サボタージュ能力

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'''サボタージュ能力'''(''Saboteur Ability''あるいは''Saboteur'')は[[クリーチャー]]が持つ[[能力]]の通称で、以下の2種類に分類される。
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'''サボタージュ能力'''(''Saboteur Ability'')は、[[クリーチャー]]が持つそのクリーチャーが[[対戦相手]]に[[戦闘ダメージ]]を与えた時に[[誘発]]する[[能力]]の俗称。旧い定義や類似の能力についてもこの項で説明する。
#クリーチャーが[[対戦相手]]に[[ダメージ]](特に[[戦闘ダメージ]])を与えた時に[[誘発]]する能力{{#card:Thieving Magpie}}
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#クリーチャーが[[ブロック]]されなかったとき、戦闘ダメージを与えない代わりに何かをしてもよいという能力{{#card:Ophidian}}
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広義には上記2種両方を含むが、前者の意で用いられる場合が多い。本来は後者の能力のみを指していた通称だった(→[[#初期型]])。広義の意味では、[[マジック]]最初のサボタージュ能力持ちは[[惑乱の死霊/Hypnotic Specter]]となる。
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この能力を持つ[[カード]]は膨大な数に上り、効果も[[ドロー]]や[[手札破壊]]、[[ライブラリー破壊]]、[[パーマネント]][[除去]]、[[回復]]、[[リアニメイト]]、[[墓地対策]]などと多岐にわたる。
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{{#card:Stealer of Secrets}}
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{{#card:Coastal Piracy}}
  
能力の特性上、ブロックされてもダメージが貫通する[[トランプル]]や、1度の[[攻撃]]で2回誘発できる[[二段攻撃]]、各種[[回避能力]]は特に相性が良い。
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==解説==
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「このクリーチャーが[[プレイヤー]]1人(対戦相手1人)に戦闘ダメージを与えるたび」を[[誘発条件]]とする[[誘発型能力]]を意味する。広義として、そのクリーチャー自身ではなく他のクリーチャーが戦闘ダメージを与えても誘発する能力、戦闘ダメージ以外の[[ダメージ]]でも誘発する能力も含める場合もある。旧くは[[ブロック]]されなかった時に誘発する能力に対して使われていた。
  
「サボタージュ(sabotage)」とは「破壊活動」とか「妨害工作」といった意味の言葉([[Wikipedia:ja:破壊活動|破壊活動]]参照)。「Saboteur」で「サボタージュをするもの、破壊工作員」となり、「Saboteur Ability」は「破壊工作員能力」と直訳できる。また、マジックでは、「Saboteur」だけでもサボタージュ能力を意味するが、この能力を持つクリーチャー自体を指して「サボター(Saboteur)」と呼ぶこともある。
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この能力を持つ[[カード]]は膨大な数に上り、効果も[[引く|ドロー]]や[[手札破壊]]、[[ライブラリー破壊]]、[[パーマネント]][[除去]]、[[回復]]、[[リアニメイト]]、[[墓地対策]]などと多岐にわたる。
*[[忍者]]は全てサボタージュ能力持ちとしてデザインされた[[クリーチャー・タイプ]]である([http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgcom/daily/af52 "You Should Have Blocked"])。
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*例えば「ほとんどの[[スペクター]]は[[黒]]の[[飛行]]クリーチャーで、手札破壊の'''サボタージュ能力'''を有する」といった風に用いられる([http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgcom/arcana/1387 Specters: Mind-Draining Undead])。
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能力の特性上、ブロックされてもダメージが貫通する[[トランプル]]や、1度の[[攻撃]]で2回誘発できる[[二段攻撃]]、各種[[回避能力]]は特に相性が良い。「あなたの[[コントロール]]するクリーチャー1体以上がプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび」という能力の場合、二段攻撃だけでなく[[先制攻撃]]を持つクリーチャーが混在していることでも能力を2回誘発させることができ相性が良い。
*非公式の呼称だが[[R&D]]内でも用いられているようだ。
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==初期型==
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サボタージュ能力である[[キーワード能力]]として[[高名]]、[[嚥下]]、[[有毒]]がある。またサボタージュ能力そのものではないが、関連する能力として[[忍術]]、[[暗号]]、[[上忍術]]、[[毒性]]がある。
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*「サボタージュ(sabotage)」とは元はフランス語で「破壊活動」とか「妨害工作」といった意味の言葉([[Wikipedia:ja:破壊活動|破壊活動]]参照)。「Saboteur」で「サボタージュをするもの、破壊工作員」となるので、俗称であるとはいえSaboteurをサボタージュと訳するのはプレイヤーとプレイングを混同するような[[誤訳]]である。
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*[[忍者]]は[[神河謀叛]]当初は全てサボタージュ能力持ちとしてデザインされた[[クリーチャー・タイプ]]であった<ref>[https://web.archive.org/web/20211026225612/https://magic.wizards.com/en/articles/archive/you-should-have-blocked-2005-02-04 "You Should Have Blocked"(Internet Archive)]([[Daily MTG]] [[2005年]]2月4日)</ref>。その後、サボタージュ能力を持たない忍者も登場した。
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*例えば「ほとんどの[[スペクター]]は[[黒]]の[[飛行]]クリーチャーで、手札破壊の'''サボタージュ能力'''を有する」といったふうに用いられる<ref>[https://web.archive.org/web/20220118124851/https://magic.wizards.com/en/articles/archive/specters-mind-draining-undead-2007-07-31 Specters: Mind-Draining Undead(Internet Archive)]([[Daily MTG]] [[2007年]]7月31日)</ref>。
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*最強のサボタージュ能力持ちは[[触れられざる者フェイジ/Phage the Untouchable]]であろう。
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==定義とデザインの変遷==
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{{#card:Mindstab Thrull}}
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{{#card:Ophidian}}
 
初期のサボタージュ能力は、クリーチャーがブロックされなかったとき、戦闘ダメージを与えない(または[[生け贄に捧げる]])代わりに何か利点をもたらす、という能力のみを指していた。
 
初期のサボタージュ能力は、クリーチャーがブロックされなかったとき、戦闘ダメージを与えない(または[[生け贄に捧げる]])代わりに何か利点をもたらす、という能力のみを指していた。
  
 
この初期型の初出は[[レジェンド (エキスパンション)|レジェンド]]の[[Floral Spuzzem]]で、[[ウェザーライト]]まで継続的に登場していたものの([[フォールン・エンパイア]]では特に複数のカードが制作される)、その後はほとんど見ることはなくなった。
 
この初期型の初出は[[レジェンド (エキスパンション)|レジェンド]]の[[Floral Spuzzem]]で、[[ウェザーライト]]まで継続的に登場していたものの([[フォールン・エンパイア]]では特に複数のカードが制作される)、その後はほとんど見ることはなくなった。
  
初期型の代表格[[知恵の蛇/Ophidian]]はウェザーライト時代のものだが、カードを引くサボタージュ能力を持つ最初のクリーチャーである。その後、これから派生したカードが続々と登場し、それらの能力もサボタージュ能力と呼ばれるようになり、サボタージュ能力という言葉は現在の用法へと推移して行った。(→[http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgcom/cotd/0904 Card of the Day - Wednesday, September 8, 2004]参照)
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初期型の代表格[[知恵の蛇/Ophidian]]はウェザーライト時代のものだが、カードを引くサボタージュ能力を持つ最初のクリーチャーである。その後、これから派生したカードが続々と登場し、それらの能力もサボタージュ能力と呼ばれるようになり、サボタージュ能力という言葉は現在の用法へと推移して行った<ref>[https://web.archive.org/web/20211026190240/https://magic.wizards.com/en/articles/archive/card-day-september-2004-2004-09-01 Card of the Day(Internet Archive)]([[Daily MTG]] [[2004年]]9月) - Wednesday, September 8, 2004参照</ref>。広義の意味では、[[マジック:ザ・ギャザリング|マジック]]最初のサボタージュ能力持ちは[[惑乱の死霊/Hypnotic Specter]]となる。
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定義が変化した後も[[泥棒カササギ/Thieving Magpie]]のように戦闘ダメージに限らない事が多く、[[炎の鞭/Fire Whip]]や[[錬金術の研究/Hermetic Study]]との[[コンボ]]が有名だったが、泥棒カササギは[[第10版]]を最後に[[本流のセット]]から脱落、[[基本セット2011]]で戦闘ダメージ限定の[[巻物泥棒/Scroll Thief]]が登場したことで現在のデザインが主流となった。
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*Floral Spuzzem以前の[[アラビアンナイト]]のカード、[[Merchant Ship]]のメカニズムはこの初期型に近い。
 
*Floral Spuzzem以前の[[アラビアンナイト]]のカード、[[Merchant Ship]]のメカニズムはこの初期型に近い。
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==脚注==
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<references />
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==参考==
 
==参考==
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*[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/few-more-words-rd-2016-11-07 A Few More Words from R&D]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0017925/ 開発部語辞典2016](Making Magic [[2016年]]11月8日 Mark Rosewater著)
 
*[[カードの俗称]]
 
*[[カードの俗称]]
 
*[[用語集]]
 
*[[用語集]]
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__NOTOC__

2024年5月20日 (月) 14:05時点における最新版

サボタージュ能力Saboteur Ability)は、クリーチャーが持つそのクリーチャーが対戦相手戦闘ダメージを与えた時に誘発する能力の俗称。旧い定義や類似の能力についてもこの項で説明する。


Stealer of Secrets / 秘密を盗む者 (2)(青)
クリーチャー — 人間(Human) ならず者(Rogue)

秘密を盗む者がプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、カードを1枚引く。

2/2


Coastal Piracy / 沿岸の海賊行為 (2)(青)(青)
エンチャント

あなたがコントロールするクリーチャー1体が対戦相手に戦闘ダメージを与えるたび、あなたはカードを1枚引いてもよい。


[編集] 解説

「このクリーチャーがプレイヤー1人(対戦相手1人)に戦闘ダメージを与えるたび」を誘発条件とする誘発型能力を意味する。広義として、そのクリーチャー自身ではなく他のクリーチャーが戦闘ダメージを与えても誘発する能力、戦闘ダメージ以外のダメージでも誘発する能力も含める場合もある。旧くはブロックされなかった時に誘発する能力に対して使われていた。

この能力を持つカードは膨大な数に上り、効果もドロー手札破壊ライブラリー破壊パーマネント除去回復リアニメイト墓地対策などと多岐にわたる。

能力の特性上、ブロックされてもダメージが貫通するトランプルや、1度の攻撃で2回誘発できる二段攻撃、各種回避能力は特に相性が良い。「あなたのコントロールするクリーチャー1体以上がプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび」という能力の場合、二段攻撃だけでなく先制攻撃を持つクリーチャーが混在していることでも能力を2回誘発させることができ相性が良い。

サボタージュ能力であるキーワード能力として高名嚥下有毒がある。またサボタージュ能力そのものではないが、関連する能力として忍術暗号上忍術毒性がある。

  • 「サボタージュ(sabotage)」とは元はフランス語で「破壊活動」とか「妨害工作」といった意味の言葉(破壊活動参照)。「Saboteur」で「サボタージュをするもの、破壊工作員」となるので、俗称であるとはいえSaboteurをサボタージュと訳するのはプレイヤーとプレイングを混同するような誤訳である。
  • 忍者神河謀叛当初は全てサボタージュ能力持ちとしてデザインされたクリーチャー・タイプであった[1]。その後、サボタージュ能力を持たない忍者も登場した。
  • 例えば「ほとんどのスペクター飛行クリーチャーで、手札破壊のサボタージュ能力を有する」といったふうに用いられる[2]
  • 最強のサボタージュ能力持ちは触れられざる者フェイジ/Phage the Untouchableであろう。

[編集] 定義とデザインの変遷


Mindstab Thrull / 精神攪乱スラル (1)(黒)(黒)
クリーチャー — スラル(Thrull)

精神攪乱スラルが攻撃してブロックされないたび、あなたはそれを生け贄に捧げてもよい。そうした場合、防御プレイヤーはカードを3枚捨てる。

2/2


Ophidian / 知恵の蛇 (2)(青)
クリーチャー — 蛇(Snake)

知恵の蛇が攻撃してブロックされないたび、あなたはカードを1枚引いてもよい。そうした場合、このターン知恵の蛇は戦闘ダメージを割り振らない。

1/3

初期のサボタージュ能力は、クリーチャーがブロックされなかったとき、戦闘ダメージを与えない(または生け贄に捧げる)代わりに何か利点をもたらす、という能力のみを指していた。

この初期型の初出はレジェンドFloral Spuzzemで、ウェザーライトまで継続的に登場していたものの(フォールン・エンパイアでは特に複数のカードが制作される)、その後はほとんど見ることはなくなった。

初期型の代表格知恵の蛇/Ophidianはウェザーライト時代のものだが、カードを引くサボタージュ能力を持つ最初のクリーチャーである。その後、これから派生したカードが続々と登場し、それらの能力もサボタージュ能力と呼ばれるようになり、サボタージュ能力という言葉は現在の用法へと推移して行った[3]。広義の意味では、マジック最初のサボタージュ能力持ちは惑乱の死霊/Hypnotic Specterとなる。

定義が変化した後も泥棒カササギ/Thieving Magpieのように戦闘ダメージに限らない事が多く、炎の鞭/Fire Whip錬金術の研究/Hermetic Studyとのコンボが有名だったが、泥棒カササギは第10版を最後に本流のセットから脱落、基本セット2011で戦闘ダメージ限定の巻物泥棒/Scroll Thiefが登場したことで現在のデザインが主流となった。

[編集] 脚注

  1. "You Should Have Blocked"(Internet Archive)(Daily MTG 2005年2月4日)
  2. Specters: Mind-Draining Undead(Internet Archive)(Daily MTG 2007年7月31日)
  3. Card of the Day(Internet Archive)(Daily MTG 2004年9月) - Wednesday, September 8, 2004参照

[編集] 参考

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