MicroProse版マジック:ザ・ギャザリング

提供:MTG Wiki

(版間での差分)
移動: 案内, 検索
 
(36人の利用者による、間の52版が非表示)
1行: 1行:
初の[[ウィザーズ・オブ・ザ・コースト]]社公認Windows用[[コンピューターゲーム]]としてMicroProse社から販売された。
+
'''マジック:ザ・ギャザリング'''/''Magic: The Gathering''は、[[Wikipedia:MicroProse|MicroProse]]社から発売された[[ウィザーズ・オブ・ザ・コースト]]社公認のWindows用コンピューターゲーム。日本の販売元はメディアクエスト。英語版は1997年3月(日本では3月28日)、完全日本語版は1997年9月26日に発売された。[[マジック:ザ・ギャザリング|原作]]および他の作品と区別するために'''MicroProse版マジック:ザ・ギャザリング'''と表記する。各種エキスパンション(拡張セット)なども本項で詳述する。
1997年発売(日本語版発売元はメディアクエスト)。
+
*2003年のMicroProse社倒産につき生産中止・出荷停止となっている。
+
*WindowsXP&2000はサポート外であり、WindowsXPでは動作しない。Windows2000は動くものの、以下のような問題がある。
+
**オープニングムービーが表示されない&街中等でのアニメーションが無い(対応するコーデックがWin2000に存在しない。入手方法についてはコメントアウト)
+
<!-- Indeo Videoコーデックの入手
+
http://red.sakura.ne.jp/~anonymouse/get_iv.html -->
+
**移動が超高速(プレイしているPCによる)。そのため細かい方向転換が困難(一応の対策はコメントアウト)
+
<!-- OS自体の画面のプロパティ→ハードウェア アクセラレータにて調節
+
英語版はatariにあるパッチを当てることで2k,xpでも通常動作に近い状態になるが、ショートカットキーとフォントが差し変わる。 -->
+
**一部のモンスターに勝利した際の、ご褒美画面で先に進めない(エンチャントレスで確認)(これは対象のほしいカードを選択した後にYを押すことによってもらうことによって抜けれる、キャンセルはNでいけます。)
+
*[http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88 マイクロソフト]社のPCエミュレータ、「[http://www.microsoft.com/japan/windows/virtualpc/default.mspx Virtual PC]」が[http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?displaylang=ja&FamilyID=6D58729D-DFA8-40BF-AFAF-20BCB7F01CD1 無償公開]されているので、Windows95または98のインストールCDがあればこちらを使うのも良い。
+
  
<!-- 高価かつ手間が多少かかるが、Virtual PCなどのPCエミュレーターで確実に動作するWindows95/98環境を再現するのも一つの手段。
+
2003年にMicroProse社が倒産したことで生産中止・出荷停止となっている。後述のエキスパンション、セットパックも同様である。
↑の場合、別途にPCエミュレーターソフト+Windows95又はWindows98のOSインストールCDが必要 -->
+
  
大きくわけて2種類の遊び方がある。
+
==概要==
#オフラインでコンピューターと[[構築]]戦ができるデュエルモード
+
MicroProse版マジック:ザ・ギャザリングでは、大きく分けてコンピューターと[[構築]]戦を行う「'''デュエル'''」(後述の『[[#スペルズ・オブ・ジ・エンシェンツ/Spells of The Ancients|スペルズ・オブ・ジ・エンシェンツ]]』で[[シールド]]にも対応)と、ロールプレイングゲーム風の「'''シャンダラー'''」の2種類をプレイすることができる。
#オフラインで[[シャンダラー/Shandalar]]の世界を旅しつつ、金やカード等を集めデュエルで5人の邪悪な魔法使いを倒し世界の破滅を救うRPGのストーリーモード
+
  
収録カード内容は主に[[第4版]]とオリジナルの[[アストラルセット]]のカードで、[[アルファ]][[パワー9]]等も収録されている。
+
単体ではオフラインのみに対応しているが、エキスパンションの『[[#スペルズ・オブ・ジ・エンシェンツ/Spells of The Ancients|スペルズ・オブ・ジ・エンシェンツ]]』(日本語版は『[[#デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ/Duels of the Planeswalkers|デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ]]』)で「'''マナリンク'''」による通信対戦が可能になった。通信対戦のフォーマットには「無制限([[制限カード|制限]][[禁止カード|禁止]]なし、[[4枚制限ルール]]なし)」「ワイルド(制限・禁止なし、4枚制限ルールあり)」「制限([[タイプ1]])」「トーナメント([[タイプ1.5]])」「[[ハイランダー]]」がある。
<!-- 上記以外にも日本語訳済みのカードは収録されており↓を使えば閲覧のみ可能(プレイ不可)
+
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Spade/5479/nouse.htm -->
+
日本語では本来存在しないカードがカード名ごと全て和訳されていた。
+
例:銅のタブレット/[[Copper Tablet]]
+
  
このゲームより後で日本語版が登場したカードは基本的にこれに沿って訳されているが、現在その和訳は非公式扱いになっている。
+
ルールは[[第5版]]時点のものが採用されている。収録[[カード]]は、主に[[第4版]]と今作オリジナルの[[アストラルセット]]のカードで、[[アンリミテッド]]の[[パワー9]]なども収録されている。後述のエキスパンションをすべて導入することで、アンリミテッド、[[アラビアンナイト]]、[[アンティキティー]]、[[レジェンド (エキスパンション)|レジェンド]]、[[ザ・ダーク]]の一部のカードも使用できる。
<!-- このゲームより後で日本語版が登場したカードは基本的にこれに沿って訳されているが、[[巨大戦車/Juggernaut]]のように、ゲーム内とは異なる訳をあてられたカードもある。(ゲーム内では、Juggernautはジャガナートと訳されている。)
+
また[[浄化/Purify]]と浄化/[[Cleanse]]のように訳が被ってしまったケースもある。
+
《巨大戦車/Juggernaut》などはこれには入っていない(Spells of the Aincientsまち)のでコメントアウト。 -->
+
  
シャンダラー独自の用語として、[[到達]]が「ウェブ」,[[速攻]]が「クイック・ドロー」,[[警戒]]が「フリー・アクション」となっている。
+
[[カードプール]]は広いとは言えないものの、各種[[ビートダウンデッキ]][[コントロールデッキ]]、また瞬殺[[コンボ]]や[[無限マナ]]のギミックも組めるようになっており、幅広い種類の[[デッキ]]を使用することができる。
  
*ストーリーモードの最高難易度は、初期デッキを組むことすら困難で、最弱クラスの敵とかろうじて戦えるかどうかというレベルである。
+
AIのプレイングは人間には当然及ばないものの、カードゲームとしてはかなり精度の高い方だろう。例えば[[魂の絆/Spirit Link]]を相手のクリーチャーに付ける、[[黒の万力/Black Vise]][[コントロール]]しているとき、局面によっては[[Ancestral Recall]]を相手に撃つなどのプレイングや、[[再生]]クリーチャーが再生できない時は相打ちしないが、再生を持っていないクリーチャーは相打ちに出すなど、柔軟性が際立った動きをする。
<!-- 初期にもらえるカードは土地を含めて50枚くらい。[[]]がデッキ全体で1枚しかないのに[[黒]]の[[ダブルシンボル]]が2〜3枚転がり込んでくる場合もしょっちゅうある。
+
敵はある程度テーマはあるもののきちんと組んだ構築デッキで挑んでくるが、プレイヤー側はほとんどシールドデックのような内容で応戦しなければならない。
+
無論、この状況はある程度カード資産が溜まるまで続く事になる。 -->
+
*ストーリーモードのラスボス、アルザコンの初期ライフ量・デッキ枚数はケタ外れの多さを誇る。
+
<!-- -しかしながら[[パワー9]]も健在で、特定の対戦相手に勝利したときまれに所持カードを複製できるため、40枚デッキで[[Black Lotus]]、[[Time Walk]][[Timetwister]][[Ancestral Recall]][[Mox Sapphire]]を4積みすればどうとでもなる。
+
それとは限らず、デッキを作成して行くだけならよりよい攻略があるのでコメントアウト。 -->
+
  
<!-- プレイヤー側のライフ最大値が普通の20点に対し、アルザコンは100〜400点。(難易度設定により異なる)倒すにはアルザコン戦専用のデッキチューニングが必要不可欠。
+
また、なぜかある局面での100%ではなく、非常に少ない確率で単純なミスを犯すなど「人間くさい」様子も見られる。仕様かどうかは不明。当然他にもプレイングの穴は多いし、相手の[[手札]]を読んでの行動は出来ない。
ちなみにアルザコンのデッキは5色・138枚デッキ。[[バベル]]に慣れた昨今ではそれ程驚くべき数字では無いが、当時では異常の他に無い。
+
 
またデッキ内容もまるでシールドデッキを2つ足したような内容。倒すにしろ倒されるにしろ何らかの対策を講じない限り、かなりの長期戦を強いられる。
+
*カードフィルターでは、現在の[[到達]]に「ウェブ」([[蜘蛛の巣/Web]]に由来)、現在の[[警戒]]に「フリー・アクション」、現在の[[速攻]]に「クイック・ドロー」の呼称が付けられている。また、[[バジリスク能力]]の除去条件1,2は「石化」[[能力]]と呼ばれている。
全く同じデッキを組んだとしたら、普通は事故ばかりでデュエルすらままならない。異常なライフ量を誇るアルザコンだから使いこなせるのである。
+
*当時実際には日本語版が存在しないカードが、[[カード名]]ごとすべて日本語訳されている(詳しくは[[オンラインプラスの日本語訳]]を参照)。現在、このゲームでの日本語訳は非公式として扱われているが、実際に日本語版のカードが収録される際、このゲームでのカード名が充てられることが多い。
アルザコンに関する記述がだいぶ増えましたね。このコメントのアルザコン戦ネタバレや部下の5色の魔法使いの話を含め、そろそろ[[シャンダラー/Shandalar]]単独ページに移行してもいいのでは? -->
+
 
*英語版パッケージ・イラストは[[魂の絆/Spirit Link]]。日本語版パッケージ・イラストは[[シヴ山のドラゴン/Shivan Dragon]]。
+
余談。シングルデュエルやガントレットモードのデュエル終了時、勝ち・負け・引き分けそれぞれの場合に、AIの様々な台詞が用意されているが、非常にユーモアのあるものや「憎まれ口」も少なくない。口の悪い例では、
 +
*『コンピューターに「負けずにすんで」(強調されている)良かったね。』(引き分けの場合)
 +
*『土地を引かなかったって言い訳は通用しないからね。』(プレイヤーが負けの場合)
 +
など。
 +
:*なお、プレイヤーが勝ったときには[[土地事故]]を言い訳にする場合がある。
 +
 
 +
==シャンダラー==
 +
 
 +
===概要===
 +
'''シャンダラー'''/''Shandalar''は、ロールプレイング風のゲームモードである。[[多元宇宙/Multiverse]]の次元の1つ[[シャンダラー/Shandalar]]を舞台に、[[デュエル]]やマップの探索で[[カード]]や金を集めつつ、5人の邪悪なギルド・ロードと[[プレインズウォーカー/Planeswalker]]の[[アルザコン/Arzakon]]を倒し、シャンダラーの破滅を救う。
 +
 
 +
シャンダラーには、各[[色]]の魔法をつかさどる5つのギルドがあり、各地にクリーチャーを送り込んでいる。
 +
 
 +
プレイヤーはデュエルの他、ダンジョンの攻略や、各都市からの依頼をこなすことでゲームを進めていく。なお、バージョンや言語によって若干仕様が異なる。
 +
 
 +
===システム===
 +
難易度は下から順にアプレンティス、マジシャン、ソーサラー、ウィザードの4種類。
 +
 
 +
変化する主な要素(難易度が高い場合)
 +
*初期[[デッキ]]の[[色]]配分が悪くなる。最高難易度では(選択した色の割合は他の色よりも低くならないが)滅茶苦茶な色・土地配分であり、そのままではまともに[[パーマネント]]を[[展開]]することも難しい。
 +
**デッキの色を[[緑]]にしたら何故か[[センギアの吸血鬼/Sengir Vampire]]や[[黒騎士/Black Knight]]が入っていた。しかし[[沼/Swamp]]が1枚も無いことも。
 +
*[[対戦相手]]の[[ライフ]]や特殊ルールなどが強力になる。
 +
*ワールド・マジックを使用した際、マナ・ストーンを消費する確率が高い。
 +
*フィールドで敵と遭遇した際の選択肢が減る(難易度が低い場合、「謎かけ」を解くことで戦闘を回避できる場合がある)。
 +
*ギルド・ロードの城に挑戦してボスを撃破しなかった場合、報復として敵が都市の攻略に送られる。
 +
 
 +
通常の[[構築]]戦とは異なり、デッキの最低枚数は40枚である。ただし、60枚に満たない場合、基本土地以外の同名カードは3枚までしか入れられないが、特定のアイテムを所持していれば通常通り4枚投入できる。
 +
*40枚未満の場合は、残りの枠は無作為に選ばれた基本土地が入る。38枚で組めば、4%の確率で沼が2枚投入されるので運が良ければ沼なしデッキでも黒騎士が出せる。
 +
 
 +
制限、禁止カードは無いが、そういったカードを2枚、3枚と入手するのは難しくなっている(複数の方法で可能ではある)。
 +
*パーマネントであれば[[青銅のタブレット/Bronze Tablet]]を利用すれば簡単に得られる。(対戦相手はライフを払うことを選ばない)
 +
*マインドスティーラー戦で、デッキに入手したいカードを入れておき勝利する。(勝利時の報酬で相手デッキのカードが入手できるが、マインドスティーラーはプレイヤーのデッキをコピーして使用する場合がある。その際は自分のデッキに入れたカードを報酬として入手可能であるため。)
 +
 
 +
クイズ要素があり、敵と遭遇した際やダンジョン内で「謎かけ」を出される場合がある。内容はマジックのカードに関するものとなっている。
 +
 
 +
いわゆる「アイテム」(マジックのカードを除く)は大きく分けて三種類存在する。
 +
*マナ・ストーン
 +
:都市からの依頼の報酬などで入手できる。特定のイベントでカードなどと交換できるほか、一部のワールド・マジックを使用するために必要になる。ゲームの難易度が高いほど、ワールド・マジックを使用した際にこれを消費する確率も高い。
 +
*ワールド・マジック
 +
:ワールド・マジックを入手することでゲームを有利に進められる。これは都市やフィールド、デュエル開始時などに使用できる、または機能するもので、デュエルには直接関連しない。
 +
*食料
 +
:フィールドを移動していると消費していき、0になると移動速度が遅くなり、クリーチャーと遭遇しやすくなる。
 +
 
 +
主人公の初期ライフは、依頼の報酬で街や都市同士の「マナ・リンク」を手に入れることによって増加する。対戦相手のライフは、敵の種類と難易度によって決められる。いずれも、何らかの特殊ルールなどで変動する場合がある。
 +
 
 +
デュエルは基本的に[[アンティ]]で行われ、勝利するとアンティ含むカードを入手するか、ダンジョンのヒントを聞くかを選択できる。相手によっては、何らかのボーナスやペナルティが与えられる場合もある。
 +
 
 +
対戦相手には特殊な「能力」を持っているものが多い。例えば
 +
*デッキがこちらのコピーになる
 +
*かならず先攻になる
 +
*特定のカードを初めからコントロールしている
 +
など。デュエルに勝利した際のボーナスとして、次のデュエルで同様の状態を与えてくれる場合がある。
 +
 
 +
===マップ===
 +
ゲームは広大なフィールドが舞台となる。フィールドには都市、ダンジョン、ギルド・ロードの城、遺跡が存在し、ゲーム毎にランダムで配置、出現する。
 +
 
 +
;フィールド
 +
:ここに徘徊する敵キャラクターに触れると、基本的にはデュエルをするか、金貨を支払うかの選択を要求される。相手によっては異なる条件を出す場合もある。ダンジョン内や特定の敵は、デュエルを回避することはできない。
 +
:[[対戦相手]]を撃破すると、[[アンティ]]及び数枚のランダムカードを入手するか、ダンジョンなどの情報を得るかを選択する。また、さらに何らかのボーナスが与えられる場合がある。
 +
:基本的に敵キャラクターはプレイヤーを襲ってくるが、プレイヤーが強力になる(多くの相手に勝利する)と逆に逃げ惑うようになる。このときに触れると、ボーナスや情報を要求することが出来る。
 +
;都市
 +
:都市ではカードの売買、食料の購入が出来る(価格は都市ごとに異なり、基本的に大きな街ほど高い)。また特定の都市ではワールド・マジックの購入も出来る。各都市の長と話すことで依頼を受けたり、ボーナスをもらえることがある。
 +
:ときどき、敵キャラクターは都市の攻略に送り出され、一定時間以内にそれを倒さなければ、その都市はギルドに支配される(マナ・タップと呼ばれる)。支配された都市(マナ・ドーム)に潜伏する相手を倒せば都市は解放されるが、その対戦相手は特定のパーマネントを初めからコントロールするなど、ボーナスを持っている。3つの都市(「ガーディアンの指輪」があれば5つ)が支配されると、「支配の呪文」がかけられゲームオーバーとなる。
 +
;ダンジョン
 +
:各地にあるダンジョンやギルド・ロードの城に入ると、ダンジョンマップに切り替わり、ダンジョン内を捜索する。ダンジョンの構成はランダムで生成され、通路上にクリーチャーや次のデュエルで得られるボーナス、謎かけが配置されている。
 +
:ダンジョンごとに特殊なルールが存在。そこを出るまでライフは初期値に戻らず引き継がれる、特定のカードが初めから戦場に出ている、特定の[[カード・タイプ]]や色のカード一切が禁止など。
 +
:*ライフが引き継がれるダンジョンでは、デュエルに勝利しても減ったライフが回復しないわけだが、逆に増えたライフも戻らないため、初めのデュエルで勝利を先延ばしにし、可能な限り[[象牙の塔/Ivory Tower]]で回復するなどしておくと、それ以降ダンジョンを出るまで極めて有利なゲーム展開が可能になる。
 +
:ひとつのダンジョン内の対戦相手の色は基本的に統一されている。ゲームでは[[サイドボード]]を使わないため、[[色対策カード]]などはこの時に使用することが多い。
 +
:ダンジョン内には[[パワー9]]などの強力なカードが眠っており、ギルド・ロードの城にはギルド・ロードが待ち構えている。また、ダンジョン内のデュエルでは、特定のカードが初めから戦場に出ている特殊ルールで行われる場合もある。
 +
;遺跡
 +
:フィールドに多数点在、定期的に出現し、アイテムやカードの入手、行商や盗賊に遭遇、任意のデュエルなど、様々なミニイベントが発生する。一度イベントを起こすとその場所は消滅する。
 +
:ここで入手できるアイテムには、ダンジョンと同様にパワー9などの強力なものが含まれる。
 +
 
 +
===その他===
 +
*多くの相手のデッキには3枚の対策カード枠が設定されており、プレイヤーのデッキの色に応じた対策カードが相手のデッキに入る。例えば、通常は[[剣を鍬に/Swords to Plowshares]]だが、[[赤]]相手だと[[赤の防御円/Circle of Protection: Red]]に切り替えるなど。
 +
**エキスパンションの『[[#デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ/Duels of the Planeswalkers|デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ]]』を導入すると相手の使用するデッキが変更され、対策カード枠はなくなる(『[[#デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ/Duels of the Planeswalkers|デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ]]導入済みの『[[#オンライン プラス|オンライン プラス]]』には反映されていない)。
 +
*最終ボスのアルザコンは、非常に多い初期ライフを誇り、デッキ枚数も136枚と莫大であるが、[[統率者]]デッキでもないのに一部を除くカードが1~2枚挿しになっており、見た目よりは強くない(参考:[http://www.magic-factory.net/file/df301537/ アルザコンのデッキ] (Magic Factory))。
 +
**アルザコン戦になった時点でエンディングに進めるのは確定であり、アルザコン戦は「アルザコンに与えたダメージ=アルザコンを封印できる年数」を稼ぐために行うものであるため、勝利する必要はない。
 +
 
 +
==エキスパンション・セットパック==
 +
===スペルズ・オブ・ジ・エンシェンツ/Spells of The Ancients===
 +
初のエキスパンション(拡張セット)。単体では動作しない。英語版は1997年9月(日本では10月30日)、完全日本語版は1998年2月27日に発売された。パッケージイラストは[[Juzam Djinn]]。
 +
 
 +
[[アンリミテッド]]、[[アラビアンナイト]]、[[アンティキティー]]の一部カードと[[プロモーショナル・カード]]が追加された。また、インターフェースやAIの改善、シールド戦やプレイヤーの姿を作る「フェイス・ビルダー」の実装なども行われた。
 +
 
 +
英語版では「'''マナリンク'''」と呼ばれるネット対戦機能が追加されたが、日本語版では追加されず、次のエキスパンションの『[[#デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ/Duels of the Planeswalkers|デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ]]』まで待つことになる。
 +
 
 +
===デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ/Duels of the Planeswalkers===
 +
2番目のエキスパンション(拡張セット)。単体では動作しない。英語版は1998年1月(日本では4月22日)、完全日本語版は1998年8月21日に発売された。パッケージイラストは[[深き闇のエルフ/Elves of Deep Shadow]]。
 +
 
 +
[[レジェンド (エキスパンション)|レジェンド]]や[[ザ・ダーク]]の一部カードが追加された。しかし、追加カードは100枚を下回り、セットのテーマである[[伝説のクリーチャー]]([[多色]])が実装されていないことから不評を買った。
 +
 
 +
日本語版でも通信対戦機能「'''マナリンク'''」が追加され、世界中のプレイヤーと気軽に対戦ができるようになった。日本語版と英語版の接続では、一部カード([[フェルドンの杖/Feldon's Cane]]など)にバグがある。
 +
 
 +
*2009年に同じ副題のXbox LIVE アーケード用コンピューターゲーム『[[Magic: The Gathering - Duels of the Planeswalkers]]』が発売しているが、今エキスパンションとの関係はない。
 +
 
 +
===オンライン エディション===
 +
『MicroProse版マジック:ザ・ギャザリング』と『[[#デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ/Duels of the Planeswalkers|デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ]]』のセット。『デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ』と同時に、日本でのみ発売された。パッケージイラストは[[若返りの泉/Fountain of Youth]]。
 +
 
 +
===オンライン プラス===
 +
『[[#スペルズ・オブ・ジ・エンシェンツ/Spells of The Ancients|スペルズ・オブ・ジ・エンシェンツ]]』『[[#デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ/Duels of the Planeswalkers|デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ]]』があらかじめ導入されている『MicroProse版マジック:ザ・ギャザリング』の廉価版。日本でのみ発売された。パッケージイラストは[[セラの天使/Serra Angel]]。
 +
 
 +
===Microprose Magic the Gathering 2010===
 +
有志によって製作されたオンライン プラスの発展版で、多色カードも含め多数のカード(~[[アラーラの断片ブロック]]まで)が追加されている。
 +
また、多くのバグが修正されている。
 +
α版では、新規カードの多くになんらかの欠陥があり、正常にプレイできない(使おうとすると強制終了する)カードもいくつか存在する
 +
(カードの反映(効果、コストなど)が不十分なものや、問題が確認されているカードには、カード名の後ろに*マークが付いている)。
 +
 
 +
現行OSでも起動できるようになったが極めて不安定であり、環境によって一部のカードが使えない、逆にエラーが出るカードは使えるようになる、などの現象も発生する。
 +
また、コンピューターのスペックに関係なく強制終了も多発するので、こまめにプレイデータを保存した方が良い。
 +
*ただし、'''特定の[[トークン]]がその[[ターン]]開始時から[[戦場]]に出ている状態で保存すると、そのデータから再開できなくなる'''ので注意が必要(再開は保存したデータのターン開始時から)。
 +
**[[苦花/Bitterblossom]]、[[幽体の行列/Spectral Procession]]からのトークンで問題を確認。
 +
 
 +
*ガントレットモードでバグが発生するカードでも、シングルデュエルでは問題なく使える場合がある。
 +
*シャンダラーモードは既存カードの[[イラスト]]のみ変更、ランダムで変化する。
 +
**カード処理のバグについても多くが修正されているが、シャンダラーモードには反映されていない。
 +
 
 +
*[[シールド]]では新規カードが使用できるが、[[エキスパンション]]は少なく、収録カードは実際と異なる。
 +
 
 +
==制限・禁止カード==
 +
「制限([[タイプ1]])」における[[制限カード|制限]]・[[禁止カード]]は、1996年10月1日時点のものが適用されている。「トーナメント([[タイプ1.5]])」ではこれらはすべて禁止カードである。なお、オフラインのデュエルおよびシャンダラーには適用されない。
 +
;制限カード
 +
:[[Ancestral Recall]]、[[天秤/Balance]]、[[狂暴化/Berserk]]、[[ブラック・ロータス/Black Lotus]]、[[黒の万力/Black Vise]]、[[知識の噴出/Braingeyser]]、[[悪魔の教示者/Demonic Tutor]]、[[Fastbond]]、[[Fork]]、[[象牙の塔/Ivory Tower]]、[[Library of Alexandria]]、[[Mox Emerald]]、[[Mox Jet]]、[[Mox Pearl]]、[[Mox Ruby]]、[[Mox Sapphire]]、[[新たな芽吹き/Regrowth]]、[[太陽の指輪/Sol Ring]]、[[露天鉱床/Strip Mine]]、[[Time Walk]]、[[Timetwister]]、[[Wheel of Fortune]]
 +
;禁止カード
 +
:[[チャネル/Channel]]、[[精神錯乱/Mind Twist]]、[[Time Vault]]
 +
 
 +
==OSの問題==
 +
Windows 2000およびWindows XP以降のWindows OSはサポート外であり、正常に動作しない。
 +
 
 +
[[wikipedia:ja:マイクロソフト|マイクロソフト]]社のPCエミュレータ、「[http://www.microsoft.com/japan/windows/virtualpc/default.mspx Virtual PC]」が無償公開([http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?displaylang=ja&FamilyID=6D58729D-DFA8-40BF-AFAF-20BCB7F01CD1 URL])されているので、Windows 95またはWindows 98のインストールCDがあればこちらを使うとよい。
 +
 
 +
Microprose Magic the Gathering 2010 は現行のOSでも動作する。
 +
 
 +
==バグ問題==
 +
カード処理に様々なバグがある。殆どはある条件下や、他のカードと組み合わせた時のみバグが発生するが、単体で正常に機能しないカードも存在する。
 +
*スペルズ・オブ・ジ・エンシェンツの[[アンティキティー]]を使用した限定構築戦では、通常ではありえない確率で[[サルディアの巨像/Colossus of Sardia]]が封入されてしまう。
 +
*[[Old Man of the Sea]]の能力は、それのパワー'''未満'''のパワーを持つクリーチャーに対してのみ適正で、同値では不適正とされてしまう。
 +
*上と関連して、Old Man of the Seaと[[全体強化]]の絡みでおかしな処理が発生する。やや複雑なので以下に例を挙げる。
 +
*#パワー2のOld Man of the Seaで、パワー1の[[青]]のクリーチャー([[空飛ぶ男/Flying Men]]など)の[[コントロール]]を得る。
 +
*#[[沈める都/Sunken City]]など、それぞれを同時に[[強化]]するカードが[[戦場]]に出る。それぞれの[[P/T]]が増加するが、この時は特に何も起こらない。
 +
*#強化カードが戦場から離れる。それぞれの[[P/T]]が下がるが、このときOld Man of the Seaと、その能力でコントロールしているクリーチャーについて、'''「一瞬、パワーが同値になった」'''と判断され、そのクリーチャーのコントロールを失ってしまう。
 +
*[[ミシュラの工廠/Mishra's Factory]]がクリーチャー化能力を起動し、それが解決される前に[[タップ状態]]になるとクリーチャー化されない。つまり通常は自身のマナでクリーチャー化することも出来ない。
 +
*[[Fork]]が特定の呪文をコピーすると正常に処理されない。
 +
**[[Amnesia]]をコピーするとオリジナルが打ち消される。
 +
**[[Transmute Artifact]]をコピーした場合、追加コストの[[生け贄]]が必要になるが、「差分のマナ」は支払う必要が無い。
 +
*Amnesiaの解決時に全く関係の無い文字列が表示される。
 +
*[[孤島の聖域/Island Sanctuary]]は1ターンに1枚までしかドローを置換できない。
 +
*[[Jihad]]による強化に関して、特定の状況でのみバグが発生する。やや複雑なので以下に例を挙げる。
 +
*#Jihadで強化されている4/3(2/2)のクリーチャー(以下【A】)が[[攻撃]]し、Jihadで指定された色の2/2のクリーチャー(以下【B】)が[[ブロック]]する。【A】に2点、【B】に4点の[[戦闘ダメージ]]が与えられる。
 +
*#[[致死ダメージ]]を受けた【B】が[[破壊]]され、[[墓地]]に置かれる。このとき、【B】の[[コントローラー]]が他に同じ色の[[パーマネント]]を[[コントロール (ルール用語)|コントロール]]していなかった場合、[[状況誘発]]によってJihadが墓地に置かれる。
 +
*#これによって強化が無くなり、【A】に与えられていた2点のダメージが致死ダメージとなるが、破壊時のエフェクトが表示されるものの、【A】は破壊されず、致死ダメージを受けたまま[[戦場]]に残る。
 +
*[[Lich]]を置くとダメージに対して無敵になる(ダメージによる生け贄が発生しない)。なお、一定の条件下では正常に機能するがそうでない局面の方が多い。
 +
*[[アーナム・ジン/Erhnam Djinn]]の能力で森[[土地渡り|渡り]]を得たクリーチャーのコントロールがそのターンのうちに相手に移ると、そのクリーチャーからずっと森渡りが失われなくなる。
 +
 
 +
*能力などによって複数の[[カード・タイプ]]を持った[[パーマネント]]を参照できないカードが多く存在する。
 +
**[[Copy Artifact]]や[[クローン/Clone]]などは、それらをコピーできない。
 +
***アーティファクトを複製した別のCopy Artifactや、クリーチャー化したミシュラの工廠など。
 +
***元々[[アーティファクト・クリーチャー]]であるパーマネントはコピーできる。
 +
**[[不明の卵/Dingus Egg]]が場にある時、クリーチャー化したミシュラの工廠が墓地に置かれてもダメージが発生しない。
 +
 
 +
この他にも、条件が複雑かつ稀なために再現不能なバグは多数存在。また、カード処理以外でもバグが発生する。
 +
 
 +
*[[Alchor's Tomb]]のテキストにミスがあり、単に「対象のパーマネント一つは・・」と書かれている。実際には本来の機能どおり、自分のパーマネントしか対象に出来ない。
 +
*何らかの方法で自分のカードを相手のアンティにし、デュエルに勝利すると、そのカードを「増やす」ことが出来る。所持しているカードの中でデッキを組むシールドとシャンダラーで有効。
 +
 
 +
*シャンダラーモードの時、街で[[魔力の墓所/Mana Crypt]]を売却しようとするとプログラムが強制終了する。
  
 
==参考==
 
==参考==
 +
*[http://jumphero2006.the-ninja.jp/ Free Style MTG] - 収録カードやシャンダラーの敵のデッキリストなどを掲載。
 +
*[[アストラルセット]]
 +
*[[オンラインプラスの日本語訳]]
 
*[[コンピューターゲーム]]
 
*[[コンピューターゲーム]]
<!-- -[[Magic: The Gathering for PC]] -->
 
*[[Magic: The Gathering Spells of The Ancients]]
 
*[[Magic: The Gathering Duels of The Planeswalkers]]
 
*[[マジック:ザ・ギャザリング オンラインプラス]]
 
  
*[[シャンダラー/Shandalar]]
+
[[Category:コンピューターゲーム]]
*[http://www.geocities.jp/takaori335/index.html 収録カード一覧](外部サイト。マジックの項目)
+

2024年1月22日 (月) 01:42時点における最新版

マジック:ザ・ギャザリング/Magic: The Gatheringは、MicroProse社から発売されたウィザーズ・オブ・ザ・コースト社公認のWindows用コンピューターゲーム。日本の販売元はメディアクエスト。英語版は1997年3月(日本では3月28日)、完全日本語版は1997年9月26日に発売された。原作および他の作品と区別するためにMicroProse版マジック:ザ・ギャザリングと表記する。各種エキスパンション(拡張セット)なども本項で詳述する。

2003年にMicroProse社が倒産したことで生産中止・出荷停止となっている。後述のエキスパンション、セットパックも同様である。

目次

[編集] 概要

MicroProse版マジック:ザ・ギャザリングでは、大きく分けてコンピューターと構築戦を行う「デュエル」(後述の『スペルズ・オブ・ジ・エンシェンツ』でシールドにも対応)と、ロールプレイングゲーム風の「シャンダラー」の2種類をプレイすることができる。

単体ではオフラインのみに対応しているが、エキスパンションの『スペルズ・オブ・ジ・エンシェンツ』(日本語版は『デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ』)で「マナリンク」による通信対戦が可能になった。通信対戦のフォーマットには「無制限(制限禁止なし、4枚制限ルールなし)」「ワイルド(制限・禁止なし、4枚制限ルールあり)」「制限(タイプ1)」「トーナメント(タイプ1.5)」「ハイランダー」がある。

ルールは第5版時点のものが採用されている。収録カードは、主に第4版と今作オリジナルのアストラルセットのカードで、アンリミテッドパワー9なども収録されている。後述のエキスパンションをすべて導入することで、アンリミテッド、アラビアンナイトアンティキティーレジェンドザ・ダークの一部のカードも使用できる。

カードプールは広いとは言えないものの、各種ビートダウンデッキコントロールデッキ、また瞬殺コンボ無限マナのギミックも組めるようになっており、幅広い種類のデッキを使用することができる。

AIのプレイングは人間には当然及ばないものの、カードゲームとしてはかなり精度の高い方だろう。例えば魂の絆/Spirit Linkを相手のクリーチャーに付ける、黒の万力/Black Viseコントロールしているとき、局面によってはAncestral Recallを相手に撃つなどのプレイングや、再生クリーチャーが再生できない時は相打ちしないが、再生を持っていないクリーチャーは相打ちに出すなど、柔軟性が際立った動きをする。

また、なぜかある局面での100%ではなく、非常に少ない確率で単純なミスを犯すなど「人間くさい」様子も見られる。仕様かどうかは不明。当然他にもプレイングの穴は多いし、相手の手札を読んでの行動は出来ない。

  • カードフィルターでは、現在の到達に「ウェブ」(蜘蛛の巣/Webに由来)、現在の警戒に「フリー・アクション」、現在の速攻に「クイック・ドロー」の呼称が付けられている。また、バジリスク能力の除去条件1,2は「石化」能力と呼ばれている。
  • 当時実際には日本語版が存在しないカードが、カード名ごとすべて日本語訳されている(詳しくはオンラインプラスの日本語訳を参照)。現在、このゲームでの日本語訳は非公式として扱われているが、実際に日本語版のカードが収録される際、このゲームでのカード名が充てられることが多い。

余談。シングルデュエルやガントレットモードのデュエル終了時、勝ち・負け・引き分けそれぞれの場合に、AIの様々な台詞が用意されているが、非常にユーモアのあるものや「憎まれ口」も少なくない。口の悪い例では、

  • 『コンピューターに「負けずにすんで」(強調されている)良かったね。』(引き分けの場合)
  • 『土地を引かなかったって言い訳は通用しないからね。』(プレイヤーが負けの場合)

など。

  • なお、プレイヤーが勝ったときには土地事故を言い訳にする場合がある。

[編集] シャンダラー

[編集] 概要

シャンダラー/Shandalarは、ロールプレイング風のゲームモードである。多元宇宙/Multiverseの次元の1つシャンダラー/Shandalarを舞台に、デュエルやマップの探索でカードや金を集めつつ、5人の邪悪なギルド・ロードとプレインズウォーカー/Planeswalkerアルザコン/Arzakonを倒し、シャンダラーの破滅を救う。

シャンダラーには、各の魔法をつかさどる5つのギルドがあり、各地にクリーチャーを送り込んでいる。

プレイヤーはデュエルの他、ダンジョンの攻略や、各都市からの依頼をこなすことでゲームを進めていく。なお、バージョンや言語によって若干仕様が異なる。

[編集] システム

難易度は下から順にアプレンティス、マジシャン、ソーサラー、ウィザードの4種類。

変化する主な要素(難易度が高い場合)

  • 初期デッキ配分が悪くなる。最高難易度では(選択した色の割合は他の色よりも低くならないが)滅茶苦茶な色・土地配分であり、そのままではまともにパーマネント展開することも難しい。
  • 対戦相手ライフや特殊ルールなどが強力になる。
  • ワールド・マジックを使用した際、マナ・ストーンを消費する確率が高い。
  • フィールドで敵と遭遇した際の選択肢が減る(難易度が低い場合、「謎かけ」を解くことで戦闘を回避できる場合がある)。
  • ギルド・ロードの城に挑戦してボスを撃破しなかった場合、報復として敵が都市の攻略に送られる。

通常の構築戦とは異なり、デッキの最低枚数は40枚である。ただし、60枚に満たない場合、基本土地以外の同名カードは3枚までしか入れられないが、特定のアイテムを所持していれば通常通り4枚投入できる。

  • 40枚未満の場合は、残りの枠は無作為に選ばれた基本土地が入る。38枚で組めば、4%の確率で沼が2枚投入されるので運が良ければ沼なしデッキでも黒騎士が出せる。

制限、禁止カードは無いが、そういったカードを2枚、3枚と入手するのは難しくなっている(複数の方法で可能ではある)。

  • パーマネントであれば青銅のタブレット/Bronze Tabletを利用すれば簡単に得られる。(対戦相手はライフを払うことを選ばない)
  • マインドスティーラー戦で、デッキに入手したいカードを入れておき勝利する。(勝利時の報酬で相手デッキのカードが入手できるが、マインドスティーラーはプレイヤーのデッキをコピーして使用する場合がある。その際は自分のデッキに入れたカードを報酬として入手可能であるため。)

クイズ要素があり、敵と遭遇した際やダンジョン内で「謎かけ」を出される場合がある。内容はマジックのカードに関するものとなっている。

いわゆる「アイテム」(マジックのカードを除く)は大きく分けて三種類存在する。

  • マナ・ストーン
都市からの依頼の報酬などで入手できる。特定のイベントでカードなどと交換できるほか、一部のワールド・マジックを使用するために必要になる。ゲームの難易度が高いほど、ワールド・マジックを使用した際にこれを消費する確率も高い。
  • ワールド・マジック
ワールド・マジックを入手することでゲームを有利に進められる。これは都市やフィールド、デュエル開始時などに使用できる、または機能するもので、デュエルには直接関連しない。
  • 食料
フィールドを移動していると消費していき、0になると移動速度が遅くなり、クリーチャーと遭遇しやすくなる。

主人公の初期ライフは、依頼の報酬で街や都市同士の「マナ・リンク」を手に入れることによって増加する。対戦相手のライフは、敵の種類と難易度によって決められる。いずれも、何らかの特殊ルールなどで変動する場合がある。

デュエルは基本的にアンティで行われ、勝利するとアンティ含むカードを入手するか、ダンジョンのヒントを聞くかを選択できる。相手によっては、何らかのボーナスやペナルティが与えられる場合もある。

対戦相手には特殊な「能力」を持っているものが多い。例えば

  • デッキがこちらのコピーになる
  • かならず先攻になる
  • 特定のカードを初めからコントロールしている

など。デュエルに勝利した際のボーナスとして、次のデュエルで同様の状態を与えてくれる場合がある。

[編集] マップ

ゲームは広大なフィールドが舞台となる。フィールドには都市、ダンジョン、ギルド・ロードの城、遺跡が存在し、ゲーム毎にランダムで配置、出現する。

フィールド
ここに徘徊する敵キャラクターに触れると、基本的にはデュエルをするか、金貨を支払うかの選択を要求される。相手によっては異なる条件を出す場合もある。ダンジョン内や特定の敵は、デュエルを回避することはできない。
対戦相手を撃破すると、アンティ及び数枚のランダムカードを入手するか、ダンジョンなどの情報を得るかを選択する。また、さらに何らかのボーナスが与えられる場合がある。
基本的に敵キャラクターはプレイヤーを襲ってくるが、プレイヤーが強力になる(多くの相手に勝利する)と逆に逃げ惑うようになる。このときに触れると、ボーナスや情報を要求することが出来る。
都市
都市ではカードの売買、食料の購入が出来る(価格は都市ごとに異なり、基本的に大きな街ほど高い)。また特定の都市ではワールド・マジックの購入も出来る。各都市の長と話すことで依頼を受けたり、ボーナスをもらえることがある。
ときどき、敵キャラクターは都市の攻略に送り出され、一定時間以内にそれを倒さなければ、その都市はギルドに支配される(マナ・タップと呼ばれる)。支配された都市(マナ・ドーム)に潜伏する相手を倒せば都市は解放されるが、その対戦相手は特定のパーマネントを初めからコントロールするなど、ボーナスを持っている。3つの都市(「ガーディアンの指輪」があれば5つ)が支配されると、「支配の呪文」がかけられゲームオーバーとなる。
ダンジョン
各地にあるダンジョンやギルド・ロードの城に入ると、ダンジョンマップに切り替わり、ダンジョン内を捜索する。ダンジョンの構成はランダムで生成され、通路上にクリーチャーや次のデュエルで得られるボーナス、謎かけが配置されている。
ダンジョンごとに特殊なルールが存在。そこを出るまでライフは初期値に戻らず引き継がれる、特定のカードが初めから戦場に出ている、特定のカード・タイプや色のカード一切が禁止など。
  • ライフが引き継がれるダンジョンでは、デュエルに勝利しても減ったライフが回復しないわけだが、逆に増えたライフも戻らないため、初めのデュエルで勝利を先延ばしにし、可能な限り象牙の塔/Ivory Towerで回復するなどしておくと、それ以降ダンジョンを出るまで極めて有利なゲーム展開が可能になる。
ひとつのダンジョン内の対戦相手の色は基本的に統一されている。ゲームではサイドボードを使わないため、色対策カードなどはこの時に使用することが多い。
ダンジョン内にはパワー9などの強力なカードが眠っており、ギルド・ロードの城にはギルド・ロードが待ち構えている。また、ダンジョン内のデュエルでは、特定のカードが初めから戦場に出ている特殊ルールで行われる場合もある。
遺跡
フィールドに多数点在、定期的に出現し、アイテムやカードの入手、行商や盗賊に遭遇、任意のデュエルなど、様々なミニイベントが発生する。一度イベントを起こすとその場所は消滅する。
ここで入手できるアイテムには、ダンジョンと同様にパワー9などの強力なものが含まれる。

[編集] その他

[編集] エキスパンション・セットパック

[編集] スペルズ・オブ・ジ・エンシェンツ/Spells of The Ancients

初のエキスパンション(拡張セット)。単体では動作しない。英語版は1997年9月(日本では10月30日)、完全日本語版は1998年2月27日に発売された。パッケージイラストはJuzam Djinn

アンリミテッドアラビアンナイトアンティキティーの一部カードとプロモーショナル・カードが追加された。また、インターフェースやAIの改善、シールド戦やプレイヤーの姿を作る「フェイス・ビルダー」の実装なども行われた。

英語版では「マナリンク」と呼ばれるネット対戦機能が追加されたが、日本語版では追加されず、次のエキスパンションの『デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ』まで待つことになる。

[編集] デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ/Duels of the Planeswalkers

2番目のエキスパンション(拡張セット)。単体では動作しない。英語版は1998年1月(日本では4月22日)、完全日本語版は1998年8月21日に発売された。パッケージイラストは深き闇のエルフ/Elves of Deep Shadow

レジェンドザ・ダークの一部カードが追加された。しかし、追加カードは100枚を下回り、セットのテーマである伝説のクリーチャー多色)が実装されていないことから不評を買った。

日本語版でも通信対戦機能「マナリンク」が追加され、世界中のプレイヤーと気軽に対戦ができるようになった。日本語版と英語版の接続では、一部カード(フェルドンの杖/Feldon's Caneなど)にバグがある。

[編集] オンライン エディション

『MicroProse版マジック:ザ・ギャザリング』と『デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ』のセット。『デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ』と同時に、日本でのみ発売された。パッケージイラストは若返りの泉/Fountain of Youth

[編集] オンライン プラス

スペルズ・オブ・ジ・エンシェンツ』『デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ』があらかじめ導入されている『MicroProse版マジック:ザ・ギャザリング』の廉価版。日本でのみ発売された。パッケージイラストはセラの天使/Serra Angel

[編集] Microprose Magic the Gathering 2010

有志によって製作されたオンライン プラスの発展版で、多色カードも含め多数のカード(~アラーラの断片ブロックまで)が追加されている。 また、多くのバグが修正されている。 α版では、新規カードの多くになんらかの欠陥があり、正常にプレイできない(使おうとすると強制終了する)カードもいくつか存在する (カードの反映(効果、コストなど)が不十分なものや、問題が確認されているカードには、カード名の後ろに*マークが付いている)。

現行OSでも起動できるようになったが極めて不安定であり、環境によって一部のカードが使えない、逆にエラーが出るカードは使えるようになる、などの現象も発生する。 また、コンピューターのスペックに関係なく強制終了も多発するので、こまめにプレイデータを保存した方が良い。

  • ガントレットモードでバグが発生するカードでも、シングルデュエルでは問題なく使える場合がある。
  • シャンダラーモードは既存カードのイラストのみ変更、ランダムで変化する。
    • カード処理のバグについても多くが修正されているが、シャンダラーモードには反映されていない。

[編集] 制限・禁止カード

「制限(タイプ1)」における制限禁止カードは、1996年10月1日時点のものが適用されている。「トーナメント(タイプ1.5)」ではこれらはすべて禁止カードである。なお、オフラインのデュエルおよびシャンダラーには適用されない。

制限カード
Ancestral Recall天秤/Balance狂暴化/Berserkブラック・ロータス/Black Lotus黒の万力/Black Vise知識の噴出/Braingeyser悪魔の教示者/Demonic TutorFastbondFork象牙の塔/Ivory TowerLibrary of AlexandriaMox EmeraldMox JetMox PearlMox RubyMox Sapphire新たな芽吹き/Regrowth太陽の指輪/Sol Ring露天鉱床/Strip MineTime WalkTimetwisterWheel of Fortune
禁止カード
チャネル/Channel精神錯乱/Mind TwistTime Vault

[編集] OSの問題

Windows 2000およびWindows XP以降のWindows OSはサポート外であり、正常に動作しない。

マイクロソフト社のPCエミュレータ、「Virtual PC」が無償公開(URL)されているので、Windows 95またはWindows 98のインストールCDがあればこちらを使うとよい。

Microprose Magic the Gathering 2010 は現行のOSでも動作する。

[編集] バグ問題

カード処理に様々なバグがある。殆どはある条件下や、他のカードと組み合わせた時のみバグが発生するが、単体で正常に機能しないカードも存在する。

  • スペルズ・オブ・ジ・エンシェンツのアンティキティーを使用した限定構築戦では、通常ではありえない確率でサルディアの巨像/Colossus of Sardiaが封入されてしまう。
  • Old Man of the Seaの能力は、それのパワー未満のパワーを持つクリーチャーに対してのみ適正で、同値では不適正とされてしまう。
  • 上と関連して、Old Man of the Seaと全体強化の絡みでおかしな処理が発生する。やや複雑なので以下に例を挙げる。
    1. パワー2のOld Man of the Seaで、パワー1ののクリーチャー(空飛ぶ男/Flying Menなど)のコントロールを得る。
    2. 沈める都/Sunken Cityなど、それぞれを同時に強化するカードが戦場に出る。それぞれのP/Tが増加するが、この時は特に何も起こらない。
    3. 強化カードが戦場から離れる。それぞれのP/Tが下がるが、このときOld Man of the Seaと、その能力でコントロールしているクリーチャーについて、「一瞬、パワーが同値になった」と判断され、そのクリーチャーのコントロールを失ってしまう。
  • ミシュラの工廠/Mishra's Factoryがクリーチャー化能力を起動し、それが解決される前にタップ状態になるとクリーチャー化されない。つまり通常は自身のマナでクリーチャー化することも出来ない。
  • Forkが特定の呪文をコピーすると正常に処理されない。
    • Amnesiaをコピーするとオリジナルが打ち消される。
    • Transmute Artifactをコピーした場合、追加コストの生け贄が必要になるが、「差分のマナ」は支払う必要が無い。
  • Amnesiaの解決時に全く関係の無い文字列が表示される。
  • 孤島の聖域/Island Sanctuaryは1ターンに1枚までしかドローを置換できない。
  • Jihadによる強化に関して、特定の状況でのみバグが発生する。やや複雑なので以下に例を挙げる。
    1. Jihadで強化されている4/3(2/2)のクリーチャー(以下【A】)が攻撃し、Jihadで指定された色の2/2のクリーチャー(以下【B】)がブロックする。【A】に2点、【B】に4点の戦闘ダメージが与えられる。
    2. 致死ダメージを受けた【B】が破壊され、墓地に置かれる。このとき、【B】のコントローラーが他に同じ色のパーマネントコントロールしていなかった場合、状況誘発によってJihadが墓地に置かれる。
    3. これによって強化が無くなり、【A】に与えられていた2点のダメージが致死ダメージとなるが、破壊時のエフェクトが表示されるものの、【A】は破壊されず、致死ダメージを受けたまま戦場に残る。
  • Lichを置くとダメージに対して無敵になる(ダメージによる生け贄が発生しない)。なお、一定の条件下では正常に機能するがそうでない局面の方が多い。
  • アーナム・ジン/Erhnam Djinnの能力で森渡りを得たクリーチャーのコントロールがそのターンのうちに相手に移ると、そのクリーチャーからずっと森渡りが失われなくなる。

この他にも、条件が複雑かつ稀なために再現不能なバグは多数存在。また、カード処理以外でもバグが発生する。

  • Alchor's Tombのテキストにミスがあり、単に「対象のパーマネント一つは・・」と書かれている。実際には本来の機能どおり、自分のパーマネントしか対象に出来ない。
  • 何らかの方法で自分のカードを相手のアンティにし、デュエルに勝利すると、そのカードを「増やす」ことが出来る。所持しているカードの中でデッキを組むシールドとシャンダラーで有効。
  • シャンダラーモードの時、街で魔力の墓所/Mana Cryptを売却しようとするとプログラムが強制終了する。

[編集] 参考

MOBILE