パウパー

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パウパー/Pauperは、公認フォーマットの1つ。元々はMagic Online上でコモンとして収録されたことがあるカードのみを使用できるコモンデッキ構築であったが、2019年6月28日より公認化される形で紙のカードでもプレイできるようにルール制定が行われた。

Pauperとは、貧困者・持たざる者という意味。コモンデッキ(またの名を貧乏デッキ)構築であることに由来する。発音は「パウパー」よりも「ポーパー」に近い。

目次

ルール

テーブルトップ(紙のカード)とデジタル(Magic Online)のいずれかのセットでコモンとして収録されたことがあるすべてのカードを使用できる。

コモンでの収録経験があるカードならば、実際のレアリティは問わない。

Mystery Boosterのプレイテスト・カードを除く、各特殊セット構築済みデッキにおいてコモンで収録されたカードも使用できる。

Magic Onlineにおける収録状況は実際の紙のカードとは若干異なっていることがある。特に第6版までの基本セットアライアンスまでのセットはMagic Onlineではリリースされておらず、Masters Editionに統合された形で収録されているため、大幅な変更が加えられている。

その他は通常の構築ルールに順ずる。

禁止カード

禁止カードリストの変遷については、Magic Onlineフォーマットの変遷を参照。

傾向

全体としてのカードバランスは、他の構築環境に比べ極端に劣るわけではない。むしろ過去から現在までの数多の強力なコモンが使用できるため、本格的なパーミッションから、数ターンの決着を目指すビートダウンコンボデッキなど、多彩なデッキが構築可能であり、時にはエターナル環境でも勝負に持ち込めるほどの完成度とデッキパワーに仕上げることも可能。

しかし一方で大型クリーチャー多色地形全体除去など、コモンには基本的に収録されないカードも多く、それらは環境全体で不足している。それにより各アーキタイプに少なからず影響が与えられる。例えばコントロール・デッキでは、全体除去で防御しつつアドバンテージを稼いでフィニッシャーに繋ぐヘビー・コントロール戦術は(不可能ではないが)取りづらいため、ドロー小型クリーチャーに重点を置いたクロック・パーミッションの形が主流になる。

特に目立って差があるのは土地だろう。2色以上の色マナを供給できる、使用に値するカードはタップインであるか、もしくはマナフィルターによる供給しかできないものであるため、1ターン目から土地だけで2色以上の色マナを供給することは事実上不可能である。この点は特に速攻系のデッキを組む際にネックとなっている。

また強力な多色カードアンコモン以上のものが多いため、多色デッキであっても、単色カードで占められる割合が非常に大きい。

そういった特殊な環境であることから、ギルドパクトの守護者/Guardian of the Guildpactウラモグの破壊者/Ulamog's Crusherなど、ブロック構築でも日の目を見なかったような意外なカードの活躍が日常茶飯事となる。

解説

コモンのみとはいえ、様々なデッキタイプや複雑なメタゲームは、通常のフォーマットと同様に存在する。ほとんどのデッキがクリーチャーに頼らざるを得ないことから、他のフォーマットよりもクリーチャーのサイズ除去が重要になる。

ビートダウン
コモンにもビートダウン向けの優秀なクリーチャーが存在するため、単色であればアグロデッキは問題無く組むことができる。土地の関係から、ステロイドのような2色以上のビートダウンデッキは簡単には組めないが、中には親和アグロドメイン緑白呪禁などといった2色以上のビートダウンデッキも存在する。
コントロール
対抗呪文/Counterspellを初めとする基本的かつ優秀な打ち消し呪文はコモンに多く、バウンスも比較的充実していることから、パーミッションも多い。なお、リセット型のクリーチャー全体除去は少ないが、単体除去火力も含めて非常に充実しており、ETB能力に強力なものを持つクリーチャーも多いことから、黒コントロールのようなボードコントロールを中心としたデッキを組むことも可能。またパウパーでのウルザトロン青緑を中心としたコントロールデッキの形を取ることが多く、大量のマナマナフィルターを使ってカード・アドバンテージを得るものが多い。
コンボデッキ
コモンをキーカードとするコンボデッキは少ないがいくつか存在しており、無限コンボを構成することも可能。ただし、あまりに強力なものについてはキーカードが禁止されてしまっている。禁止により消滅したデッキとしては、ストームデッキや、無限マナコンボのFamiliar Combo、その後継のドレイク・フリッカーなど。不屈の部族シュートウィー=ゼロックスは禁止により弱体化した後も一部結果を残している。
バーン
大会で使われるような1マナ3点火力や優良火力である火葬/Incinerate火炎破/Fireblastケルドの匪賊/Keldon Maraudersなどが軒並みコモンであることからバーンデッキは比較的組みやすい。
部族デッキ
ゴブリンエルフスリヴァーといった、コモンに優秀なカードを多く含む部族はいくつかあり、それらで固めたデッキが一定の活躍を見せている。

主なデッキ・その他

公認フォーマットへの動き

長年MOやカジュアルゲームでのみ扱われていたパウパーだが、2019年6月28日に正式に公式フォーマットとして展開されると発表された。紙とMOにおけるコモン扱いの差異が生じていたカードについても、「デジタル版・テーブルトップ版両方を統一」することで移行する。そこで以下のように制定されている。

  • 認定大会や店舗での催しでも公式イベントとして扱われる。
  • 7月9日より公式検索サイト「Gatherer」でパウパー使用可能かの検索が可能に。
  • パウパーで使用可能なカードの範囲を、「テーブルトップとデジタルのいずれかのセットでコモンとして収録されたことがあるカード」に拡大。収録されたセットは問わず、「Gatherer」にコモンとして掲載されていればパウパーで使用可能に。

また公認フォーマット認定の際、以下の3枚が新たに禁止カードに指定された。

その後、7月3日に基本セット2020のリリースと同時にMagic Onlineでカードプールの更新が行なわれた。

その他

  • 公認フォーマット前からMagic Online上のみでなく、実際の紙のカードで遊ばれる事も多かった。過去の非公認期にはMagic Onlineでの構築ルールをそのまま使用する例もあれば、「現実にコモンとして印刷されたことがあるカードすべて」と解釈する例もあった。
  • カジュアルルーム等で、さらにスタンダード環境のコモンのみに限定して遊ばれる事も少なくなかったため、後に「Standard Pauper」というフォーマットも追加された。賞品の出る大会等がなく、認定フォーマットという形ではないものの、パウパー以上に手軽にデッキが組めるため、一定の需要がある。
    • スタンダード環境のパウパーは、Magic: The Gathering Arenaでも期間限定イベントとしてたびたび開催されている。

参考

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