種類別
提供:MTG Wiki
種類別/Layerとは、オブジェクトの特性に関する複数の継続的効果の適用順を決定する際の、継続的効果の分類を指すルール用語。分類したあとの適用順のルールも含めてこの用語で表す場合もある。
目次 |
分類
オブジェクトの特性に関する継続的効果は、以下の7つの種類別に分類される。
- 第1種:コピー効果(例:細胞形成/Cytoshape)
- 第2種:コントロール変更効果(例:不忠の糸/Threads of Disloyalty)
- 第3種:文章変更効果(例:幻覚/Mind Bend)
- 第4種:カード・タイプ・サブタイプ・特殊タイプ変更効果(例:自然の類似/Natural Affinity)
- 第5種:色変更効果(例:純粋の色/Purelace)
- 第6種:能力追加、能力除去効果(例:原初の激情/Primal Frenzy)
- 第7種:パワー・タフネス変更効果
第7種に関してはさらに細分化されており、以下の種類細別に分類される。
- 7a:パワーやタフネスを定義する特性定義能力の効果(例:ルアゴイフ/Lhurgoyf)
- 7b:パワーやタフネスを特定の値にする効果(例:木化/Lignify)
- 7c:パワーやタフネスを(特定の値にするのではなく)修整する効果(例:栄光の頌歌/Glorious Anthem、巨大化/Giant Growth)
- 7d:カウンター(+X/+Yカウンター)による効果
- 7e:パワーとタフネスを入れ替える効果(例:熱を帯びた夢、萬迩智/Mannichi, the Fevered Dream)
種類別は「こぴ・こん・ぶん・たい・いろ・のう・ぱわー」、第7種の種類細別は「てい・せっと・しゅうせい・かうん・いれかわる(定説と習性、家運入れ替わる)」という語呂合わせで覚えられる(→参考)。
- 基本セット2010以前は、第5種と第6種を合わせて「一般の効果」、第7b~第7d(当時の第6b~6d)も「パワーやタフネスを変更する一般の効果」「カウンターによる効果」「パワーやタフネスに修整を与える(特定の値にしない)常在型能力による効果」という区分だった。
- 当時は第1種から第6種までを「こぴこんぶんたいいっぱんぱわー」、第6種の中は「定位置にカウンター、習性で入れ替わる」という語呂合わせで覚えておけた(→参考)。
解説
ある効果が複数の種類別に分類できるなら、それぞれが適切な種類別として扱われる。いずれかの種類別において効果が適用されはじめた場合、この効果を生み出している能力が途中で失われたとしても、その能力からの効果はそれぞれの種類別で適用される。以前は、第4種に分類できる効果がある場合はすべて第4種としてまとめられていたが、現在ではこのルールは廃止されている。
- 例:野生の雑種犬/Wild Mongrelの起動型能力は、「あなたの選んだ色になる」が第5種、「+1/+1の修整を受ける」が第7c種である。
- 例:滝の源獣/Genju of the Fallsのクリーチャー化する起動型能力は、「スピリット・クリーチャーになる。それは土地でもある」が第4種、「青になる」が第5種、「飛行を持つ」が第6種、「3/2になる」が第7b種である。
オブジェクトの特性は、それそのものの値から始まり、それから第1種から順に、種類別に継続的効果を適用して求める。パーマネントが裏向きであることによる影響(2/2でありそれ以外の特性がないクリーチャーである)は、第1種より後、第2種より前に適用される(CR:706.2)。
それぞれの種類別(種類細別)において、まず特性定義能力による効果を最初に適用し、それから他の効果を適用する。同じ種類別で他の効果に依存する効果があるなら、その依存先すべての効果が適用された直後にそれを適用する。このとき複数の効果が同時に適用されることになったら、それらはタイムスタンプ順に適用される。特性定義能力の効果は他の効果に依存しないので、その適用が他の効果より後になることはない。
複数の効果の依存性がループしているのなら、上記のルールを無視してそれらはタイムスタンプ順に適用される。
- 例:謙虚/Humilityの「1/1になる」という効果は第7b種の「パワーやタフネスを特定の値にする効果」である。
- クリーチャーに+1/+1カウンターが乗っているときに謙虚が戦場に出ると、カウンターによる効果は第7d種なので、そのクリーチャーは2/2になる。
- 十字軍/Crusadeが戦場にあるとき謙虚が戦場に出ると、十字軍の効果は第7c種なので、白のクリーチャーは2/2になる。
- 例:オパール色の輝き/Opalescence2つ(以下Op1,Op2)と謙虚(以下Hu)が戦場に出ている場合、タイムスタンプ順により結果が変化する。まず、第4種のクリーチャー化と第6種の「能力を失う」はこの順に適用される。残りの「パワーとタフネスがその点数で見たマナ・コストに等しい」と「1/1である」は両方第7b種であり、さらに独立しているので、タイムスタンプ順に適用する。
- タイムスタンプがOp1,Op2,Huの順の場合
- タイムスタンプがOp1,Hu,Op2の順の場合
- Op2が最後に適用されるが、自身には適用しないので、Op2は1/1、それ以外のオーラでないエンチャントはその点数で見たマナ・コストに等しいパワー・タフネスを持つ。
- タイムスタンプがHu,Op1,Op2の順の場合
- Opの両方があとに適用されるため、全てのオーラでないエンチャントはその点数で見たマナ・コストに等しいパワー・タフネスを持つ。
- この問題は「Op-Op-Hu問題」と呼ばれることもある有名なものであり、ウルザズ・デスティニー発売当時から議論が行われていた。このルールの存在意義は、まさにこの問題を簡潔かつ明確に処理することである。
参考
引用:総合ルール 20231117.0
- 6 呪文、能力、効果
- 613 継続的効果の相互作用
- 613.1 オブジェクトの特性の値は、そのオブジェクトそのものの値から始まって決定される。カードであればそのカードに記載されている特性の値、トークンや(呪文やカードの)コピーであればそれを生成した効果によって定められた特性の値を初期値とする。その後、以下の種類別の順番で適用できる継続的効果をすべて適用する。
- 613.2 第1種においては、以下の種類細別の順番で効果が適用される。各種類細別においては、効果はタイムスタンプ順に適用される(rule 613.7 参照)。種類別の中では、依存性によって適用順が変わることがある(rule 613.8 参照)。
- 613.2a 第1a種: コピー可能な効果が適用される。これには、コピー 効果(rule 707〔オブジェクトのコピー〕参照)と、オブジェクトをパーマネントに合同させたことによって決定されるオブジェクトの特性への変更(rule 725〔パーマネントの合同〕)が含まれる。また、「戦場に出るに際し/As ... enters the battlefield」や「表向きになるに際し/As ... is turned face up」の能力は、それがパワーやタフネスを定めているなら、他の特性も定義していたとしても、コピー可能な効果を生成する。
- 613.2b 第1b種: 裏向きの呪文やパーマネントの特性が、rule 708.2で定義されるように変更される。
- 613.2c 第1種のルールや効果がすべて適用された後で、そのオブジェクトの特性はコピー可能な値となる(rule 707.2 参照)。
- 613.3 第2種から第6種においては、まず特性定義能力が最初に適用され(rule 604.3 参照)、その後他の効果がタイムスタンプ順に適用される(rule 613.7 参照)。種類別の中では、依存性によって適用順が変わることがある(rule 613.8 参照。)。
- 613.4 第7種においては、以下の種類細別の順番で効果が適用される。各種類細別においては、効果がタイムスタンプ順に適用される(rule 613.7 参照)。種類細別の中では、依存性によって適用順が変わることがある。(rule 613.8 参照。)
- 613.4a 第7a種: パワーやタフネスを定義する特性定義能力からの効果が適用される。rule 604.3 参照。
- 613.4b 第7b種: パワーやタフネスを特定の値にする効果が適用される。クリーチャーの基本のパワーや基本のタフネスを扱う効果は、この種類細別で適用される。
- 613.4c 第7c種: パワーやタフネスを(特定の値にするのではなく)修整する効果やカウンターが適用される。
- 613.4d 第7d種: クリーチャーのパワーとタフネスを「入れ替える/switch」効果が適用される。この種の効果はそのオブジェクトのパワーを参照してそのオブジェクトのタフネスとし、そのオブジェクトのタフネスを参照してそのオブジェクトのパワーとする。
- 613.5 上記の種類別による継続的効果の適用は常にそして自動的に行われており、結果としてオブジェクトの特性が変更されるのは即時である。
- 613.6 効果が複数の種類別に分類できる場合、そのそれぞれの部分がそれぞれの種類別として処理される。いずれかの種類別において効果が適用されはじめた場合、その効果を生み出している能力が途中で失われたとしても、その能力からの効果はそれぞれの種類別でそれらのオブジェクトに適用される。
- 613.7 各種類別、各種類細別の中では、効果の適用順は通常、タイムスタンプのルールを用いて決定される。より早いタイムスタンプを持つ効果が先に適用される。
- 613.7a 常在型能力によって作られた継続的効果は、それを作ったオブジェクトと、その能力を作った効果の、遅い方と同じタイムスタンプを持つ。その能力を生成した効果のほうが遅いタイムスタンプを持っており、その能力を持つオブジェクトが新しいタイムスタンプを得た場合、そのオブジェクトの常在型能力によって発生した各継続的効果も同様に新しいタイムスタンプを得る。ただし、それらのタイムスタンプの相対的順序は変わらない。
- 613.7b 呪文や能力の解決によって作られた継続的効果は、作られた時点でタイムスタンプを得る。
- 613.7c カウンターは、それがオブジェクトやプレイヤーの上に置かれた時点でタイムスタンプを得る。そのオブジェクトやプレイヤーの上にすでに同種のカウンターが置かれていた場合、その種のカウンターはそれぞれその新しいカウンターと同一の新しいタイムスタンプを得る。
- 613.7d オブジェクトは、それが領域に入った時点でタイムスタンプを得る。
- 613.7e オーラや装備品、城砦は、オブジェクトやプレイヤーにつくごとに新しいタイムスタンプを得る。
- 613.7f パーマネントは、オモテ向き になったり裏向き になったりするごとに新しいタイムスタンプを得る。
- 613.7g 変身する両面パーマネントは、変身またはトランスフォームするごとに新しいタイムスタンプを得る。
- 613.7h オモテ向きの次元・カード、現象・カード、計略・カードは、オモテ向き になった時点でタイムスタンプを得る。
- 613.7i オモテ向きのヴァンガード・カードは、ゲームの開始時にタイムスタンプを得る。
- 613.7j 策略・カードは、ゲームの開始時にタイムスタンプを得る。裏向きなら、オモテ向き になった時点で新しいタイムスタンプを得る。
- 613.7k ステッカーはオブジェクトに貼られるたびに新しいタイムスタンプを得る。ステッカーが貼られているオブジェクトが新しいタイムスタンプを得たなら、そのステッカーはその直後に新しいタイムスタンプを得る。ステッカーが貼られているオブジェクトが戦場にある合同パーマネントの一部になったなら、そのステッカーはそのときに新しいタイムスタンプを得る。オブジェクトが領域に入ったり合同パーマネントの一部になったりするに際して複数のステッカーが貼られていたなら、それらのステッカーの相対タイムスタンプ順は変わらない。
- 613.7m たとえば同時に領域に入る、同時にオブジェクトにつく、などで複数のオブジェクトが同時にタイムスタンプを得る場合、それらの相対的タイムスタンプはAPNAP順に従って決定される(rule 101.4 参照)。アクティブ・プレイヤーがコントロールしている(コントローラーがない場合はオーナーである)オブジェクトが、そのプレイヤーの選択した順番で早い相対的タイムスタンプを得て、その後ターン順で他のプレイヤーが続く。
- 613.8 種類別、種類細別の中での効果の適用順は、依存関係によって変更される場合がある。依存関係がある場合、タイムスタンプ順のルールは依存のルールによって上書きされる。
- 613.8a ある効果が、(a)別の効果と同じ種類別(存在するなら種類細別も)であり、(b)別の効果を適用することにより、その文章が変わったり、効果が発生するかどうかが変わったり、何に適用するかが変わったり、適用するもののどれかに何をするかが変わったりし、さらに(c)どちらの効果も特性定義能力によるものでない、またはどちらの効果も特性定義能力によるものである場合、その効果は他方に「依存している」と言う。そうでない場合、その効果は先の効果と独立である。
- 613.8b 1つまたは複数の効果に依存している効果は、その依存先の効果全てが適用されてからすぐに適用する。このルールによって複数の依存している効果が同時に適用されるようになった場合には、その適用順はお互いのタイムスタンプ順に従う。依存している効果同士によって依存性のループが作られた場合には、このルールを無視し、依存性のループを作っている効果をタイムスタンプ順に適用する。
- 613.8c 効果の1つが適用された後、残りの効果の順番は再評価される。まだ適用されていない効果が、他のまだ適用されていない効果に対して独立になったりあるいは依存したりすることによって順番が変わることがある。
- 613.9 継続的効果は別の継続的効果を無効化することがある。また、1つの効果の結果が、他の効果が適用されるかどうかや、その効果が何をするかを決定することもある。
- 613.10 継続的効果の中には、たとえばプレイヤーにプロテクション(赤)を得させるなど、オブジェクトでなくプレイヤーに影響を及ぼすものが存在する。それらの効果は全て、オブジェクトの特性が決定された後で、タイムスタンプ順に適用される。タイムスタンプ順と依存のルール(rule 613.7、rule 613.8)参照。
- 613.11 継続的効果の中には、プレイヤーの手札の上限を変更する、クリーチャーは可能ならばこのターン攻撃する、など、オブジェクトでなくゲームのルールに影響を及ぼすものが存在する。それらの効果は全て、他の全ての継続的効果の適用後に適用される。呪文や能力のコストに影響を及ぼす継続的効果は、rule 601.2fに定められた順番で適用される。それ以外のこの種の効果はタイムスタンプ順に適用される。タイムスタンプ順と依存のルール(rule 613.7、rule 613.8)参照。
- 613 継続的効果の相互作用