神の怒り/Wrath of God
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2023年8月7日 (月) 22:04時点における版
全体除去の元祖にして基本と言えるカード。かつてハルマゲドン/Armageddonと双璧をなした、白のリセットボタンの代名詞的存在。
対象を取らず、色などの条件も問わず、さらには再生も許さないため、大部分の除去耐性を無視することができる究極的なクリーチャー除去呪文である。状況によっては単体に対して使うこともあるが、基本的には複数のクリーチャーを破壊してカード・アドバンテージに繋げていく。
欠点は、自分のクリーチャーも巻き添えにしてしまう点。そのため、クリーチャーをあまり使用しないタイプのコントロールデッキでの活躍のほうが目立つ。特に低速コントロールでは、序盤から中盤を生き延びるための必須カードと言える。往年の青白系コントロールがビートダウンに対して強いと言われていたのは、このカードの存在のおかげと言っていいだろう。
時には白ウィニーに採用されることもある。これは戦場の状況が不利になってしまったとき、一度自分のクリーチャーごとリセットし、再び展開力勝負に持ち込むため。いつでも有効な作戦ではないが、例えばリベリオンなどの極めて展開力が高いデッキではよく使われる手である。
また、カードプールに応じて、アカデミーの学長/Academy Rectorなどの「巻き添えになっても損しない(あるいはむしろ積極的に巻き添えにしたい)カード」、冥界のスピリット/Nether Spiritなどの「巻き添えになっても困らないカード」、またミシュラランドのようなクリーチャー化パーマネントなどの「巻き添えにならないカード」と言った面々と組み合わせて使われることも多い。
現在はモダンやエターナルなどでしか使用できないが、それらの環境では多色化が容易なこともあって至高の評決/Supreme Verdictの方が優先されている。しかし翻弄する魔道士/Meddling Mageなどに対する対策のために、こちらをサイドボードに用意することも多い。
再生があまり印刷されなくなったパイオニア以降を基盤とするMTGアリーナにも実装されたが、この時点で使用可能なカードに再生持ちは皆無であり、後に荒廃のドラゴン、スキジリクス/Skithiryx, the Blight Dragonが実装されるまでは実質的に審判の日/Day of Judgmentの同型再版だった。パイオニアにも再生関連のカードは一定程度存在するため、今後機能的な差異は大きくなっていくと考えられる。また、シングルトンの環境では当初から大活躍している。翻弄する魔道士などの対策になるのも上述の通り。
- 通称ラスゴ。
- かつての全体除去の代表にして、基本セットの常連。当然に取引価格は高額であったが、「神の怒りとアダーカー荒原/Adarkar Wastesさえ買い揃えれば青白コントロールで一生遊べるんだから、むしろ安い買い物だ」とまで言われていた時代もあった。その当時の活躍ぶりと知名度が伺える。
- 対象やプロテクションに関するルール説明でよく登場する。直接破壊とダメージによる破壊の違いを説明するため、地震/Earthquakeとともに登場することも多い。
- ハルマゲドン、十字軍/Crusadeと共に、「白の三大レアカード」と言われた1枚。とはいえいずれも性質が異なるため、この3枚すべてを入れたデッキというのは少なかった。
- 余白が十分にあるにもかかわらず、ポータル版やFrom the Vault:Annihilation版以外でフレイバー・テキストが存在しないのは、そのシンプルで強力な効果を強調するためである[1]。
- ルール文章の美しさを際立たせるためか、英語版の第10版以降は文章欄が中央揃えにされている(カード画像)。また、この関係で破壊効果と再生禁止との間に改行が生じているが、オラクルではあくまでも一続きである。
- 「埋葬」が用いられていた第4版と第5版のものは、「すべてのクリーチャーを埋葬する。/Bury all creatures.」(第4版画像)の1文1行のみとさらにシンプルなテキストであった(リバイズド版も埋葬を用いているが、「All creature in play are buried.」というテキストで2行で書かれていた)。
- ポータル版のフレイバー・テキストはWilliam Shakespeareのリア王の一節である。
悪戯な子供が蝿を叩きつぶすよう、神々は勝手気ままに我らを殺す。― ウィリアム・シェークスピア「リア王」(出典:ポータル)
- Ron SpencerによるイラストのFoilのテキストレスプロモーション・カードが、2006年10月のプレイヤー褒賞プログラムプロモとして配布された。
- "Wrath of God"は「神罰」の意味で定型句的に使われる言葉。「怒り」で「Wrath」というのは日本人には余り馴染みの無い単語であるが、「憤怒」と訳せるほど激烈な怒りであると考えた方がよいだろう。ダンテの「神曲」に登場する「7つの大罪」の内の1つも「Wrath(憤怒)」である。
- クリエイティブ・チームは現実世界における宗教的な意味合いを含んでしまうこのカード名に頭を悩ませており、当初はFrom the Vault:Annihilationに(全体除去がテーマであるにもかかわらず)非収録となる予定だった。しかしマジック世界の登場人物であるテーロス/Therosの神/God、ヘリオッド/Heliodを描く(イラスト)ことで諸問題が解決され、収録されるに至った[2]。また、新フレイバー・テキストも追加された。統率者マスターズでもこちらのイラストで再録され、フレイバー・テキストが日本語に訳されている。
Legend speaks of the lost coastal polis of Olantin, whose inhabitants' hubris enraged the sun god Heliod.(出典:From the Vault: Annihilation)
失われた沿岸都市国家オランチンの民はその奢り[3]により、太陽神ヘリオッドの怒りを買ったと伝わっている。(出典:統率者マスターズ)
関連カード
主な亜種
全体除去の元祖であるため、当然ながら亜種は数多いが、ここでは白単色でクリーチャーのみに対処する全体除去を挙げる。特記しない限りソーサリー。リセットカードも参照のこと。
- 審判の日/Day of Judgment - マナ・コストが同じで再生を許す。基本セット2011に再録されるなど、全体除去の代表の座を引き継いだ形になっている。 (ゼンディカー)
- 再生を許す亜種はそちらの項を参照。
以下は再生を許さず破壊するもの。
- 弱者の報復/Retribution of the Meek - 2W。パワーが4以上のクリーチャー限定。(ビジョンズ)
- ラースの風/Winds of Rath - 3WW。エンチャントされていないクリーチャー限定。(テンペスト)
- カタストロフィ/Catastrophe - 4WW。モードの1つ。(ウルザズ・サーガ)
- 次元の崩壊/Planar Collapse - 1Wのエンチャント。戦場にクリーチャーが4体以上いる場合にアップキープに誘発する誘発型能力。(ウルザズ・レガシー)
- 獅子将マギータ/Mageta the Lion - 3WW。スペルシェイパーの起動型能力。自身は破壊しない。(プロフェシー)
- 総くずれ/Rout - 3WW。(2)でインスタントプレイが可能。(インベイジョン)
- 魂の行進/March of Souls - 4W。破壊されたクリーチャーのコントローラーが破壊されたクリーチャーの数に等しい1/1飛行のスピリットトークンを生成する。(プレーンシフト)
- カーターの怒り/Kirtar's Wrath - 4WW。スレッショルドで1/1飛行トークンを2体出す。(オデッセイ)
以下は破壊以外の方法で除去するもの。
- 神聖なる埋葬/Hallowed Burial - 3WW。オーナーのライブラリーの一番下に置く。(イーブンタイド)
- 終末/Terminus - 4WW。神聖なる埋葬と同じ効果。奇跡(W)。(アヴァシンの帰還)
- 最後の裁き/Final Judgment - 4WW。追放する。(神河物語)
- 追放する亜種はそちらの項を参照。
その他
脚注
- ↑ Design of the Times(Making Magic 2005年2月21日)
- ↑ A Look Inside From the Vault: Annihilation/『From the Vault: Annihilation』の内幕(Daily MTG 2014年8月11日)
- ↑ "これは適切な表記ではない。hubris"は「傲慢」というような意味なのに対し「奢り」は「贅沢」や「ごちそうする」を意味する。この場合「驕り」「傲り」のほうが適切。
- ↑ 『ダブルマスターズ』特別版カードイメージギャラリー(マジック米国公式サイト日本語版)
参考
- 壁紙 (Daily MTG 2004年7月2日 第8版のイラスト)
- Wraths of God(Daily MTG Magic Arcana 2014年3月25日 Trick Jarrett著)
- Card of the Day 01/12/2007(Daily MTG)
- Card of the Day (2007/01)(個人サイト「Abominable Empire」 上記記事の邦訳)
- リセットカード
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