一つの指輪/The One Ring
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伝説のアーティファクト
破壊不能
一つの指輪が戦場に出たとき、あなたがこれを唱えていた場合、次のあなたのターンまで、あなたはプロテクション(すべて)を得る。
あなたのアップキープの開始時に、一つの指輪の上にある重荷(burden)カウンター1個につき1点のライフを失う。
(T):一つの指輪の上に重荷カウンター1個を置く。その後、一つの指輪の上にある重荷カウンター1個につき1枚のカードを引く。
「指輪物語」のキーアイテムである伝説のアーティファクト。破壊不能であり、唱えているならあなたも次のターンまですべてに対するプロテクションを得る。タップのみでドローでき、その使用回数に応じてドローも強力になっていく一方ライフがすり減っていく。
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解説
一見するとライフを大量に削るハイリスク・ハイリターンなドローソースに見えるが、実際は後述する通りそれほどリスクは大きくない(#利用)。そのため、比較的クセが少なく、無色であることも含め幅広いデッキで扱えるアドバンテージ源となる。
破壊不能により除去されにくく安定性があるのも嬉しいが、自分で処分したいときにも破壊以外の方法が必要となるのは注意。1枚しか投入していないデッキにおいては、ライフゲインや生け贄・バウンス・追放など破壊以外の除去手段を用意しておくと万が一のための策となる。
この点特に噛み合っているのが、能力でデメリット以上のライフを得られる黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse。相手の指輪対策にもなる。
モダンではミッドレンジ、コントロール、コンボの様々なデッキを強化し、プロツアー・指輪物語では土地以外での採用枚数がトップの450枚となり[1]、トップ8にも4デッキ16枚が食い込んだ。黒単ネクロにおけるネクロドミナンス/Necrodominanceの2スロット目としても利用価値がある。
- プロテクション(すべて)を得ている間は、自分で自分を対象とする呪文も唱えられない。例えば指輪を唱えたターンに時間のねじれ/Time Warpを引いたとしても、それを使うには1ターン待たなければならない。
- カウンター名の重荷/Burdenは、原作で指輪所持者の責務を表す言葉として多用される。
- 指輪があなたを誘惑するは一つの指輪の魔力のフレイバーを表現したキーワード処理である。
- 意外なことに、このカード自体はあなたを誘惑しない。
利用
- リスクが見た目ほど大きくないというのは以下のような理由による。
- 唱えた場合の能力でダメージ全軽減+被覆(+α)状態になるため、対戦相手によるライフ減少を一時的ながら食い止めることができる。
- ドローがタップ能力なのに対しライフロスのタイミングは次のアップキープと遅いため、リスクより先に充分なリターンを得ることが出来る。
- 例えば毎ターン使用したなら、累計のライフ喪失とドロー枚数は以下のようになる。
- 1ターン目:0ライフ1枚ドロー
- 2ターン目:1ライフ3枚ドロー
- 3ターン目:3ライフ6枚ドロー
- 4ターン目:6ライフ10枚ドロー
- ライフを引き換えにしたドローはライフ1点に対して1ドローできれば高効率といえ、実際に3ライフ3ドローの苦い真理/Painful Truthsにエターナル実績があることを考えると、これは驚異的な効率である。
- 例えば毎ターン使用したなら、累計のライフ喪失とドロー枚数は以下のようになる。
- 置いた後はマナがかからず多量のカードが引けるため、重荷カウンターが溜まってきたら引いてきたカードを使って処分することも容易。
- 伝説であるため、二つ目以降の指輪を出してレジェンド・ルールでカウンターをリセットすることもできる。ドロー効果でリセット用の指輪を引き込めるため「大量ドロー→デメリットリセット」の流れを作りやすい。このため複数投入しても腐らないどころか、デメリット管理を兼ねて伝説のカードでありながら4枚採用されやすく、上記の通り大会での総採用枚数が膨らんだり複数枚の入手需要が高くなる事態に繋がっている。
- 何らかの方法で毎ターン指輪を唱えられる手段を用意すれば、半永久的にプロテクションを得続けることができる。例えば戦場と墓地に指輪1枚ずつと、湖に潜む者、エムリー/Emry, Lurker of the Lochなどの墓地の指輪を唱えられる手段を用意すれば良い。
- レガシーでは精神力/Mind Over Matterと合わせると無限ドロー。このギミックを利用したデッキが早速活躍している。
- 無限なるトラザイン/Trazyn the Infiniteなど、他のカードの起動型能力を得るカードと相性が良い。ドローとライフロスの能力が独立しているため、前者の恩恵のみを受けられるからである。
対策
- プロテクション(すべて)の防御力は高く、1ターンは無敵とも言えるが、対策がないわけではない。砕骨の巨人/Bonecrusher Giantの出来事など、ダメージを軽減されなくする効果を受けたところにクリーチャーで攻撃され敗北する可能性はある。
- あくまで破壊不能は破壊不能でしかないため、追放除去であれば問題なく処理できる。原作通りに火の中へ投げ捨てる/Cast into the Fireのもよいが、多元宇宙/Multiverseでは他にいくらでも手はあり、例えば機能不全ダニ/Haywire Miteが齧ることで山に投げるまでもなく始末できる。特にウルザの物語/Urza's Sagaからダニを持ってくる動きは対指輪としては鉄板ともいえる。
- ただし着地した後はタップのみでドローできるため、実質キャントリップ持ちとなっており、対応して除去するか能力の起動を阻害するかドロー自体を咎める効果でも併用しない限り、単純な1:1交換ではアドバンテージ的に損となる。機能不全ダニはソーサリー・タイミングの動作を挟むため、先置きできていないと起動する機会を与えがちであり、ウルザの物語によるシルバーバレットも英雄譚ゆえのもっさりとした動きのせいもあってアドバンテージを失いやすい。
- ドロー能力を咎める手段としては、同セットで登場したオークの弓使い/Orcish Bowmastersがよく使用される。ただしプロテクションが有効な間はプレイヤーにダメージを与えることができないので注意。
ルール
- これの起動型能力で重荷カウンターを置くのは起動コストではなく解決時の効果である。
- これの起動型能力の解決時にこれがすでに戦場を離れて存在しなくなっていた場合、重荷カウンターを置く部分は無視し、ドローの枚数は最後の情報を参照する。すなわち、戦場を離れる直前に一つの指輪に置かれていた重荷カウンターの数だけカードを引く。
- プロテクションを得る効果は「あなたがこれを唱えていた場合」であるため、徴用/Commandeerでコントロールを奪った場合はプロテクションは得られない。
シリアル番号付き『一つの指輪』
指輪物語:中つ国の伝承の英語版のコレクター・ブースターからは、世界で1枚しか印刷されない特殊仕様のカードが封入されている場合がある。通常版とは異なるイラストでボーダーレス・フォイル仕様であり、カードのテキストが原作のエルフ/Elfの文字テングワール/Tengwarで書かれている。イラスト部分にはシリアルナンバー001/001が入っており、文章欄に書かれているのはルール文章ではなく指輪に刻まれた暗黒語/The Black Speechによる銘である。コレクター番号は存在せず「1 of 1 Ring」とだけ書かれている。
発表直後から話題を呼び、発売直近では200万ユーロ(約3億円)での買取を発表するショップも現れるなどニュースとなっている[2]。
2023年7月1日、トレーディングカード鑑定会社にシリアル番号入り一つの指輪が登録される[3]。マジック:ザ・ギャザリング公式ツイッターも発見の報をツイートしている[4]。
2023年8月2日、ミュージシャンのPost Maloneが260万ドル(約3億7000万円)でこの一つの指輪を購入した[5]。ブラック・ロータス/Black Lotusの最高美品をも上回る、マジックのカード1枚の取引として観測された中で史上最高の額である。
再調整
MTGアリーナ専用カード
The One Ring / 一つの指輪 (4)伝説のアーティファクト
破壊不能
一つの指輪が戦場に出たとき、あなたがこれを唱えていた場合、次のあなたのターンまで、あなたはプロテクション(すべて)を得る。
あなたのアップキープの開始時に、一つの指輪の上にある重荷(burden)カウンター1個につき1点のライフを失う。
(1),(T):一つの指輪の上に重荷カウンター1個を置く。その後、一つの指輪の上にある重荷カウンター1個につき1枚のカードを引く。
2023年10月10日、Magic: The Gathering Arenaにおいて、アルケミーとヒストリックで使用できるカードに再調整が行われた[6]。
指輪物語:中つ国の伝承参入後のアルケミーおよびヒストリックで非常に高いカードパワーを誇っていたため、起動コストに1マナを追加することで効率を悪化させた。一つの指輪に干渉したり、あるいは指輪と対面したプレイヤーが自身の戦略を通したりするための猶予を生むことが狙いである。
禁止指定
2024年12月16日より、パイオニア、モダン、MTGアリーナのエクスプローラーにて禁止カードに指定された[7]。
以前から禁止カード検討の俎上に乗せられていた[8][9]が、ボロス・エネルギーの台頭が決定的な理由となった。
関連カード
- 一つの指輪/The One Ring
- ビルボの指輪/Bilbo's Ring
ストーリー
一つの指輪/The One Ringは、中つ国/Middle-Earthの冥王サウロン/Sauronが鋳造した魔法の指輪。
サウロンはエルフ/Elf達と協力して魔法の指輪を幾つも鋳造し、指輪のうち3つはエルフ達に、7つはドワーフ/Dwarfに、9つは人間/Human達に分け与えた。しかし自身は滅びの山/Mount Doomで他の指輪すべてを支配する一つの指輪を鋳造し、中つ国を支配しようとした。人間とエルフの連合軍との戦いによってサウロンは倒れ、また指輪も紆余曲折の果てに失われたと考えられていた。
一つの指輪は使うものに力を与える。ホビット/Hobbit達が嵌めた場合は姿を消すことができ、感覚も鋭くなり長命になる程度だが、持つべきものが持てばすさまじい力を発揮する。しかし善なるものが善き目的のために指輪を使おうとしても、やがてその力に魅入られ堕落してしまうと考えられている。
指輪を破壊することは1つの方法以外では不可能であり、その唯一の方法は指輪が鋳造された滅びの山の火口へ投げ込むことだという。
見た目は何の装飾もない指輪だが、熱するとサウロンが刻んだ銘文が浮かび上がる。
一つの指輪は全てを統べ、
一つの指輪は全てを見つけ、
一つの指輪は全てを捕らえて、暗闇の中に繋ぎとめる。
脚注
- ↑ プロツアー・指輪物語 メタゲームブレイクダウン(マジック日本公式サイト 2023年7月28日)
- ↑ その額およそ3億円!『MTG』激レアカードを手に入れようと、世界中のカードショップが懸賞金をかけまくる(ニュースサイトINSIDE 2023年6月15日)
- ↑ The One Ring(PSA日本公式サイト)
- ↑ Magic:the Gathering(マジック米国公式ツイッター 2023年7月1日)
- ↑ 米ラッパーのポスト・マローン、世界で1枚の『MTG』カード《一つの指輪》所有者に (ニュースサイトKAI-YOU 2023年8月2日)
- ↑ MTG Arena Announcements – October 9, 2023/MTGアリーナニュース(2023年10月9日)(Daily MTG 2023年10月9日)
- ↑ 2024年12月16日 禁止制限告知(Daily MTG 2024年12月15日)
- ↑ 2023年8月7日 禁止制限告知(Daly MTG 2023年8月7日)
- ↑ 2024年8月26日 禁止制限告知(Daily MTG 2024年8月26日)