ブースターパック
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ブースターパック/Booster Packは、マジックのカードがランダムに封入されたパックの総称。単にブースター/Boosterと呼ぶこともある(ブーストするもの、という意味)。様々な製品形態が存在する。
- 以下、本項ではテーブルトップ(紙)のカードのブースターパックについて記述している。各種デジタルゲームについては考慮しない。
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概要
ほとんどのカード・セットはブースターパックの販売形式を含んでおり、マジックのカードを入手するための最も一般的な未開封製品となっている。各ブースターパックには、基本的にそのカード・セットに含まれるカードが一定の枚数、稀少度ごとに一定の封入率に従ってランダムで封入されている。製品によってはカード・セット外のカードが含まれることもある(→Masterpiece Seriesなど)。ブースターパックには複数の製品形態が存在している。
- アン・カードの中には、ゲーム中にブースターパックを開封させるものもある。一覧はBooster Tutorを参照。
- コンスピラシーおよびコンスピラシー:王位争奪のカードには、ドラフトするブースターパックに言及するものもある。中にはアン・ゲームでしか存在しなかったブースターパックを開封させるものも。(→知識の探求者/Lore Seeker)
- ソートが存在し、カード群の組み合わせが決まっている。カードはその枠組みの中からランダムに選ばれている。
- かつて、ウィザーズ社はパック内の稀少度による封入比率を公式に明言しておらず、保証もしていなかった。詳細については稀少度の項を参照のこと。
製品形態
プレイ・ブースター
プレイ・ブースター(Play Booster)は2024年以降のブースターパックにおける最も基本的な製品形態。リミテッドにも対応している。
カルロフ邸殺人事件から導入されており、従来のドラフト・ブースターとセット・ブースターを合わせたような製品となっている。1パックにつきマジックのカードが14枚封入されているが、それに加え広告カードやトークン・カード、補助カードやアート・カード(イラストが全面に印刷されている)などの封入される15枚目のスロットが存在する。
原則として、1パックにつきコモンが6枚、アンコモンが3枚、レア(または神話レア)1枚、基本土地1枚が最低保証されている。これに加え不特定なレアリティが封入されるスロットがFoil・非Foilに1枚ずつ存在している。また、コモンの7枚目が低確率でザ・リストと呼ばれるプレインズウォーカー・シンボル付きの再録カードや、スペシャルゲストと呼ばれるボーダーレス仕様の再録カードとなる。すなわち、1パックからレア以上のカードが最大4枚出現する。コモンにはマジックの色5色のうち、最低でも4色が揃うようになっている[1]。
その他正確な内訳はセットごとに異なるため、詳細については各カード・セットの項を参照。
プレイ・ブースターが登場した背景としては、セット・ブースターの登場で旧来のドラフト・ブースターの需要が低下したこと、ショップの在庫管理が煩雑になってしまったことが挙げられている。ドラフト・ブースターを廃止してセット・ブースターに一本化するだけではリミテッドに対応できなくなってしまうため、両者の折衷案として誕生した[2]。
コレクター・ブースターパック
コレクター・ブースターパックもしくはコレクター・ブースター(Collector Booster)は、文字通りコレクション向けのブースターパック。外箱に光沢があるなど、装丁も豪華になっている。
2019年のラヴニカの献身で英語版/日本語版限定で少量試験販売された(ラヴニカの献身#コレクター・ブースターパック)。
エルドレインの王権以降は内容や価格を一新して販売された。内容は15枚のカードと1枚のプレミアム版トークン・カード。ショーケース・フレームなど、コレクション向けの特殊な枠デザインのカードがドラフト・ブースターと比べ大幅に出現しやすくなっているほか、拡張アート枠や一部の特殊なフォイル加工はコレクター・ブースターにしか封入されない。また統率者レジェンズのようにセット・ブースターの存在しないセットでは、ドラフト・ブースターから出現しない統率者デッキのカードなどがコレクター・ブースターからのみ出現することがある。
本流のセットにおけるレア以上の封入枚数は、テーロス還魂記から基本セット2021まではレア/神話レア確定のスロット3枚に加えて不確定レアリティのスロットも存在するという構成であった。ゼンディカーの夜明け以降はレア/神話レアのスロットとアンコモン/コモンのスロットに分けられ(講義などの特殊な例を除いて不確定レアリティはなくなり)、レア以上が4枚に。続くカルドハイムからは、統率者デッキなどのレア/神話レアのスロット1枚も加わってレア以上が計5枚封入されるようになった。続くストリクスヘイヴン:魔法学院からは全てのカードが「拡張アート版」「ボーダーレス版」「ショーケース版」あるいは「フォイル仕様」のいずれかとなり、通常のカードは出現しなくなった。
15枚の内訳はセットごとに異なるため、詳細については各カード・セットの項を参照。
かつて販売されていたブースターパック
ドラフト・ブースター
ドラフト・ブースター(Draft Booster)は、ブースターパックの中で最も一般的かつ基本的であった製品形態。原則として15枚のカードが封入される。その名の通り、ブースター・ドラフトやシールドなどのリミテッド・フォーマットにおける使用を想定されて作られており、リミテッドのトーナメントではドラフト・ブースターが用いられる。
基本セットとミラージュ以降のカード・セットのものは、1つにつき15枚のカードが封入されており、基本的にレア/神話レア1枚、アンコモン3枚、コモン11枚の率で封入されている。ただし、コモンが10枚である代わりに基本土地カードが1枚封入されているセットもいくつかある。第10版以降はトークン・カード(または豆知識カード、補助カード、広告カード、パンチアウト・カード)が1枚追加で封入されるようになり、実質16枚となっている。
長らく、ブースターパックの製品形態はカード・セットごとに15枚(もしくはそれ未満)入りの1種類、つまり現在のドラフト・ブースターしか存在していなかった。コンフラックスで登場したコンパクトブースターを皮切りに、様々な製品形態が登場するようになった。エルドレインの王権以降はプロジェクト・ブースター・ファンと銘打ち、様々なプレイヤーの趣向に沿った製品展開を標準のものとすることが決まった。この際、コレクター・ブースターなどの他の製品と区別するためにつけられた名前がドラフト・ブースターである。エルドレインの王権以前の15枚入り(もしくはそれ未満)の製品は、単に「ブースターパック」と呼ばれていたが、ドラフト・ブースター登場に伴い、マジック・イベント規定においてはそれらの製品も「ドラフト・ブースター」と呼ばれるようになった。現在でも、単に「ブースターパック」と言えば、ドラフト・ブースターを指すことがほとんどである。
- エルドレインの王権から名称が変更されたが、日本語版では基本セット2021まで「ブースターパック」表記のままだった。ゼンディカーの夜明けからは日本語版でも「ドラフト・ブースター」という名称が使われるようになった。
- カルロフ邸殺人事件より、セット・ブースターと統合され「プレイ・ブースター」へと変更された[2]。
15枚未満のドラフト・ブースター
以下のカード・セットのブースターパックは1つにつき8枚のカードが入っている。稀少度の配分はアンコモン2枚、コモン6枚だが、アンコモンやコモンの中でも変則的な稀少度が設定されている。
アライアンスとクロニクルは12枚入り。ポータル三国志とアングルードは10枚入りである。
16枚以上のドラフト・ブースター
- 統率者レジェンズ - 20枚入り
- 統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い - 20枚入り
基本土地カード
「リバイズド以前、および第7版以降の基本セット」「アングルード」「アンヒンジド」「アラーラの断片以降に発売された、ブースターパックの販売形式を持つ各カード・セット」のブースターパックには、一部の例外を除き、基本土地カードが1枚封入されている。例外に関しての詳細は変則的な稀少度#アラーラの断片以降の基本土地枠の項を参照。
また、リバイズドまでの基本セットのブースターパックには、レア枠を含めてランダムに基本土地カードが入っている可能性がある。ベータ版、アンリミテッドでは1パック中にレア枠に3.31%、アンコモン枠に21.5%、コモン枠に38.02%の比率で、リバイズドではアンコモン枠に21.5%、コモン枠に38.02%の比率で入っている可能性がある。なお、それらは各稀少度の印刷シート上に基本土地カードも合わせて印刷されていたためであり、ベータ版におけるレア枠に入っている可能性があるのは島/Islandのみとなる。他の稀少度上においては5種類すべてが分布している。
コンパクトブースター
コンパクトブースター(Six card booster)は、コンフラックスからドラゴンの迷路まで販売された、廉価版パック。これは販売経路拡大を目的としたものである。日本語版は基本セット2010とゼンディカーが2009年12月18日に発売されたが、新たなるファイレクシアを最後とし、基本セット2012からは販売されていない。1パックにつき6+1枚のカードが封入されており、アンコモン1枚、コモン3枚、基本土地1枚、完全ランダム1枚のゲームカード、それに豆知識カードまたはトークン・カードいずれか1枚によって構成されている。
まれにだがコモン5枚というパックもあるが、逆にアンコモンが3枚やレアが2枚などといったパックはないとされ、ブースターやスターターにもあるようにエラーパックの範疇と思われる。
プレミアム・カードの封入率は通常のブースターパックと異なり、74枚に1枚である。
- ランダムカードの封入比率としては神話レア:レア:アンコモン:コモンで1:7:4:8となり、コンパクト5パックでブースター2パック分の設定。
ブースターバトルパック
基本セット2012からイクサランまで、ブースターバトルパックが販売されていた(参考)。
ブースターパックと未完成状態のミニデッキがそれぞれ2人分封入されている。ブースターを開封し、好きなカードを5枚まで追加してミニデッキを完成させることでその場でゲームを始められる。ルール解説シートも封入されており、新規プレイヤーや初心者プレイヤーがコレクションを増やしつつ手軽にゲームに触れる事ができる。
当初は英語版のみだったが、ラヴニカへの回帰、ギルド門侵犯、基本セット2014に関しては日本語版も発売された。
- イニストラードを覆う影以降、日本語版のバトルパックは発売されていない。しかし、デッキ内容が同じであるウェルカム・デッキを使えば実質的な日本語版で楽しむ事は可能である。
テーマ・ブースターパック
テーマ・ブースターパックもしくはテーマ・ブースター(Theme Booster)は、特定のテーマに沿ったカードのみが封入されたブースターパック。
初めて販売されたのは2018年のラヴニカのギルド、2019年のラヴニカの献身(英語版のみ)。各セット毎に、それぞれ取り上げられたギルド/Guildに対応した5種類が販売され、そのギルドの色の組み合わせに属するカードのみが封入されていた。
エルドレインの王権以降も再び販売され、各色ごとの5種類が存在しその色のカードのみが封入される(英語版のみ)。テーロス還魂記ではアーティファクトや多色のカードも含まれるようになったほか、通常のブースター・パックには封入されないテーマ・ブースター限定のカードが封入される。(それらの日本語版はコレクターブースターから入手可能)
団結のドミナリアでジャンプスタート・ブースターが導入されるに伴い、入れ替わる形で廃止となった[3]。
セット・ブースター
セット・ブースター(Set Booster)は、パックを開封すること自体の楽しさに重点を置いたブースターパック。
ゼンディカーの夜明けから導入された。プレイヤーのすべてがドラフト目的でパックを開封するわけでは無い事に着目し、パック開封の楽しさを最大限にする目的で開発されたブースターである[4]。封入順序に関連性を持たせるなど、パック開封の時間を最も楽しめるように様々な工夫が凝らしてある。内容は12枚のカードと、イラストが全面に印刷されたアート・カードなどが含まれる。また25%でトークン・カードのスロットがザ・リストと呼ばれる再録枠に変わる。内訳はセットごとに異なるため、詳細については各カード・セットの項を参照。
- ニューカペナの街角より、日本限定で「セット・ブースター10パックセット」が発売されている。小型の箱に梱包されているがBOX特典カードは付属しない。
- 神河:輝ける世界より、日本のコンビニエンスストア限定で「セット・ブースターパック」が発売されている。購入特典が貰える個数に合わせて複数のセット・ブースターを紙製のパックでひとまとめにしたもので、特典アイテムもあらかじめ同梱されている。
- カルロフ邸殺人事件より、ドラフト・ブースターと統合され「プレイ・ブースター」へと変更された[2]。
ジャンプスタート・ブースター
ジャンプスタート・ブースター(Jumpstart Booster)は、素早く手軽にリミテッドを楽しむためのブースターパック。
団結のドミナリアから導入された。内容はカード20枚となっており、2パックを開封して組み合わせることですぐさま対戦することが可能である。かつてのJumpstart同様、封入されているカードはいくつかのテーマに基づいて設定されている[3]。
機械兵団の進軍を最後に、本流のセットにおけるジャンプスタート・ブースターは追加されていない。
特殊なブースターパック
市販品でないブースターパックも存在する。
デモゲームブースター
デモゲームブースター(Demogame booster)は、1997年のポータルから導入された。イベントやショップで無料配布された初心者向けブースターパックである。
日本語版が作られた事は無く、海外でのみ配布された。
内容は固定で24枚のカードが封入されている。基本土地も9枚ほど入っており、そのままマジックをする事が出来る。
入門用の配布品である事も有り、バニラクリーチャーが多くあまり強いカードは入っていない。
その後、初心者向けセットや基本セットが発売される毎に当該セットのデモゲームブースターが作られてきたが、第10版からハーフデッキがその役目を担うことになり新規のデモゲームブースターは作られていない。
日本では配布されなかった事もあり、国内での知名度は低い。そのため2人対戦用入門セットに付く拡張パックと間違われやすいが別の商品である。
サンプルパック
サンプルパック(Sampler Pack)は、1999年のスターターから導入された。デモゲームブースターと同じく、無料配布用のブースターである。
基本的に海外でのみの配布だが、唯一日本語版では第8版のサンプルパックが作られ各種イベントで配布された事がある。
サンプルの名の通り、販促用の試供品である。内容は固定で、10枚のカードが入っている。
デモゲームブースターよりカード枚数が少ないため、安いコストで多くの人に配布する事ができた。
ウェルカム・ブースターパック
基本セット2021からウェルカム・デッキの後継として新規プレイヤーに無料で配布されるブースターパック。中身はシーズン毎に、開発部が選んだスタンダードや統率者戦など様々なフォーマットに注目された固定の10枚のカードと、広告カードやMagic: The Gathering Arenaで使用できるコードが封入されている。
機械兵団の進軍をもって、内容の更新は打ち切りとなった[5]。
脚注
- ↑ Play Booster Discord Q&A/Discordで行われたプレイ・ブースターに関するQ&Aまとめ(Daily MTG 2023年10月20日)
- ↑ 2.0 2.1 2.2 What Are Play Boosters?/「プレイ・ブースター」とは?(Making Magic 2023年10月16日 Mark Rosewater著)
- ↑ 3.0 3.1 Your Sneak Peek at Double Masters 2022, Dominaria United, and Beyond/『ダブルマスターズ2022』および『団結のドミナリア』の最新情報とその他の発表(News 2022年5月12日 Wizards of the Coast著)
- ↑ Set Boosters/セット・ブースター(Making Magic 2020年7月25日 Mark Rosewater著)
- ↑ 『機械兵団の進軍』の重要な日程と情報(ウィザーズ・プレイ・ネットワーク 2023年2月20日)