フェッチランド
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フェッチランド(Fetch Land、直訳すると「取ってくる土地」)とは、自身を生け贄に捧げることによって、ライブラリーから特定の土地カードを戦場に出す土地のこと。
- 場合によってはさらに「自身がマナ能力を持たない」「起動にマナがかからない」という条件を満たしているものを指したり、特にこれらの中で最も使用頻度が高いオンスロートとゼンディカーのサイクルを指したりすることもある。
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解説
土地
(T),1点のライフを支払う,吹きさらしの荒野を生け贄に捧げる:あなたのライブラリーから森(Forest)カード1枚か平地(Plains)カード1枚を探し、戦場に出す。その後、ライブラリーを切り直す。
土地
(T),広漠なる変幻地を生け贄に捧げる:あなたのライブラリーから基本土地カード1枚を探し、タップ状態で戦場に出す。その後、ライブラリーを切り直す。
ミラージュに収録された氾濫原/Flood Plainなどのサイクルが初出。その後堆石堤/Terminal Moraineやクローサの境界/Krosan Vergeといった亜種が登場し、オンスロートではミラージュのものの後継とも言うべきサイクルが収録された。その後も広漠なる変幻地/Terramorphic Expanseや全景サイクルが登場し、ゼンディカーで対抗色のフェッチランドが登場した。
主たる役割は色マナ基盤の安定化であるが、「ライブラリーが圧縮される」「ライブラリーが切り直される」「墓地が肥える」などといった副次効果も利用価値が大きい。特に渦まく知識/Brainstorm、渋面の溶岩使い/Grim Lavamancerやタルモゴイフ/Tarmogoyfなどとの相性は抜群である。
他にも「起動に対応して税収/Titheを唱える」「第二の日の出/Second Sunriseや太陽のタイタン/Sun Titanなどで延々再利用する」「1枚で2回、もしくはインスタント・タイミングで上陸を満たせる」など、様々な面でシナジーに期待できる。それら副次効果を利用するため、しばしば単色デッキにも採用される。
- ある意味Thawing Glaciersが祖先と言えるかもしれない。
- 便利な割に非常に作業が面倒。待っている対戦相手のことも考え、サーチとシャッフルは迅速に行うようにしたい。
- 無意味なシャッフルは嫌なものとしてR&Dは慎重であるが、ゼンディカーでは上陸との相性、そして対抗色のフェッチランドが欲しいというプレイヤーの絶え間ない声から、今こそがその時だと投入された。シャッフル反対の急先鋒であるErik Lauerでさえ、それを支持した(この土地はあなたの土地)。
- ほとんどの場合、すぐに起動されて戦場に長居しないため、他の基本でない土地より対特殊地形カードの影響を受けづらい。とはいえ共通の弱点もあるし、またフェッチランド固有の弱点もある。
- 持ってきた土地を破壊されてしまうと実質的にデッキ内の土地を2枚失うことになるため、土地破壊には若干弱い。ただしカードやテンポで言えば他の土地が破壊された場合とアドバンテージ差はないので、デッキ内の土地をすべて破壊しつくすような徹底した土地破壊デッキが相手でなければさほど大きな問題にはならない。
- もみ消し/Stifleや押しつぶし/Squelchなど起動型能力への打ち消し、疑念の影/Shadow of Doubtなどのサーチ禁止効果に非常に弱く、1~2マナの呪文で実質的に土地破壊されてしまう。
- 単色デッキでもデッキ圧縮のみを目的としてフェッチランドを採用することもしばしばあった。しかし、その圧縮効果はゼロではないが非常に小さい(参考)。フェッチランドが抱えるタップインやライフロス、あるいは上記のもみ消しリスクなどのデメリットを考えると、効果がささやかすぎて釣り合わない、というのが一般的な見解である。
- 圧縮効果がまったく期待できないわけではなく、それ目的で採用するほどのコスト・パフォーマンスではないということである。墓地利用やライブラリー操作などとの別のシナジーがある場合には、それに加えてデッキ圧縮に期待するのも悪くはないだろう。
- 何らかの再利用手段を用いて何度も使用すれば劇的な圧縮効果が期待できる。サニー・サイド・アップなどでは重要な圧縮手段のひとつである。
ミラージュ・オンスロート・ゼンディカー版
ミラージュ版・オンスロート版のフェッチランドは友好色2色、ゼンディカー版では対抗色2色に対応する基本土地タイプを持つ土地をライブラリーから戦場に出す。ミラージュ版ではタップイン、オンスロート・ゼンディカー版では起動コストに1点のライフを支払うようになっている。
一見すると2色地形のバリエーションで、実際スタンダードやブロック構築ではそのような使い方をされていた。しかし最大の強みは、探すものが基本土地に限定されないことである。複数の基本土地タイプを持つデュアルランドやショックランドなどと組み合せて使えば、すべての基本土地タイプの中から選んでサーチすることができるため、さながら5色地形を大量投入したかのような動きとなり、4色デッキ・5色デッキでも非常に安定したマナ基盤を組むことが可能となる。さらに、ある特定のカードを入れるためだけに色をタッチしてみたり、1枚挿しした別色のデュアルランドや基本土地をその都度持ってきたりということもできる。
特に、1ターン目にオンスロート・ゼンディカー版からショックランドを持ってきてアンタップ状態で出すことは「3点スタート」「17点でスタート」などと呼ばれ、ラヴニカ・ブロックが使えた頃のエクステンデッドや現在のモダンで頻繁に見られる光景である。
- エクステンデッドでは2009年10月1日にオンスロートのローテーション落ちと共にゼンディカーが使用可能になったため、ちょうど友好色から対抗色へと入れ替わる形になった。
- オンスロート版に慣れた人から見ると、タップインのミラージュ版はかなり使いづらいように見えがちだが、オンスロート参入前のエクステンデッドでは当然のごとく4枚積みされていた。 もっとも、それは多色のコントロールデッキの話であり、多色のビートダウンデッキの場合は土地譲渡/Land Grantや税収が替わりに用いられる事も多かった。
- オンスロート版と複数の基本土地タイプを持つ特殊地形の組み合わせは、戦乱のゼンディカーでバトルランドが登場したことによりスタンダードでも約半年の間実現した。これはデベロップ・チームが予想していた以上に強力になり、4色以上のデッキ構築が当たり前というスタンダードとしては異例ともいえるマナ基盤が誕生した(スタンダードのパワー・レベル)。
- 前述のようにデュアルランドやショックランドなどとの組み合わせの強力さから、つい癖で「何でも持ってこられる」といった使い方をしてしまうミスが時折見られる。特に基本土地を持ってくる際には注意。
- エターナルやモダンの多色デッキではほぼ必須カードの扱いであり、デュアルランドほどではないが総じて取引価格は高額。プレイヤーから再録を熱烈に期待されているサイクルの筆頭である。青絡みのものの価値が高いのもデュアルランドに類似している傾向である。
フェッチランド一覧
ミラージュ
- 氾濫原/Flood Plain (平地/島)
- 湿原の大河/Bad River (島/沼)
- 岩山のタール坑/Rocky Tar Pit (沼/山)
- 山峡/Mountain Valley (山/森)
- 草原/Grasslands (森/平地)
オンスロート
- 溢れかえる岸辺/Flooded Strand (平地/島)
- 汚染された三角州/Polluted Delta (島/沼)
- 血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire (沼/山)
- 樹木茂る山麓/Wooded Foothills (山/森)
- 吹きさらしの荒野/Windswept Heath (森/平地)
タルキール覇王譚に再録されたほか、続く運命再編のブースターパックにも封入されている。詳細はそれぞれの項を参照。
アラーラの断片(全景)
断片毎の対応色をタップイン。起動コストに1マナ支払う。単体で無色マナも出せる。
- バントの全景/Bant Panorama (基本森/基本平地/基本島)
- エスパーの全景/Esper Panorama (基本平地/基本島/基本沼)
- グリクシスの全景/Grixis Panorama (基本島/基本沼/基本山)
- ジャンドの全景/Jund Panorama (基本沼/基本山/基本森)
- ナヤの全景/Naya Panorama (基本山/基本森/基本平地)
ゼンディカー
- 湿地の干潟/Marsh Flats (平地/沼)
- 沸騰する小湖/Scalding Tarn (島/山)
- 新緑の地下墓地/Verdant Catacombs (沼/森)
- 乾燥台地/Arid Mesa (山/平地)
- 霧深い雨林/Misty Rainforest (森/島)
その他
サイクルを成さないカード。タップイン。
- 堆石堤/Terminal Moraine (基本土地)
- ねじれ地帯/Warped Landscape (堆石堤の同型再版)
- クローサの境界/Krosan Verge (森と平地を1枚ずつ)
- 広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse (基本土地)
- 進化する未開地/Evolving Wilds (広漠なる変幻地の同型再版)
- 無限地帯/Myriad Landscape (同じ土地タイプを持つ基本土地2枚)
脚注
- ↑ MTG、人気土地カードシリーズを再録(日刊スポーツ)