカニズムである。当時のルール・チームは、裏向きのカードの特性を不明とするのではなく、裏向きである限りルールで定められた特性を持つようにした。そしてこのルールを使えば、既存のカードの問題を解決できるだけでなく、新たなメカニズムを作れることに気づいたのだ。オンスロートのメカニズムを探していたMark Rosewaterはこれに興味を示し、2マナ1/1を十分な脅威となる3マナ2/2にするなど、いくつかの変更を加えて採用した[1][2]

タルキール覇王譚ブロック

タルキール龍紀伝では変異の亜種として、様々なメカニズムが試された[3]

  • オーラ変異/Auramorph - オーラが持つ変異で、表向きになる際にクリーチャーにつけられる。
  • 熊異/Borph - (2)を支払うことで、2/2のクリーチャーとして裏向きで唱えられる。2マナ2/2の俗称である熊(Bear)から。
  • 超異/Smorph - (4)を支払うことで、+1/+1カウンターが1個置かれた2/2のクリーチャーとして裏向きで唱えられる。

最終的にこのメカニズムは大変異となったが、結果として大変異がプレイヤーに不評だったことから、Mark Rosewaterは超異をもっと推しておけばよかったと述べている[2][4]

また熊異は、タルキール覇王譚ブロック全体で採用するべきか否かという議論にまで発展した。変異を丸ごと熊異に置き換えたタルキール覇王譚のコピーを作って変更とテストプレイを繰り返すという大実験の結果、環境が高速化する、裏向きのクリーチャーが表になることが少ない、氏族/Clanの独自性が減るなど多数の問題点があることが分かり、熊異は不採用になった[1]

タルキール覇王譚の変異コストが5マナ未満のクリーチャーは、いずれも2/2クリーチャーを一方的に倒せないようになっている。これは裏向きのクリーチャーを出した最初の2ターンはブロックを容易に決断できるようにする狙いがある[5]。タルキール龍紀伝の大変異や、カルロフ邸殺人事件の変装にも同様の法則が見受けられる。

脚注

  1. 1.0 1.1 Phooey/フーイMaking Magic 2015年5月11日 Mark Rosewater著)
  2. 2.0 2.1 Need I Say Morph/その話はこのヘン(イ)で(Making Magic 2019年8月5日 Mark Rosewater著)
  3. Imagine Dragons, Part 1/龍を描け その1(Making Magic 2015年3月2日 Mark Rosewater著)
  4. State of Design 2015/デザイン演説2015(Making Magic 2015年8月24日 Mark Rosewater著)
  5. Developing Khans of Tarkir(Internet Archive)/『タルキール覇王譚』のデベロップDaily MTG 2014年9月12日 Sam Stoddard著)

参考

引用:総合ルール 20231117.0

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