精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor

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ワールドウェイクで再登場したジェイス忠誠度能力ライブラリー操作ドローバウンスライブラリー破壊

忠誠度能力を4つ持つ初のプレインズウォーカーであり、忠誠度±0の忠誠度能力も史上初である。

強力な能力を複数備え、高い汎用性を持つ類稀なるパワーカード。あらゆるフォーマットで使われる、ワールドウェイクのトップレアである。

目次

解説

+2能力
占術1か消術1。
潜在的なアドバンテージを得つつ忠誠度を上げられる。実戦的には対戦相手対象に連打し、火力などの自身に対する除去を弾いたり、コントロールを確立した後にトップデッキを阻害してソフトロックを生み出したりといった利用が一般的である。手札戦場の状況によっては、これが回りだした段階で相手はほぼ詰みである。
自分に使えば、ライブラリーの一番上の不要な土地を弾くなどしてドローの質を高めることができるが、この場合は2つ目の能力との選択になる。忠誠度が上がる点が大きな差別点であろう。特に相手だと、出してから即座にこちらを起動すれば稲妻/Lightning Boltを始めとするほとんどの火力に対して、撃たれる前に逃れられるので、いずれを起動するかは重要な選択となる。
±0能力
渦まく知識/Brainstorm
忠誠度能力の特性上インスタント・タイミングという強みは失われたが、毎ターン何のリソースの消費もなしに手札を補充できるのは実に強力。劣勢の時でも反撃の糸口を探しに行けることもあり、このカードの中核的な能力である。ゼンディカーフェッチランドなど、各種シャッフル手段との相性も良好。
単なる手札の増強、有効なカードを手に入れる手段としても強力であることに加え、様々なシナジーがある。
-1能力
送還/Unsummon
非常に軽い忠誠度の消費で戦場に干渉できる強力な能力。対戦相手テンポを大きく崩すことができ、特に戦場に相手のクリーチャーが1体しかいない場合に強力であり、簡単に戦場にジェイスしかいない状態を作ってしまう。その後は再展開されたクリーチャーを再び戻すもよし、±0能力で除去を探しに行くもよしとゲームの主導権を握りやすい。
自身のコントロールするクリーチャーを戻し、CIP能力を何度も利用するといった使い方もできる。霧縛りの徒党/Mistbind Cliqueなどがよい相方。なお、ただのキャントリップ持ちでは2つ目の能力に劣ることに注意。
-12能力
ローウィン版ジェイスの-10能力と同様にライブラリー破壊だが実態は大きく違う。簡単に言えば対象のプレイヤーの手札がライブラリーになってしまうというもの。
起動コストはかなり重く、基本的に+2能力を連打した後にしか起動できない。だがその状態ではほとんどコントロールを確立できていることが多く、対戦相手は数ターンでライブラリーアウトを起こしてしまい敗北するであろう。起動すれば勝利と言っても過言ではない能力である。

利用

ハンド・アドバンテージボードコントロールの両面に優れ、かつフィニッシャーにもなれる万能カードであるため、ブロック構築からエターナルに至るまで、コントロールデッキを中心に高い採用率を誇る。

ゼンディカー=エルドラージ覚醒・ブロック構築

下記のスタンダード同様、青白コントロール青赤緑ターボランドの重要なパーツである。

スタンダード

アラーラの断片ブロック+ゼンディカー・ブロック期

スタンダードで割と冷遇な状態にあった青の復権を大きく支え、ジャンド一強体制を揺るがした張本人である。青白タップアウトコントロールはもちろん、ビートダウンであるバントでも他のプレインズウォーカーと共に使われていた。

ゼンディカー・ブロック+ミラディンの傷跡ブロック期

万能パーマネント対策である忘却の輪/Oblivion Ring大渦の脈動/Maelstrom Pulse真髄の針/Pithing Needleが揃って落ちてしまったため、前環境より対処されにくくなっている。特に荒廃稲妻/Blightning血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elfといった、返しに出されることで除去された上アドバンテージで損をするような天敵が軒並み退場し、早い段階から強気に出すことが容易になった上、続唱が消えたことで+2能力によるドロー妨害を避けることが難しくなるなど、このカードを使う上で抑止力となっていた要素が消え、本格的な環境の支配が始まった。青白青黒コントロールミラーマッチでの鍵を握るカードと言え、ジェイスの打ち消し対消滅を巡るゲームになることも多い。そのためこのカードの4枚積みに加えてメインデッキからジェイス・ベレレン/Jace Belerenまで採用されることも。

戦隊の鷹/Squadron Hawk で手札を稼ぎ、二番目の能力で2枚をデッキに戻しハンドアドバンテージを増大させるCaw-Go石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mysticと装備品のシルバーバレットを追加したCaw-Bladeが生まれた。どちらのカードもライブラリーを切り直す手段を持ち、二番目の能力が最大限活きる構築がなされている。またデッキ圧縮の必要も色の偏りも少ない2色デッキには珍しくライブラリーを切り直す為だけにフェッチランドを採用する事もしばしば見受けられる。

また青緑系のターボランドデッキでも使われる。上述のようにムル・ダヤの巫女との相性もよい。

2011年6月20日、ついに翌7月1日発効として石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mysticとともにスタンダードで禁止となった。これは、ミラディン・ブロック時から実に6年3ヶ月ぶりのスタンダードの禁止である(参考/邦訳)。

エクステンデッド

時のらせん期~ローウィン期

青黒フェアリーオーメン・ヴァラクート残酷コントロールなど様々なデッキで採用されている。ただし、同環境の青の4マナ域にはほぼ4枚積み確定の謎めいた命令/Cryptic Commandが存在するため、枚数は抑えられがちである。

スタンダードで最強だったデッキがそのままエクステンデッドでも最強」という状況を防止するため、2011年10月1日より禁止カードに。

モダン

モダンでは公式フォーマット化と同時に禁止カードに指定されたが、2018年2月19日(Magic Online では2018年2月14日)より禁止解除された。モダンで高速かつ攻撃的なデッキが増え、4マナの呪文をメイン・フェイズに唱えるためのハードルが高くなっていることから、コントロールデッキの選択肢として適正であると判断された。(参考/翻訳)。

解禁当初は環境の高速化によりあまり見かけないカードであり、ドミナリア発売後もこのカードよりも相手ターンにマナを残しておけるドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominariaの方が優先されることも多かった。しかし「墓地に送らない全体除去」「翻弄する魔道士/Meddling Mage対策に全体除去の種類を散らす」といった理由から終末/Terminusが採用され始めると、相性の良いこのカードの採用数も増えていった。

2018年末のコラムでは「ちょうど良いカード」「禁止解除は大英断」と評されている[1]

青白コントロールジェスカイコントロールでは、それぞれ採用枚数や優先度は異なるがドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominariaと同居していることが多い。

レガシー

メタが多様な環境であるため、他の環境ほど支配的な地位ではないが、CTG青白奇跡コントロールなどの青が入るコントロール、クロック・パーミッションにはよく採用されており、環境の一角として存在感を示している。

ヴィンテージ

4マナの重さに加え長期戦向けの性能でありながら、ヴィンテージでも使われる。クリーチャーや火力の少ない環境であるため生き残りやすく、環境特有のマナ加速で一度出してしまえば一方的に手札を増強し続けることのできるアドバンテージカードとなる。Tezzeret's Vaultにおいて、求道者テゼレット/Tezzeret the Seekerより優先して採用されることが多く、このチューンを施したデッキがヴィンテージ選手権10優勝・準優勝を占めたのを契機に実力が一気に周知され、青の主力カードの1枚となった。

リミテッド

リミテッドにおいても1枚でゲームを制する力があるので極めて強力である。

その他

  • ワールドウェイクの特別先行プレビュー企画『Worldwake Planeswalker Chase』に使われたカード。世界8箇所に断片を分布する企画だった。日本でもアメニティドリーム新宿店に配布された。
  • 「もの」が漢字かひらがなかの違いこそあるものの、日本語名の一部が精神を刻むもの/Mindslicerと同じ。だが、英語のslicerが切り刻むものという意味なのに対して、Sculptorは彫刻家という意味である。単にバラバラに破壊するのではなく、望む形に彫刻してしまうという点がプレインズウォーカーの強大さを表している。
  • 当然のごとく、シングルカード価格も恐ろしく高騰。一時期1枚1万円以上の取引もあった。スタンダードでシングルカードが1枚1万円を超えるのは史上初の事である。かのデュアルランドとすら1:1トレードできるレベルまで至ったことから、古参プレイヤーもこぞってワールドウェイクを買いあさったという逸話もある。スタンダードから去った後も当時の値段を上回っており、このカードの強さ、人気ぶりが窺えていた。その後複数回の再録を経て落ち着くものの、モダンでの解禁の影響か再び高騰した。
  • 中村修平曰く「恐らく頭蓋骨絞め/Skullclamp以来のぶっ壊れカード」(参考)。
  • その神の如き強さとカード名の精「神」を刻む者から、ジェイス・ベレレン/Jace Belerenからみて新しいという意味の「新(shin)」と掛けて、「神ジェイス」と呼ばれる事が多い。
    • さらに略して「神」と呼ばれることも。
    • スタンダード当時は使用率の高いこちらを単に「ジェイス」、ジェイス・ベレレンを「ベレレン」と呼ぶこともあった。
  • 2013年4月27日~28日に開催された『ニコニコ超会議2』において、2010年を代表するカードとして展示された(参考)。
    • From the Vault:Twentyにも2010年を代表する1枚として収録され、同セットの目玉カードとして話題を呼んだ。
  • ウィザーズ・オブ・ザ・コーストトレーディングカードゲームであるデュエル・マスターズとのコラボレーションの一環として、同名のカードが作成された。なお、そちらのカードの能力は、このカードの±0能力と-1能力を再現したものとなっている。

関連カード

サイクル

ゼンディカー・ブロックプレインズウォーカーのメガサイクルブロック全体を通して各に1人ずつ収録された。

その他、黒赤のプレインズウォーカーとして狂乱のサルカン/Sarkhan the Madが存在している。

ストーリー

詳細はジェイス・ベレレン/Jace Beleren (ストーリー)を参照。

参考

  1. 今年のデッキ2018 岩SHOWの「デイリー・デッキ」(Daily MTG 2018.12.28)
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