裏向き
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裏向き/Face Downとは、カードが裏面を向いている状態である。
領域ごとに適用されるルールが違うので、分けて説明する。
目次 |
[編集] 戦場・スタック
変異など一部のルールや効果などにより、呪文やパーマネントが裏向きになることがある。その特性は、裏向きにするルールや効果によって規定されたものになる。規定されていない場合、カード名、クリーチャー・タイプ、マナ・コストを持たない、無色の2/2のクリーチャーである。これは継続的効果の第1種内でコピー効果より後に適用され、そのオブジェクトのコピー可能な値になる(詳細は種類別の項を参照)。この特性の変化はパーマネントが表向きになると同時に終了する。
パーマネントの「表向きか裏向きか」という情報は、パーマネントの位相の一つである。パーマネントが裏向きであることは、パーマネント以外が裏向きであることとルール上区別されている。
裏向きの呪文やパーマネントのコントローラーは、それらの表をいつでも見ることができる。
プレイヤーは、裏向きのパーマネントや呪文を複数コントロールしている場合、それらを明確に区別できるようにして、それらのパーマネントがいずれかの効果やルールにより裏向きになったか、それらが戦場に出た順番や手段、それらの呪文が唱えられた順番などが判別できるようにする必要がある。これは、裏向きを扱う各種能力の混同や召喚酔い等に関する混乱、及び違反行為防止のためである。
裏向きのパーマネントが戦場を離れる場合、あるいは裏向きの呪文がスタックから戦場以外の領域へ移動する場合、それの表面を公開しなければならない。ライブラリーなど非公開領域への移動であっても公開する必要がある。また、ゲームが終了したとき、すべての裏向きのパーマネントと呪文の表面を公開しなければならない。これは違反行為防止のためである。なお、これは公開するだけで表向きにすることではないため、「表向きになったとき~」の能力は誘発しない。
名前 | 裏向きの呪文やパーマネントの特性 |
---|---|
変異、大変異、予示、Illusionary Mask | 2/2のクリーチャー |
変装、偽装 | 護法(2)を持つ2/2のクリーチャー |
イクシドロン/Ixidron 灰雲のフェニックス/Ashcloud Phoenix(誘発型能力) 岸砕きの精霊/Shorecrasher Elemental(起動型能力) 古き神々の咆哮、ヤラス/Yarus, Roar of the Old Gods |
指定なし(ルールにより2/2のクリーチャー) |
残酷な機械技師、テゼレット/Tezzeret, Cruel Machinist | 5/5のアーティファクト・クリーチャー |
霊園の庭師、イェドラ/Yedora, Grave Gardener | 土地 ─ 森 |
イリシッドの収穫者/Illithid Harvester | 2/2のホラー・クリーチャー |
魔法の糸のメイガー/Magar of the Magic Strings | 3/3のクリーチャー サボタージュ能力で元のカードのコピーをマナ・コストを支払うことなく唱えてよい 戦場を離れると追放 |
サイバーへの変換/Cyber Conversion 天国での死/Death in Heaven サイバーコントローラー/The Cyber-Controller ミッシー/Missy サイバーシップ/Cybership モンダスのコロニー船/Mondassian Colony Ship ムーンベース/The Moonbase |
2/2のサイバーマン・アーティファクト・クリーチャー |
[編集] コピー
パーマネントが「表向きか裏向きか」ということは上記の通り位相の1つであるため、コピー可能な値ではない。ただし、裏向きになったことによる特性の変化はコピー可能である。
- 例:クローン/Cloneが、裏向きのにやにや笑いの悪魔/Grinning Demon(変異(2)(黒)(黒)を持つクリーチャー)のコピーとして戦場に出るとする。この場合、クローンは無色の2/2で、カード名、クリーチャー・タイプ、能力、マナ・コストを持たないクリーチャーとして戦場に出る。ただし、表向きであり、(2)(黒)(黒)を支払って表向きになることはできない。
裏向きのパーマネントが他のパーマネントのコピーとなる場合、そのコピー可能な値は、コピーするパーマネントのコピー可能な値となり、それに裏向きの位相であることによる変更が加えられる。従ってその特性値は、裏向きにできるようにした能力やルールによって定められている、元の特性値と同じになる。ただし、表向きになった場合には、そのコピー可能な値はコピーされている値となる。
- 例:裏向きのにやにや笑いの悪魔が、表向きの枝折りロリアン/Branchsnap Lorian(4/1で変異(緑)とトランプルを持つ緑のクリーチャー)のコピーとなった場合、そのにやにや笑いの悪魔の特性は枝折りロリアンのものになるが、そのクリーチャーは裏向きなので、2/2の無色でカード名やクリーチャー・タイプや能力やマナ・コストをもたないクリーチャーのままである。(緑)で表向きになることができ、表向きになると枝折りロリアンの特性を持つ。
[編集] 表向きにする/裏向きにする
変異や変装などの能力、予示や偽装によるルール、こじ開け/Break Openなどの効果で、裏向きのパーマネントが表向きになることがある。裏向きのパーマネントが表向きになる事は、オブジェクトの位相が変化するだけで継続して同一のオブジェクトである。ただし、タイムスタンプは表向きになった時点で更新される(CR:613.7f)。表向きのパーマネントが裏向きになる場合についても同様。
- 共通のルール
以下に示すルールは、裏向きから表向きになった状況を例示して解説しているが、逆の状況でも考え方は同じである。
- 裏向きの状態でつけられていたオーラや装備品、置かれていたカウンター、適用されている継続的効果などは引き続き残る。攻撃している状態、対象に取られている状態なども同様に引き継ぐが、特性の変化によりオーラが外れたり不正な対象になる場合もある。
- 例:溶岩の流れ/Lava Flowの対象になった裏向きの生けるものの洞窟/Zoetic Cavernを対応して表向きにしても、依然として対象に取られており、適正な対象であるため溶岩の流れは生けるものの洞窟を破壊する。
- 例:裏向きの2/2クリーチャーが切り崩し/Cut Downの対象に取られ、対応してそれを表向きにした結果、パワーとタフネスの合計が6以上になったなら切り崩しは立ち消える。
- 攻撃クリーチャーやブロック・クリーチャーの指定が終わってから表向きになったクリーチャーが自身の攻撃やブロックを制限する能力を持っていても、戦闘から取り除かれることはない。また、ブロックされた後に表向きになったクリーチャーが回避能力を持っていたとしても、それにブロックされている状態は変わらない。ただし表向きになることでクリーチャーでなくなった場合は戦闘から取り除かれる。
- コントローラーの最新のターン開始時からコントロールされているカードが表向きになったなら、それは召喚酔いしていない。そうでなければ召喚酔い状態である。
- 表向きにする場合に関係するルール
- 新たに戦場に出るわけではないので「戦場に出たとき」の誘発型能力を誘発させる事はなく、戦場に出る際の置換効果も適用されない。
- プレインズウォーカーやバトルに初期忠誠度/初期守備値分のカウンターが置かれることも後者にあたるので注意。また、包囲戦・バトルを変身させて唱えられるのは最後の守備カウンターが取り除かれたときなので、この方法で唱えられることはなく墓地に置かれる。
- 表面がインスタントやソーサリーであるカードは表向きになれない。この条件にあたるパーマネントが表向きになる場合、その表面を公開した上で、表向きになる事は失敗し裏向きであり続ける。
- 裏向きの両面カードは、第1面を表にした状態で表向きになる。
- ゲームの状態が夜のときに第1面が日暮を持っている両面カードが表向きになった場合でも第1面を表にして表向きになり、その後すぐさま変身する。これは状況起因処理ではない。
- 例:ゲームの状態が夜のときに裏向きのヒルの呪い/Curse of Leechesを表向きにした。これにより何にもついていないオーラが戦場にある状態になるが、状況起因処理のチェックよりも前にクリーチャーに変身するため戦場に残る。
- 裏向きにする場合に関係するルール
- 既に裏向きのパーマネントが裏向きにする効果を受けても何も起こらず、またその効果に付随する特性を変化させる効果は無視する(CR:708.2b)。
- 戦場で表向きになっている両面パーマネントを裏向きにする事はできない。そうするよう指示する効果は無視する。両面カードを裏向きのクリーチャー・呪文として唱えたり、裏向きで戦場に出す事はできる。両面カードの項も参照。
[編集] 関連カード
自分以外の裏向きのパーマネントを表向きにしたり、表向きにすることに対し制限をかけるカード。
- こじ開け/Break Open - 対戦相手の裏向きクリーチャーを表向きにするインスタント。(オンスロート)
- 現実を彫る者イクシドール/Ixidor, Reality Sculptor – 起動型能力で裏向きのクリーチャーを表向きにする。(オンスロート)
- スカークの騒ぎ屋/Skirk Alarmist – 起動型能力で自分の表向きのクリーチャーを表向きにでき、終了ステップの開始時に生け贄に捧げる。(レギオン)
- カルロフの番犬/Karlov Watchdog - あなたのターンの間、対戦相手の裏向きのパーマネントは表向きにできない。(カルロフ邸殺人事件)
- 犯人暴き/Expose the Culprit - 裏向きのクリーチャー1体を表向きにするモードを持つインスタント。こじ開けの上位互換。(カルロフ邸殺人事件)
- 命狙いの逃亡者、エトラータ/Etrata, Deadly Fugitive - あなたの裏向きのクリーチャーに表向きになる起動型能力を与える。(カルロフ邸殺人事件)
- 圧し合い/Bustle - あなたのクリーチャー1体を表向きにする。(カルロフ邸殺人事件)
- 古き神々の咆哮、ヤラス/Yarus, Roar of the Old Gods - あなたの裏向きのクリーチャーが死亡するたび、裏向きで戦場に戻した後表向きにする。(カルロフ邸殺人事件)
- 衝撃的な展開/Showstopping Surprise - あなたのクリーチャー1体を対象としそれが裏向きなら表向きにする。(カルロフ邸殺人事件統率者デッキ)
- 林間の眼、カウスト/Kaust, Eyes of the Glade - 起動型能力であなたの攻撃している裏向きのクリーチャーを表向きにする。(カルロフ邸殺人事件統率者デッキ)
[編集] 手札
呪文や能力が、他の呪文を唱えたり能力を起動している間にカードを引かせた場合、その引いたカードは唱えたり起動したりするのが完了するまで裏向きのままである。それは特性を持たないものとして扱う。
- 彩色の宝球/Chromatic Sphereや卵サイクルなど、マナ能力の一部としてカードを引かせるカードのためのルール。2005年2月のルール変更で追加された。
[編集] ライブラリー
ライブラリーにあるカードは特に指示が無い限り裏向きで置かれる。
[編集] 追放
追放されたカードは通常表向きであり、全てのプレイヤーに公開されている。効果がカードを裏向きで追放した場合、説明によって許可されていない限り、いずれのプレイヤーによっても見ることはできない。ただし、プレイヤーが裏向きで追放されているカードを見ることができることになったら、そのカードが追放され続けている限り、見ることができるとする効果が終わったあとでも見ることができる。
裏向きで追放されているカードは特性を持たないが、追放した呪文や能力によってはそのカードを追放領域からプレイできるものがある。カードが裏向きで唱えられるのでない限り、そのカードをプレイすると宣言する直前にそのカードは表向きになる。
- かつては「統率者戦においては、裏向きでカードが追放されその追放状態のカードを見ることができる場合、そのプレイヤーは必ず即座に見なければならない。それが他のプレイヤーがオーナーである統率者である場合、それを見たプレイヤーはそれを表向きにし、統率領域に置く。」というルールもあったが、これは2016年7月に削除されている。
[編集] 統率
秘策または両策を持つ策略カードは、それを統率領域に裏向きで置いた状態でゲームを開始できる。
また、アトラクションはゲーム開始時にアトラクション・デッキを切り直した後、裏向きで統率領域に置かれる。
[編集] 参考
引用:総合ルール 20231117.0
- 7 その他のルール
- 708 裏向きの呪文やパーマネント
- 708.1 カードによって、呪文やパーマネントが裏向き になることがある。
- 708.2 スタック上にある裏向きの呪文や裏向きで戦場に出ているパーマネントは、そのカード、呪文やパーマネントを裏向きにさせた能力やルールによって規定されている以外の特性を持たない。規定されている特性は、そのオブジェクトのコピー可能な値となる。rule 613〔継続的効果の相互作用〕、rule 707〔オブジェクトのコピー〕参照。
- 708.2a オモテ向きのパーマネントが、そのオブジェクトの特性を列記していない呪文や能力によって裏向き になった場合、それは裏向きで2/2の、文章、名前、クリーチャー・タイプ、マナ・コストを持たないクリーチャー になる。裏向きで戦場に出たパーマネントは、それを裏向きで戦場に出したり裏向きで唱えられるようにしたりする効果に他に記述されていない限り、上記の特性を持つ。これらの特性はコピー可能な値である。
- 708.2b 裏向きのパーマネントを裏向きにすることはできない。呪文や能力が裏向きのパーマネントを裏向きにしようとしたなら、何も起こらず、その効果によってそれの特性やコピー可能な値が変化することはない。
- 708.3 裏向きに戦場に出るオブジェクトは、それが戦場に出るよりも前に裏向き になるので、そのパーマネントの戦場に出るときの能力は(それが誘発型能力の場合)誘発しないし、(常在型能力の場合)効果を発揮しない。
- 708.4 裏向きで唱えられるオブジェクトは、スタックに積まれるよりも前に裏向き になるので、その呪文の特性を見る効果はその裏向きの呪文の特性だけを見ることになる。(そのカードのオモテ向きの時の特性ではなく)それらの特性を持つオブジェクトを唱えることに適用される効果や禁止は、このオブジェクトを唱える際に適用される。その呪文が解決されてなるパーマネントは、裏向きである。
- 708.5 スタックにある裏向きの呪文、戦場にある(フェイズ・アウトしているものも含む)裏向きのパーマネントのコントローラーは、それらのオモテをいつでも見ることができる。他の領域にある裏向きのカードや、他のプレイヤーがコントロールしている呪文やパーマネントのオモテを見ることは、できない。
- 708.6 スタック上で複数の裏向きの呪文をコントロールしていたり、戦場にある複数の裏向きのパーマネントをコントロールしたりしている場合、常にそれぞれの裏向きの呪文やパーマネントの区別が付くようにしなければならない。これには、どの能力やルールによってそのパーマネントが裏向き になっているのか、呪文を唱えた順番、裏向きのパーマネントが戦場に出た順番、どのクリーチャーが前のターンに攻撃したか、その他それぞれの裏向きの呪文やパーマネントの相違点などが含まれる。裏向きのオブジェクトを区別する無難な方法としては、カウンターやダイスを使ったり、パーマネントが戦場に出た順番にしたがって並べたりするなどの方法がある。
- 708.7 パーマネントを裏向きにする能力やルールの中には、オモテ向きにすることが認められている場合がある。通常、裏向きの呪文をオモテ向きにすることはできない。
- 708.8 裏向きのパーマネントがオモテ向き になるに際して、そのパーマネントのコピー可能な値は通常のコピー可能な値に戻る。裏向きのパーマネントに影響を及ぼしていた効果は、そのままオモテ向きのパーマネントにも影響を及ぼす。パーマネントがオモテ向き になったときには、そのパーマネントが戦場に出たときに誘発する能力は誘発されない。なぜなら、そのパーマネントはすでに戦場に出ていたからである。
- 708.9 裏向きのパーマネントや合同パーマネントの裏向きの部品が戦場から他の領域に移動した場合、オーナーはすべてのプレイヤーに公開しなければならない。裏向きの呪文がスタックから戦場以外の領域に移動した場合、オーナーはすべてのプレイヤーに公開しなければならない。プレイヤーがゲームから離れる場合、そのプレイヤーがオーナーであるすべての裏向きのパーマネントと、合同パーマネントの裏向きの部品と、裏向きの呪文をすべてのプレイヤーに公開しなければならない。各ゲームの終了時には、すべての裏向きのパーマネントと、合同パーマネントの裏向きの部品と、裏向きの呪文をすべてのプレイヤーに公開しなければならない。
- 708.10 裏向きのパーマネントが他のパーマネントのコピーとなる場合、そのコピー可能な値は、コピーするパーマネントのコピー可能な値となり、それに裏向きの位相であることによる変更が加えられる。従ってその特性値は、裏向きにできるようにした能力やルールによって定められている、元の特性値と同じになる。ただし、オモテ向き になった場合には、そのコピー可能な値は、コピーされている値となる。rule 707.3 参照。
- 708.11 裏向きのパーマネントが「[このパーマネント]がオモテ向き になるに際し~/As [this permanent] is turned face up ...」という能力を持つことになる場合、その能力はそのパーマネントがオモテ向き になる間に適用される。オモテになったあとで適用されるわけではない。
- 708 裏向きの呪文やパーマネント