ネクロポーテンス/Necropotence
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2024年8月20日 (火) 01:24時点における最新版
エンチャント
あなたのドロー・ステップを飛ばす。
あなたがカードを捨てるたび、あなたの墓地にあるそのカードを追放する。
1点のライフを支払う:あなたのライブラリーの一番上のカードを裏向きのまま追放する。あなたの次の終了ステップの開始時に、そのカードをあなたの手札に加える。
アイスエイジ初出、第5版に再録された、マジック史上でもトップクラスのドローエンジンの1つ。ライフ1点を手札1枚に変換する能力を持つ。
[編集] 解説
手札に加えるタイミングが終了ステップに限られており、それゆえに引いたカードを即使用したり、また引いた内容を確認しながら枚数調整したりという柔軟性こそないものの、ハンド・アドバンテージ獲得の効率は非常に高い。色拘束は厳しいもののマナ総量自体は3と軽く、比較的序盤に戦場に出せることから、爆発力に優れている。
極めて強力だが通常のドローが止まるデメリットも大きく、手札とライフを使い切ってしまうとそのまま「詰み」になって自滅してしまうので、デッキ構成とプレイングによる運用の両面で気を遣ってやる必要がある。主に以下の手段が組み合わされる。
- このデメリットで勝てなくなる前に、対戦相手を倒せるデッキで使う(高速ビートダウンデッキや瞬殺型コンボデッキなど)。
- バウンスや破壊などで、役目を終えたのちは処理できるようにする。
- ライフを継続的に得られるようにする。
これを対戦相手に出された時は、これを割るべきか否かの判断は重要である。割ろうとしたところで対応して起動できるので一定以上のアドバンテージを取られることは確定している(下記#ルールも参照)ため、ドローがなくなるデメリットをなくしてあげるだけに終わりかねない。パーミッションなどがこれを打ち消せなかった場合は、逆にネクロポーテンスを「守ってやる」ことでデメリットを継続させ、ライフ不足の詰み状態に追い込んで勝つというプレイングが取られることも少なくない。
また、「ドロー」エンジンではあるが実際にカードを引くわけではない点も特徴。カードを引くことにより誘発する誘発型能力や、カードを引くことを置換する常在型能力(例えば発掘)とのシナジーはない。逆にカードを引くことを制限する効果も受け付けないため、この特徴は一概に長所とも短所とも言いがたい。
- 藤田剛史がグランプリ京都00をネクロ・ドネイトで優勝したとき、インタビューに「ネクロは実力を度外視したゲームを作り出す。禁止にするべき。」と答えている[1]。
- 第5版では「強欲/Greedと置き換える」という理由で収録された[2]。
[編集] 利用
ドロー・ステップが飛ばされることとライフの損失、ディスカード・フェイズ(現在は終了ステップの開始時に)にならないと手札に加えられないといったマイナス要素から、登場した当時はカスレア扱いされていた。当時は天敵の黒の万力/Black Viseが健在だったことも、使用されなかった理由の1つである。
後に登場したネクロディスクが、1996年のトーナメントにおいて凄まじい使用率と戦績を収めて以来、その強力な利用方法が広まり、名実共にトップレアの1つとなった。その年の夏が、後にネクロの夏とまで呼ばれるようになる。ちなみにその夏を制したのは、ネクロデッキを徹底的にメタった白ウィニーの12Knightsだった。
その後も、環境を問わず様々なデッキに投入され、このカードを用いたデッキはネクロと総称された。これによる、ライフ→ドローのリソース変換の強さが世に広まることになり、ネクロ・ドネイトなどのコンボデッキを生み出す一因ともなった。現在でも、ヴィンテージでストームデッキを中心に活躍している。
MTGアリーナにはおとぎ話として実装されたものの、最初からヒストリックで禁止だったためリミテッドとヒストリック・ブロール専用だった。タイムレスが導入された後は一つの指輪/The One Ringと並ぶ凶悪なドローエンジンとして活躍している。
- 上述の通り厳密にはドローではないため、一つの指輪と違って対戦相手のオークの弓使い/Orcish Bowmastersや黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypseに悩まされずに済む。一方、自分の黙示録、シェオルドレッドで回復することもできないため、ライフは主に不憫な悲哀の行進/March of Wretched Sorrowや象牙の塔/Ivory Towerなどで補給する。
リミテッドではデメリットを緩和する手段が乏しいため、構築に比べると評価が一段落ちる。色拘束もきついが、早く出せば早く出すほど良いというものでもないので2色ぐらいのデッキならばトリプルシンボルはそれほど気にならない。ドローエンジンにありがちな「優勢・拮抗の局面で強いが、劣勢のときは使っている余裕がない」性質が特に顕著といえる。とりあえず絆魂・ドレイン・食物などを多めに確保しておきたい。
2000年10月1日より、タイプ1(現ヴィンテージ)で制限カード、タイプ1.5で禁止カードに指定される。2001年4月1日より、エクステンデッドでも禁止カード。2004年9月20日より、タイプ1.5から移行したレガシーでも続けて禁止カード。
[編集] ルール
- 多くのプレイヤーが、「アンタップ、アップキープ、ドロー」という一連の流れが身に染み付いてしまっているため、ネクロポーテンスをコントロールしていながらドロー・ステップに思わずカードを引いてしまうことも少なからずあった。もちろんペナルティの対象となる。
- 起動型能力によって追放したカードを終了ステップの開始時に手札に加えるのは、その起動型能力の効果として生成される遅延誘発型能力である。
- 終了ステップの開始時にネクロポーテンスが戦場からなくなっていたとしても、それらのカードを手札に加える能力は誘発する。
- 誘発型能力であるので、もみ消し/Stifleなどで打ち消すことができる。なお、この遅延誘発型能力は能力の起動1回につき1つ生成されるので、もみ消し1枚でカードを手札に加えるのを阻止できるのは1枚だけである。
- 時間停止/Time Stopなら、遅延誘発型能力がすべてスタックに乗ったのに対応して撃つことで、手札に加えるのをすべて阻止できる。
- 初出時のテキスト(カード画像)では、追放したカードを手札に加えるのはディスカード・フェイズとなっていた。第6版におけるルール変更に合わせて変更された。
- 第6版でのルール改定前は、ネクロポーテンスの対策としてボガーダンの金床/Anvil of Bogardanが用いられることがあった。これは当時のボガーダンの金床は「ディスカード・フェイズを飛ばす」能力を持っていたため。第6版登場に合わせてネクロポーテンス・ボガーダンの金床ともに挙動が変更され、対策としては機能しなくなった。
- 第5版当時のルール(カード画像)では、カードを捨てたとき、誘発型能力としてそのカードを追放して(当時のルールでは「ゲームから取り除いて」)いた。その後一時(時期不詳)、捨てるカードを追放するのは誘発型能力ではなく置換効果によるものに変更されていたものの、2008年7月のオラクル改定で誘発型能力として行うよう戻された。
- また第5版当時のルールでは、カードを捨てたのであれば無条件にそのカードを追放していたものの、2007年2月のオラクル改定で、捨てるカードを追放するのは捨てたカードが本来墓地に置かれる場合に限定されるようになった。
- 何らかの別の効果により、カードを捨てることでそのカードを墓地以外に置く場合(例:マッドネス)、この能力でカードを追放することはしない。
[編集] その他
- アイスエイジ版(英語版)しか存在しなかった頃には、初心者泣かせのカードだった。とにかく物凄い長さのテキストで、文字数を詰め込むためにフォントサイズも小さくなっているため、虫眼鏡を使わないと読めないような大きさの英文とにらめっこするという苦行を強いられた。(カード画像)
- ネクロポーテンスには全身像があり、外見は骸骨の騎士で手にエネルギー球とエネルギーの剣を持っている(デュエリスト・ジャパン vol.6(P90)より)。
- Necropotenceとは「死の力」という意味。
- From the Vault:Exiledに新規イラストで収録された。エターナルマスターズでもこのイラストで再録された。
- 2013年4月27日~28日に開催された『ニコニコ超会議2』において、1995年を代表するカードとして展示された[3]。
[編集] 関連カード
- アンヒンジドのNecro-Impotenceはこれのパロディ。
- 第6版に収録されずスタンダードから落ちた後も、ライフと引き換えにドローする能力は黒の色の役割として多数のカードが作られている。
- 各ターン1枚に抑えられたタイプはファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arenaや闇の腹心/Dark Confidantを参照。単発型のドロー呪文は古えの渇望/Ancient Cravingを参照。
- 永遠の策謀家、ズアー/Zur, Eternal Schemerのイラストに登場している。
[編集] 主な亜種
ライフをコストに何度でも起動できるドロー能力を持つ亜種。ドロー・ステップは飛ばさず、多くは起動にマナも要求する調整版。
- 強欲/Greed - 4マナ。起動コスト(黒)とライフ2点。(レジェンド)
- ラスの書/Book of Rass - 6マナのアーティファクト。起動コスト(2)とライフ2点。(ザ・ダーク)
- 満たされぬ想い/Unfulfilled Desires - 青黒3マナ。起動コスト(1)とライフ1点。ドローでなくルーター。(ミラージュ)
- ヨーグモスの取り引き/Yawgmoth's Bargain - 6マナ。起動コストライフ1点。ドロー・ステップを飛ばす。(ウルザズ・デスティニー)
- 虚無主義の喜び/Nihilistic Glee - 4マナ。起動コスト(1)だが暴勇達成が条件。(ディセンション)
- グリセルブランド/Griselbrand - 8マナのクリーチャー。起動コストがライフ7点だが7ドロー。(アヴァシンの帰還)
- 死者の神、エレボス/Erebos, God of the Dead - 4マナのクリーチャー・エンチャント。起動コスト(1)(黒)とライフ2点。(テーロス)
- 穢れた血、ラザケシュ/Razaketh, the Foulblooded - 8マナのクリーチャー。起動コストライフ2点とクリーチャー1体の生け贄。ドローでなくサーチ。(破滅の刻)
- アルゲールの断血/Arguel's Blood Fast - 2マナ。起動コスト(1)(黒)とライフ2点。(イクサラン)
- 心臓追い/Bloodtracker - 4マナのクリーチャー。起動コスト(黒)とライフ2点で+1/+1カウンターを置き、戦場を離れたときに+1/+1カウンターと同数ドロー。(統率者2018)
- スランの医師、ヨーグモス/Yawgmoth, Thran Physician - 4マナのクリーチャー。起動コストライフ1点とクリーチャー1体の生け贄。-1/-1カウンターを1つ置いてよい。(モダンホライゾン)
- 血の取引者、ヴィリス/Vilis, Broker of Blood - 8マナのクリーチャー。ライフを失うたびに同数ドローする誘発型能力。(黒)とライフ2点で起動する起動型能力も持つ。(基本セット2020)
- ボーラスの城塞/Bolas's Citadel - 6マナの有色アーティファクト。マナ総量のライフを支払うが、手札に加えるのではなくマナ・コストを支払うことなく唱える事ができる。(灯争大戦)
- 進化した潜伏工作員/Evolved Sleeper - 1マナのクリーチャー。起動コスト(1)(黒)(黒)でライフを1点失いドロー。(団結のドミナリア)
- ネクロドミナンス/Necrodominance - リメイク版。任意起動でなくあなたの終了ステップごとに何枚引くか選択する。さらに手札の上限が5枚になる。(モダンホライゾン3)
- 月の集会/Lunar Convocation - 白黒2マナのエンチャント。起動コスト(1)(黒)とライフ2点。(ブルームバロウ)
[編集] 参考
- ↑ チャンピオンインタビュー(WotC)
- ↑ Taming the Flames(Duelist誌17号の記事)
- ↑ ニコニコ超会議2 マジック:ザ・ギャザリング展示ブース(マジック日本公式Facebook)
- 壁紙 (Daily MTG 2004年5月21日)
- Necropotence Avatar (Magic Online Vanguard)
- ターン・フェイズ・ステップを飛ばすカード
- トリプルシンボルカード
- カード個別評価:第5版 - レア
- カード個別評価:アイスエイジ - レア
- カード個別評価:アイコニックマスターズ - 神話レア
- カード個別評価:エターナルマスターズ - 神話レア
- カード個別評価:おとぎ話 - 神話レア
- カード個別評価:Vintage Masters - レア
- カード個別評価:Masters Edition 2 - レア
- From the Vault:Exiled
- Secret Lair 30th Anniversary Countdown Kit